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Home > 物流DX・トレンド> 大和ハウス工業など3社がDPL2拠点で自動運転トラック受入実証を12月開始
物流DX・トレンド 2026年10月16日

大和ハウス工業など3社がDPL2拠点で自動運転トラック受入実証を12月開始

大和ハウス工業など3社がDPL2拠点で自動運転トラック受入実証を12月開始

大和ハウス工業、ダイナミックマッププラットフォーム、Hacobuの3社は2026年10月16日、国土交通省の「自動運転トラック実装支援事業」に採択され、物流施設での自動運転トラック受け入れ実証を開始すると発表した。実証は2026年12月頃より神奈川県内の「DPL平塚」と「DPL新横浜III」の2拠点を対象に、ティアフォーが開発した自動運転レベル4相当のトラックを用いて構内誘導やモビリティハブ管理の運用要件を検証する。

国交省事業採択で進むDPL2拠点での自動運転トラック受入実証

高速道路における自動運転トラックの走行技術開発が進展する中、実運送への組み込みにおいてボトルネックとなっているのが、発着拠点となる物流施設内での接車および中継拠点(モビリティハブ)でのオペレーションである。

本実証事業は、大和ハウス工業が代表事業者として申請し、国土交通省の2026年度「自動運転トラック実装支援事業費補助金」の二次公募(公募期間:2026年7月13日~8月7日)において正式採択された。

実証事業の基本仕様と参画企業の役割分担

実証事業の骨子および参画各社の役割は下表の通りである。

項目 詳細内容
事業名称 物流施設・モビリティハブにおける自動運転トラックの受け入れ・運用に関する実証事業
採択制度 国土交通省 2026年度「自動運転トラック実装支援事業」(二次公募)
実証時期 2026年12月頃開始予定
実証フィールド DPL平塚(神奈川県平塚市)、DPL新横浜III(神奈川県横浜市)
実証車両 株式会社ティアフォー開発の自動運転トラック(レベル4相当)

参画企業4社は、施設ハードウェア、空間データ、業務システム、車両制御の各レイヤーを分担し、共同で実証を推進する。

企業名 本事業における主たる担当領域
大和ハウス工業株式会社 実証フィールド(DPL)の提供、物流インフラおよびモビリティハブの運用モデル検証
ダイナミックマッププラットフォーム株式会社 物流施設内の高精度3次元地図データ生成、インフラ情報連携基盤の提供
株式会社Hacobu トラック予約受付サービス「MOVO Berth」連携、モビリティハブ管理システム開発
株式会社ティアフォー(協力) 自動運転トラック(レベル4相当)の開発・車両提供、自律走行制御

大和ハウス工業とHacobuは2017年9月に資本提携を行っており、大和ハウス工業が開発するマルチテナント型物流施設「DPL」に対してHacobuのトラック予約受付システム導入を進めてきた経緯がある。また、「DPL平塚」においては2024年11月よりキヤノンマーケティングジャパンと共同で映像AIを活用した荷待ち・荷役時間可視化の実証実験を行うなど、構内オペレーションのデジタル化を継続的に進めてきた。本実証は、これら蓄積されたデジタル基盤の上に自動運転車両制御を接続する構成をとっている。

バース予約情報に基づく構内自律誘導とカメラ協調による死角補完

物流施設構内における実証では、トラックバースの予約データと高精度3次元地図を連携させた自動誘導システムの成立性を評価する。

物流施設内は屋根や壁面に囲まれるエリアが多く、GNSS(衛星測位システム)の電波を受信しにくい環境が存在する。ダイナミックマッププラットフォームが作成する高精度3次元地図データを車両側の自律走行システムに読み込ませることで、自己位置推定の精度を担保する。

あわせて、Hacobuが提供するトラック予約受付サービス「MOVO Berth」の予約実績データおよびバース満空情報を連携基盤経由で車両側へ伝達する。自動運転トラックは、到着時に割り当てられた目的バースの位置をリアルタイムに把握し、構内進入ゲートからバース前までのルートを自動走行する。

さらに、施設側に設置された固定カメラによって構内の死角となる交差点や通路をセンシングし、有人フォークリフトや歩行作業員、他車両の接近情報を自動運転トラックへ通信経由で配信する。車両単体のセンサー(LiDARや車載カメラ)だけでは検知しきれない遮蔽物越しの障害物をインフラ側から補完することで、一時停止や再発進の可否を自律的に判断させる安全制御アーキテクチャを検証する。

モビリティハブにおけるトラクターヘッド交換と駐車枠管理のデジタル化

本実証のもう一つの検証領域が、高速道路IC近傍などに設置が計画されている「モビリティハブ」におけるトレーラー交換オペレーションである。

幹線輸送を自動運転化する場合、高速道路区間を走行してきた無人トラクターヘッドから、一般道配送を担う有人トラクターヘッドへとトレーラー(荷台部分)を付け替える、あるいはドライバーが乗り換える中継ハブが必要となる。

実証では、Hacobuが開発する管理システムを用い、トラクターヘッドとトレーラーの連結・切り離しに必要な専用駐車枠の予約管理、進入車両の自動割り当て、構内動線の制御をデジタル化する。限られたスペースの中で車両交錯や待機滞留を発生させずにヘッド交換を完了できるか、運用モデルの実行可能性を検証する。

参考記事: 三菱地所が2026年7月からTRCで自動運転トラック誘導実証、施設DXが加速

参考記事: TRCの自動運転実証実験!15万㎡構内でレベル4横持を検証

施設・運送・SaaSに生じるオペレーションと事業構造の変化

物流拠点での自動運転トラック受け入れ体制の構築は、施設開発、輸配送ネットワーク、ソフトウェア運用のそれぞれに具体的な業務プロセスの変更をもたらす。

物流施設デベロッパー:高精度地図と通信インフラを備えた「受け入れ基盤」への転換

従来のマルチテナント型物流施設において競争力を決定づけていた要素は、ICからのアクセス、総延床面積、バース数、床荷重、梁下有効高といった静的な建築仕様であった。

自動運転トラックの商用化が進む局面においては、これらの物理スペックに加え、自動運行を成立させるためのデジタル設備が標準要件となる。

  • 施設構内およびスロープ区間における高精度3次元地図データの完備
  • 車載センサーの死角を補完する路車協調カメラやセンシング機器の配置
  • バース管理システムと自動運転車両管制システムを接続するAPI連携基盤の配備

大和ハウス工業は今回の実証で得られた技術仕様を全国の「DPL」および今後新設するモビリティハブへ横展開する方針を掲げており、物流不動産における仕様設計の基準そのものが「自動運転対応」を前提としたものへシフトしていく。

運送事業者:モビリティハブを介した「幹線無人化・末端集約」の分業体制

運送事業者の運行計画は、1人のドライバーが発地から着地まで全区間を担当する長距離直行便モデルから、モビリティハブを中継点とする分業モデルへと再編される。

高速道路区間はレベル4自動運転トラックがトレーラーを牽引し、IC近接のモビリティハブにおいてトレーラーを切り離す。運送事業者はハブから最終納品先までの近距離・中距離区間に自社の有人車両を配置し、集荷・配達を行う。

この体制が定着した場合、長距離ドライバーの深夜拘束や宿泊を伴う運行が解消され、ドライバーは日帰りが可能な地場配送業務へ集中できるようになる。一方で、ハブにおけるヘッド切り離しや連結作業の定刻管理、トレーラー台車の点検体制など、中継オペレーションに特化した新たな運行管理手順の確立が求められる。

SaaS・テクノロジーベンダー:バース予約と車両管制を束ねる統合プラットフォームの形成

Hacobuが展開する「MOVO Berth」をはじめとするトラック予約受付システムは、従来、ドライバーのスマートフォン操作や受付端末を介して人間がバース割り当てを確認するためのインターフェースとして機能してきた。

自動運転トラックが構内へ乗り入れる運用においては、システムが指示を出す相手が人間から「車両の自動運行管制システム」へと置き換わる。

予約された入場時間、空きバースの指定、構内制限速度、進入ルート、荷役完了後の出庫指示といった一連のデータが、APIを介して自動運転ソフトウェア(ティアフォーの「Autoware」等)へ機械可読な形式でリアルタイム配信されなければならない。SaaSベンダーにとっては、単なる業務画面の提供にとどまらず、施設のIoT機器や車両制御システムと双方向通信を行うデータ連携ハブとしての機能拡張が競争軸となる。

参考記事: [キリン湘南工場も導入、2026年4月の荷待ち義務化を越えるバース管理](https://logishift.net/2026/09/07/post-8814/)

LogiShiftの視点:幹線自動化の成否を分ける「拠点インターフェース」の標準化

高速道路における自動運転トラックの走行技術は、新東名高速道路等における実証実験を通じて着実に進展している。しかし、幹線道路上で無人巡航が可能になったとしても、出発地と目的地の物流施設において有人による手動誘導や紙伝票による受付が残存していれば、サプライチェーン全体の省人化効果は寸断される。

本実証の重要性は、自動運転の議論を「公道走行の技術開発」から「物流拠点が満たすべき受入インターフェースの確立」へと前進させた点にある。特に、バース予約管理(MOVO Berth)と高精度3次元地図、そして施設側カメラによる路車協調を組み合わせて「ラスト数百メートル」を自動化する設計は、私有地内における実用化への現実的なアプローチである。

今後は、大和ハウス工業のDPLだけでなく、日本GLPや三井不動産、三菱地所といった他社デベロッパーの施設間でも相互乗り入れが可能な「共通受入プロトコル」が形成されるかが鍵となる。通信規格やバース予約API、安全監視データの連携仕様がデベロッパーごとに個別最適化されれば、運送事業者は施設ごとに異なる車載端末や認証手順を強いられることになる。拠点インターフェースのオープンな標準化こそが、自動運転トラックの商用普及速度を決定づける。

明日から現場と経営層が準備すべき実務対応

自動運転トラックの受け入れとモビリティハブ運用を見据え、物流実務者が着手すべき具体的なアクションは以下の通りである。

  1. 自社拠点におけるトラックバース管理の完全デジタル化

予約受付システムを早期に定着させ、構内滞在時間やバースごとの荷役時間を分単位でログ取得できる状態を整える。データ蓄積がなされていない拠点では、将来の自動誘導システムとの接続が物理的に不可能となる。

  1. 幹線輸送におけるトレーラー分離・中継輸送の適合性検証

自社が運行する長距離便について、荷台部分(トレーラー)と牽引車(トラクター)を分離した運用が可能かどうか、荷姿やパレット化比率の観点から検証を進める。モビリティハブ構想を活用するためには、荷役作業を運行から切り離すオペレーション設計が前提となる。

  1. 施設内の死角・混在動線のリスクアセスメント実施

将来的な無人車両と有人フォークリフト・歩行者の混在を見据え、入出荷動線の分離や構内交差点における見通し状況を再点検する。施設内カメラ等のセンシング機器をどの位置に配置すべきか、インフラ協調型の安全対策について検討を開始する。

出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: 国土交通省
出典: PwC Japanグループ
出典: 株式会社Hacobu
出典: ダイナミックマッププラットフォーム株式会社

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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