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調査・データ公表

2026年上期のフェリー・RORO船積載率を国交省が公表、海運モーダルシフトを後押し

発表主体: 国土交通省海事局内航課 発表日: 2026-08-31 最終更新: 2026年8月31日
2026年上期のフェリー・RORO船積載率を国交省が公表、海運モーダルシフトを後押し

2026年上期のフェリー・RORO船・コンテナ船の積載率動向を公表

国土交通省海事局は、2026年(令和8年)1〜3月期および4〜6月期における中・長距離フェリー、RORO船、内航コンテナ船の積載率動向の調査結果を公表しました。

積載率に余裕のある航路の情報を提示することで、トラック輸送からのモーダルシフトを検討する荷主や物流事業者への情報提供を図っています。あわせて、利用手順やメリットをまとめた「内航海運へのモーダルシフト利用検討ガイド」および船社別の「航路情報一覧」の活用を呼びかけています。

2024年問題と脱炭素化を背景に進む海運モーダルシフト推進の背景

国内貨物輸送の約4割(トンキロベース)を担う内航海運は、トラックドライバーの時間外労働規制(物流2024年問題)への対応やBCP対策、脱炭素化(トラック比でCO2排出量を約80%削減)の観点から重要性が高まっています。

政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」では、鉄道・内航海運の輸送分担率を10年間で倍増させる目標が掲げられています。一方で、荷主企業や物流事業者からは「内航船の利用方法や相談先がわからない」「どの航路に空きがあるのか把握しづらい」といった課題が挙げられていたことから、国交省は2023年8月より四半期ごとの積載率調査を公表するとともに、利用検討ガイドの整備を進めてきました。

公表された積載率の実績と「利用検討ガイド」のポイント

公表された積載率動向の概要および「利用検討ガイド」で示された主なポイントは以下のとおりです。

  • 船種別の積載率動向(2026年1〜6月実績)
    • 中・長距離フェリー:京浜〜北九州(80〜90%)や北関東〜北海道(下り85〜95%)などの主要幹線が高水準を維持する一方、北東北〜北海道(上り45〜55%、下り30〜45%)など空きに余裕が見られる航路もあります。
    • RORO船:京浜〜中京(下り95〜100%)、京浜〜北九州(下り95〜100%)、北陸〜北海道(下り85〜95%)など特定区間の下り便で高積載が目立つ一方、京浜〜東東北(上下とも40〜45%)や阪神〜北九州の下り(35〜45%)など余裕のある区間も存在します。
    • 内航コンテナ船:北海道〜東東北(4〜6月期上り90〜95%)や北九州〜西東北(下り95〜100%)などで高い利用がある一方、東東北〜中京や京浜〜阪神など比較的積載率が低い航路も見られます。
  • 内航船の主な種類と特徴(ガイドより)
    • フェリー:トラック・トレーラー・コンテナに対応し、ドライバーが乗船する「有人航送」と貨物のみの「無人航送」の双方が可能。ドライバー休息施設が整っており既存の運行形態を維持しやすい特徴があります。
    • RORO船:無人航送を主軸とし、トレーラーシャーシやトラックを積載。最小限のドライバー拘束で長距離幹線輸送を代替します。
    • 内航コンテナ船:コンテナ荷役設備のある全国の港を活用でき、柔軟な物流ネットワーク構築に適しています。
  • 利用形態・サービスの多様化
    • 港間輸送(Port to Port)だけでなく、集荷から配達まで一貫して担う海陸一貫輸送(Door to Door)を提供する船社が増加しています。
    • 単独荷主でトレーラー1台分のロット確保が難しい小口貨物向けに、船会社倉庫で混載を行う「小口混載サービス」の提供事例が紹介されています。

情報活用の対象となる荷主・物流事業者

  • 荷主企業・発注者(中長距離の幹線輸送を行っている製造業・流通業など)
  • トラック運送事業者・利用運送事業者(長距離運行の労務改善や中継・フェリー活用を検討する事業者)
  • 内航海運事業者・フェリー/RORO船社(定期航路を運航する海上運送事業者)

トラック運行形態や幹線輸送ルートへの具体的な影響

  • 荷主・利用運送事業者
    • 航路ごとの積載率動向や定期航路スケジュールを確認することで、満杯になりやすい幹線を避けたり、余裕のある航路を組み込んだ輸送ルートの再設計が検討しやすくなります。
    • 社内物流(工場〜倉庫間)での先行導入や、小口混載サービスの活用により、大ロットを揃えにくい貨物でも海運モーダルシフトを検証できる選択肢が広がります。
  • トラック運送事業者
    • フェリーの有人航送を利用することで、航送時間を改善基準告示上の休息期間として扱いながら長距離輸送を継続できます。
    • RORO船やフェリーの無人航送(シャーシまたは大型トラック本体)を活用する場合、自社ドライバーの運行を発着港までの地場運行に限定でき、日帰り勤務へのシフトや労務負荷軽減につながります。

今後の公表スケジュールと政策展開の見通し

  • 国土交通省は、積載率動向調査を今後も四半期ごとに継続して公表する方針です。
  • 同時に案内されている「各社航路情報一覧」についても、定期的な更新・追加が行われる見通しです。
  • (政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」によれば)2033年頃に向けて鉄道・内航海運の輸送分担率倍増を目指す施策が継続して進められます。

航路ごとの需給偏りや帰り荷確保が今後の検討焦点

  • 航路・上下便ごとの需給ギャップ:特定幹線や片道方向(下り便等)に需要が集中し満杯となる一方、逆方向(帰り荷)に余裕がある航路が多く、帰り荷の確保や発着バランスが実務上の検討点となります。
  • 天候リスクと複線化の設計:冬季の時化や台風などによる欠航・遅延リスクに対し、陸上輸送や別ルート(太平洋側・日本海側の併用など)を組み合わせたBCP設計の具体化が論点となります。
  • 小口混載サービスの対応エリア拡大:大ロットを前提としない小口混載輸送の対応航路や参入船社が今後どこまで広がるかが注目されます。

モーダルシフト推進に向けた関連支援策

  • 国土交通省では、荷主と物流事業者が連携してモーダルシフトを進める取り組みに対し、「物流効率化推進事業(モーダルシフト等推進事業)」や「モーダルシフト加速化事業費補助金」などの支援メニューを用意しています。
  • 改正流通業務総合効率化法(物流効率化法)に基づく中長距離輸送の効率化や脱炭素化の取り組みとも連携した施策展開が進められています。

出典

  • 発表主体: 国土交通省海事局内航課 / 発表日: 2026-08-31
  • https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001891014.pdf(PDF)
  • 報道発表資料(PDF)
  • 掲載ページ
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