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Home > 物流用語辞典 > ラストワンマイル・EC> 配送密度向上

配送密度向上とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:配送密度向上とは、配送車両が走行する距離や時間に対して、いかに効率よく多くの荷物を届けられたかを示す指標(配送密度)を高めることです。積載量だけでなく、移動距離や時間のロスを減らし配達効率を最大化するアプローチです。
  • 実務への関わり:配送エリアの重複を解消したり、ルート最適化システムを導入することで、1件あたりの移動時間と走行距離を短縮できます。これにより、ドライバーの時間外労働削減や燃料費の節約など、ラストワンマイルの配送コスト削減に直結します。
  • トレンド/将来予測:ドライバー不足や労働時間の制限に加え、EC市場の拡大に伴い、配送効率化は急務です。今後は他社との共同配送や、AIによる配送スロット(時間枠)の需要予測・自動ルート作成テクノロジーの導入がさらに加速する予測です。

1台の配送車両が1km走行する間に完了できる配送件数は、都市部で平均0.2〜0.5件程度にとどまります。この走行距離に対する配達効率を表す「配送密度」こそが、ラストワンマイルにおける収支を左右する決定的な要因です。多くの運行管理者が「積載率の向上」を最優先課題に設定しがちですが、配送先が広範囲に分散する状況では、いくら荷物を満載しても1件あたりの移動距離が長くなり、配送コストは削減できません。ドライバーの時間外労働制限や燃料費高騰に直面するいま、自社の配送密度を正しく可視化し、ルート最適化や共同配送へ繋げる実務プロセスを解説します。

目次
  • 配送密度とは何か?積載率との違いと「1kmあたり配送件数」の計算・評価実務
  • 「配送密度」と「積載率」の定義と相違点
  • 1kmあたりの配送件数を算出する実務的なステップ
  • ラストワンマイルのコストを劇的に下げる配送エリア「面」の最適化と拠点戦略
  • 重複エリアの解消と配送ルート最適化による移動距離の短縮
  • 配送拠点(デポ・中継センター)の最適配置と「面」のエリアコントロール
  • 共同配送の具体スキームと成功事例から学ぶ「他社リソース活用」の極意
  • 佐川急便×ローソンにみる配送網相互活用とラストワンマイル効率化の実例
  • プラットフォーム型・ルート共有型など共同配送の主要スキームと実践手順
  • AI・テクノロジーを駆使した配送スロット制御とルート自動最適化
  • イオンネクスト(Green Beans)に学ぶ「配送スロット」の需要コントロール
  • AIルート最適化システムによる熟練運行管理者のノウハウデジタル化
  • 配送密度向上に向けて明日から取り組むべき「自社適合チェックリスト」と実行手順
  • 自社の配送密度とコスト改善余地を診断する5つのチェック項目
  • 車両サイズ最適化から3PL・システム導入へ進むステップアップロードマップ

配送密度とは何か?積載率との違いと「1kmあたり配送件数」の計算・評価実務

「配送密度」と「積載率」の定義と相違点

配送密度とは、特定の配送エリアにおいて、車両が走行する「距離(1kmあたり)」または「時間(1時間あたり)」に対して、何件の配送を完了できたかを表す指標です。これに対して積載率は、車両の最大積載重量や容積に対して、実際に積載している貨物の割合を指します。

比較項目 配送密度 積載率
定義 単位距離(または時間)あたりの配送件数・個数 車両の最大積載制限に対する実積載量の割合
主な対象領域 ラストワンマイル(戸建て・店舗配送) 幹線輸送、拠点間輸送
改善による効果 1件あたりの移動時間・走行距離の短縮による配送コスト削減 1運行あたりの輸送効率最大化、車両台数の削減
主なボトルネック 配送エリアの重複、配送スロット(時間指定)の分散 荷姿の不揃い、重量制限、容積勝ちの貨物

例えば、1日あたり50件の店舗配送を行うケースを想定します。積載率向上を意識して1台のトラックに荷物を満載しても、配送エリアが半径30kmに分散していれば、移動に多くの時間を取られ、時間内にすべての配送を完了できなくなります。結果として、ドライバーの時間外労働や燃料費が膨らみ、1件あたりの配送コストは上昇します。

一方、積載率が60%であっても、配送エリアを半径5kmに限定してルート最適化を行えば、短時間で効率的に件数をこなすことができます。したがって、ラストワンマイル効率化においては、積載率の追求だけでなく、配送密度を高めるアプローチが不可欠です。

1kmあたりの配送件数を算出する実務的なステップ

運行管理者が自社のラストワンマイルにおける配送密度を把握し、配送エリアの調整や配送スロットの見直しを行うための計算手順を解説します。ここでは、実務で最も計測しやすい「1kmあたりの配送件数」を指標として用います。

計算式:
配送密度(件/km) = 総配送件数(件) ÷ 総走行距離(km)

具体的な算出と評価のステップは以下の4段階です。

ステップ1:対象エリアと運行データの抽出
デジタルタコグラフ(デジタコ)の運行データや運転日報から、特定の「配送エリア」と「期間(例:直近1ヶ月)」を定めてデータを抽出します。例えば、1日平均3台の2tトラックを稼働させ、エリア内で1ヶ月(20稼働日)に合計1,500件の配送を行い、総走行距離が計6,000km(拠点から配送先、拠点への帰還までを含む)であったとします。

ステップ2:数値の算出
上記の計算式に数値を当てはめます。

  • 総配送件数:1,500件
  • 総走行距離:6,000km
  • 計算式:1,500件 ÷ 6,000km = 0.25件/km

この算出により、該当エリアにおける配送密度は「1kmあたり0.25件(=4km走って1件配送)」であることが分かります。

ステップ3:配送密度の評価
算出した数値をもとに、稼働の効率性を評価します。一般的な都市部におけるラストワンマイルの目安は以下の通りです。

配送密度(件/km) 評価と現状分析 必要な対策アクション
0.5以上 良好(配送先が密集している、または効率的なルートが組めている) 現状維持、または共同配送の受け入れ余力の検討
0.2以上〜0.5未満 普通(改善の余地あり) 配送スロットの集約、特定曜日への配送集約の検討
0.2未満 低い(移動ロスが大きく、採算割れの懸念が高い) 配送エリアの見直し、ルート最適化システムの導入、競合他社との共同配送の検討

ステップ4:改善策の実行
配送密度が0.25件/kmのケースでは、十分な改善の余地があります。運行管理者は、特定の曜日に配送をまとめる(配送スロットの制限)ことで、同日に同じエリアへ向かう車両を集約し、走行距離を削減できます。また、自社単独での維持が困難な過疎地域などでは、同業他社との共同配送に切り替えることで、配送エリア内の配送密度を人工的に引き上げ、配送コスト削減を実現することができます。

ラストワンマイルのコストを劇的に下げる配送エリア「面」の最適化と拠点戦略

重複エリアの解消と配送ルート最適化による移動距離の短縮

多くの物流現場では、日々のオーダーに応じてルートを都度設計しているため、運行管理者が気づかないうちに「配送エリアの重複」が発生しています。例えば、同一の町丁目に自社の異なるトラックがほぼ同じ時間帯に進入し、それぞれがわずかな荷物を下ろして去っていくような状態です。これは配送密度を著しく低下させる要因となります。

この非効率を解消するためには、配送エリアをあらかじめメッシュ状の「面」で区画し、車両ごとに担当する面を固定する「エリア制」の導入、および特定の時間帯や曜日ごとに集客を集中させる配送スロットの設計が効果的です。これにより、車両同士が走行ルート上で交差する無駄を排除できます。

例えば、1日あたり500件の配送を行うラストワンマイル事業者が、従来の都度型ルート設計から「面」ベースのエリア管理とAIによるルート最適化を組み合わせた運用に切り替えた場合、車両1台あたりの積載率向上と、1件あたりの移動距離の極小化を同時に達成できます。特定の配送エリア内での車両密度が高まるため、移動時間そのものが短縮されるからです。さらに、他社との共同配送をこの「面」の単位で設計することにより、個社では埋めきれなかった配送スロットを充填し、配送密度をさらに引き上げることが可能になります。

配送拠点(デポ・中継センター)の最適配置と「面」のエリアコントロール

配送密度の向上は、単にトラックの走行ルートを見直すだけで完結するものではありません。配送の起点となるデポや中継センターといった配送拠点の配置、およびそこでの倉庫作業と配送を組み合わせた「トータルコストの最適化」が必要不可欠です。ラストワンマイルの走行距離をいくら縮小できても、その前段階である拠点での仕分け作業や、複数拠点への横持ち輸送(拠点間輸送)のコストが増大しては意味がないからです。

特に、改善基準告示の見直しに伴いドライバーの労働時間管理が厳格化するなか、運行管理者は「荷待ち時間の削減」と「走行距離の短縮」の双方を両立させる必要があります。配送拠点と配送エリアの「面」の最適な配置関係を設計することで、仕分け作業の効率と配送効率のトレードオフを解消することができます。具体的には、配送先の密度(重心)を分析し、最適な位置にデポを配置することで、倉庫から各「面」へのアプローチ時間を最小化します。

拠点配置のパターン 配送コスト(ラストワンマイル) 倉庫作業・管理コスト トータルコストと適性
大規模集約拠点のみ
(1拠点から広域へ配送)
高い(走行距離が長く、配送密度が低下しやすい) 低い(仕分け作業が1カ所に集約され効率的) 配送密度が低いエリアや、総物量が少ないサービスに適するが、ラストワンマイルの効率は低下。
多拠点分散配置(デポ増設)
(配送先の近くに多数配置)
低い(拠点からの距離が短く、配送密度が向上) 高い(各デポでの荷役・仕分け・在庫管理が分散) ラストワンマイル効率化は最大化するが、設備費や人件費が増大しトータルコストは高騰しやすい。
中継デポ(クロスドック)活用
(中継センターから「面」へ)
低い(「面」ごとの最適な中継により移動を最小化) 中(在庫を持たず仕分け・積み替えに特化するため低コスト) 高密度な配送エリアにおいて、最もトータルでの配送コスト削減に貢献する最適な構成。

このように、配送拠点を単なる「荷物の保管場所」ではなく、配送エリアという「面」をコントロールするための戦略的結節点として位置づけることが、ラストワンマイル効率化における最大のカギとなります。

共同配送の具体スキームと成功事例から学ぶ「他社リソース活用」の極意

佐川急便×ローソンにみる配送網相互活用とラストワンマイル効率化の実例

自社単独での配送密度向上やルート最適化に限界を感じている場合、有効な解決策となるのが他社リソースを活用した「共同配送」です。その先駆的な事例が、佐川急便とローソンが東京都内の一部エリアで実施している配送網の相互活用スキームです。

この取り組みでは、ローソンの店舗へ商品を届ける既存の配送ルートと、佐川急便が抱える宅配便ネットワークを融合させています。具体的には、ローソンの配送センターから各店舗へ商品を配送するトラックの余剰スペース(空き積載)を活用し、そのルート上にある佐川急便の宅配荷物を混載して輸送します。毎日決まったルートを巡回するコンビニ配送のインフラに宅配荷物を乗せることで、配送エリアにおけるラストワンマイル効率化と積載率向上を同時に達成しています。

運行管理者や物流担当者にとって注目すべきは、配送エリアの重複を解消することで、1件あたりの配送コスト削減が定量的に実現できる点です。個別に行っていた配送を一本化することにより、配送車両の総走行距離が短縮され、ドライバーの拘束時間削減にも寄与しています。自社の配送アセットだけに頼るのではなく、既存の他社インフラを「動く中継拠点」として相互に組み込むことで、極めて高い配送密度を維持することに成功しています。

プラットフォーム型・ルート共有型など共同配送の主要スキームと実践手順

共同配送を自社のサプライチェーンに組み込むにあたっては、その手法と特性を正しく分類・理解することが欠かせません。共同配送の主なスキームには、大きく分けて「プラットフォーム型」と「ルート共有型」が存在します。

スキーム名 概要 主なメリット 配送密度への影響
プラットフォーム型 ITプラットフォームを介して複数荷主の出荷情報を統合し、最適な車両をマッチングして共同で混載輸送する手法。 不定期な出荷でも積載率向上を図りやすい。 中長距離輸送における実車率を高め、拠点間の幹線輸送効率を最大化する。
ルート共有型 同一の配送エリアに荷物を持つ複数企業が、運行ルートや配送スケジュールを一本化し、1台の車両で巡回配送する手法。 ラストワンマイル効率化と、配送コスト削減に直結する。 同一地域内の納品先が密集するため、局所的な配送密度が飛躍的に高まる。

こうした共同配送を計画・実行する際、運送会社や荷主企業の担当者が実践すべき具体的な手順は以下の3ステップです。

  • ステップ1:配送データとエリアの可視化・すり合わせ
    自社とパートナー企業の「配送エリア」および「配送スロット(納品時間枠)」のデータを可視化します。例えば、月間3,000件の店舗配送を行う日用品メーカーの場合、各納品先の正確な位置情報と納品指定時間を洗い出し、重複率の高いルートを特定します。
  • ステップ2:運行管理者による配送計画の統合とルート最適化
    各社の配送スロットに一定の猶予(1〜2時間幅など)を持たせる交渉を行い、1台の車両が効率的に巡回できるルートを運行管理者が再設計します。これにより、荷待ち時間の削減と積載率向上を両立させます。
  • ステップ3:コスト按分ルールの策定とテスト運行
    積載容積(立方メートル)や重量ベースでのコスト負担比率を明確にし、テスト運行を通じて段階的に実務運用へと移行します。

配送網をシェアするアライアンスの構築は、1件あたりの配送コストを抑え、持続可能な配送体制を構築するための極めて現実的な解決策となります。

AI・テクノロジーを駆使した配送スロット制御とルート自動最適化

共同配送をはじめとする他社リソースの活用は有効な手段ですが、自社で保有する配送リソースの生産性を極限まで高めることも、ラストワンマイル効率化には欠かせません。配送密度と積載率向上を科学的に最大化するためのアプローチとして、最先端のAIやテクノロジーを活用した「配送スロット制御」と「ルート最適化」の具体策を見ていきます。

イオンネクスト(Green Beans)に学ぶ「配送スロット」の需要コントロール

顧客の注文をただ受け付けるだけではなく、システム側から注文時間帯をコントロールすることで、配送エリア内の配送密度を人工的に高める手法が注目されています。その先進的な事例が、イオンネクストが運営するオンラインマーケット「Green Beans(グリーンビーンズ)」です。

同サービスでは、配送を効率化するために、配送時間枠(配送スロット)の価格を配送状況に応じて変動させるアルゴリズム制御を取り入れています。すでに特定の配送エリアに複数の注文が入っている時間帯(スロット)の配送料金を安く設定、あるいはポイント付与などのインセンティブを提示することで、近隣の別の顧客が同じ時間帯を選択するように誘導します。

この手法は、顧客の行動をコントロールし、同一地域への配送を同じ時間帯に集中させる効果があります。その結果、1台の車両が担当する配送エリアが狭まり、配送密度が向上します。配送ルートがコンパクトになることで、ラストワンマイルにおける移動時間が削減され、限られたドライバー数でも効率的な配送を可能にする仕組みです。

AIルート最適化システムによる熟練運行管理者のノウハウデジタル化

自社リソースの最大化において、もう一つの障壁となるのが、配送ルート作成の属人化です。地域の交通事情や荷主ごとの細かな制約条件を熟知したベテラン運行管理者が、長年の経験と勘を頼りに配送ルートを作成する業務プロセスは、配送効率のばらつきを生み出すだけでなく、厳格化する労働時間規制に対応する上での大きなボトルネックとなります。

この課題を解決するのが、AIを搭載したルート最適化システムです。AIは、ベテラン運行管理者の「この交差点は右折が困難である」「この時間帯は特定の道路が渋滞する」といった暗黙知や、各配送先の受領可能時間(時間帯指定)といった複雑な制約条件を数理モデルとして学習し、最適なルートを瞬時に算出します。

以下は、車両10台で1日150件の店舗配送を行うラストワンマイル事業者を想定し、熟練運行管理者の手動計画とAIルート最適化システムによる計画を比較したシミュレーション結果です。

評価項目 運行管理者による手動計画 AIルート最適化システム 改善効果(削減率)
計画作成時間 120分 5分 95.8%短縮
総走行距離(10台合計) 450 km 380 km 15.5%削減
総実働時間(10台合計) 75時間 64時間 14.6%削減

このシミュレーションが示すように、AIによる自動作成は計画時間を大幅に短縮するだけでなく、走行ルートの無駄を排除することで総走行距離を15.5%削減します。これは、1日あたり70km分の燃料費を削減できる計算になります。さらに、総実働時間が11時間削減されることで、ドライバーの残業代を抑制し、配送コスト削減に直接的に寄与します。

テクノロジーによる配送スロットの需要コントロールと、AIによる自動ルート最適化を組み合わせることで、配送密度の向上はデータに基づいた科学的な運用へとシフトします。自社リソースのデジタル武装を進めることが、収益性を確保するための強力な原動力となります。

配送密度向上に向けて明日から取り組むべき「自社適合チェックリスト」と実行手順

配送密度の向上は、具体的なデータ測定と段階的な施策の実行によって初めて実現します。ここでは、運行管理者や物流担当者が自社の現状を客観的に評価するための「自社適合チェックリスト」と、スモールステップから段階的に進める改善ロードマップを提示します。

自社の配送密度とコスト改善余地を診断する5つのチェック項目

数値や運用実態に基づいて配送密度を客観的に測定することが、実効性のある配送コスト削減への第一歩です。まずは以下の5つのチェック項目を用いて、自社の現状を評価してください。

チェック項目 具体的な評価基準 配送密度への影響 改善の難易度
配送エリアの重複状況 同じ町丁目や隣接エリアに対して、自社のトラックが異なる時間帯やルートで1日に2回以上進入していないか。 エリアの重複は走行距離を無駄に伸ばし、配送密度を著しく低下させる要因になります。 低(エリアの再割当てと曜日の集約で対応可能)
車両の積載率向上の余地 稼働している車両の容積または最大積載量に対して、実際の積載量が平均して7割を下回っていないか。 積載率が低い状態での運行は、1個あたりの配送コストを押し上げる直接的な原因になります。 中(荷姿の標準化や配車計画の見直しが必要)
ルート最適化の実施水準 配送ルートの選定がドライバーの「経験則」や「勘」に依存しており、毎日異なるルートで走行していないか。 ベテランと新人での走行距離のバラつきや、不要な迂回ルートの発生を招きます。 中(配車システムやルート最適化ツールの導入で解決)
配送スロットの制約度 午前中指定や2時間幅の時間指定が、全体の配送件数の4割以上を占めて制限がかかっていないか。 細かな配送スロットの指定は、最適な配送ルートの設計を阻害し、ラストワンマイル効率化を妨げます。 高(荷主やエンドユーザーとの条件交渉が必要)
共同配送への参画状況 配送密度が極めて低い郊外エリアや地方向けに、自社単独の車両を仕立てて運行していないか。 荷量が少ない地域への単独配送は不採算になりやすく、共同配送への移行が不可欠な領域です。 高(他社との調整や3PLパートナーの選定が必要)

チェックリストによる自己診断を終えたら、次は具体的な改善アクションへと移ります。まずは、最も手が付けやすい領域から段階的に進めていくロードマップを解説します。

車両サイズ最適化から3PL・システム導入へ進むステップアップロードマップ

手元のリソースで見直せるスモールステップから着手し、段階的に3PLパートナーとの連携や共同配送、システム導入へと進む4つのステップを提案します。

ステップ1:車両サイズの最適化(スモールステップ)

最初に取り組むべきは、現在稼働している車両サイズの最適化です。例えば、1日の配送個数が平均30個程度の配送エリアに対して、日常的に2tトラックを運行させているケースがあります。これを軽バンや1.5tトラックなどの小型車両へ切り替えることで、車両維持費や燃料費を直接抑えられます。また、狭い路地が多い住宅街などでの取り回しが向上し、駐車場所の確保も容易になるため、ラストワンマイル効率化に直結します。積載率を維持しながら適切な車両サイズへと変更するアプローチは、初期投資を抑えて翌日からでも検討できる有効な手段です。

ステップ2:ツールを用いたルート最適化による運行管理のデジタル化

車両サイズを最適化した後は、ドライバーの「職人技」に依存している配送ルートをデジタル化します。配車計画を運行管理者がアナログで作成している場合、作成に毎日数時間を要するだけでなく、配送密度が最大化されたルートを導き出すのは困難です。GPSトラッキングツールや、クラウド型の配車支援システムを導入し、配送先リストを取り込むだけで最適な巡回順を自動生成する仕組みを作ります。これにより、不要な迂回走行を削減し、同じ時間内での配送件数を増やして配送密度を高めることができます。

ステップ3:共同配送への参画と3PLパートナーの選定

自社単独でのラストワンマイル効率化に限界が見えた場合、同業他社や近隣の荷主との共同配送を検討します。特に配送密度が低下しやすい郊外や地方都市においては、ドライバー不足もあり、1社単独で配送網を維持することは極めて困難です。同じ配送エリアを持つ企業同士で荷物を持ち寄り、1台のトラックに積載して共同配送を行うことで、積載率向上と1件あたりの配送コスト削減を両立させます。また、これらの管理や実務を専門とする3PLパートナーへ配送業務をアウトソーシングすることも、配送密度の最適化を図る上で有効な選択肢となります。

ステップ4:配送スロットの最適化とAIによる自動配車システムの本格運用

最終ステップとして、荷主との交渉を含む配送スロットの適正化と、AIを用いた配車・ルート最適化システムの本格運用を行います。細分化された時間指定は、効率的な配送ルートの設計を著しく阻害します。配送スロットの幅を広げる(例:終日配送、または4時間幅への変更)交渉を荷主と行い、AI配車システムに配送条件を入力して全自動で最適解を導き出します。これにより、配送密度は最大化され、運行管理者およびドライバーの労働時間を削減しつつ、持続可能な配送体制を構築できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 配送密度と積載率の違いは何ですか?

A. 積載率が「車両にどれだけ荷物を積めるか」の割合を表すのに対し、配送密度は「1km走行する間に何件配送できるか」という走行距離に対する配達効率を表します。いくら荷物を満載(積載率向上)しても、配送先が広範囲に分散していれば移動距離が長くなりコストは削減できません。ラストワンマイルの赤字解消には配送密度の向上が不可欠です。

Q. 配送密度を向上させるメリットは何ですか?

A. 主なメリットは、ラストワンマイルにおける配送コストの削減とドライバーの負担軽減です。配送密度が高まることで、1件あたりの移動距離が短縮され、燃料費の抑制や時間外労働の削減につながります。また、限られた車両数と人員でより多くの荷物を効率的に配送できるようになり、物流の「2024年問題」や燃料費高騰への対策としても極めて有効です。

Q. 配送密度を向上させるには具体的にどうすればよいですか?

A. 具体的な方法として、AIを活用したルート最適化システムによる配送エリアの重複解消や、他社リソースを活用した共同配送(佐川急便×ローソンなど)が挙げられます。また、配送拠点(デポ)の最適配置や、特定エリアへの配送をシステム側でコントロールする「配送スロット制御」の導入なども有効なアプローチです。

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