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ニュース・海外 2026年9月21日

RealWorld、CJ Logisticsと30億ウォン投じ物流AIを実用化

RealWorld、CJ Logisticsと30億ウォン投じ物流AIを実用化

韓国物流大手のCJ LogisticsとフィジカルAI開発のRealWorldは、物流向けロボティクス基盤モデル「RLDX-1」を活用した現場自動化およびLaaS(Logistics as a Service)商用化に向けた戦略的業務協約を締結しました。国土交通省が2030年度に輸送力の約25%不足を試算する日本市場にとっても、固定設備への巨額投資を抑えながら手作業工程を自動化し、従量課金で利用する事業構造の具体例として直結しています。

米中韓で加速するフィジカルAIと基盤モデルの社会実装

物流現場におけるロボット導入は、従来のAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)による定型搬送から、AIが視覚・センサー情報をリアルタイムに解析して非定型な手作業を代行する「フィジカルAI」の実装フェーズへと移行しています。

米国、中国、韓国ではそれぞれ独自のサプライチェーン環境や技術アプローチを背景に、基盤モデル(Foundation Model)を現場オペレーションに直接組み込む取り組みが進んでいます。

米国では、ヒューマノイド開発のAgility(旧Agility Robotics)が特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて評価価値25億ドル規模での上場を進めるなど、汎用ロボットの社会実装に向けた資本調達を完了させています。Agilityの旗艦機「Digit v5」は、Google DeepMindやNVIDIAのフィジカルAI技術を基盤とし、旧モデルの4時間から16時間へと連続稼働時間を延伸させ、すでに3億ドル以上の先行受注を獲得しています。

一方、中国市場では「智元機器人(Agibot)」がEV製造のサプライチェーン基盤を活かして部品調達コストを大幅に引き下げ、2025年には年間出荷台数5,100台以上を見込むなど、ハードウェアの量産化で世界シェアの約4割を占める規模に達しています。さらに、シンガポールの通信大手シングテルと提携し、5G通信網と保守サービスを組み合わせてロボットを月額提供する「RaaS(Robot as a Service)」モデルを立ち上げています。

また、中国のGalbot(ガルボット)社が開発した「Galbot S1」のように、二足歩行ではなく4輪の全方向シャーシを採用して最大50kgの積載能力と8時間の連続稼働を実現するなど、現場の床面環境に応じた実用主義的な機体設計も広がっています。

こうした米中の動きに対し、韓国では物流現場のインフラとスタートアップのAI基盤モデルを直接統合するアライアンスが形成されています。CJ LogisticsとRealWorldの提携は、物流オペレーターが持つ実データと倉庫拠点を開発基盤として提供することで、実用化のサイクルを加速させる狙いがあります。

以下の表は、主要国における物流ロボティクス・フィジカルAIの実装動向を整理したものです。

国・地域 主要プレイヤー 技術アプローチと機体設計 主なビジネスモデルと展開状況
米国 Agility, Tesla, Figure AI 完全自律型2足歩行・高度な物理AI制御 先行受注販売・大手EC施設での大規模検証
中国 Agibot, ROBOTERA, Galbot 4輪全方向シャーシや車輪型下半身による実用化 低価格量産・通信キャリア連携のRaaS提供
韓国 RealWorld, CJ Logistics 物流特化型RFM(RLDX-1)・双腕アーム等 物流機能の従量課金化を目指すLaaS商用化

参考記事: 人型ロボ開発の米Agilityが25億ドル上場、物流倉庫の汎用労働力化が加速

参考記事: 人型ロボ世界首位の中国Agibot。シンガポールRaaS実証が示す日本の物流DX

CJ LogisticsとRealWorldの提携:30億ウォン投資から現場PoCへの軌跡

CJ LogisticsとRealWorldの提携は、単なる機体の試験導入ではなく、資本連携を伴う中長期的な技術開発と事業化を前提に設計されています。

両社の協業は2025年11月、ソウル市鍾路区のCJ Logistics本社で最初のMOUが締結されたことから始まりました。この際、CJ LogisticsはRealWorldが実施した「Seed 2」ラウンドにおいて30億ウォン(約220万ドル)を直接出資し、同社の株式1.3%を取得しています。RealWorldはシード段階において累計600億ウォン規模の資金調達を達成しており、開発資金と実証フィールドを同時に確保しました。

【提携の進展プロセス】
2025年11月:CJ LogisticsがRealWorldへ30億ウォン出資(持分1.3%取得)、基本協約締結
2026年6月 :RealWorldがロボティクス基盤モデル「RLDX-1」を技術イベントで初公開
2026年9月 :京畿道龍仁市のセンターで双腕ロボット検証を推進しつつ、LaaS商用化へ深化

2026年6月10日、RealWorldは自社開発のロボティクス基盤モデル「RLDX-1」(呼称:RealDex One)を「Dexterity Night in Seoul」で公開しました。イベント内では、Rainbow Robotics製の双腕協働ロボット「RB-Y1」やWIRoboticsの「ALLEXX」といったハードウェアにRLDX-1を搭載し、不定形な物品の精密仕分けデモンストレーションを披露しました。

RLDX-1は、ロボットが視覚情報や力覚センサー情報から周辺の環境変化をリアルタイムに認識し、対象物の硬さや形状、配置角度に応じて把持力や動作軌道を自律的に判断・修正するフィジカルAIモデルです。

2026年9月18日、両社はソウル市江南区のRealWorld本社で後続協約を締結し、2026年9月21日に事業化計画を公表しました。

現在、CJ Logisticsは京畿道龍仁市に位置する「オリーブヤング(Olive Young)陽智物流センター」において、ヒューマノイド双腕ロボット2台を投入した実証検証を行っています。最初の適用工程として、宅配便の送り状ラベルが上を向くように荷姿を揃える整列・仕分け作業や、梱包箱への緩衝材投入作業から着手しています。今後はこれら単一工程の検証を経て、ピッキングや検品工程へと適用範囲を段階的に拡大する計画です。

この取り組みの事業的なゴールは、物流センターやマテハン設備を自社で保有しない荷主企業に対して、受注処理、保管、ピッキング、梱包、配送、データ分析などの全工程をサービスとして提供する「LaaS(Logistics as a Service)」の確立にあります。

参考記事: ヒューマノイドロボットとは?AGV・AMRとの違いや物流現場での活用事例を解説

参考記事: ヒューマノイドEXPO初開催!人とロボットが共に働く時代の物流現場対策3選

日本の物流現場におけるLaaS受容性と実装への示唆

韓国でのCJ LogisticsとRealWorldの取り組みは、日本国内で進む物流モデルの変革とも構造的に共通しています。

日本国内では、ギークプラスが茨城県古河市に開設した延べ床面積約2,700坪の「古河LaaSセンター」が先行事例として稼働しています。同センターでは自社製AMR「EVE」150台とサプライチェーンデータ活用クラウド「skylaa(スカイラー)」を組み合わせ、契約から約1ヶ月で稼働開始できる従量課金型のシェアリングモデルを展開しています。

ギークプラスの事例が「Goods to Person(GTP)」による棚搬送のLaaS化であるのに対し、CJ LogisticsとRealWorldが挑む領域は、ロボティクス基盤モデルを組み込んだ「手作業工程のLaaS化」です。

日本の物流現場において、フィジカルAIを搭載したロボティクス技術を適用する際には、以下の実務的な観点が求められます。

設備投資(CAPEX)から運用費用(OPEX)への投資構造転換

数億円から数十億円規模の固定型マテハン設備(自動倉庫やソーター)は、取扱品目や荷姿の変化、出荷ボリュームの急激な変動に対する柔軟性に乏しい側面があります。

LaaSモデルを採用することで、荷主企業は初期投資のリスクを抑え、出荷量に応じた従量課金や月額サブスクリプションとして物流コストを処理できます。急激な出荷拡大や季節変動を抱える事業者にとって、固定資産を抱えずに高度な自動化オペレーションを利用できる点は、投資判断の迅速化に直結します。

既存の作業環境(ブラウンフィールド)を維持した導入設計

従来の自動化では、ガイド線の敷設や専用ラックの配置、作業者の進入を防ぐ安全柵の設置など、建屋レイアウトの全面改修が前提となっていました。

RealWorldが検証を進めるRLDX-1のような基盤モデルは、人間が作業するために作られた既存の作業台や通路幅をそのまま活用します。平坦な床面を持つ日本の倉庫においては、二足歩行にこだわらず、多軸双腕ロボットとAGVや車輪型台車を組み合わせたハイブリッド設計を採用することで、改修費用を最小化しながら実稼働へ移行できます。

単一の定型作業からの段階的な検証アプローチ

AIロボティクスを導入する際、最初から複雑なピースピッキング全般を代替させようとすると、例外処理の発生頻度が高まり、システム停止や作業遅延を招きます。

CJ Logisticsの実証プロセスが示す通り、まずは「送り状ラベルの向きを揃える」「緩衝材を投入する」といった、認識条件と動作が比較的限定された工程から着手することが運用定着の条件です。特定の単一工程で実稼働データを蓄積し、AIの把持精度を向上させた上で、次の工程へと横展開していくステップが現場定着の確実性を高めます。

参考記事: [自動化の初期投資ゼロ!ギークプラス「古河LaaSセンター」がもたらす3つの革新](https://logishift.net/2026/05/15/post-5478/)

参考記事: ギーク3拠点目LaaSセンター|1ヶ月で稼働する「持たない物流」の衝撃

フィジカルAIのサービス化が再編する物流インフラ

物流自動化の領域は、ロボットの「購入と所有」から「機能の利用」へと事業形態の移行が進んでいます。サーバーインフラが自社保有のオンプレミスからAWSなどのクラウドへ移行したのと同様に、物流拠点や作業機器もソフトウェア経由で利用するプラットフォーム型への移行が進みつつあります。

RealWorldとCJ Logisticsの共同開発は、ハードウェアのスペック競争にとどまらず、現場の運用データを用いてフィジカルAIを継続学習させ、その処理能力をLaaSとして外部に開放するサプライチェーンの構造変化を示しています。

日本企業においても、自社仕様に合わせた専用自動化ラインを単独で構築し続けるアプローチと並行して、標準化されたAIプラットフォームを活用した外部サービスの利用を検討する局面を迎えています。


出典: DigitalToday
出典: ChosunBiz
出典: In The News
出典: CJグループ公式ニュースルーム
出典: IT Daily
出典: ZDNet Korea
出典: Money Today

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編集責任者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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