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Home > 物流用語辞典 > 法規制・標準化> 運行管理者

運行管理者とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:運行管理者とは、トラックやバスなどの事業用自動車が安全に運行できるよう、ドライバーの乗務計画の作成や乗務前後の点呼、健康状態の確認などを行う国家資格者です。一定以上の車両を保有する運送事業の営業所ごとに、法律によって配置が義務づけられています。実務への関わり:現場では、毎日の点呼を通じてドライバーの飲酒の有無や健康状態を確認し、事故を未然に防ぐ重要な役割を担います。また、ドライバーの過労運転を防ぐために適切な労働時間管理や休息期間の確保を行い、法令を遵守した安全な運行体制を維持します。トレンド/将来予測:近年は、過労運転防止に向けた規制強化や人手不足に対応するため、IT点呼や遠隔点呼、ロボットを活用した自動点呼などの「運行管理DX」が急速に普及しています。今後はデジタル機器との連携による、さらなる業務の自動化や効率化が進むと予測されます。

貨物自動車運送事業法および道路運送法に基づき、一定以上の事業用自動車を保有する営業所ごとに配置が義務づけられている国家資格者が「運行管理者」です。事業用自動車の安全運行の確保や運転者の労務管理などを統括する役割を持ち、事故の未然防止や労働環境の適正化を支える防波堤として機能します。本稿では、運行管理者制度の法的基礎から選任基準、資格取得ルート、試験対策、さらにはIT点呼や遠隔点呼に代表される「運行管理DX」の最新動向までを実務に即して網羅的に解説します。

目次
  • 1. 運行管理者制度の基礎と役割:法定義務と具体的な実務内容
  • 1-1. 運行管理者の主な業務と1日の実務フロー
  • 1-2. 運行管理者と「整備管理者」の役割・兼務ルールの違い
  • 1-3. 運行管理者を配置・選任しない場合の罰則と行政処分リスク
  • 2. 運行管理者の選任基準:車両台数ごとの必要人数と選任・解任手続き
  • 2-1. 【業種別】車両台数に応じた必要人数と計算方法
  • 2-2. 運行管理者・補助者の選任・解任届出に必要な書類と手続きの流れ
  • 2-3. 「補助者」の選任要件と点呼業務を委託・分担するルール
  • 3. 運行管理者資格を取得する2つのルートと最短キャリアパス
  • 3-1. 【ルートA】運行管理者試験の受験資格と合格までのプロセス
  • 3-2. 【ルートB】5年以上の運行管理者実務経験+講習による資格取得要件
  • 3-3. 運行管理者講習(基礎講習・一般講習)の受講対象と申込手順
  • 4. 運行管理者試験の難易度とCBT試験を突破する効率的勉強法
  • 4-1. 運行管理者試験(貨物・旅客)の合格率推移と科目別難易度
  • 4-2. CBT試験のシステムとCBT受験時に知っておくべき注意点
  • 4-3. 独学で一発合格を掴むための過去問活用法と学習スケジュール
  • 5. 労働時間規制強化に対応する「運行管理DX」とデジタル化導入要件
  • 5-1. IT点呼・遠隔点呼・ロボット自動点呼の国土交通省認可要件と違い
  • 5-2. デジタルタコグラフ(デジタコ)連携による労務・拘束時間管理の自動化
  • 5-3. 改正改善基準告示をクリアする次世代の運行計画作成チェックリスト

運行管理者制度の基礎と役割:法定義務と具体的な実務内容

我が国の物流・旅客輸送を支える事業用自動車の安全を担保するため、道路運送法および貨物自動車運送事業法に基づき、一定規模以上の営業所ごとに「運行管理者」の配置が法律で義務づけられています。国土交通省が管轄するこの制度は、交通事故を未然に防ぎ、運転者の労働環境を適正に管理するための根幹となる仕組みです。

運行管理者の主な業務と1日の実務フロー

運行管理者が担う役割は、単なる事務作業に留まりません。運転者の心身の健康状態の確認から、法令で定められた改善基準告示を遵守した乗務計画の策定まで、多岐にわたる実務を日々遂行します。この役割を果たすためには、国家資格である「運行管理者資格」の取得が必要です(取得ルートの詳細は後述)。

20台の事業用トラックを保有する一般的な貨物自動車運送事業の営業所における、運行管理者の1日の具体的な実務フローは以下の通りです。

時間帯 主な実務内容 実施目的・留意点
6:00〜8:00 乗務前点呼の実施 運転者の健康状態、アルコール検知器による酒気帯びの有無、日常点検の実施結果を確認します。運行管理者または「補助者」が対面で行うのが原則ですが、営業所と車庫が離れている場合など、特定の要件を満たすことで「IT点呼」や「遠隔点呼」が導入でき、業務の効率化が図られています。また、深夜・早朝など特定の条件下では「自動点呼」の活用も進んでいます。
8:00〜12:00 運行中の動態管理・指示 運行中の車両位置や道路状況を把握。悪天候や渋滞、事故発生時には、運転者に対して適切な迂回ルートの指示や休憩の指示を出します。
13:00〜16:00 乗務割の作成・労務管理 拘束時間や運転時間、連続運転時間などが、最新の改善基準告示に違反していないかを精緻に確認し、翌日以降の乗務割を作成します。
16:00〜18:00 乗務後点呼の実施 帰社した運転者から、車両の異常の有無、道路状況、運行の進捗報告を受けます。乗務前と同様に、アルコール検知器による酒気帯びの有無を厳格に確認します。
18:00〜19:00 運行記録の整理・翌日への引き継ぎ タコグラフ(運行記録計)のデータ解析や、点呼記録簿の記入を行います。夜間点呼を補助者に引き継ぐための連絡事項をまとめます。

運行管理者と「整備管理者」の役割・兼務ルールの違い

運送事業の営業所を適正に運営する上で、混同されやすい役職が「運行管理者」と「整備管理者」です。双方は安全運行を支える両輪ですが、その管轄領域と根拠法令は明確に異なります。

項目 運行管理者 整備管理者
管理対象 「人」と「運行」の安全(運転者の労務、健康、教育、運行計画等) 「車両(ハードウェア)」の安全(車両の点検、整備、車庫の管理等)
主な根拠法令 貨物自動車運送事業法 / 道路運送法 道路運送車両法
必須要件(例) 運行管理者資格証の保有者(運行管理者試験の合格者等) 一級・二級・三級自動車整備士資格の保有者、または2年以上の実務経験+選任前研修修了者

同一の営業所において、運行管理者と整備管理者を兼務することは法律上可能です。ただし、国土交通省の指導においては、それぞれの業務量が過大となり安全管理がおろそかにならないよう、確実に職務を遂行できる体制であることが求められます。保有車両が30台を超えるような中規模以上の営業所や、夜間運行が多く24時間体制での点呼が必要な事業所においては、兼務を避けてそれぞれの専門職を専任配置することが、実務上のリスクヘッジとして推奨されます。

運行管理者を配置・選任しない場合の罰則と行政処分リスク

法令で義務づけられている運行管理者の選任を怠った場合、または不適切な運行管理を行っていた場合、事業者には極めて厳しい罰則や行政処分が下されます。これは、1件の重大事故が社会に与える影響が甚大であるため、国土交通省が監査を通じて厳格に監視している領域です。

  • 選任義務違反(未選任)時の行政処分:
    運行管理者をまったく選任していない、あるいは法令で定められた必要人数を満たしていない場合、初回の違反であっても営業所の事業停止(30日間の営業停止など)や、対象車両の使用停止(100日車〜の車両使用停止)といった、事業継続を揺るがす厳しい行政処分が下されます。
  • 名義貸しに対する処分:
    実際には運行管理業務を行っていない者の資格証を借りて選任届を出している(名義貸し)ことが発覚した場合、事業停止処分に加え、該当する運行管理者の資格証が取り消される処分が下されます。
  • 刑事罰(罰則):
    貨物自動車運送事業法に基づき、運行管理者の選任義務を怠った事業者に対しては、100万円以下の罰金が科される刑事罰が規定されています。

運行管理者を適切に配置しないことは、単なる書類上の不備に留まらず、保有する事業用自動車が1台も稼働できなくなる事態を招き、荷主企業からの取引停止など、企業の社会的信用を失墜させる決定的な要因となります。

運行管理者の選任基準:車両台数ごとの必要人数と選任・解任手続き

【業種別】車両台数に応じた必要人数と計算方法

自動車運送事業を営む事業者は、各営業所に一定数以上の運行管理者を配置することが法令で義務付けられています。必要な人員数は、業種およびその営業所で管理する「配置車両台数」によって以下のように算出されます。

業種区分 車両台数(配置台数) 必要となる運行管理者の最低人数
貨物自動車運送事業(トラック) 1〜29台 1名以上
30〜59台 2名以上
60〜89台 3名以上(以降、車両30台ごとに1名追加)
一般乗合旅客自動車運送事業(路線バスなど) 1〜39台 1名以上
40〜79台 2名以上
80〜119台 3名以上(以降、車両40台ごとに1名追加)
一般貸切旅客自動車運送事業(観光バス) 1〜9台 1名以上
10〜29台 2名以上
30〜49台 3名以上(以降、20台ごとに1名追加)
一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー・ハイヤー) 1〜40台 1名以上
41〜80台 2名以上
81〜120台 3名以上(以降、車両40台ごとに1名追加)

貨物自動車運送事業における運行管理者の必要人数は、以下の数式を用いて計算できます。

必要人数 = 1 + {(配置車両台数 - 29)÷ 30 }(※端数は切り上げ)

(例:保有車両台数が85台のトラック事業所の場合、1 + {(85 - 29)÷ 30 } = 2.867 となり、端数を切り上げて最低「3名」が必要です)

ドライバーの過労運転を防ぐための改善基準告示(拘束時間や休息期間の制限)を遵守するためには、多車交替制や夜間運行の実態に合わせて、この法定人数以上の人員を配置し、交代勤務シフトに余裕を持たせる対応が有効です。

運行管理者・補助者の選任・解任届出に必要な書類と手続きの流れ

要件を満たす人員を運行管理者に選任した際、あるいは退職等により解任した際には、管轄する地方運輸局長(実際には各都府県の運輸支局長)へ速やかに届け出る義務があります。この届出を怠った場合、貨物自動車運送事業法第18条に基づき、100万円以下の罰金が科されるほか、行政処分の累積違反点数が付されるリスクが生じます。

  • 提出期限:選任または解任の日から1週間(7日)以内
  • 提出先:事業所の所在地を管轄する運輸支局(整備保安・保安関係窓口)
  • 提出書類:
    • 「運行管理者選任(解任)届出書」 2部(正本・副本)
    • 選任する者の「運行管理者資格者証」の写し

試験合格によって資格を取得した場合は、あらかじめ資格者証の交付申請を済ませておく必要があります。合格通知書の段階では選任届出が受理されないため、試験合格から実際の選任届出までには約1ヶ月の猶予を見込んで手続きを進めます。

なお、点呼業務をサポートする「補助者」の選任については、国への届出書の提出は必要ありません。ただし、事業所内で「補助者名簿」を調製し、要件を満たしていることを証明する書類とともに常時保管しておく必要があります。

「補助者」の選任要件と点呼業務を委託・分担するルール

深夜運行や早朝点呼が日常化している運送業界において、運行管理者のみで全ての対面点呼を実施することは困難です。そのため、運行管理者の業務を補佐する補助者を適切に配置し、点呼業務を分担する運用が広く行われています。

補助者を選任するための要件は、以下のいずれかを満たしている必要があります。

  • 運行管理者資格者証を取得している者
  • 独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)等の認定機関が実施する、運行管理者講習(基礎講習)を修了した者

補助者は運行管理者の指示のもとで業務を行いますが、すべての権限が委託できるわけではなく、以下の厳格な制限が課されます。

  • 点呼実施の制限:補助者が実施できる点呼の総回数は、当該事業所における点呼の総回数の「3分の2未満」でなければなりません。少なくとも全体の3分の1以上は、選任されている運行管理者が直接点呼を行う必要があります。
  • 意思決定の制限:飲酒反応が疑われるドライバーや、過労・体調不良が目視で確認されたドライバーに対する「乗務可否の最終決定」および「運行中止の指示」は補助者の権限では行えません。補助者は直ちに運行管理者に報告し、指示を仰ぐ必要があります。

運行管理者資格を取得する2つのルートと最短キャリアパス

運行管理者資格を取得するためには、大きく分けて2つの方法があります。1つは試験を受験して合格するルート、もう1つは、5年以上の実務経験を積みながら指定の講習を修了するルートです。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

比較項目 【ルートA】運行管理者試験合格ルート 【ルートB】実務経験+講習修了ルート
取得期間 最短約1ヶ月〜(講習3日間+試験) 最低5年間
目安費用 約18,000円〜25,000円(講習受講料・受験料等) 約30,000円〜40,000円(計5回の講習受講料等)
主なメリット 短期間で資格を取得でき、未経験者でも早期に選任対象になれる点。 試験対策の学習が不要であり、現場実務を通じて確実に専門実力を養える点。
主なデメリット 試験対策の勉強時間が必要であり、合格率が30%〜40%台で推移している点。 5年間という長期の在籍が必要であり、その間の計画的な実務経歴管理が求められる点。

【ルートA】運行管理者試験の受験資格と合格までのプロセス

早期の資格取得を目指す場合の標準的なルートです。未経験者や新卒採用の社員であっても、以下のプロセスを経ることで短期間で資格を取得できます。

  • ステップ1:受験資格の取得
    試験を受験するには、「1年以上の実務経験」または「国土交通省が認定する講習機関での基礎講習(3日間)の修了」のいずれかが必要です。未経験者の場合は、基礎講習を受講して受験資格を満たす方法が一般的です。
  • ステップ2:試験の申請と受験
    現在は、全国のテストセンターのコンピュータで受験するCBT試験方式が導入されています。受験者は指定の期間内から希望する日時と会場を任意で選択して受験します。
  • ステップ3:試験科目と合格基準
    試験は、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、そして実務上の知識の5分野から出題されます。30問中18問以上の正解、かつ各分野で1問以上(実務は2問以上)の正解が合格基準です。
  • ステップ4:資格者証の交付申請
    合格後、3ヶ月以内に各地方運輸局長へ申請を行うことで、運行管理者資格者証が交付されます。

【ルートB】5年以上の運行管理者実務経験+講習による資格取得要件

試験を受験せず、長年の現場経験と定期的な講習受講によって資格を取得するルートです。このルートの適用には、以下の実務要件と受講実績が求められます。

具体的な要件は、取得しようとする区分(貨物または旅客)の運送事業において、5年以上の運行管理者実務経験を有していることです。この実務経験期間には、運行管理者の補助者として選任され、実際に点呼の補助などの業務に携わっていた期間が含まれます。単に運転手や一般事務職として在籍しているだけでは実務経験とは認められず、事業者が作成する実務経験証明書や補助者選任の記録など、客観的な証拠が必要です。

さらに、この5年以上の実務経験期間中に、運行管理者講習のうち「基礎講習」を1回以上、および「一般講習」を4回以上(計5回以上)受講している必要があります。一般講習は2年に1回の受講が義務付けられているため、5年間を通じて計画的に受講を重ねなければ要件を満たすことはできません。

運行管理者講習(基礎講習・一般講習)の受講対象と申込手順

運行管理者講習は、資格の取得だけでなく、実際に選任を受けた後も定期的な受講が義務付けられている法定講習です。自動車事故対策機構(NASVA)や、国土交通省が認定した民間のスクールなどで受講します。

1. 講習の種類と受講対象

  • 基礎講習(3日間・計16時間):新たに運行管理者または補助者になろうとする人、または試験の受験資格を得たい人が対象です。運行管理の基本実務のほか、近年導入が進むデジタル機器を用いた運行点呼のルールについても学びます。
  • 一般講習(1日・計5時間):既に運行管理者や補助者として選任されている人が対象です。2年に1回(初任時は選任された年度内)の受講義務があり、法改正情報や最新の事故防止対策、改定された改善基準告示に基づく労務管理の注意点などを学びます。

2. 講習の申込手順

  1. 講習機関の選定と予約:各講習機関のウェブサイトから、希望する会場と日程を選択して受講予約を行います。
  2. 受講料の支払い:事前決済または銀行振込等で受講料を支払います。
  3. 講習の受講と手帳への記録:当日は、本人確認書類と運行管理者手帳(新規の場合は当日発給)を持参します。講習を修了すると、手帳に修了印が押印され、受講実績が証明されます。

運行管理者試験の難易度とCBT試験を突破する効率的勉強法

運行管理者試験(貨物・旅客)の合格率推移と科目別難易度

運行管理者試験は、貨物・旅客ともに合格率が30%〜40%台で推移しており、約3人に1人しか合格できない難易度となっています。直近の試験における合格率の推移は以下の通りです。

試験時期 貨物試験 合格率 旅客試験 合格率
令和5年度 第2回 36.2%(受験者:24,153人 / 合格者:8,745人) 36.9%(受験者:5,602人 / 合格者:2,067人)
令和5年度 第1回 33.3%(受験者:21,204人 / 合格者:7,058人) 35.1%(受験者:5,123人 / 合格者:1,797人)
令和4年度 第2回 34.5%(受験者:23,190人 / 合格者:8,008人) 31.7%(受験者:5,296人 / 合格者:1,679人)

合格を阻む要因は「分野別の足切り基準」にあります。試験は以下の5つの分野から構成されており、総得点で60%(18問)以上を確保するだけでなく、各分野で最低1問(「実務上の知識及び能力」のみ2問)以上の正解が必須です。

  • 貨物自動車運送事業法(または道路運送法):8問出題(最低2問正解が必要)
  • 道路運送車両法:4問出題(最低1問正解が必要)
  • 道路交通法:5問出題(最低1問正解が必要)
  • 労働基準法:6問出題(最低1問正解が必要)
  • 実務上の知識及び能力:7問出題(最低2問正解が必要)

特に難所となるのが「労働基準法」の分野です。ここから出題される「改善基準告示」は、トラック運転者の拘束時間や休息期間の制限を定める基準であり、2024年4月の法改正によって基準がさらに厳格化されました。最新の改正内容に準拠した複雑な拘束時間の計算問題が出題されるため、受験者にとって最も重点的な対策が必要な科目となっています。

CBT試験のシステムとCBT受験時に知っておくべき注意点

運行管理者試験は、コンピュータを使用する「CBT試験(Computer Based Testing)」へと完全移行しました。約1ヶ月間の試験期間の中から、自身の希望日時を選択して受験できるためスケジュールを合わせやすいメリットがありますが、以下のシステム特性への対策が必要です。

  • 問題のランダム出題システム:受験者ごとに異なる問題がデータベースからランダムに出題されます。過去問の選択肢の順番を丸暗記するような勉強法では対応できず、制度の根本的な仕組みの理解が問われます。
  • 画面上での読解とメモ用紙の制限:問題用紙への直接の書き込みやマーカー引きができません。試験室で配付されるメモ用紙1枚と筆記用具のみを使用し、モニター上の運行表から数値を素早くメモして計算を組み立てるスキルが求められます。
  • デジタル運行管理に関する出題の増加:近年、国が推進する「IT点呼」や「遠隔点呼」「自動点呼」といった最新のデジタル技術を活用した点呼制度に関する実務知識が問われるケースが増えています。

独学で一発合格を掴むための過去問活用法と学習スケジュール

業務と両立しながら独学で一発合格を掴むための「2ヶ月(総学習時間約60時間)」の効率的学習プロセスを提案します。

【第1週〜第2週:基礎インプット期(週7.5時間・計15時間)】
最新の法改正(特に改善基準告示の改正)が反映されている参考書を用意します。完璧な暗記を目指すのではなく、法制度の趣旨、点呼の実施義務、運行管理者の役割や補助者への指導要領などの全体像を頭の中で紐付ける作業に徹します。

【第3週〜第6週:過去問徹底演習期(週10時間・計40時間)】
直近5回分の過去問題を、以下の「3周反復法」で解き進めます。

  • 1周目:時間を気にせず解き、解答解説を熟読します。間違えた問題だけでなく、正解した問題についても「なぜその選択肢が正しい(または誤り)なのか」をテキストに立ち返って確認します。
  • 2周目:足切り基準を意識し、特に「道路運送車両法」や「労働基準法」の苦手分野を抽出。選択肢の誤り箇所を自力で訂正できるレベルまで理解を深めます。
  • 3周目:制限時間90分を計り、実際の試験を想定して解きます。すべての回において総得点85%(26問以上)を安定してクリアできる状態を目指します。

【第7週〜第8週:CBT適応・直前調整期(週5時間・計10時間)】
最終段階では、試験委託機関のウェブサイト等で提供されている「CBT疑似体験版」を操作し、パソコン画面での解答選択や画面遷移に慣れておきます。本番で配付されるメモ用紙を模した紙の上で、改善基準告示の計算問題を素早く解く練習を繰り返し行います。

労働時間規制強化に対応する「運行管理DX」とデジタル化導入要件

2024年4月に適用された「改善基準告示」の改正により、トラック運転者の拘束時間は原則年間3,300時間以内、1日最大15時間(14時間を超える回数に制限あり)へと厳格化されました。手書きの日報や目視による配車管理など、従来のアナログな管理体制では法令違反リスクを防ぎきることが難しくなっており、点呼のデジタル化と労務管理の自動化が急速に進んでいます。

IT点呼・遠隔点呼・ロボット自動点呼の国土交通省認可要件と違い

現在、対面で行うことが原則であった点呼に代わり、「IT点呼」「遠隔点呼」「自動点呼(運行管理ロボット等)」という3つのデジタル点呼手法が認められています。これらを導入し、運行管理を効率化するためには、国交省が定める以下の導入要件をクリアする必要があります。

区分 IT点呼 遠隔点呼 自動点呼(ロボット点呼)
主な実施対象 Gマーク(安全性評価事業)認定事業所、または開設後3年を経過した事業所。本・支店間、営業所と車庫間。 同一事業者内の営業所間、または営業所と車庫間。Gマークを取得していない事業所でも、システム要件を満たせば実施可能。 乗務前・乗務後の点呼。運行管理者が不在となる時間帯や深夜・早朝の点呼において、ロボットや専用システムが対面点呼を代替。
主なシステム要件 高画質なカメラ(対向者の顔が視認できるもの)、アルコール検知器(測定結果を自動送信できるもの)、専用の通信回線。 顔認証システムによる本人確認、アルコール検知器(測定状況を静止画・動画で自動記録)、照度計等による実施環境の確認。 生体認証(顔・静脈など)による本人確認、高精度なアルコール測定、クラウド連携による異常値検知時の運行管理者への即時アラート送信。
選任・人員配置への影響 運行管理者の移動や待機時間を削減。一部業務を運行管理者講習を修了した「補助者」に委託することも可能。 遠隔地の営業所の運行管理を集約できるため、運行管理者選任の必要人数を最適化できる。 深夜・早朝の点呼を無人化でき、実務経験を持つ有資格者の夜間配置コストを抑制。

これらのデジタル点呼を導入するためには、事前に管轄の運輸支局への届出、または国土交通省が指定する機器の導入(「遠隔点呼要領」や「自動点呼要領」に準拠した機器)が必要です。例えば、遠隔点呼を導入する場合、200万画素以上のカメラ設置や、点呼場所の照度が50ルクス以上確保されていることなど、物理的な環境要件もクリアしなければなりません。

デジタルタコグラフ(デジタコ)連携による労務・拘束時間管理の自動化

改善基準告示で定められた「1日の休息期間(原則継続11時間以上、最低9時間)」や「2日平均の運転時間(1日あたり9時間以内)」を管理するためには、デジタルタコグラフ(デジタコ)と労務管理システムの連携が有効です。

例えば、保有台数30台の運送事業者が、従来の紙のアナログタコグラフとExcelを使った手入力による集計を行っていた場合、1日あたり約1時間、月間で約20時間の運行管理者の事務作業が発生します。これに対し、クラウド型の新型デジタコを導入し、労務管理システムと自動連携させることで、以下のような自動化プロセスを構築できます。

  • リアルタイムの運行状況把握: 運転者がデジタコのボタン操作(「運転」「作業」「休憩」など)を行うだけで、そのデータが即座に事務所のPCに同期され、累積の拘束時間が自動計算されます。
  • アラート機能による法令違反の予防: 連続運転時間が4時間に達する30分前に、デジタコの車載モニターや運行管理者の管理画面にアラートを表示させ、適切な休憩を促します。
  • 乗務記録の自動生成: 帰社時に手書きで日報を作成する手間を省き、デジタコデータから国土交通省の監査に対応した「乗務記録(法定帳票)」を自動出力します。

データの可視化により、運行管理者は過労運転の恐れがあるドライバーに対して、リアルタイムで休憩指示を出すことが可能になります。

改正改善基準告示をクリアする次世代の運行計画作成チェックリスト

運行管理者は、法改正後のルールに合致した無理のない運行計画を策定しなければなりません。以下のチェックリストは、改善基準告示を確実に順守し、かつ効率的な輸送ルートを設計するために運行管理部門が確認すべき実務項目です。

確認項目 基準値・確認ポイント 実施タイミング
1日の拘束時間 原則13時間以内、最大15時間以内(14時間を超える回数は、1週間において3回まで)。 運行計画策定時および前日の点呼時
休息期間の確保 勤務終了後、継続11時間以上を基本とし、最低でも9時間以上を確保しているか。 配車計画の作成時
連続運転時間 運転開始後4時間以内、または4時間経過直後に、運転を中断して合計30分以上の休憩等を確保しているか(1回あたり10分以上で分割可能)。 ルート設計時およびリアルタイム追跡時
週の運転時間 2週間を平均して1週間当たり44時間以内を遵守しているか。 週ごとの集計・シフト編成時
異常気象時の対策 豪雨や大雪などの災害発生時に、運行の中止や一時待避を行うための中継地・待避所があらかじめ設定されているか。 運行計画策定時および配車時

これらの項目を運行管理者が手作業でチェックするのではなく、デジタコの配車シミュレーション機能や、自動配車システムに改善基準告示のロジックを組み込むことで、計画段階での法令違反をゼロに抑えることができます。運行管理者資格を持つ専門職のスキルと、運行管理DXの技術を掛け合わせることが、次世代の物流体制を構築するための確実なアプローチとなります。

よくある質問(FAQ)

Q. 運行管理者とは何をする人ですか?

A. 運行管理者は、事業用自動車の安全運行の確保や運転者の労務管理などを行う国家資格者です。乗務前後の点呼による運転者の健康状態や酒気帯びの確認、乗務割の作成、安全指導など、営業所の安全運行を統括する役割を担います。緑ナンバーの車両を一定以上保有する営業所ごとに、法令で配置が義務づけられています。

Q. 運行管理者と整備管理者の違いは何ですか?兼務はできますか?

A. 運行管理者が「人(運転者)」の労務管理や運行安全を監督するのに対し、整備管理者は「車両」の日常点検や車庫の整備・管理を担当します。両者は管理対象が異なりますが、それぞれの資格要件を満たしていれば、同一人物が1つの営業所で運行管理者と整備管理者を兼務することは法律上可能です。

Q. 運行管理者は何台に1人必要ですか?

A. トラック(貨物)の場合、運行管理者は車両台数30台未満の営業所で最低1人の配置が必要です。30台以上59台までは2人、以降は車両が30台増えるごとに1人ずつ追加する必要があります。この基準を満たさずに運行管理者を配置しない場合は、車両の使用停止処分や罰金などの厳しい行政処分・罰則の対象となります。

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