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事例・インタビュー 2026年10月19日

明星食品がトラック簿導入で荷待ち集計を月数秒に短縮|特定荷主対応を効率化

明星食品がトラック簿導入で荷待ち集計を月数秒に短縮|特定荷主対応を効率化

即席めん大手の明星食品は、ハコベルが提供するトラック予約・受付システム「トラック簿」を幹線輸送の製品積み地に導入し、荷待ち・荷役時間のデータ集計業務を1日1拠点あたり40分から月あたり数秒へと大幅に短縮しました。2026年4月の改正物流効率化法施行に伴い「特定荷主」の届出を行った同社は、法定義務である定期報告に向けた客観的データの収集体制を確立するとともに、フォークリフト作業員による待機場への車両確認業務をゼロに抑える現場効率化を達成しています。

明星食品における「トラック簿」導入の経緯と業務効率化の実態

明星食品は、全国規模で即席めんを供給する幹線輸送ネットワークを展開しています。2026年4月の改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)の本格施行に先立ち、同社は年間取扱貨物重量が9万トン以上の基準を満たす「特定荷主」としての届出を行いました。同法では、特定荷主に対してトラックの滞在時間を原則2時間以内に抑える基準への適合や、実績データの定期報告が義務付けられています。

こうした法規制への適合準備と現場の負荷軽減を両立させるため、明星食品は2025年にハコベルのトラック予約・受付システム「トラック簿」を製品積み地へ先行導入しました。導入から約1か月で運用が現場に定着し、従来のアナログ運用に起因していた集計作業と構内確認プロセスの双方が見直されました。

運用項目 導入前の運用形態 「トラック簿」導入後の運用形態 改善成果
荷待ち・荷役データの集計 紙の受付台帳等からの手作業集計を想定 システム上での入退場ログ自動蓄積 1日40分/拠点から「月あたり数秒」へ短縮
ドライバーのバース誘導 フォーク作業員が待機場へ目視確認に往復 システムの呼び出し機能による遠隔通知 作業員の構内往復がゼロになり身体的負荷を軽減
法定報告用エビデンス管理 集計ミスや記載漏れのリスクが残る運用 1分単位のデジタルログによる自動管理 改正物効法の定期報告に対応した体制の確立

データ集計を「1日40分」から「月あたり数秒」へ圧縮した背景

導入前、拠点管理部門では紙の受付記録や伝票を照合しながら、トラック1台ごとの到着時刻、荷役開始時刻、荷役完了時刻をExcelなどの表計算ソフトに手作業で転記・集計する作業を想定していました。この作業には1拠点あたり1日約40分の工数を要すると試算されていました。

「トラック簿」の稼働により、ドライバーがスマートフォンや拠点端末から受付を行うと同時に、入退場や作業開始・完了のタイムスタンプがクラウド上に直接記録されます。管理者は蓄積されたログデータをCSV等で瞬時に出力・集計できるため、集計にかかる実作業時間は月あたりわずか数秒で完結する運用体制へと移行しました。

待機場とバースの往復業務を撤廃した呼び出し機能の活用

積み地の物流現場では、接車バースが空いた際にフォークリフト作業員がトラック待機場まで直接出向き、該当する運送会社の車両を探してドライバーに声をかける運用が行われていました。広大な敷地内を何度も往復する作業は、フォークリフト作業員にとって身体的・時間的な負担となっていました。

「トラック簿」に備わっているドライバー呼び出し機能を現場運用に組み込んだことで、作業員はバース内からシステムを通じてドライバーのスマートフォンへ直接、接車指示を通知できるようになりました。これにより、作業員が待機場まで移動する無駄な動線が完全に解消され、本来のフォークリフト荷役作業に専念できる環境が整いました。

参考記事: トラックバース予約管理システムとは?荷待ち時間の可視化やWMS連携でバース割り当てを効率化する機能を解説

改正物流効率化法の本格施行に伴うサプライチェーンへの波及

明星食品の事例は、年間9万トン以上の貨物を取り扱う製造業者にとって、法令遵守と現場オペレーションの最適化を同時に進めるモデルケースとなります。法規制の適用を受ける各プレイヤーには、異なる側面で具体的な影響が生じています。

製造業者・メーカー:法対応に伴う管理工数の増加をデジタルで相殺

年間取扱貨物重量が9万トンを超えるメーカーは、特定荷主として物流統括管理者(CLO)の選任届出や中長期計画の提出、そして毎年度の定期報告を行わなければなりません。しかし、全国に工場や出荷拠点を抱える企業ほど、各現場から客観的な滞在データを手作業で収集しようとすると、莫大な間接管理工数が発生します。

バース予約受付SaaSを導入してデータ収集プロセスを自動化できれば、法対応に伴う事務コストを最小限に抑えられます。管理部門がデータ集計に追われる状態を回避し、配車計画の見直しや運送事業者との運行調整といった本質的な物流改善業務に社内リソースを集中させることが可能になります。

倉庫内作業員:属人的な確認作業からの解放と構内安全性の向上

紙の受付台帳に依存している出荷現場では、車両の到着順序や待機状況の把握がフォークリフト作業員の目視確認に委ねられています。悪天候時や大型車が混在する待機場への頻繁な往復は、作業員の身体的疲労を高めるだけでなく、構内での接触事故リスクを増大させる要因となっていました。

デジタル呼び出し機能の導入によって目視確認業務が不要になると、作業員は作業進捗に応じた指示を即座にドライバーへ伝達できるようになります。構内の無駄な歩行やフォークリフトの回送が減少し、安全な荷役動線の確保と作業時間の短縮につながります。

SaaS・テクノロジーベンダー:「法対応ツール」から「協働基盤」への提供価値拡大

矢野経済研究所の調査によると、バース予約・受付システムの市場規模(導入拠点数ベース)は2025年度に6,300拠点へと急拡大しています。ITベンダーにとっては、特定荷主の定期報告に対応する帳票出力機能の提供が導入の前提条件となりつつあります。

今後は、単なる法令遵守のための滞在記録にとどまらず、蓄積された発着データを基にした配車支援機能や、運送事業者側の動態管理システムとのデータ連携が重視されます。荷主と運送会社が双方の稼働データを共有し、共同配送や積載効率向上を協議するための協働プラットフォームとしての機能拡張が、ベンダー各社に求められています。

参考記事: 改正物流効率化法で2026年4月本格施行される2時間ルールと荷主の3大義務

LogiShiftの視点:制度対応を起点とした荷主主導の物流基盤改革

改正物流効率化法において特定荷主に課された毎年の定期報告義務は、準備を怠った企業にとっては管理コストの増大要因となります。しかし、明星食品のように施行前の2025年段階で幹線輸送の積み地に「トラック簿」を導入し、1拠点あたり日40分の集計業務を数秒へと短縮させた取り組みは、法規制を「データドリブンな物流改革の起点」へと転換した好例といえます。

明星食品は今後、可視化された荷待ち・荷役時間の実態データをモニタリングし、定期報告に備えるだけでなく、配車業務のDXや運送会社との協働による積載効率向上を進める方針を示しています。これは、客観的なタイムスタンプデータを自社内で完結させず、取引先である運送事業者との交渉・改善エビデンスとして活用する段階に入ったことを意味します。

トラックドライバーの時間外労働上限規制により輸送能力が制約される中、待機時間の長さや荷役効率の悪さは運送会社による「荷主選別」を招く直接的な原因となります。荷主が主導してバース滞在時間を1分単位で可視化し、待機を抑制して積載効率を高める環境を整えることは、安定的な車両確保を維持するための必須要件です。制度対応を単なる書類作成の義務として受動的に処理するか、現場のデジタル化と運送会社との協働を加速させる構造転換の機会とするかによって、メーカーの物流競争力に明確な差がつくことになります。

参考記事: キリン湘南工場も導入、2026年4月の荷待ち義務化を越えるバース管理

明日から意識すべきこと

明星食品の導入成果を踏まえ、特定荷主指定を見据える企業や現場管理者が着手すべき実務項目は以下の通りです。

  • 自社および委託先拠点の荷待ち・荷役時間の集計方法を確認し、紙台帳転記による工数発生状況を算出する
  • 現場のフォークリフト作業員がトラック待機場へ目視確認や呼び出しに往復している動線の有無を点検する
  • バース予約受付システムの導入によって取得できる滞在ログが、法第2段階の定期報告項目と整合しているかを照合する
  • 蓄積された発着データを運送事業者と共有し、積載効率の向上や配車スケジュールの見直しに向けた協働体制を整える

自社拠点の滞在時間を正確に把握できていない事業者は、法定期限前の段階でデータ収集の自動化へ舵を切る必要があります。

出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: ハコベル株式会社 プレスリリース

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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