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Home > マテハン・ロボット> トラスコ中山が10万ビンAutoStore稼働|出荷4割を処理し歩行排除
マテハン・ロボット 2026年11月4日

トラスコ中山が10万ビンAutoStore稼働|出荷4割を処理し歩行排除

トラスコ中山が10万ビンAutoStore稼働|出荷4割を処理し歩行排除

トラスコ中山は2026年5月に開設した愛知県北名古屋市の物流拠点「プラネット愛知」において、国内最大規模となる10万ビン規模のキューブ型自動倉庫「AutoStore」の本格稼働を開始しました。本格稼働から約3か月が経過した時点で既に約8万ビンが実運用へ投入されており、同拠点全体の出荷量の約4割を当設備が処理しています。

プラネット愛知に導入された日本最大規模AutoStoreのシステム構成と運用状況

工場用副資材(プロツール)の卸売大手であるトラスコ中山は、2030年に向けた「在庫100万アイテム保有」戦略の推進に向け、プラネット愛知(延床面積約8万9,162㎡)の保管・出庫能力の中核としてAutoStoreを採用しました。本プロジェクトのシステムインテグレーションおよび保守は、国内で多数の導入実績を持つ株式会社オカムラが担当しています。

システムスペックと保管・出庫能力の概要

プラネット愛知のAutoStoreは、従来の固定棚(平棚)保管と比較して床面積を約3分の1に圧縮する超高密度グリッド構造を採用しています。格子状に組まれたアルミニウム製グリッドの直上にロボットを配備し、最上部からビン(専用コンテナ)を昇降・搬送する構造です。

項目 スペック・数値
導入システム キューブ型自動倉庫システム「AutoStore」
保管容量(グリッド規模) 10万ビン(約82m × 66m、高さ5.5m・17段)
搬送ロボット台数 100台
作業ステーション カルーセルポート 22か所
設計出庫能力 2,640行/時間
稼働3か月時点の活用状況 約8万ビン格納済(拠点出荷量の約4割を処理)

グリッドのサイズは約82m×66mに及び、高さ5.5m(17段積み)の空間に10万個のビンが高密度に収容されています。100台のロボットがグリッド上を自律走行し、作業員が待機する22か所のカルーセルポートへ目的のビンを順次送り込むことで、1時間当たり2,640行の連続出庫能力を発揮します。

導入までのタイムラインと拠点設計の変遷

トラスコ中山におけるAutoStoreの採用は、2018年の初導入から数えて本拠点で5拠点目となります。過去4拠点で蓄積した稼働データと運用ノウハウに基づき、プラネット愛知では建屋の基本計画段階から10万ビン規模のグリッド配置を前提とした設計が進められました。

時期 事象・マイルストーン 詳細内容
2018年 トラスコ中山でAutoStore初導入 既存拠点へ導入し、高密度保管とGTP運用の検証を開始
2018年〜2025年 計4拠点でAutoStoreを展開 多品種・小口ピッキングの自動化ノウハウを蓄積
2026年5月18日 「プラネット愛知」本格稼働開始 10万ビン規模のAutoStoreが稼働開始
2026年8月 稼働3か月で約8万ビンを活用 拠点出荷量の約4割を処理する安定稼働体制を確立

従来の大型物流センター開発では、建屋の竣工後にマテハン機器の配置を計画する手法が一般的でした。しかし、超大型のグリッド型自動倉庫を導入する場合、建築基準法や消防法に基づく防火区画(防火壁や防火シャッター)の制限がグリッドの連続性を阻害する要因となります。

プラネット愛知では、施主であるトラスコ中山、インテグレーターのオカムラ、設計・施工会社が初期段階から協議を重ね、設備要件を優先した建屋設計を実施しました。これにより、10万ビンを単一グリッドとして一体運用できるレイアウトが成立しています。

基幹WMS「トラロジス」との密連携とピッキング効率化

AutoStoreの導入効果を最大化するため、ソフトウェア側の統合作業も最適化されています。オカムラはトラスコ中山独自の基幹倉庫管理システム(WMS)である「トラロジス」の仕様に合わせ、カルーセルポートの操作画面および作業手順を設計しました。

庫内作業員がトラロジスの基本操作を習得していれば、約15分程度のレクチャーでAutoStoreの出庫ステーション業務を担当できるインターフェースを実現しています。

作業者が棚の間を歩行して商品を探す「Person to Goods」から、商品が入ったビンが手元へ自動搬送される「Goods to Person(GTP)」へと切り替わったことで、作業員の歩行負担は完全に排除されました。同拠点では売れ筋の主力商品だけでなく、出庫頻度の低いロングテール商品も同一グリッド内に混載して保管しており、SKU数の膨大さに左右されない均一なピッキング速度を維持しています。

参考記事: 自動倉庫の仕組みと種類を解説|導入メリットや失敗しない選定基準まで

参考記事: トラスコ中山が8.9万㎡の愛知拠点にSkypod本格導入、100万点即納が加速

卸・倉庫事業者・作業現場における実務上の変化

10万ビン・出庫能力毎時2,640行の自動倉庫が本格稼働した事実は、流通ネットワーク、拠点設計、現場作業環境の各側面に明確なオペレーションの再編をもたらしています。

卸・問屋・流通業者:在庫圧縮から「高密度保管による即納化」へのシフト

流通・卸売業界では長年、保管コストと陳腐化リスクを避けるために在庫圧縮を進める傾向がありました。しかし、配送リードタイムの厳格化や小口発注の増加により、手元在庫の有無が受注獲得率に直結する環境となっています。

プラネット愛知の実績は、従来の平棚保管に比べてスペースを約3分の1に圧縮することで、地価の高い工業集積地近郊であっても多品種・大量在庫を保持できることを示しています。少量多品種のプロツールを常時ストックし、毎時2,640行の能力で即時出荷へ回す体制は、在庫を極小化して都度メーカー手配を行う従来の卸ビジネスに対し、納期の面で直接的な差を生み出します。

倉庫事業者・3PL:建屋とマテハンを同時設計する開発アプローチの定着

倉庫事業者や3PLにとって、保管効率の向上は坪当たり収益率を左右する最重要事項です。プラネット愛知における10万ビンの単一グリッド運用は、物流不動産の設計プロセスそのものに変化を促します。

従来型の汎用倉庫(マルチテナント型)に後付けで大型自動倉庫を設置しようとすると、柱スパンの干渉や床荷重不足、防火シャッターの降下位置が障壁となり、設備の保管効率が著しく低下します。設計初期から導入設備のフットプリント(本件では約82m×66m)と有効高さを確定させ、防火区画の適用除外やスプリンクラーの配置計画を行政と事前協議する手法は、大規模自動化拠点を構築する上での標準手順となります。

倉庫内作業員:歩行時間の完全排除と多能工化の進展

従来のピッキング作業では、広大な倉庫内を作業員が1日10〜15km歩行し、目視で品番を照合するプロセスが作業時間の過半を占めていました。AutoStoreによるGTP運用の定着により、作業員の役割は「移動と探索」から「定点でのピッキングと検品」へと集約されます。

また、WMSと連動したカルーセルポートの画面指示に従うことで、特定品番の保管位置を熟知したベテラン作業員に依存する必要がなくなります。新人作業員であっても短時間の訓練で標準スループットを達成できる環境が整い、作業品質の均一化とシフト編成の柔軟性が向上します。

参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや主要設備・失敗しない進め方を徹底解説

LogiShiftの視点(独自考察)

プラネット愛知の事例が示す本質的な構造変化は、物流拠点の開発思想が「建屋を建設した後にマテハンを配置する」方式から、「自動化システムの最適スペックに合わせて建屋を専用設計する」アプローチへと移行した点にあります。

トラスコ中山が総投資額約300億円を投じたプラネット愛知において、AutoStoreの10万ビンという前例のない規模を成立させられた要因は、5拠点目となる継続導入を通じて設備特性と消防法規制の境界線を熟知していた点にあります。防火区画とグリッド配置の干渉を設計段階で解消し、自社WMS「トラロジス」との接続を標準化したことで、稼働後わずか3か月という短期間で8万ビンを埋め、出荷の4割を担う水準まで立ち上げを加速させました。

単に設備を導入するだけでなく、建屋の構造設計と基幹システムのインターフェースを自動倉庫の仕様へ完全に同期させられるかどうかが、今後の大規模物流投資における処理能力の立ち上がり速度を決定づけます。

出典: 物流ニュースのLNEWS
出典: okamura.co.jp
出典: prtimes.jp

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編集責任者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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