国際間RTI実証輸送の公募で何が進む?
国土交通省は、国際物流におけるリターナブル物流容器(RTI)の普及促進に向け、「先進的で高機能な国際間RTIを利用した実証輸送」の公募を開始しました。
日中韓間等において、センサーや先進デバイスを搭載したRTIなどを用いた輸送を対象に、荷役・コスト・輸送品質・越境税関手続きなどの課題を検証します。参加事業者には、1輸送(ラウンド輸送含む)につき原則として30万円の調査協力費が支出される予定です。
なぜ国際間での通い容器実証が必要なのか
国土交通省では、国際物流における手荷役(バラ積み)の削減や環境負荷低減、サプライチェーン効率化を図るため、令和3年度から国際間におけるRTI利活用に関する調査を継続してきました(日中韓物流大臣会合等の国際的な枠組みとも連動)。
令和8年5月には免税手続きや最新動向を盛り込んだ「国際物流におけるリターナブル物流容器(RTI)利活用の手引きVer.5」を公表するなど知見を蓄積してきましたが、商用ベースでの本格普及に向けては、越境通関や運用コスト、所要日数といった現場課題の掌握がなお求められています。これらを踏まえ、外部委託調査業務「先進的で高機能な国際間RTIを利用した実証輸送と鉄製容器の国際間RTI化調査」の一環として、実際の荷動きを伴う実証輸送が公募されることになりました。
実証輸送公募の対象条件と検証項目
公募の概要および実証輸送の条件は以下の通りです。
- 公募スケジュールと対象事業者
- 公募期間:令和8年9月18日(金)~令和8年10月16日(金)。
- 対象事業者:日系荷主企業、日系物流事業者(RTI開発・運用・レンタル企業含む)等。
- 実証輸送の実施条件(すべてを満たすこと)
- 実施時期:令和8年10月~令和9年1月を目途に実施すること。
- 対象区間:日中韓間等の輸送であること。
- ①先進的で高機能なRTIの使用:RTI自体の高機能化だけでなく、既存のRTIに先進的・高機能なデバイスを搭載し、荷役・コスト・品質・所要日数・制度上の制約等の改善を図る実証であること。
- ②3か月以内のリードタイム:輸送自体、輸送手続き、越境時の税関手続きを含め、ラウンド(輸出から輸入まで)のリードタイムが3か月以内で完了すること。
- ③将来の商用運用見込み:今回の実証を端緒として、1~2年後に商用ベースでの運用が見込まれること。
- 検証事項
- 輸送コスト、リードタイム、輸送品質、輸送の際の手続き、越境時の税関手続きなど。
- 費用負担と応募方法
- 実証輸送1回(ラウンド輸送含む)につき、原則として30万円を調査協力に係る費用として支出(応募件数により支給金額の調整あり)。
- 応募様式に必要事項を記入し、国土交通省国際物流室へ電子メールで提出。
実証事業に関係する荷主・物流事業者
- 日系荷主企業(メーカー・商社・小売事業者等)
- 国際間サプライチェーンで通い箱・パレット等の循環利用やIoT追跡を検討・計画している事業者。
- 日系物流事業者(フォワーダー、船社、陸運事業者、3PL等)
- 国際間一貫輸送を手がけ、デバンニング省力化や空コンテナ・空容器の回収運用に関心を持つ事業者。
- RTI関連事業者
- リターナブル容器、パレット、専用ラック等の開発・製造、追跡デバイス提供、プール運用やレンタル事業を手がける企業。
荷主と物流事業者の実務に関わる変化
- 日系荷主企業
- 従来の海上コンテナ内バラ積みからRTI輸送に転換することで、国内外の倉庫における積み込み・荷降ろし(デバンニング)時間の短縮や破損リスクの低減が見込まれます。今回の実証を通じて、追跡デバイスを活用した輸送品質・所在の可視化や、容器回収を含めた運用コストの妥当性を国の支援を受けつつ検証することが可能になります。
- 物流事業者・RTI関連事業者
- 国際間を往復するRTIの動態管理、拠点での保管・洗浄、返送手配などの運用代行や、通関免税申告のサポートといった新たなサービス需要の創出につながる可能性があります。今回の実証により、越境税関手続きやリードタイム管理の実務的なボトルネックが特定され、サービス設計に反映できるようになります。
今後の公募・実証スケジュール
- 令和8年10月16日:実証輸送の公募締め切り。
- 令和8年10月~令和9年1月:採択案件における実証輸送の実施期間(目途)。
- 令和9年3月:委託調査業務としての成果取りまとめ(国土交通省の入札・契約公表資料によれば履行期限は令和9年3月19日)。
- 令和9~10年頃(1~2年後):実証結果を踏まえた商用ベース運用の本格開始(公募要件における見込み)。
越境通関と採算性を巡る今後の焦点
- 越境通関・免税手続きの実務負荷:国際間でRTIを往復利用する際、関税定率法の再輸出・再輸入免税やAEO制度の活用手続きが、現場の通関実務でどの程度円滑に行えるかが今後の焦点になります。
- 商用化に向けた回収コストと採算性:実証終了後に自立運用へ移行する際、空容器の返送コストや紛失防止管理の負担を考慮したトータルコストが成立するかどうかは、事業者側の検証課題となります。
- 採択件数と支給枠の調整:1件あたり原則30万円の調査協力費について、応募状況に応じた支給金額や採択件数の最終的な調整内容は現時点で公表されていません。
民間先行事例とRTI利活用の手引きの動き
- 国土交通省が令和8年2月に開催したセミナーでは、デンソーによる国内外約500万箱の通い箱QRコード管理や、JPR・コメリ・日通による日中一貫パレチゼーション(40ftコンテナ1本あたり約2時間の荷卸し短縮)など、手荷役削減とDX管理の先行事例が共有されています。
- 国土交通省は令和8年5月11日に「国際物流におけるリターナブル物流容器(RTI)利活用の手引きVer.5」を公表しており、AEO制度を活用した通い容器の免税手続きやデバンニング自動化の動向が整理されています。
- 本実証調査を含む委託調査業務(先進的で高機能な国際間RTIを利用した実証輸送と鉄製容器の国際間RTI化調査)は、令和8年8月にデロイトトーマツGTA&テクノロジーズ株式会社が落札して実施されています(落札額418万円、国土交通省公表情報による)。
よくある質問
Q. 「先進的で高機能なRTI」にはどのようなものが該当しますか?
A. RTI(リターナブル物流容器)本体が先進的・高機能なものだけでなく、既存のRTIに先進的で高機能なデバイス(センサーや通信機器等)を搭載したものも含まれます。これらを用いて荷役作業、コスト、輸送品質、所要日数、制度上の制約といった課題の改善を図る実証が対象となります。
Q. 実証輸送を実施する際の費用支援(調査協力費)はいくら支給されますか?
A. 1回の輸送(ラウンド輸送を含む)につき、原則として30万円が調査協力に係る費用として支出される予定です。ただし、応募件数の多寡に応じて支給金額の調整が行われる可能性があります。
Q. 実証輸送の対象となる輸送ルートや実施期間の条件は何ですか?
A. 日中韓間等の輸送であり、令和8年10月から令和9年1月を目途に実施される必要があります。また、手続きや税関手続きを含めたRTIの輸送リードタイムが3か月以内で完了すること、および1~2年後に商用ベースでの運用が見込まれることが条件とされています。
実務資料(公式ダウンロード)
関連記事
- 国交省・RTI活用事例|デンソー・JPRが挑む「脱バラ積み」国際物流改革
- 通い箱とは?ワンウェイ資材との違いからコスト削減・紛失を防ぐDX運用まで解説
- パレット標準化とは?物流2024年問題を解決するメリットと導入のステップ
- 物流標準化推進とは?2024年問題に対応するロードマップと現場での実践手順
- コンテナマッチングとは?仕組みと導入メリット、プラットフォーム比較まで徹底解説
出典
- 発表主体: 国土交通省 物流・自動車局 物流政策課 国際物流室 / 発表日: 2026-09-18
- 報道発表資料(PDF)
- 掲載ページ
