一般社団法人日本3PL協会と株式会社イノベントは、2026年9月30日から10月2日までの3日間、東京ビッグサイトにて「食品物流&3PL総合展2026」を初開催します。多頻度小口配送や厳格な納品条件によって食品サプライチェーンが限界を迎える中、従来の「どう運ぶか」から「なぜその物流が発生するのか」という商流と物流の根本的な再設計が求められています。
食品物流の構造的限界とサプライチェーン再設計の潮流
食品流通の現場では、トラックドライバー不足や人件費・燃料費の上昇といった輸送能力の制約に加え、多頻度小口配送、短い発注リードタイム、細かな時間指定、賞味期限管理(3分の1ルール)といった「運ぶ前」の取引条件が現場の負荷を増大させてきました。物流事業者単独の効率化努力だけでは改善余地が限界に達しており、発荷主・着荷主・物流事業者が一体となって物流発生の要因そのものを見直す動きが本格化しています。
開催概要と関連業界の連携
2026年秋に初開催される「食品物流&3PL総合展2026」は、食品産業に特化した複数の専門展と同時開催され、商品開発から包装、保管、輸配送に至るサプライチェーンの全工程を横断的に捉え直す場として位置づけられています。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 名称 | 食品物流&3PL総合展 2026 |
| 会期 | 2026年9月30日(水)〜10月2日(金) 10:00〜17:00(最終日は16:00まで) |
| 会場 | 東京ビッグサイト 東1〜3ホール |
| 主催 | 食品物流&3PL総合展 実行委員会(一般社団法人日本3PL協会、株式会社イノベント) |
| 同時開催展 | FOOD STYLE JAPAN 2026、ラーメン産業展 in Japan、食品包装資材&機械展 |
展示会場では、3PL・共同物流、コールドチェーン、倉庫・保管、輸配送管理システム(TMS)、倉庫管理システム(WMS)、ロボティクス、物流不動産、包装・容器など、食品流通を支える多様な技術やソリューションが一堂に会します。商品設計や包装資材の変更が積載効率や配送頻度に直結することから、食品メーカーと物流事業者が垣根を越えて対話できる環境が整えられています。
食品物流改革を巡る時系列と政策の推移
食品物流の効率化は、単なる民間企業の取り組みにとどまらず、国の政策や法制度の改正と連動して段階的に進められてきました。
| 年月 | 主な出来事・政策動向 |
|---|---|
| 2020年6月 | 国土交通省が「加工食品分野における物流標準化アクションプラン」を策定。伝票・外装サイズ・パレット規格の共通化を開始。 |
| 2022年3月 | 経済産業省・国土交通省が「フィジカルインターネット・ロードマップ」を策定。2040年の実現に向け2030年までの目標を設定。 |
| 2025年10月 | 農林水産省が食料システム法に基づき「フードGメン」を配置し、取引実態調査を開始。 |
| 2026年2月 | 「フィジカルインターネットアワード2026」にて「共創型コールドチェーンの構築」が社会実装部門最優秀賞を受賞。 |
| 2026年4月 | 「食料システム法」および「改正物流効率化法」が本格施行。特定荷主に対するCLO選任や中長期計画策定が義務化。 |
| 2026年4月 | 三菱食品と花王が幹事となり、異業種9社による共同配送コンソーシアム「CODE」が発足。 |
| 2026年5月 | 日清食品と三菱食品が商流・物流データ連携による需給・物流効率化の協業本格始動を発表。 |
制度改正と業界の実態データ
2026年4月に本格施行された改正物流効率化法では、年間貨物取扱量が一定規模以上の特定荷主に対して、役員クラスの物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の策定、定期報告が義務付けられました。また、同月に本格施行された食料システム法では、コスト上昇分を考慮した適正な価格転嫁に関する誠実な協議が求められています。
しかし、現場の実態としては依然として厳しい状況が続いています。農林水産省が2026年3月に公表した「令和7年度食品等取引実態調査」によると、コスト全体の価格転嫁率は65.0%、物流費に関しては62.9%にとどまっています。パレット化やトラック予約受付システムの導入といった個社単位の取り組みは進展しているものの、輸送資材の標準化や納品時間の分散など、企業横断的な商慣行の見直しには遅れが見られます。
さらに、保管インフラの需給逼迫も顕著です。日本冷蔵倉庫協会の2026年5月「主要12都市受寄物庫腹利用状況」によれば、冷蔵倉庫の庫腹占有率は主要12都市合計で93.9%に達し、大都市圏を中心に保管余力が極めて逼迫しています。老朽化施設の更新やフロン排出抑制に向けた設備転換の必要性も重なり、拠点配置や賃貸型冷凍冷蔵倉庫の活用を含めた抜本的な見直しが急務となっています。
参考記事: 改正物流効率化法と野村総合研究所が示す輸送費34%増への必須対応
食品流通エコシステム各プレイヤーへの具体的な影響
商流と物流を切り離さず一体として再構築する動きは、行政、流通業者、物流事業者、そしてサプライチェーン全体の構造に大きな影響を与えています。
行政・規制当局:経営責任としての物流ガバナンス強化
規制当局による法改正は、物流を単なる「現場のコスト削減」から「企業の経営戦略」へと強制的にシフトさせました。特定荷主に対するCLO選任義務化により、荷主企業の経営層は調達・生産・営業・物流の全部門にまたがるトレードオフを解消する責任を負っています。
行政は、単なる法規制の遵守にとどまらず、取引適正化のための監視(フードGメンの運用等)や、フィジカルインターネットの実現に向けた標準化の推進を両輪で進めています。これにより、無理な納品条件や運賃据え置きを強いる発注者に対する是正措置が実効性を帯びるようになっています。
卸・問屋・流通業者:商流と物流をつなぐ「調整役」への進化
食品卸や中間流通業者は、メーカー(発荷主)と小売・外食(着荷主)の間に位置し、膨大な受発注データを保有しています。この特性を活かし、発荷主が商品を一方的に送り込む「運ばせる物流」から、着荷主側の需要データを起点に必要な分だけ効率的に集約する「取りにいく物流」への転換を主導する役割が期待されています。
例えば、三菱食品と日清食品の協業では、特売発注予定データの事前連携により在庫調整業務を月間約200時間削減し、AI発注モデルによってトラック台数を約30%削減可能とする試算を公表しています。また、三菱食品と花王が幹事を務める異業種共同配送コンソーシアム「CODE」のように、食品や日用品、医薬品といった業界の枠を超えて輸配送データを共有し、支線配送の積載効率を高める取り組みも具現化しています。
参考記事: 三菱食品×日清食品データ連携!トラック30%削減を生む3つの影響
倉庫事業者・3PL:提示された条件を疑い「逆提案」するパートナーへ
物流事業者や3PL企業に求められる役割も大きく変化しています。日本3PL協会の加藤進一郎専務理事が指摘するように、荷主企業からの指示通りの運行を請け負う下請け業者から、課題を共に解決する「イコールパートナー」への脱皮が求められています。
毎日納品や厳しい着時間指定、細かなロット指定に対して「なぜその条件が必要なのか」を問い直し、代替案を提示できるかどうかが競争力となります。WMSやTMS、自動化設備を個別最適で導入するだけでなく、荷主の商慣行改善や拠点配置の最適化まで踏み込んだプロジェクトマネジメント力が不可欠です。
参考記事: フィジカルインターネットセンターが示す2026年4月CLO義務化への必須対応
LogiShiftの視点|閉じた自社網から「公共インフラ型ネットワーク」への転換
食品物流が直面している課題の本質は、各社が自社専用の配送網や個別仕様の業務フローを維持しようとする「個社最適の限界」にあります。主要都市の冷蔵倉庫占有率が93.9%に達し、物流費の転嫁率が62.9%にとどまる現実は、単独企業の努力だけでコストを吸収しきれなくなっていることを明白に示しています。
今後、食品サプライチェーンが持続可能性を確保するためには、物流を競争の手段ではなく、社会全体で共有する「公共インフラ(フィジカルインターネット)」として再定義しなければなりません。
具体的には、パレット(T11型)や外装サイズ、商品コードの標準化を前提とし、複数メーカーの混載や往復ラウンド輸送を日常的な運用へと落とし込む必要があります。日清食品が実践するような、メーカー間の水平連携と調達・製品を一体化させる垂直連携の融合は、空車回送を削減し輸送能力を最大化する有効なモデルです。商流のデータを早期に開示し、物流側の制約とすり合わせる「商物分離と情報連携」を実行できる企業群が、次世代の食インフラの主導権を握ることになります。
参考記事: NECと日清食品、8月28日開催のイベントで探る物流共同化と持続可能な供給網
まとめ:明日から意識すべき3つの実践アクション
食品物流を「運ぶ」作業から「つながる」ネットワークへと再設計するために、荷主企業および物流事業者の実務リーダーが取り組むべきアクションは以下の通りです。
- 自社の発注・納品条件と物流制約の棚卸しを実施する
リードタイム、納品ロット、時間指定などの取引条件が、運送事業者や倉庫の稼働にどのような負荷を与えているかをデータで可視化し、不要な制約を洗い出してください。
- 取引先とのデータ共有による「商物連携」のテストケースを立ち上げる
特売情報や需要予測データを物流部門および取引先と早期に共有し、急激な波動の平準化や発注ロットの適正化に向けた協議を開始してください。
- 業界標準規格の採用と共同化プラットフォームへの参画を検討する
自社独自の伝票様式や資材仕様を見直し、共同配送コンソーシアムやオープンなデータ基盤へ接続可能な体制を整えてください。
出典: LOGISTICS TODAY
出典: 農林水産省
出典: 日清食品株式会社 公式サイト
出典: 一般社団法人フィジカルインターネットセンター
出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS



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