Skip to content

LogiShift(ロジシフト)

  • 物流DX・トレンド
  • 倉庫管理・WMS
  • 輸配送・TMS
  • 政策動向
  • ツール紹介
  • 統計分析
  • 用語辞典
Home > サプライチェーン> フィジカルインターネットセンター、PIMM審査と1万1500円パレット便を始動
サプライチェーン 2026年9月30日

フィジカルインターネットセンター、PIMM審査と1万1500円パレット便を始動

フィジカルインターネットセンター、PIMM審査と1万1500円パレット便を始動

一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)は2026年9月29日、「PI実現コンソーシアム2026年度第2回全体会議」を開催し、4つのワーキンググループ(WG)における最新の進捗状況を公表しました。会議では企業の対応状況を評価する「PIMM」の審査運用や、青森県下北半島におけるコンビニ2社とヤマト運輸による共同混載輸送など、計4領域の実証成果と実運用の枠組みが示されました。

4つのWGが進める社会実装の枠組みと実証成果

今回の全体会議では、構想検討にとどまっていた各施策が、実際の運用監視や運行トライアルの段階へ移行している実態が共有されました。JPICが主導する4つのWG(PI成熟レベル検討、モーダルコンビネーション、水平連携検討、地方共同混載配送検討)の進捗内容は以下の通りです。

PI成熟レベル検討WG:PIMMの運用体制と生成AI審査の導入

企業のフィジカルインターネット対応度を測る指標「フィジカルインターネット成熟度モデル(PIMM)」は、2026年7月のVer1.0リリースを経て本格運用に入っています。審査は随時受け付け、四半期ごとに認証を行う体制を整えており、人間の審査員に加えて生成AIを「第三の審査員」として組み込み、客観的な評価と審査工数の削減を両立させる方針が示されました。

運用組織は、事務局、アプレイザーチーム(審査)、ホルダーチーム(認証取得企業)、PIMMパートナー(物流コンサルや3PLなど)の4機能で構成されます。2026年9月上旬には先行トライアル審査を受けた5社による意見交換会が実施され、費用配分や物流子会社との調整、標準化推進における実務上の課題が洗い出されました。JPICはPIMMを単なる評価制度で終わらせず、認証企業同士の知見共有やビジネスマッチングを促すコミュニティ基盤として拡張させていく計画です。

モーダルコンビネーションWG:パレットレール便の拡大と駅クロスドック

モーダルコンビネーションWGでは、鉄道コンテナの空き枠を活用した中小ロット貨物向け輸送サービス「パレットレール便」の検証が進んでいます。2026年5月より隅田川駅から南松本駅間で4パレットの試験輸送が実施されており、2026年10月からは対象区間の拡大が計画されています。

あわせてトラックと鉄道を組み合わせた輸送障害対策として、丸和通運とJR貨物関東支社が2026年7月31日に貨物駅をクロスドック(中継拠点)として活用する代行中継輸送を実施しました。長距離幹線の一部を鉄道施設で中継することにより、トラックドライバーの日帰り運行を担保する体制づくりを検証しています。

施策名 主な実施主体 運行・実証区間 運賃・利用条件の目安
パレットレール便 SST、JR貨物 隅田川〜南松本(10月より区間拡大) 長野向け:1パレット1万1500円(着駅50km配達込・税別)
パレットレール便 SST、JR貨物 首都圏貨物駅〜新潟エリア 新潟向け:1パレット1万2000円(着駅50km配達込・税別)
駅クロスドック中継 丸和通運、JR貨物関東支社 関東エリア貨物駅 トラック代行輸送時の日帰り運行化を検証

参考記事: モーダルシフトとは?鉄道・船舶への転換メリットと実務での導入ステップを徹底解説

水平連携検討WG:業界横断の技術移転と官民ハブ機能

水平連携検討WGでは、特定業界で先行した改善手法を異業種へ移転させる取り組みが具体化しています。家電WGで導入が進められていた「外装箱破損のAI自動確認システム」を、同様の検品課題を抱える医薬品WGへ横展開する検討が始まりました。

JPICは業界間のハブ役として、2026年10月1日より第2回「フィジカルインターネットアワード」の公募を開始し、2026年11月には「物流情報標準ガイドライン」改定に向けた第1回委員会を招集します。さらに経済産業省が設置を検討している「フィジカルインターネット実現懇談会(仮称)」に企画支援・ハブ機能として参画し、行政施策と民間実務の整合性を図る方針です。

参考記事: フィジカルインターネットとは?インターネットの仕組みを物流に応用する次世代インフラと導入ステップを解説

地方共同混載配送検討WG:青森県下北半島における自走型共同幹線輸送

地方共同混載配送検討WGは、配送密度の低下が進む過疎エリアでの持続可能な物流モデルを構築するため、青森県下北半島を対象とした実証を進めています。本取り組みにはコンビニエンスストア2社とヤマト運輸が参画しています。

実証モデルでは、青森県内の集約拠点で参画各社の荷物をトラックに混載し、下北半島の地域拠点まで幹線輸送を行います。すでに現地での配送再現データをもとに各社オペレーションのギャップ分析を終えており、今後は費用按分手法や配送管理ルールの詳細策定に進みます。国や自治体の補助金に頼り切らない、自走可能な収益モデルの確立を前提とした枠組み設計が進められています。

参考記事: セブンとファミマ、人口1.2億人割れで迫る共同配送の標準化

フィジカルインターネット実証の進展経緯

日本におけるフィジカルインターネットの取り組みは、2022年のロードマップ策定以降、制度の整備と現場実証が段階的に積み重ねられてきました。

年月 推進主体 出来事・実証内容
2022年3月 経済産業省・国土交通省 2040年を目標とする「フィジカルインターネット・ロードマップ」を策定
2022年6月 業界有志・学術機関 一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)を設立
2026年2月 JPIC、野村総合研究所 フィジカルインターネット成熟度モデル「PIMM」を発表
2026年5月 モーダルコンビネーションWG SSTとJR貨物による「パレットレール便」トライアル運行開始
2026年7月 JPIC 「PIMM Ver1.0」を正式リリース、審査受付を開始
2026年7月 丸和通運、JR貨物関東支社 貨物駅をクロスドックとするトラック日帰り中継輸送を実施
2026年9月 JPIC PI実現コンソーシアム2026年度第2回全体会議にて実装進捗を公表

サプライチェーン各プレイヤーに求められる実務対応

4つのWGで進む標準化とインフラ共有の試みは、製造・流通・運送の各階層において具体的なオペレーション変更を要求します。

製造業者・メーカー:非競争領域のデータ開示と検品規格の統一

メーカー各社にとって、PIMMの本格運用開始は自社の物流構造改革を客観的な指標で測定される環境への移行を意味します。従来は企業秘密としてブラックボックス化されがちだった積載率データや運行頻度、倉庫内の荷役プロセスについて、標準フォーマットに基づいた開示が求められます。

また家電WGから医薬品WGへのAI検品システム横展開が示すように、外装箱の破損許容基準や検品プロセスの標準化を受け入れられるかが問われます。外装の軽微な擦れによる返品慣行を見直し、業界共通のデジタル検品基準に合致させることで、検品工数の削減と返品ロスの極小化を図る体制整備が必要です。

小売業者:競合混載の受け入れと配送リードタイムの柔軟化

青森県下北半島の実証にコンビニ2社が参画している通り、小売チェーンは競合他社との共同幹線輸送を前提としたバックヤード運用へ舵を切る必要があります。自社専用便による細かな定時納品に固執せず、混載便を受け入れるための納品時間枠(タイムウィンドウ)の拡大や、検品作業の共通化が不可欠です。

特に過疎地域においては、物流インフラを単独維持することが店舗網自体の撤退リスクに直結します。ヤマト運輸のような特別積合せ事業者や競合小売と幹線枠を共有し、運賃按分ルールに合意することは、地方店舗の継続的な商品供給能力を確保するための防衛策となります。

運送事業者:鉄道結節点でのクロスドック機能とパレット単位の集約力

運送事業者および利用運送事業者(フォワーダー)は、従来のトラック単独輸送から、鉄道施設や共同拠点を活用したリレー輸送への適応が求められます。丸和通運とJR貨物関東支社による取り組みのように、貨物駅を中継拠点として活用できれば、ドライバーの運行範囲を日帰り可能な拘束時間内に収めることが可能です。

また、SSTとJR貨物が進めるパレットレール便の区間拡大に伴い、中小ロットのパレット貨物を集約して駅まで横持ちする支線配送の需要が増加します。1パレット単位(1万1500円〜1万2000円水準)で設定された標準運賃をベースに、自社の集荷・配達オペレーションを組み込める事業者が、実運送の委託先として選定される傾向が強まります。

参考記事: 2030年の輸送力34.1%不足を打破するJR貨物等の共有戦略

LogiShiftの視点:改正物効法の中長期計画に直結する「実装メニュー」の選択

今回の全体会議で示された各WGの成果は、荷主企業が2026年4月に施行された改正物流効率化法(特定荷主に対するCLO選任および中長期計画作成の義務化)へ対応するための具体的な施策群(実装メニュー)として機能します。

これまでの共同物流実証は、実証実験(PoC)の終了とともに補助金が途切れ、単年度の報告書提出で立ち消えになる事例が散見されました。しかし今回の下北半島の混載実証では「補助金に依存しない自走可能なモデル」が前提とされ、パレットレール便でも具体的なパレット単価が設定されています。仕組みが「概念」から「価格と運用手順が定まった輸送商品」へと具体化されたことで、CLOが管掌する中長期計画の数値目標(積載率向上、実車率改善、長距離便の削減)に直接組み込める水準に達しています。

さらに、PIMMの審査に生成AIが補助的に導入されたことは、物流統括管理者が自社の現在地を客観評価するハードルを大きく引き下げます。2026年11月に予定される物流情報標準ガイドラインの改定と合わせ、荷主企業は自社単独での拠点拡張や専用便維持から、PIMMの成熟度スコアを基準にした他社インフラの共同利用へ投資配分を切り替える局面を迎えています。

実装フェーズ移行に伴い明日から着手すべき確認事項

フィジカルインターネットの枠組みが実サービスとして市場に投入され始めている状況を踏まえ、企業の実務担当者が直ちに着手すべき初動は以下の通りです。

  1. 自社の過疎地・長距離運行ルートにおける共同混載便への切り替え可能性の調査

自社専用便で運行している長距離ルートや非ドミナントエリアの運行実績を抽出し、パレットレール便(長野・新潟等)や地域共同混載便の対象区間と照合してください。積載率が低迷しているルートについて、競合他社との荷合わせや中継輸送を許容できるリードタイム条件の再検証を進める必要があります。

  1. PIMM Ver1.0の評価項目を用いた自社ロジスティクスの成熟度簡易診断

JPICが提供するPIMMの枠組みを参照し、自社のデータ連携度、標準化の進捗、共同物流への参画実績を社内棚卸ししてください。物流情報標準ガイドラインに準拠した出荷データの整備状況を確認することは、2026年11月の改定対応や改正物効法における中長期計画策定の基礎資料として直ちに活用できます。


出典: LOGISTICS TODAY

Share this article:

監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

関連記事

物流部門任せは限界!物効法に対応し全社連携でコスト20%削減する3ステップ
2026年4月14日

物流部門任せは限界!物効法に対応し全社連携でコスト20%削減する3ステップ

日本郵政が楽天へ1500億円出資!荷物減少の焦りと業界を揺るがす3つの波及効果
2026年4月15日

日本郵政が楽天へ1500億円出資!荷物減少の焦りと業界を揺るがす3つの波及効果

改正物流効率化法で2026年4月本格施行される2時間ルールと荷主の3大義務
2026年8月7日

改正物流効率化法で2026年4月本格施行される2時間ルールと荷主の3大義務

広告枠募集 物流専門メディアLogiShift月2万円〜 媒体資料を無料ダウンロード »
表示できるコメントはありません。

LogiShift

物流担当者と経営層のための課題解決メディア。現場のノウハウから最新のDX事例まで、ビジネスを加速させる情報をお届けします。

カテゴリー

  • 物流DX・トレンド
  • 倉庫管理・WMS
  • 輸配送・TMS
  • マテハン・ロボット
  • サプライチェーン

もっと探す

  • 政策動向
  • ツール紹介
  • 海外トレンド
  • 事例
  • 統計分析
  • 物流用語辞典

サイト情報

  • 運営者情報
  • お問い合わせ
  • 媒体資料
  • プライバシーポリシー
  • TechShift
  • ConShift

© 2026 LogiShift. All rights reserved.