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Home > 事例・インタビュー> NECと日清食品、8月28日開催のイベントで探る物流共同化と持続可能な供給網
事例・インタビュー 2026年8月7日

NECと日清食品、8月28日開催のイベントで探る物流共同化と持続可能な供給網

NECと日清食品、8月28日開催のイベントで探る物流共同化と持続可能な供給網

単独企業での運賃交渉や運行効率化だけに頼る物流改善は、深刻な輸送力不足や人手不足の前で限界を迎えている。日本電気株式会社(NEC)が2026年8月28日に開催するコミュニティイベントでは、日清食品株式会社の専務取締役CLOである深井雅裕氏が登壇し、同社が実践する「水平・垂直連携」のリアルなノウハウを公開する。企業の垣根を越えたデータ活用や協調領域の可視化により、自社のみでは達成できない輸送効率化と供給網維持の両立が可能となる。

NEC開催イベントと日清食品「水平・垂直連携」の基礎知識

物流の「2024年問題」を経て、自社単独での物流効率化には明確な限界が見えています。こうした中で注目を集めているのが、日本電気株式会社(NEC)が主催するコミュニティイベント「物流共同化はどこまでできるのか? ~日清食品が実践する水平・垂直連携のリアル~」です。

本セクションでは、本イベントの開催概要と、日清食品が推進する「水平・垂直連携」の基本的な枠組みについて整理します。

イベント開催概要とテーマの全体像

本イベントは、NECが提供する価値共創プラットフォーム「BluStellar Communities」の一環として開催されます。先進企業の実践知を共有し、企業同士の対話から実務的な共同化を加速させることを目的としています。

イベントの主要データを以下の表にまとめました。

項目 詳細内容
イベント名 物流共同化はどこまでできるのか? ~日清食品が実践する水平・垂直連携のリアル~
開催日時 2026年8月28日(金)15:00~18:00(懇親会17:00~18:00)
会場 NEC本社ビル(東京都港区芝5-7-1)
登壇者 深井 雅裕 氏(日清食品株式会社 専務取締役 CLO)
進行・聞き手 菊田 一郎 氏(エルテックラボ代表、物流ジャーナリスト)
定員・参加条件 20名(事前申込制・無料)/ 「ロジスティクスシェアリングコミュニティ」入会が必須

第一部のパネルディスカッションでは、日清食品における実際の取り組みをもとに、同業種・異業種との連携ノウハウや共同化候補の発掘方法が語られます。第二部では参加者同士の議論が行われ、自社での実践に向けた課題解決のヒントを探ります。

物流における「水平連携」と「垂直連携」の違い

日清食品が取り組む物流改革の核心は、「水平連携」と「垂直連携」を組み合わせた立体的なアプローチにあります。これまでの共同配送は、同業者同士が同じ路線でトラックを相乗りさせる「水平連携」が中心でした。しかし、日清食品はサプライチェーンの上流から下流までを巻き込む「垂直連携」を融合させることで、劇的な成果を上げています。

両者の定義と具体的なアプローチの違いは以下の通りです。

連携軸 概念の定義 主な取り組み例 期待される主な効果
水平連携(ヨコ軸) 同業種または異業種のメーカー・荷主同士が横でつながる連携 同業他社との共同配送、異業種間での往復ラウンド輸送 トラック積載率の向上、空車回送の削減、配送コスト削減
垂直連携(タテ軸) 原料調達から製造、卸、小売に至るサプライチェーン前後の連携 JA全農との調達・製品一体輸送、卸売業者との商物データ連携 波動の平準化、需要予測精度の向上、待機時間や過剰在庫の削減

自社内だけの閉じた最適化から脱却し、これら二つの軸を組み合わせることで、物流網全体の持続可能性を高めることが可能になります。

NECのコミュニティ基盤「BluStellar Communities」とは

NECが運営する「BluStellar Communities ロジスティクスシェアリングコミュニティ」は、共同輸配送を推進する企業同士が業種を超えて交流し、実践的な知見を深めるためのプラットフォームです。

単なる情報発信にとどまらず、以下のような価値を提供しています。

  • トレンドと知見の共有
    • 共同輸配送における最新動向や先進企業の先行事例を深く学べるセッションの実施。
  • 企業間対話の場の提供
    • 課題を共有する荷主企業や物流実務者が直接対話し、協調領域を模索できる場の構築。
  • データ活用による共同化の可視化
    • ITベンダーの知見を活かし、経験や勘に頼らないデータドリブンな共同化マッチングを支援。

共同輸配送のパートナーを探している企業や、社内推進において壁にぶつかっている担当者にとって、このコミュニティは重要な議論の拠点となります。

参考記事: 共同配送とは?仕組みやメリット・デメリット、導入成功のポイントを徹底解説


なぜ今、企業間を越えた「物流共同化」が不可欠なのか

日本の物流構造は、これまでの「個社による競争と効率化」から「業界全体による共有と持続」へと根本的な転換を迫られています。一企業が努力するだけでは、商品が届かないリスクを防げなくなっているためです。

ここでは、今まさに物流共同化が強く求められている背景について解説します。

2026年4月改正物流効率化法の本格施行とCLOの義務化

2026年4月、改正「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(改正物流効率化法)」が本格施行されました。これにより、一定規模以上の荷主企業(特定荷主約3,200社)に対して、以下の事項が義務付けられました。

  • 役員クラスからの「物流統括管理者(CLO)」の選任
  • 中長期的な物流効率化計画の策定
  • 積載率向上や荷待ち時間削減に関する定期的な実績報告

物流が経営の重要課題として位置づけられたことで、CLO主導の下で企業間の壁を取り払う「共同輸配送」が最優先の経営施策となっています。

単独企業の効率化限界と34.1%の輸送力不足

少子高齢化に伴うドライバー不足は深刻であり、日本経済団体連合会(経団連)の提言においても、2030年には国内の輸送能力が最大で34.1%不足するという予測が示されています。

従来、企業が行ってきた「倉庫内の自動化」や「自社ルートの配送見直し」といった単独での効率化(個別最適)では、この巨大な需給ギャップを埋めることは不可能です。トラックの平均積載率が38%台と低迷する中、他社の荷物と組み合わせることで空気ばかりを運ぶ「空気輸送」を根絶しなければ、物流網そのものが崩壊しかねません。

参考記事: 日本経済団体連合会が輸送力34.1%不足に提言、共同配送が加速

「競争領域」と「協調領域」の明確な線引き

物流共同化を推進する上で最も重要な概念が、「競争領域」と「協調領域」の切り分けです。

自社独自の付加価値を生み出す商流(商品開発、価格決定、販売促進など)は「競争領域」として守りつつ、商品を運ぶための物理的なインフラ(トラック、倉庫、配送ルート、データ基盤)は「協調領域」として他社と共有する必要があります。

物流を自社の囲い込み手段ではなく、社会的インフラとして捉え直すマインドセットの変革が、経営層および現場リーダーに求められています。


日清食品の実践事例に見る物流共同化の成果

日清食品は、独自の着荷主起点アプローチとデータ活用により、従来の常識を覆す物流共同化を実現しています。同社の深井雅裕CLOが主導する具体的な取り組みは、多くの荷主企業にとって参考となるモデルケースです。

本セクションでは、日清食品が推進する代表的な共同化事例とその成果を紹介します。

JA全農との「調達×製品物流」垂直連携によるラウンド輸送

日清食品は2023年10月より、全国農業協同組合連合会(JA全農)との共同プロジェクトとして、原料調達と製品配送を組み合わせた「持続可能なラウンド輸送」を稼働させています。

従来の物流では、原料米(調達物流)を運んだトラックが帰路に空車となり、製品(製品物流)を運ぶトラックも片道運用になるという無駄が発生していました。そこで、両社の物流ルートを一本化し、往路で原料米を運んだ車両が、復路で日清食品の製品を運ぶ相互循環スキームを構築しました。

この垂直連携によって得られた定量的な成果は以下の通りです。

  • ドライバー拘束時間: 約7%削減
  • トラック積載率: 約9%向上
  • CO2排出量: 約17%削減

本取り組みは、経済産業省が主催する「サプライチェーン イノベーション大賞2024」において優秀賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

三菱食品との「商・物データ連携」によるトラック30%削減

さらに日清食品は、国内食品卸最大手である三菱食品株式会社との間で、商流(発注・販売)データと物流(在庫・輸送)データを高度に統合する「共創型データ連携プロセス」を推進しています。2025年10月からの実証を経て、2026年6月より本格的な協業へと舵を切りました。

この取り組みでは、これまでブラックボックス化されていた需要予測や受発注業務にAIを導入しています。

具体的には、以下の3つの施策を展開しています。

  • 需給バランス調整の自動化
    • AIにより特売や需要波動に伴う「山崩し(平準化)」を行い、欠品と過剰在庫を防止。
  • 物流アセットの相互活用
    • 両社の拠点倉庫や配送トラックをシームレスに共有し、実車率を大幅向上。
  • 業界横断的なデータ基盤の構築
    • 伝票や商品マスターコードを標準化し、リアルタイムでの在庫・配車情報の共有を実現。

試算によると、このデータ連携プロセスにより、サプライチェーン全体で配送トラック台数を「約30%削減」できることが示されています。

参考記事: 2026年6月に日清食品と三菱食品がデータ連携、トラック30%削減に直結

参考記事: 三菱食品×日清食品データ連携!トラック30%削減を生む3つの影響

発荷主・着荷主の枠を超えた共配ネットワーク

日清食品の強みは、自社がメーカー(発荷主)でありながら、商品を受け取る卸や小売(着荷主)の視点に立って物流を設計している点にあります。

発荷主同士の水平な相乗りだけでなく、発注権を持つ着荷主を巻き込んで配送ルートや納品条件を平準化することで、運送事業者にとっても運行しやすい「持続可能な共配ネットワーク」を創り出しています。


物流共同化を成功に導く3つの実践ポイント

多くの企業が物流共同化の重要性を理解しながらも、実行段階で頓挫してしまうケースが少なくありません。企業間の調整、データの壁、公平な費用負担といった壁が存在するためです。

NECのイベントで議論されるテーマをもとに、共同化を成功させるための3つの実践ポイントを解説します。

1. データによる「共同化余地があるトラック便」の発掘

共同配送の最初のハードルは、「自社のどのトラック便であれば他社と組めるのか」を見つけ出すことです。従来はベテラン担当者の勘や経験に頼っていたため、再現性が低いという課題がありました。

この課題を突破するには、運行データのデジタル化と可視化が不可欠です。

具体的には、以下の手順で共同化余地を発掘します。

  • 出荷・運行データのデジタル化
    • 配送ルート、出発・到着時間、積載重量、容積率(空気率)をTMS(輸配送管理システム)で数値化する。
  • 「容積勝ち」と「重量勝ち」の相互補完パズルの探索
    • かさばるが軽い荷物(日用品など)と、小さくて重い荷物(飲料・調味料など)を組み合わせ、車両の空間と重量の制限を無駄なく使い切る。
  • 空車回送(帰り便)ルートのマッチング
    • 自社の復路空車ルートと、他社の往路発送ルートが重なるエリアをプラットフォーム上で抽出する。

NECのようなITベンダーが提供するデータ基盤を活用することで、企業間の秘匿性を保ちながら共同化のポテンシャルを自動で可視化することが可能になります。

2. 競争法を守りつつ推進するデータ共有とガバナンス

他社とのデータ共有を進める際、法務や経営層が懸念するのが「独占禁止法(カルテル)」への抵触や機密情報の漏洩リスクです。

安全に共同化を進めるためには、適切なガバナンス体制を構築しなければなりません。

  • データのマスキングとブラックボックス処理
    • 運賃や取引価格、具体的な顧客リストなどの競合情報は直接共有せず、ルートや容積・重量などの運行データのみを抽象化して処理する。
  • 中立的なプラットフォームやクラウドの活用
    • クラウド上でデータを安全に保管し、お互いの生データを閲覧できない環境で配車アルゴリズムを回す。
  • 明確な協調ガイドラインの策定
    • 国土交通省や公正取引委員会が提示するデータ連携ガイドラインに準拠し、非競争領域に限定して情報共有を行う。

参考記事: データ連携で国土交通省が最大4000万円を補助する2次公募で企業のDXが加速

3. 便益配分(ゲインシェアリング)による持続可能なパートナーシップ

共同化を持続させる最大のポイントは、得られた成果や削減コストを関係者間でどのように配分するかという「ゲインシェアリング(便益配分)」のルールメイキングです。

特定の企業だけがシステム投資の負担を強いられたり、一方が大幅なコスト削減を享受する一方で他方に作業負荷が偏ったりすると、プロジェクトは必ず頓挫します。

  • コストと削減効果の透明化
    • トラック削減や積載率向上によって生じた経済的メリットを明確に可視化する。
  • 三者(発荷主・着荷主・運送事業者)への適正分配
    • 浮いたコストの一部を実運行を担う運送事業者へ適正運賃として還元し、ドライバーの待遇改善や車両維持に充てる。
  • 柔軟なコスト分担ロジック
    • 荷役時間や配送距離に応じた公正な費用分担モデルをあらかじめ取り決めておく。

日清食品が提唱するように、関係者全員が健全なリターンを得られる仕組みを構築することこそが、長期的なパートナーシップの鍵となります。


まとめ:持続可能な物流網の構築に向けた明日からのステップ

日清食品が実践する「水平・垂直連携」やNECの「BluStellar Communities」の取り組みは、単なる企業のコスト削減策ではありません。2026年以降の日本において、「モノが届かないリスク」を回避し、持続可能な社会インフラを守り抜くための必須の生存戦略です。

物流大変革期を乗り越え、自社のサプライチェーンを強靭化するために、現場リーダーや経営層が明日から取り組むべきアクションは以下の通りです。

  1. 自社の配送データ(積載率・空車ルート・時間帯)を数値で可視化する
    • 勘や経験に依存した配車管理から脱却し、TMSやWMSを活用して「どの配送便に空き容量(他社と組める余地)があるか」をエビデンスベースで特定してください。
  2. 競合・異業種との「協調領域」の探索と対話を開始する
    • 自社専用の物流網に固執する自前主義を捨て、NECなどのコミュニティを活用しながら、非競争領域である輸配送インフラを共有できるパートナー企業との対話をスタートさせてください。
  3. 商習慣の見直しと業界標準規格への適合を推進する
    • 共同配送ネットワークへいつでも合流できるよう、独自の商品コードや伝票フォーマット、パレット規格(T11型など)を業界標準へ適合させる社内ロードマップを策定してください。

物流を他社と争う「競争の場」から、業界全体で支え合う「共創の場」へ。先進企業のリアルな実践知を自社の経営に取り入れ、持続可能な次世代の物流基盤を今すぐ構築していきましょう。


出典: PR TIMES
出典: 日清食品株式会社 公式サイト
出典: 公益社団法人日本社団法人日本ロジスティクスシステム協会

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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