福山通運株式会社、株式会社メニコン、株式会社シードの3社は、2026年9月1日より九州エリアにおけるコンタクトレンズ製品の共同配送を本格運用へ移行しました。競合関係にある大手メーカー2社が物流リソースを統合し、特別積合せ事業者の幹線・集配ネットワークと融合させた本モデルは、2024年問題や将来の輸送力不足を乗り越える「競合協調型ロジスティクス」の先駆的実例です。
九州エリアにおけるコンタクトレンズ共同配送の全容と実証成果
使い捨てコンタクトレンズは国内外で需要が拡大し続けており、医療機器としての厳格な品質保持と安定した供給体制の構築が求められています。一方で、トラックドライバーの時間外労働上限規制(年960時間規制)の適用に伴う「物流の2024年問題」や、2030年に向けて懸念される輸送能力不足への対策として、個社単独の輸配送から脱却した抜本的な効率化が不可欠となっていました。
こうした背景を受け、メニコンとシードは2025年7月1日より九州エリアにおいて共同配送の実証実験を実施してきました。実証実験における高い環境負荷低減効果と安定運行が確認されたことから、2026年9月1日より福山通運のネットワークを全面活用した本格運用体制へとステップを進めました。
3社共同配送スキームの概要と時系列
今回の共同配送における実施概要および運用の変遷は以下の通りです。
| 項目 | 実証実験フェーズ(2025年7月〜) | 本格運用フェーズ(2026年9月〜) |
|---|---|---|
| 参画企業 | 株式会社メニコン、株式会社シード | 福山通運株式会社、株式会社メニコン、株式会社シード |
| 集約・出荷拠点 | メニコン西日本ロジスティクスセンター | メニコン西日本ロジスティクスセンター |
| 対象配送エリア | 九州エリアの一部店舗(直営25店舗宛て) | 九州エリア全域(直営店舗および賛同顧客) |
| 主な配送対象 | メニコングループ販売店(Menicon Miru、シティコンタクト) | メニコン・シードの九州全域における賛同顧客・取引先 |
| 輸送・運行管理 | 福山通運の輸送ネットワーク | 福山通運の幹線網および集配・運行管理ノウハウ |
| 定量的成果 | 改良トンキロ法試算でCO2排出量 約48.5%削減 | 積載率の極大化と配送効率のさらなる向上 |
従来、メニコンとシードは福岡市内にそれぞれ所在する自社の物流センターから九州各地の販売店や顧客へ個別に配送を行っていました。本スキームでは、両社の出荷貨物を「メニコン西日本ロジスティクスセンター」に集約。福山通運が保有する特別積合せネットワークと運行・配送管理ノウハウを組み合わせることで、配送車両の一本化と積載率の向上を実現しています。
実証実験段階では、九州エリアに所在する一部のメニコングループ販売店(Menicon Miru、シティコンタクトの計25店舗)を対象に検証が行われました。輸送重量と輸送距離に基づいて環境負荷を算出する「改良トンキロ法」を用いたメニコンの試算により、従来の個別配送と比較してCO2排出量を約48.5%削減できることが実証されました。本格運用への移行に伴い、配送対象はグループ販売店にとどまらず、本取り組みに賛同した九州エリアの一般顧客・販売先へと順次拡大されています。
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サプライチェーン各プレイヤーに波及する具体的な影響
医療機器メーカーの競合2社と総合物流企業が構築した共同配送体制は、サプライチェーンを構成する関係各所に多面的なメリットと構造変化をもたらします。
1. 製造業者・メーカー:物流の「非競争領域化」とESG経営の加速
コンタクトレンズ業界で高いシェアを競い合うメニコンとシードが物流プラットフォームを共有したことは、「物流は競争領域ではなく協調領域である」という認識が業界内に定着したことを明確に示しています。製品開発やマーケティングでは激しい競争を続けながらも、輸配送という物理インフラを共有することで、ドライバー不足下における供給途絶リスクを回避しています。
また、CO2排出量約48.5%削減という大幅な環境負荷低減は、Scope3(サプライチェーン排出量)の削減に直結し、両社のサステナビリティ評価やESG経営の推進を強力に後押しします。
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2. 運送・物流事業者:特別積合せ網を活かした高度3PL機能の発揮
実運行と配送管理を担う福山通運にとって、本取り組みは単なる下請け輸送の枠を超え、メーカー間のアセット集約と配車最適化を主導する高度な3PL(サードパーティ・ロジスティクス)機能の発揮を意味します。
同一荷姿・類似配送先を持つ荷物を起点拠点で一括集約することにより、集配車両の積載効率が劇的に改善します。運行台数の適正化と走行距離の短縮は、乗務員の拘束時間短縮に寄与し、2024年問題以降の労務コンプライアンス遵守と収益性の両立を可能にします。
3. 小売店・眼科クリニック(着荷主):荷受け負荷の半減と検品作業の効率化
荷物を受け取る側の販売店や眼科併設クリニック、卸売業者にとっても、納品体制の一本化は現場オペレーションの劇的な改善につながります。
従来はメーカー各社から別々の時間帯にバラバラと到着していたトラックが1便に集約されることで、荷受け対応や開梱・検品に伴うスタッフの拘束時間が大幅に削減されます。人手不足に悩む店舗現場において、接客や本来の医療関連業務に専念できる環境が整うことは、着荷主側にとって極めて大きな実務的メリットです。
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LogiShiftの視点:エリアハブ集約型共配が示す持続可能な物流モデル
福山通運、メニコン、シードによる九州共同配送の本格稼働は、今後の国内物流が向かうべき「エリア共同配送」の理想形を提示しています。
従来の共同配送は、長距離幹線輸送におけるトラックの相乗りや往復ラウンド輸送が主流でした。しかし、本件は「メニコン西日本ロジスティクスセンター」という特定の地域ハブに競合他社の荷物を集約し、九州全域のラストワンマイルまで面でカバーする「支線・エリア配送の共同化」を実現しています。
使い捨てコンタクトレンズのような軽量・小口かつ多頻度配送が求められる商材は、単独配送ではトラックの容積・重量の双方が余りがちになり、いわゆる「空気輸送」を招きやすい特性を持っています。競合同士が荷姿や納品要件を擦り合わせ、特定ハブから同一便で送り出す仕組みは、積載率低迷を打破する極めて合理的なアプローチです。
2026年以降、人口減少に伴う輸送力不足が一段と加速する中、特定地域におけるメーカー主導の拠点集約と運送事業者のネットワーク統合は、全国各エリアへ波及していく不可避な潮流となるでしょう。
まとめ:持続可能な物流体制構築へ向けた実践の要点
メニコン、シード、福山通運による共同配送の本格化は、他業界の荷主企業や運送事業者にとっても自社の輸送体制を見直す強力な契機となります。サプライチェーンの維持に向けて意識すべき実践アクションは以下の通りです。
- 自社物流における「協調領域」の棚卸しとパートナー探索
自前主義に固執せず、同一エリア内に類似した配送ルートや顧客基盤を持つ同業・異業種との協調可能性を検討してください。
- 共同出荷拠点を軸としたスモールスタートからの実証
本事例のように、まずは特定拠点(エリアハブ)と限定された店舗群で実証実験を行い、CO2削減率や積載率などの定量的エビデンスを取得したうえで対象範囲を拡大するステップを踏んでください。
- 着荷主を巻き込んだ納品プロセスの標準化
共同配送を円滑に機能させるため、受け手側の荷受け時間枠や検品ルールの統一を進め、サプライチェーン全体で無駄な待機時間を削減する枠組みを構築してください。
出典: トラックニュース
出典: 株式会社メニコン ニュースリリース
出典: PR TIMES
出典: LOGISTICS TODAY



