株式会社NTTロジスコは2026年9月30日、店舗向け納品平準化ソリューション「スマートリプ」の付加サービスとして「日別・荷姿別出荷予測機能」の提供を開始しました。本機能は店舗や地域物流センターごとの需要予測に季節要因や商品特性を掛け合わせ、パレット・ケース・バラといった荷姿別の作業量を日単位で算出します。
「スマートリプ」新機能の仕様とWES連携の全体像
従来の出荷予測システムでは、主にSKU単位の出荷総数や重量ベースの集計にとどまるケースが多く、現場の庫内作業ボリュームと乖離しやすい点が運用上の障壁となっていました。今回追加された「日別・荷姿別出荷予測機能」は、実際に発生するハンドリング単位へ予測を落とし込み、物流センター内の実作業に直結させる仕組みを採用しています。
荷姿別算出の予測ロジック
本機能では、「スマートリプ」が生成する納品データに加え、以下の変数を組み合わせて出荷荷姿を自動判別・予測します。
- 店舗・配送先特性: 納品先店舗のバックヤード面積や陳列棚の許容量、地域物流センター(TC/DC)の荷受け規格
- 製品ライフサイクル: 新商品の販売開始からの経過期間、プロモーション動向
- 季節・カレンダー要因: 曜日別の販売変動、月内・季節ごとの物量波動
- 荷姿変換ルール: 単品サイズとマスター情報に基づくバラ・ケース・パレット換算
これらの要素を日別に演算することで、翌日以降に「何ケースのピッキングが必要か」「何パレット分のフォークリフト荷役が発生するか」を事前に把握できるようになります。
「スマートリプ」展開の推移
NTTロジスコが提供してきた店舗納品平準化ソリューションは、段階的な機能拡張を経て今回の荷姿別予測へと至っています。
| 時期 | 発表・提供内容 | 主な機能・特徴 |
|---|---|---|
| 2023年9月28日 | スマートリプ提供開始 | 需要予測に基づく適頻度・適量納品による平準化BPO |
| 2024年2月27日 | スマートリプパッケージ | 平準化計算に加え、物流設計・作業計画・設備導入を一体化 |
| 2026年9月30日 | 日別・荷姿別出荷予測機能 | パレット・ケース・バラ単位の作業量算出とWES連携 |
WES(倉庫運用支援システム)とのデータ連動
本機能で算出した予測データは、NTTロジスコの物流オペレーション内でWES(倉庫運用支援システム)と連携します。WESが予測された荷姿別物量を取り込むことで、以下の実務プロセスへ直接反映されます。
- マテハン設備の最適稼働: 自動倉庫、ソーター、コンベヤなどの稼働時間および搬送ラインの割り振りを前日までに決定
- 人員シフトの最適化: バラピッキングエリア、ケース仕分けエリア、フォークリフト荷役ごとの必要作業員数を割り出し、過不足のない人員配置を計画
- 出荷バースおよび荷揃え場の事前確保: パレット出荷量に応じたステージングエリアの事前割り当て
参考記事: WES(倉庫実行システム)とは?WMS・WCSとの違いや導入メリット・選定ポイントを徹底解説
物流サプライチェーン各層への具体的な影響
荷姿別の出荷作業量が日別に可視化される運用モデルは、物流センター運営事業者から発注元の小売業、現場作業員に至るまで実務上の変化をもたらします。
3PL・倉庫オペレーター:作業進捗のブレ抑制と固定費低減
多品種小ロットを扱う物流センターでは、出荷総数が同じでも「バラ出荷が集中する日」と「ケース単位の出荷が多い日」で現場の工数が大きく変動します。総量ベースの予測では当日ピッキング作業が滞留し、急遽応援要員を配置するなどの非効率が生じていました。
荷姿ごとの作業工数が事前にWESへ連携されることで、エリア別の適正シフトが組めるようになり、突発的な残業代や応援派遣の手配コストを抑制できます。また、マテハン設備の過剰なアイドルタイムや能力不足によるボトルネックを回避でき、センター全体の時間当たりスループットが安定します。
小売・流通事業者:納品遅延・欠品リスクの抑制
店舗側にとっても、センター側のキャパシティオーバーに起因する出荷遅延リスクが低減します。特にセール期や特定曜日における納品遅れは店頭での欠品に直結するため、センター側の作業能力に即した出荷コントロールが行われることで、発注通りの期日納品が維持されます。
また、「スマートリプ」の納品平準化機能と組み合わせることで、配送トラックの積載率向上と荷受け待機時間の短縮が両立され、サプライチェーン川下における店舗納品作業の負担軽減にも寄与します。
参考記事: ブルウィップ効果とは?需要変動のメカニズムと現場でできる4つの抑制対策
現場作業員:突発的な業務負荷の平準化
作業員にとって、業務負荷の偏りは肉体的・精神的な疲労要因となります。荷姿別の作業予測が精度高く機能することにより、バラピッキング担当者への過密労働や、フォークリフトオペレーターの突発的な残業が緩和されます。
作業エリアごとの必要工数が均一化されるため、作業指示が定時通りに進み、安全管理や誤出荷防止のための確認手順を遵守しやすい就労環境が整います。
LogiShiftの視点:需要予測を「荷姿×WES」へ直結させる意義
物流DXにおける需要予測の活用は、これまで「発注最適化による在庫削減」というサプライチェーン上位の管理指標に主眼が置かれがちでした。しかし、どれほど在庫回転率を高める予測を立てても、出荷現場の作業単位と連動していなければ、現場での作業遅延やトラック待機という物理的なボトルネックが発生します。
今回のNTTロジスコの取り組みが示す構造的なポイントは、上位の「需要予測データ」を現場の物理単位である「パレット・ケース・バラ」へと変換し、即座に下位の「WES(現場制御)」へ受け渡す仕組みを構築した点にあります。
自動化設備(ソーターやAGVなど)を導入している倉庫であっても、荷姿別の物量バランスが崩れれば設備能力を使い切れず、結局は手作業でのカバーが必要になります。需要予測と現場機器制御の隙間を埋める「荷姿別ブレイクダウン」の実装は、マテハン投資の費用対効果を最大化するために不可欠なプロセスであり、今後の倉庫運用システムにおいて必須要件となっていくと考えられます。
参考記事: データサイエンスが描く未来。WMS内蔵AIによる『需要予測型』出荷・配置最適化【2026年08月版】
まとめ:明日から意識すべき現場アクション
荷姿別出荷予測を実務で生かすために、荷主・倉庫事業者が確認すべき実務手順は以下の通りです。
- マスターデータにおける荷姿換算値の点検
バラ入数、インナーカートン数、ケースサイズ、パレット積載パターン(TI-HI)などの商品マスター情報が実態と一致しているかを精査します。マスターの不備は荷姿別予測の精度低下に直結するため、定期的なメンテナンスフローを確立します。
- 作業種別ごとの標準時間(PTS)の再測定
パレット単位、ケース単位、バラ単位で、1ピースまたは1荷姿あたりの標準ピッキング・荷役時間を測定します。荷姿別の予測物量に正確な標準時間を掛け合わせることで、初めて現実的な人員シフトや設備稼働スケジュールが算出可能になります。
- WMS・WES間のインターフェース設計の見直し
上位の管理システムから出荷指図を受ける際、単なる「行数」「数量」だけでなく、「荷姿区分」を作業指示データの必須属性として受け渡せるデータ構造になっているか、システム間連携仕様を確認します。
出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: NTTロジスコ サービス紹介ページ
出典: LOGISTICS TODAY
出典: NTTロジスコ ニュースリリース



