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Home > 倉庫管理・WMS> シービーアールイー発表、首都圏空室率7.7%改善で実質賃料は最高値坪4660円
倉庫管理・WMS 2026年11月2日

シービーアールイー発表、首都圏空室率7.7%改善で実質賃料は最高値坪4660円

シービーアールイー発表、首都圏空室率7.7%改善で実質賃料は最高値坪4660円

シービーアールイー(CBRE)は2026年10月28日、2026年第3四半期の物流施設市場動向「ジャパンロジスティクスマーケットビュー」を発表し、首都圏の大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率が前期比0.1ポイント低下の7.7%と6四半期連続で改善したことを明らかにしました。新規需要はEC(電子商取引)事業者の成約を中心に19万6,000坪と過去3番目の高水準を記録し、首都圏の実質賃料は坪当たり4,660円(前期比1.3%上昇)と2008年の調査開始以来の最高値を更新しています。

首都圏と主要都市圏における大型マルチテナント型施設の需給動向

今回の発表における調査対象は、首都圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県中心:330棟)、近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府中心:109棟)、中部圏(愛知県中心:62棟)、福岡圏(福岡県、佐賀県中心:54棟)に所在する大型マルチテナント型物流施設(延床面積は首都圏・近畿圏1万坪以上、中部圏・福岡圏5,000坪以上)です。首都圏だけでなく、三大都市圏および地方中核都市においても需給の引き締まりと賃料の上昇傾向が確認されています。

首都圏エリア別の空室率と実質賃料の推移

首都圏では今期、7棟・20万1,000坪が新規供給されたものの、竣工時の平均稼働率は5割を超えました。特に神奈川県内陸部での大型成約が相次ぎ、同県における四半期ベースの新規需要は過去最大となる8万2,000坪に達しています。

エリア 空室率 前期比変動 実質賃料(坪当たり) 主な成約動向と供給状況
東京ベイエリア 2.4% -0.8pt 8,840円(+4.1%) 需給逼迫が継続し、賃料が急上昇
外環道エリア 5.0% 上昇 ― 葛飾区・三郷市で計7.7万坪供給、稼働率6割超で竣工
国道16号エリア 6.9% 低下 ― 神奈川県内陸部でEC・食品・製造業の成約が進展
首都圏全域平均 7.7% -0.1pt 4,660円(+1.3%) 新規需要19.6万坪、6四半期連続で空室率改善

東京ベイエリアでは、実質賃料が前期比4.1%上昇の8,840円に達し、空室率は2.4%まで低下しました。消費地に隣接した立地への需要集中が続いています。外環道エリアでは東京都葛飾区や埼玉県三郷市で計7万7,000坪の大型新規供給があり一時的に空室率が上昇したものの、いずれも6割を超える稼働率を確保して竣工しており、底堅い引き合いが見られます。国道16号エリアでも神奈川県内陸部を中心として、EC事業者、食品卸、製造業による拠点確保が進み、空室率は6.9%まで改善しました。

参考記事: 都市型物流施設とは?郊外型との違いや導入メリット・実務手順を徹底解説

近畿圏・中部圏・福岡圏および地方都市の需給バランス

需給改善の動きは首都圏にとどまりません。三大都市圏の各市場および地方中核都市でも、既存ストックの消化が進んでいます。

地域 空室率 前期比変動 実質賃料(坪当たり) 需給の背景
近畿圏 2.7% +0.3pt 4,440円(+1.1%) 新規供給2棟(3.8万坪)に対し、長期空室物件が満床化
中部圏 14.9% -1.0pt ― 新規供給ゼロ、2025年第1四半期以来の15%未満へ改善
福岡圏 11.9% +0.5pt ― 新規供給2棟中1棟が満床、1年で10万坪の供給予定あり
札幌・仙台・岡山・広島 低下基調 改善 仙台・岡山・広島で上昇 岡山は空室ゼロ継続、仙台で製造・卸が成約、広島で即時成約

近畿圏では2棟・3万8,000坪が新規供給され、空室率は2.7%と前期比0.3ポイント上昇したものの、竣工時の稼働率は約5割を維持しました。長期間空室を抱えていた既存物件の満床化が進んだ結果、需給は引き締まった状態にあり、実質賃料は坪当たり4,440円と1.1%上昇しています。賃料上昇の波は大阪〜京都間の主要幹線沿いだけでなく、滋賀県や奈良県といった郊外エリアへも波及しています。

中部圏では新規供給がなかったことから既存物件の空室消化が進み、空室率は前期から1.0ポイント低下して14.9%となりました。中部圏の空室率が15%を下回ったのは2025年第1四半期以来のことです。

福岡圏では新規供給2棟のうち1棟が満床で竣工したものの、もう1棟で空室が残ったため、空室率は11.9%(0.5ポイント上昇)となりました。今後1年間で約10万坪の供給が控えており、当面は緩やかな上昇傾向が予測されています。

地方中核都市においては、札幌圏で既存物件への引き合いが増加し、仙台圏では製造業や卸売業の成約により空室消化が進展しました。岡山圏では実質的な空室がない状態が継続しており、広島圏でもテナントの部分解約によって生じた空室区画が短期間で成約に至るなど、需給の引き締まりが賃料上昇という形で数字に現れています。

参考記事: マルチテナント型物流施設とは?BTS型との違いやメリット・選定基準をわかりやすく解説

サプライチェーン関係者に生じる具体的な影響

首都圏の実質賃料が坪当たり4,660円と過去最高値を更新し、地方都市でも空室消化が進む市場環境は、物流施設に関わる各プレイヤーの事業計画に直接的な影響を与えます。

物流施設デベロッパー:高機能物件の開発継続と地方展開の後押し

首都圏で6四半期連続の空室率改善が示され、賃料が最高値を更新した事実は、物流不動産デベロッパーの投資判断に好材料となっています。2027年にかけて新規着工の抑制による供給縮小が見込まれる中、事前の内定率(プレリーシング)が高水準を維持していることから、開発計画の採算性が安定しやすくなっています。

建築資材費や人件費の高騰により開発コストは上昇傾向にありますが、東京ベイエリア(坪当たり8,840円)のような高賃料エリアでの開発や、空室率が極めて低い近畿圏(2.7%)、需給が逼迫する岡山や仙台といった地方中核都市への投資意欲が継続します。汎用的な施設スペックにとどまらず、受変電設備の増強や平坦度の高い床仕上げなど、自動化マテハンの導入を想定した高機能施設の開発に投資が集中する環境が整っています。

倉庫事業者・3PL:賃借コスト上昇の吸収に向けた空間活用率の最大化

倉庫事業者や3PL企業にとっては、新規契約時や定期借家契約の更新時における賃料増額要請への対応が現実的な課題となります。首都圏平均で坪当たり4,660円という水準は、拠点固定費の上昇を意味します。荷主企業への保管料・荷役料の価格転嫁が容易でない場合、営業利益率を圧迫する要因となります。

このコスト増を相殺するため、事業者は施設内の空間活用率を極限まで高める運用への転換を迫られます。従来の平置き保管や低層ラック運用を見直し、天井有効高5.5m〜6.0mを活かした高層ラックの導入や中二階(メザニン)の設置、自動倉庫(AS/RS)の導入によって、契約坪数あたりの保管効率と作業スループットを高める必要があります。また、空室率が低下しているエリアでは代替物件の確保が困難になるため、既存拠点の長期契約維持に向けた荷主との合意形成も求められます。

参考記事: 営業倉庫推移グラフ|床27%増も在貨1㎡保管トン17%減の理由

EC事業者:配送リードタイム短縮と拠点確保コストのトレードオフ

新規需要の牽引役であるEC事業者は、大消費地近接の拠点確保を巡る競争に直面しています。東京ベイエリアの空室率が2.4%まで低下し、賃料が急騰している状況下では、即日配送や短時間配送を実現するためのハブ拠点を都心近郊に構えるコストが一段と跳ね上がります。

このためEC事業者は、高額な都市近郊拠点を仕分け・ラストワンマイル中継に特化させ、大量保管や流通加工の機能は賃料水準が比較的安定している内陸部や地方ハブへ分散配置する多層的なネットワーク構築を余儀なくされます。拠点賃料の高騰分を回収するため、庫内オペレーションにおけるピッキング自動化やAGV(無人搬送車)の導入による人件費削減の判断を早める動きが強まっています。

参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや主要設備・失敗しない進め方を徹底解説

LogiShiftの視点:供給縮小局面における「拠点集約とネットワーク再編」の構造化

今回のCBRE調査結果が示す本質的な変化は、単なる一時的な需給の引き締まりではなく、「物流拠点の高機能化に伴う集約とコスト増の定着」という構造トレンドです。

2024年4月に適用されたトラックドライバーの時間外労働上限規制(年960時間)や拘束時間の短縮により、長距離幹線輸送を前提とした拠点配置は維持が困難になっています。これに呼応するように、2025年4月に一部施行され2026年4月に特定荷主への措置が全面施行された物流改正法(流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法)は、積載率の向上と荷待ち時間の削減を荷主企業に義務付けました。荷主各社は長距離ピストン配送を解消するため、主要幹線道路の結節点や消費地近郊の大型高機能物流施設へと在庫を集約する動きを強めています。

この集約需要が、首都圏における19万6,000坪もの旺盛な新規需要の正体です。神奈川県内陸部で四半期ベース過去最大となる8万2,000坪の新規需要が記録された背景には、国道16号や圏央道沿線に大型拠点を集約し、配送ルートを統合して実車率を高めようとする荷主・3PLの動きが存在します。

さらに重要な点は、2027年にかけて新規供給が縮小傾向にある点です。開発用地の取得難や建築コスト高騰により新規着工が絞られる一方で、荷主側の集約需要とプレリーシングの進展が続くため、需給バランスは一段と貸し手優位へ傾きます。賃料相場の下落を見込んで拠点の拡張や移転を先送りする戦略は通用しにくくなっており、好立地・高機能な施設を早期に押さえた上で、庫内の自動化と集約による輸配送効率向上でトータルコストを抑え込むモデルへの移行が不可欠となっています。

参考記事: パナソニックホールディングス、関東3拠点再編で自社倉庫活用率100%へ

まとめ:明日から取り組むべき拠点戦略の実務アクション

首都圏の空室率7.7%への低下と実質賃料4,660円への上昇、そして2027年に向けた供給縮小の見通しを踏まえ、物流担当者が直ちに着手すべき実務アクションは以下の通りです。

  1. 契約更新期限の確認と事前協議の着手

現在賃借している拠点の契約満了時期を洗い出し、更新に伴う賃料増額リスクを算定する。好立地物件では代替えの空室確保が難航するため、満了の1〜2年前からデベロッパーとの条件交渉や契約期間の延長協議を開始する。

  1. 坪当たり保管効率と容積稼働率の再評価

賃料上昇の影響を最小化するため、施設内の床面積利用率だけでなく空間容積の利用率を測定する。高層ラックの増設やパレット積み段数の見直し、デッドスペースの棚割り再編を行い、同一契約坪数における保管キャパシティを底上げする。

  1. 輸配送網と連動した拠点統廃合シナリオの策定

拠点単体の賃料比較にとどまらず、輸配送コストを含めた物流トータルコストでの試算を行う。高速道路ICへの近接性や共同配送の組みやすさを評価軸とし、分散した中小拠点を高機能大型施設へ集約する際の損益分岐点を検証する。


出典: 物流ウィークリー
出典: logi-today.com
出典: tokyo-takken.or.jp

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編集責任者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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