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輸配送・TMS 2026年10月6日

ファミリーマート、中四国1200店で定温2便化|年間520万km走行削減へ

ファミリーマート、中四国1200店で定温2便化|年間520万km走行削減へ

株式会社ファミリーマートは2026年10月6日納品分より、中国・四国地方の約1,200店舗を対象におむすびや弁当を届ける「定温便」を1日3便から2便体制へ切り替えました。独自開発の炊飯技術によるご飯の消費期限延長を背景に、導入エリアを広げたことで2便化の対象規模は全国約3,200店舗に達しています。

中四国1,200店舗における定温便2便化の運行再編と削減実績

ファミリーマートが実施した配送体制の変更は、米飯類を中心とする「定温便(約800品目)」の店舗納品頻度を1日3便から2便へと減便する施策です。今回の中国・四国地方への導入により、同地域におけるトラック運行数は1日あたり約140運行(従来比35%)削減され、年間総走行距離にして約520万kmの削減、配送に伴うCO2排出量は従来比で約30%削減される見通しです。

段階的な地域拡大の経緯と削減効果

同社は一斉に全国展開するのではなく、寒冷地や長距離ルートを抱える地域から段階的に2便化の検証と拡大を進めてきました。2025年9月の北陸地方を皮切りに、2026年6月には東北地方・新潟県へと広げ、今回の中国・四国地方の追加によって累計の対象店舗数は約3,200店舗規模となっています。

導入時期 対象エリア 対象店舗数 運行・走行距離削減効果 CO2削減率
2025年9月16日 北陸地方(富山・石川・福井) 約550店舗 年間走行距離 約150万km削減 約30%削減
2026年6月9日 東北地方・新潟県 約1,300店舗 年間走行距離 約670万km削減 約30%削減
2026年10月6日 中国・四国地方 約1,200店舗 1日約140運行・年間約520万km削減 約30%削減
累計実績 3地域合計 約3,200店舗 年間総走行距離 約1,340万km削減 各地域約3割削減

これまでのコンビニ物流では、朝・昼・夕のピーク需要に合わせて商品を店頭へ送り込むため、1日3便から4便の高頻度配送が定着していました。しかし、2024年4月施行の働き方改革関連法によるドライバーの時間外労働上限規制(年960時間)や燃料費・人件費の高騰により、トラック運行あたりの積載効率を極限まで高める運行モデルへの移行が求められていました。ファミリーマートは配送コースの統廃合とダイヤグラムの引き直しを行い、運行本数そのものを間引くことで実車率の向上を図っています。

参考記事: ローソンが常温・冷凍の納品を翌々日(LT2)へ延長、月120台のトラック削減へ

技術開発による消費期限延長と低温カテゴリー商品の拡充

定温便の便数を削減する最大の障壁は、米飯商品の「劣化」と「店頭欠品・食品ロス」のリスクでした。配送回数を減らすと、店舗に滞留する時間が長くなるため、ご飯がパサついて硬化し、食味が落ちて消費期限切れによる廃棄が増える懸念が生じます。

ファミリーマートはこの課題に対し、米の炊飯技術において時間が経過しても硬化しにくい独自の製法を確立しました。品質を保ったままおむすびや弁当の消費期限を延長することで、1便あたりの納品でカバーできる時間幅を広げ、2便化への切り替えを可能にしています。

あわせて中国・四国エリアの店舗では、地域限定の「牛丼」や「三元豚のロースかつ丼」といったチルド弁当、さらに長期保存が可能な冷凍弁当の取り扱いを本格化させました。日持ちの長い温度帯商品を棚に組み合わせることで、定温米飯の配送頻度が落ちても店頭の品揃えを保ち、販売機会の喪失を防ぐ売り場設計が敷かれています。

サプライチェーン3者が受ける直接的な実務影響

配送頻度を1日3便から2便へと絞り込む動きは、荷主であるコンビニ本部だけでなく、店舗運営者、運送事業者、製造工場の各業務プロセスに直接的な変化をもたらします。

小売店舗:荷受け検品作業の削減と販促原資の創出

直営店および加盟店においては、日々の検品・荷受け業務の回数が3回から2回へ減ることで、店舗スタッフの作業負担が軽減されます。ピーク時間帯前の慌ただしいタイミングでトラックが到着し、品出しとレジ対応が重複する混乱を抑制できます。

ファミリーマート本部では、配送コースの最適化や運行数削減によって圧縮された物流コストを、店舗向けの販売促進費や売価施策へと再配分する方針を掲げています。浮いた経費を顧客還元や店頭活性化の予算に充てることで、減便による売上減少を防ぎ、加盟店の利益体質を補強するサイクルを形成しています。

運送事業者:運行集約による実車率向上と拘束時間の圧縮

配送を受託する運送会社にとっては、中国・四国地方全体で1日約140運行が削減されることで、車両とドライバーの運用効率が改善します。従来の3便体制では、特定の時間帯にトラックを集中配備する必要があり、便ごとの積載率にばらつきが生じていました。

便数が2便に集約されることで、1台あたりの積載率は大幅に向上します。また、改善基準告示によって厳格化されたドライバーの拘束時間(原則1日13時間以内)を遵守する観点からも、回送や待機の時間を削り、余裕を持った運行ダイヤへ再編成できる利点があります。

参考記事: セブンとファミマ、人口1.2億人割れで迫る共同配送の標準化

食品製造工場:生産ロットの集約と稼働平準化

米飯を製造するベンダー工場側でも、出荷体制の集約が進みます。従来の1日3便対応では、配送ダイヤに合わせて1日3回の製造ピークを設け、短時間でラインを切り替える必要がありました。

配送が2便化されたことで、炊飯ラインの稼働回数を集約し、1回のロットを拡大して生産効率を高める運用が可能になります。消費期限が延長されたことにより、出荷直前に慌てて製造する必要性が薄れ、工場内の労務管理や人員配置の平準化にもつながっています。

LogiShiftの視点:商品仕様の技術改変による配送頻度削減の構造モデル

これまで流通・小売分野における物流効率化は、積載率の改善、荷待ち時間の短縮、配送ルートの最適化といった「物流現場内のオペレーション改善」が中心でした。しかし、ファミリーマートが中四国地方の1,200店舗で進めた定温便2便化は、独自の炊飯技術による消費期限延長という「商品側の仕様改変」を起点として物流を再設計した点に構造的な特徴があります。

従来のコンビニ業界では、競合他社に先駆けて出来立て感を届けるための多頻度小口配送がサービス競争の要とされてきました。しかし、2024年の時間外労働規制適用以降、運送コストの上昇とドライバー不足は一過性の問題ではなく、恒久的な供給制約となっています。

同業他社の動向を見ても、ローソンが2023年度末までにチルド・定温の2便化を完了し、2026年秋には常温・冷凍のリードタイムを翌々日納品(LT2)へ延長したほか、セブン-イレブンも一部地域で米飯製造の回数見直しを進めています。輸送キャパシティが物理的に制約される環境下において、物流側だけに負荷を押し付ける従来の手法は破綻を迎えました。

ファミリーマートの施策は、食品製造技術によって消費期限を延ばし、チルドや冷凍といった長寿命カテゴリーを棚に組み込むことで、サービスレベルを落とさずに配送回数を減らせることを実証しています。商品開発とサプライチェーンを切り離さず、商品設計の段階から物流負荷の低減を組み込むアプローチは、今後の流通業における標準的な要件となっていくと考えられます。

参考記事: 伊藤忠商事、酷暑36地点の輸送逼迫で784億円投じコンビニ上流物流を共同化

明日から現場で着手すべきサプライチェーン見直しのアクション

自社の物流網を維持しながらコスト高と人手不足に適応するため、荷主企業や物流管理者が明日から着手すべき実務のポイントを整理します。

1. 配送頻度を前提としない商品側の賞味・消費期限延長要件の洗い出し

物流の頻度を落とせない原因が「商品の劣化スピード」にある場合、包材の見直し、保存技術の導入、製造工程の改善によって期限を数時間から数日延ばせないかを検証します。日持ちが延びることで、便数の統合やリードタイム延長の選択肢が生まれます。

2. タイムウィンドウ緩和に伴う納品バースおよび検品作業の再設計

配送便を削減すると1回あたりの納品量が増えるため、荷受け側の受け入れ体制を再設計する必要があります。指定納品時間の時間幅を広げ、検品レスや事前出荷データ(ASN)の連携を進めてバース滞在時間を抑える準備を進めます。

3. 運行削減で浮いたコストの再投資項目の明確化

便数削減によって得られた物流費の圧縮分を、単なるコストカットで終わらせず、商品開発費や店舗販促費、あるいは持続的な運賃支払いのための原資として配分する計画を策定します。サプライチェーン全体の利益に還元することで、取引先や現場の協力を得やすくなります。


出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: 流通ニュース
出典: ファミリーマート ニュースリリース

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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