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Home > 輸配送・TMS> 福山通運が11月2日より運賃20%値上げ|荷主の配送費直撃と休日割増改定
輸配送・TMS 2026年10月27日

福山通運が11月2日より運賃20%値上げ|荷主の配送費直撃と休日割増改定

福山通運が11月2日より運賃20%値上げ|荷主の配送費直撃と休日割増改定

福山通運は2026年11月2日より、新たな届出運賃「2026年運賃」の適用を開始し、現行運賃から距離・重量に応じて20%程度の値上げを実施します。あわせて同月23日の集荷・配達分からは、休日配送の割増料金を荷物1個あたり現行の200円から250円へと改定します。

福山通運「2026年運賃」改定の概要とコスト上昇の構造

福山通運が実施する今回の運賃改定は、特別積合せ(特積み)輸送を中心とする企業間物流(B2B)の運賃体系を刷新する措置です。トラックドライバーの時間外労働上限規制(年960時間)への適合に伴う労務コストの増加に加え、車両本体価格や維持整備費の高騰が続いており、従来の自助努力によるコスト吸収が困難になったことが改定の要因として挙げられています。

新運賃体系と割増料金改定の要点

改定の骨子は、基本運賃となるタリフの引き上げと、現場負荷の高い休日運行に対する対価の再設定です。

改定項目 適用開始日 改定内容・数値 対象および実務上の変更点
新届出運賃「2026年運賃」 2026年11月2日 現行運賃比で20%程度の値上げ 距離および重量に応じた基本タリフ全般の改定
休日配送割増料金 2026年11月23日(集配分より) 1個あたり200円から250円へ引き上げ(50円増) 休日に発生する集荷および配達作業への加算金
主な改定要因 ― 労働時間規制対応、車両維持費・資材費の高騰 安定した運行体制を維持するための原資確保

福山通運における直近の運賃改定と業績推移

同社は段階的な運賃適正化を進めており、直近数年間で複数回のタリフ見直しを実施してきました。直近の動向と今回の改定に至る経緯は以下の通りです。

年月 発表・実施内容 詳細と業績への影響
2023年4月 特積み運賃10%改定 「2024年問題」や物価高騰への先行対応として実施
2024年1月 新届出運賃の適用 特積み運賃10%、宅配運賃平均約6%の値上げを届出
2025年7月 取引先との交渉進捗公表 約20万社の取引先のうち約7割で運賃改定交渉が妥結
2026年5月 2026年3月期決算発表 増収増益の一方で人件費(前期比2.6%増)、傭車費(同7.1%増)が上昇
2026年10月 「2026年運賃」の発表 現行比約20%値上げ、休日割増を250円へ改定(11月施行)

福山通運の熊野弘幸代表取締役社長は2026年10月、「運賃改定は今後、いかに継続して取り組めるかが重要」と述べており、運行コストの上昇に応じた運賃の継続的見直しを進める方針を明確にしています。

運賃改定がサプライチェーン各主体に与える直接的影響

特積みネットワークを支える大手事業者の運賃引き上げは、荷主企業、同業の運送事業者、そして現場ドライバーの各層に具体的な条件変更をもたらします。

製造業者・卸売業(荷主企業):輸送コスト増加に伴う出荷計画の再編

福山通運を主要な特積みネットワークとして利用する製造業や流通業にとって、距離・重量に応じた約20%の運賃引き上げは配送費用の直接的な増加要因となります。特に重量物や長距離の幹線輸送を頻繁に利用する荷主では、物流費の予算枠を圧迫します。

さらに、11月23日からは休日配送割増が1個あたり250円に増額されるため、土日や祝日を指定した納品オペレーションの維持コストが上昇します。これにより、荷主企業では金曜日集荷・月曜日配達へのシフトや、週明け指定への平準化といった出荷スケジュールの調整が必要となります。

輸配送管理システム(TMS)を利用した出荷データの可視化や、発注ロットの大型化による集約、納品リードタイムの緩和要請など、運行効率を向上させる施策の優先順位が上がります。

参考記事: 【西濃運輸】2026年8月から一般便20%値上げ!荷主企業に迫る「2026年運賃」の影響と必須対応

運送事業者:特積み大手の先行改定による価格転嫁の環境変化

中小の一般貨物運送事業者や地域の下請け運送会社にとって、特積み大手による約20%の改定発表は、荷主との価格交渉における有力な判断材料となります。特積み分野では、2026年8月に西濃運輸が一般便を対象とした「2026年運賃」で約20%の値上げを適用しており、大手各社が20%前後の引き上げ水準で足並みを揃えつつあります。

国土交通省が告示している「標準的な運賃」や、将来的な導入が議論されている「適正原価制度」の動きと連動し、燃料費や車両維持費の実費を反映させたタリフ改定を求める動きが他社へ広がる要因となります。

一方で、自社の原価計算データを持たず、元請や荷主の提示額をそのまま受諾している事業者と、適正運賃を収受して車両更新や人件費へ投資できる事業者との間で、事業継続力に差が生じやすい局面に入っています。

参考記事: 国交省調査、標準的運賃の8割収受は35%に留まる実態と対策

トラックドライバー:運行労務の改善原資と休日稼働の抑制

トラックドライバーの労働環境においては、運賃引き上げによって得られた原資が、賃金の維持・改善や拘束時間の適正化に充当される基盤となります。時間外労働の上限(年960時間)を遵守しながら現行水準以上の給与を確保するためには、運賃単価の引き上げが不可欠です。

また、休日配送割増料金の引き上げは、荷主側の休日常態配送の抑制につながるため、週末や連休期間中におけるドライバーの法定休日確保を促進する契機となります。

参考記事: 物流ウィークリー報道、大型車1500万円超で荷主選別の時代へ

LogiShiftの視点:特積み2強の「20%値上げ」が決定づける物流コスト構造

2026年8月の西濃運輸(一般便約20%値上げ)に続き、11月に福山通運が距離・重量に応じて20%程度の「2026年運賃」を適用することにより、日本の企業間特積み輸送における運賃指標は名実ともに2割増しの水準へ移行することになります。

特積み輸送は、全国に張り巡らされた中継ターミナルと定期幹線便を維持するための固定費負担が重く、ドライバーの労働時間規制による運行ダイヤ制限と車両価格高騰の影響を最も直接的に受ける輸送形態です。福山通運の熊野社長が述べている通り、運賃引き上げは一度の改定で完結するものではなく、物価や労務費の変動に応じて定期的に改定を重ねる局面に入っています。

この環境下で荷主企業が取るべき現実的な対応は、単なる値上げの受託や買い叩き交渉ではなく、運送事業者側の実車率や積載率を低下させている原因を自社オペレーションから取り除くことです。特に福山通運のような特積み便を利用する企業では、不定期な少量出荷を取り止め、発注・出荷ロットの統合やリードタイムの翌々日配送への延伸、さらには納品先(着荷主)を巻き込んだ休日納品の縮減が直近のコストコントロール手段となります。

参考記事: 国土交通省・公取委の適正原価方針|11月18日開催で運行データを武器に

まとめ:明日から意識すべきこと

福山通運の「2026年運賃」適用を受け、物流実務者が着手すべき事項は以下の通りです。

  1. 利用路線便・特積み便のコスト影響額の試算

自社で福山通運などの特積み事業者へ委託している貨物の重量帯・運行距離・出荷頻度を抽出し、新タリフ(20%増)が適用された場合の月間・年間の物流費増加額を精緻に算出する。

  1. 休日出荷・配達案件の洗い出しと条件見直し

11月23日より改定される休日配送割増(250円/個)の対象となっている納品先を特定し、着荷主との合意形成を通じて平日の納品ダイヤへ変更できる案件を仕分ける。

  1. 集配効率を高める荷姿および出荷平準化の協議

集荷車両の待機時間や手荷役作業を削減するため、パレット化の推進や出荷ピーク時間帯の分散を自社現場および運送会社と協議し、運行負荷の低減を図る。


出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: LOGISTICS TODAY
出典: 輸送経済新聞

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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