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マテハン・ロボット 2026年8月25日

ExotecとMujinが8月19日提携、保管から入出荷の一貫自動化へ

ExotecとMujinが8月19日提携、保管から入出荷の一貫自動化へ

ロボット自動倉庫メーカーのExotec Nihonと、知能ロボットコントローラーを手掛けるMujin Japanは2026年8月19日、物流センター全体の自動化ソリューション提供に向けた業務提携を発表しました。工程ごとに分断されていた自動化設備をシームレスに統合することで、荷主や物流事業者が抱えるシステム連携リスクを低減し、入荷から出荷までの全体最適化を加速させる契機となります。

提携の背景と詳細:SkypodとMujinOSの融合が拓く一貫ソリューション

物流現場における自動化の取り組みは急速に進展しているものの、実態としては工程ごとの「部分最適」に留まる事例が少なくありませんでした。入荷時のデパレタイズ、保管・ピッキング、出荷前のパレタイズや搬送において、それぞれ異なるメーカーの機器やソフトウェアを個別に導入した結果、機器間のインターフェース調整や上位システムとのデータ連携が極めて複雑化し、全体の処理能力(スループット)を阻害する要因となっていました。

今回の業務提携は、3次元走行ロボット自動倉庫として国内外で高い実績を誇るExotecのハードウェアおよびソフトウェアと、ティーチング不要で多様なロボット・搬送機器を制御するMujinの知能化技術を組み合わせることで、こうしたインテグレーションの壁を解消するものです。

業務提携の経緯と主要なタイムライン

両社は公式発表以前から連携に向けた取り組みを推進しており、今後の展示会等を通じた共同プロモーションも計画されています。

時期 事象・マイルストーン 詳細内容
2026年7月 共同セミナーの先行開催 愛知県岡崎市にて物流センター全体の自動化とシステム連携を紹介
2026年8月19日 業務提携の正式発表 入荷・保管・ピッキング・搬送・出荷までの一貫ソリューション提供を発表
2026年9月(予定) 国際物流総合展2026での共同展示 相互のブースでの実機展示やライブ映像配信、共同プロモーションを実施

両社が提供する主要技術と補完関係

Exotecの主力製品である「Skypod」と、Mujinの中核プラットフォームである「MujinOS」は、物流センター内で相互に補完し合う関係にあります。

比較項目 Exotec Nihon(Skypodシステム) Mujin Japan(知能ロボット・MujinOS)
主要技術領域 3次元自律走行型ロボット自動倉庫 知能ロボットコントローラ、統合制御プラットフォーム
主な担当工程 高密度保管、GTP(Goods to Person)ピッキング 入荷デパレタイズ、混載パレタイズ、AGV搬送制御
システムの特徴 最大12mの高さを垂直・水平走行する高拡張性 3Dビジョンと自律動作計画によるティーチングレス制御
提携による役割 高速なケース・ピース単位の保管・出庫 前後工程におけるパレット・ケース荷役の自動化と機器統合

ExotecのSkypodは、ラック内を垂直・水平に自律走行するロボットにより、高密度保管と高速なピッキングを両立するソリューションです。グローバルではCarrefourやDecathlon、UNIQLOなど50以上のブランドに採用されており、国内でもトラスコ中山の「プラネット愛知」や三菱食品の「草加FSDC」といった大型拠点への導入が進んでいます。

一方、Mujinは独自の知能ロボットコントローラー「MujinOS」により、事前の動作設定(ティーチング)を行うことなく、サイズや荷姿が不揃いなケースのデパレタイズ・パレタイズを自動化する技術に定評があります。東電物流や日本運輸などの現場において、変種変量な資材や部品のハンドリングを高い稼働率で実現してきました。

参考記事: MujinOSとは?ティーチング不要で各種ロボットやAMRを統合制御する知能OSの特徴と価値を解説

参考記事: トラスコ中山が8.9万㎡の愛知拠点にSkypod本格導入、100万点即納が加速

参考記事: 三菱食品が草加拠点にSkypod44台導入で食品卸自動化が加速

入荷から出荷までのシームレスな統合フロー

従来の物流センターでは、トラックから荷降ろしされたパレットを作業員または専用デパレタイザーで荷ほどきし、コンテナに詰め替えて自動倉庫へ投入。出庫後は再び作業員が手作業で出荷用パレットに積み付けるといった、工程間の「つなぎ目」に多くの人手とシステム調整が必要でした。

今回の提携により、以下のエンドツーエンドな自動化フローが単一のシームレスなソリューションとして構築可能になります。

  • 入荷・デパレタイズ工程: トラックから荷降ろしされた入荷パレットから、Mujinの知能デパレタイズロボットがケースを自律認識して荷下ろしを実施。
  • 保管・ピッキング工程: 入荷された商品はExotecの「Skypod」に自動格納。出荷オーダーに応じてSkypodロボットが高精度・高速に出庫ステーションへ搬送。
  • 搬送・出荷パレタイズ工程: ピッキングされたケースやオリコンを、MujinのAGVや知能パレタイズロボットが最適な積載パターンを自律計算しながら出荷パレットへ積み付け。

両社代表が語る提携の狙い

本提携にあたり、両社の代表者は以下のようにコメントを発表しています。

Exotec Nihon株式会社 代表取締役 アジアパシフィック地域社長の立脇 竜 氏は、物流が企業の競争力を左右する重要な経営基盤となっている一方で、現場の各工程が個別最適に留まっている現状を指摘。「今回のMujinとの提携により、両社が培ってきた技術や知見を組み合わせ、入荷から出荷までをシームレスにつなぐ物流自動化ソリューションを提供できるようになります。今後も、お客様の物流センター全体の最適化を支援し、持続可能で柔軟性の高いサプライチェーンの実現に貢献してまいります」と述べています。

株式会社Mujin Japan 取締役CEOの荒瀬 勇 氏は、人手不足への対応と需要変動への柔軟な適応が物流現場に求められている点を強調。「Mujinは、自動化設備を統合的に制御するMujinOSを通じて、物流センター全体の最適化を支援してきました。今回のExotecとの提携により、パレット荷役から保管・ピッキング・搬送・出荷までを一貫して最適化できるソリューションを提供することで、お客様の生産性向上と持続可能な物流オペレーションの実現を支援してまいります」と表明しています。

参考記事: ケース品90%自動化を果たす東電物流に学ぶ倉庫省人化の必須対応

参考記事: 変種変量に勝つ!Mujin-日本運輸様のMujinOS採用ロボット倉庫事例

業界への具体的な影響:インテグレーション負荷の軽減とテクノロジー競争の変容

最先端ロボティクスを牽引する両社の協業は、現場の導入ハードルを大きく下げると同時に、マテハン業界全体のビジネスモデルにも影響を与えます。

倉庫事業者・3PL:マルチベンダー調整リスクの低減と導入リードタイムの短縮

物流倉庫を運営する3PLや荷主企業にとって、最大のボトルネックとなっていたのが「システムインテグレーション(SI)の負担とリスク」です。

異なるベンダーの機器を組み合わせる場合、それぞれの通信プロトコルのすり合わせや、エラー発生時の責任分界点の曖昧さがプロジェクト遅延やコスト膨張を招く主因となっていました。ExotecとMujinが標準的に連携可能なパッケージとしてソリューションを提供することで、ユーザー企業はSI設計にかかる膨大な工数とリスクを回避できます。

また、荷主との契約期間が数年単位である3PLにとって、短工期で導入・立ち上げが可能になり、物量変動や契約変更に応じて柔軟に設備を拡張・再配置できる点は、投資回収(ROI)の確実性を大幅に高める要因となります。

マテハン・テクノロジーベンダー:「単体ロボット」から「工程間オーケストレーション」への競争シフト

物流ロボティクス市場における競争の軸は、アームの可搬重量や搬送台車の走行速度といった「ハードウェア単体のスペック」から、複数機器を束ねて運用を最大化する「知能化と統合制御力(オーケストレーション)」へと明確に移行しています。

従来の大型固定式マテハンメーカーが提供してきた一括請負型のクローズドなシステムに対し、ExotecやMujinのようなソフトウェア主導型・モジュール型のプレイヤーが連携を深めることで、オープンなアーキテクチャによる高効率な自動化が実現します。

これにより、WES(倉庫実行システム)やWMS(倉庫管理システム)を提供するソフトウェアベンダー各社に対しても、こうした知能化プラットフォームと柔軟にAPI接続できるオープン性がより一層求められるようになります。

参考記事: WES(倉庫実行システム)とは?WMS・WCSとの違いや導入メリット・選定ポイントを徹底解説

参考記事: 物流ロボティクス入門|AGV・AMRの違いと導入手順・費用対効果を徹底解説

LogiShiftの視点:パッチワーク型自動化を脱却する「標準化プラットフォーム」への進化

今回の業務提携が示す物流業界の構造的変化について、今後の展開と企業がとるべき方向性を考察します。

「点」の自動化から「面」の自律運用へのパラダイムシフト

日本の物流現場で長年続いてきた自動化の潮流は、深刻な人手不足が発生した特定の工程(例えばピッキングエリアのみ、またはパレタイズのみ)に限定してロボットを配置する「パッチワーク型の導入」でした。

しかし、前後の工程が手作業のままでは、ロボットの処理能力がいくら高くても前工程の滞留や後工程のボトルネックに足を引っ張られ、センター全体のスループットは向上しません。

Exotecの「Skypod」による高密度保管・高速ピッキングと、Mujinの「MujinOS」によるパレット荷役・知能制御のシームレスな統合は、物流センター内の物理的なモノの流れとデータ処理を完全に同期させ、「点」の自動化を「面」の自律運用へと引き上げる極めて象徴的な動きです。

設備投資の硬直化を防ぐモジュール型エコシステムの確立

従来の自動倉庫導入における最大の経営リスクは、数十年先を見据えて建屋と一体で設計される固定式設備による「将来的な事業変化への適応不全(設備の陳腐化・硬直化)」でした。

これに対し、Skypodのようなラックやロボットを後から追加できるモジュール型自動倉庫と、ティーチングレスで多様な荷姿に対応できるMujinの知能化ロボットの組み合わせは、事業規模や商材の変化に柔軟に追従できる「俊敏な(アジャイルな)物流インフラ」を実現します。

ベンダーロックインを回避しながら、各工程で世界トップクラスのベスト・オブ・ブリードな技術を組み合わせるエコシステムが標準化されることは、変化の激しい現代のサプライチェーンにおいて、設備投資の回収リスクを最小化する現実的な最適解となります。

参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや主要設備・失敗しない進め方を徹底解説

まとめ:次世代物流センター構築に向けて明日から意識すべき3つの実践アクション

Exotec NihonとMujin Japanの提携は、物流センターの自動化が新たな統合フェーズに入ったことを示しています。物流部門のリーダーや経営層が明日から自社の戦略に反映すべきアクションは以下の3点です。

  1. 工程間の「滞留時間」と「インテグレーション負荷」を可視化する
    自社倉庫内のボトルネックを特定するため、ピッキングやパレタイズといった単一工程の作業時間だけでなく、工程間の荷物の滞留時間やシステム間のデータ受け渡しにかかるロスを詳細に数値化してください。
  2. 「単体スペック」ではなく「統合制御プラットフォーム」を評価軸に据える
    マテハンやロボットの選定時には、機器単体の能力だけでなく、MujinOSやWESのように前後工程の異種機器を束ねて最適制御できるプラットフォームを備えているかを最優先の評価基準として設定してください。
  3. 拡張性と可変性を担保したモジュール型アーキテクチャを優先検討する
    将来の物量増減や荷姿の変化に耐えられるよう、固定資産化しやすい一体型設備を避け、ロボットやラックを段階的に増設・再配置できる柔軟なソリューションを優先的に比較検討してください。

出典: robot-digest.com
出典: PR TIMES(Exotec Nihon プレスリリース)
出典: LOGISTICS TODAY
出典: Lnews

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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