直轄国道アンダーパスの事前通行規制、対象を計22箇所へ拡大
国土交通省道路局国道・技術課は2026年9月16日、大雨発生時における道路冠水事故を未然に防止するため、直轄国道におけるアンダーパスの「予防的な事前通行規制」の運用対象を拡大すると発表しました。
これまで先行運用していた全国7箇所に加え、過去の冠水実績などを踏まえて新たに15箇所を追加し、全国計22箇所で運用を行います。規制基準については、防災気象情報や時間雨量を踏まえて設定される方針です。
千葉豪雨の冠水事故を受けた緊急対策の全国展開
2026年8月に発生した「令和8年8月千葉豪雨」において、千葉県千葉市中央区の国道16号村田町アンダーパスで排水設備の不作動などによる冠水が発生し、車両の水没によって人的被害が生じました。
国土交通省はこれを受け、冠水が実際に発生してから封鎖する従来の対応を改め、豪雨による危険が高まった段階で通行止めを行う「予防的な事前通行規制」の導入を決定しました。8月31日の国道16号村田町アンダーパスを皮切りに全国7箇所で先行導入されていましたが、千葉豪雨以降も全国各地で大雨が続いている状況を踏まえ、導入箇所の全国的な拡大が図られることとなりました。
事前通行規制が導入される全国22箇所のアンダーパス一覧
今回発表された「予防的な事前通行規制」の導入箇所は、先行実施中の7箇所と、今回追加された15箇所の合計22箇所です。
- 北海道開発局管内(計1箇所)
- 国道44号 釧路市旭アンダーパス(北海道釧路市・実施中)
- 東北地方整備局管内(計3箇所)
- 国道7号 広田ICアンダーパス(山形県酒田市・実施中)
- 国道112号 大宝寺アンダーパス(山形県鶴岡市・実施中)
- E7秋田自動車道 小ヶ田函渠(秋田県北秋田市・今回拡大)
- 関東地方整備局管内(計2箇所)
- 国道16号 村田町アンダーパス(千葉県千葉市中央区・実施中)
- 国道357号 千葉市役所前アンダーパス(千葉県千葉市中央区・今回拡大)
- 北陸地方整備局管内(計2箇所)
- 国道7号 栗ノ木バイパス JRアンダー部(新潟県新潟市中央区・実施中)
- 国道116号 新潟西BPアンダーパス(新潟県新潟市西区・今回拡大)
- 中部地方整備局管内(計7箇所)
- 国道1号 四日市市川北アンダーパス(三重県四日市市・今回拡大)
- 国道1号 豊川市小坂井町アンダーパス(愛知県豊川市・今回拡大)
- 国道22号 一宮市丹陽町アンダーパス(愛知県一宮市・今回拡大)
- 国道23号 知立市上重原町アンダーパス(愛知県知立市・今回拡大)
- 国道302号 清須市一場町アンダーパス(愛知県清須市・今回拡大)
- 国道21号 可児市今渡アンダーパス(岐阜県可児市・今回拡大)
- 国道21号 大垣市河間町4丁目アンダーパス(岐阜県大垣市・今回拡大)
- 近畿地方整備局管内(計4箇所)
- 国道9号 千代原口トンネル(京都府京都市西京区・今回拡大)
- 国道9号 阪急京都線アンダーパス(京都府京都市西京区・今回拡大)
- 国道43号 西成アンダーパス(大阪府大阪市西成区・今回拡大)
- 国道1号 関目京阪ガード下(大阪府大阪市城東区・今回拡大)
- 中国地方整備局管内(計2箇所)
- 国道9号 陰田地下道(鳥取県米子市・実施中)
- 国道2号 渕崎ランプ(広島県廿日市市・今回拡大)
- 四国地方整備局管内(計1箇所)
- 国道56号 須崎市神田アンダーパス(高知県須崎市・実施中)
影響を受ける運送事業者・荷主
- 一般貨物自動車運送事業者・軽貨物運送事業者: 対象路線(国道1号、23号、43号、357号などの主要幹線)を運行ルートに設定している運行管理者およびドライバー。
- 荷主企業(製造業・流通業・EC事業者): 対象箇所の周辺地域に物流拠点や工場、納品先店舗を構え、豪雨時の配送計画に影響を受ける事業者。
- 道路管理者: 国土交通省各地方整備局および連動した道路管理を行う関係機関。
幹線道路の早期遮断に伴う物流実務への影響
- トラック運送事業者
- 実際の冠水・浸水に至る前の段階で道路管理者が通行規制を実施するため、車両の水没事故や立ち往生といった重大リスクを回避しやすくなります。
- 一方で、幹線道路やバイパスの要所が事前に通行止めとなることで、迂回路への集中による局所的渋滞や、到着時刻の遅延が発生しやすくなります。運行管理者は大雨予報時に通行規制情報を早期に把握し、迂回ルートの指示や運行可否の判断を行う場面が増えると考えられます。
- 荷主・物流拠点
- 対象アンダーパスの周辺に立地する倉庫や配送センターでは、豪雨時に集配送車両の出入庫動線が制限される可能性があります。天候悪化の予報が出ている段階で、リードタイムの調整や配送順序の前倒しといった柔軟な運用判断が求められる局面が生じます。
地方整備局ごとの規制基準発表と今後の予定
具体的な規制基準(対象となる防災気象情報や時間雨量の数値など)の詳細は、追って各地方整備局から記者発表される予定です。
なお、国土交通省の道路局事務連絡によれば、多重防御・フェールセーフを基本とする「予防的な事前通行規制、通行規制基準及び車両進入防止対策等に関するガイドライン」の策定が今後進められる方針となっています。
運行管理実務における今後の注目点
- 各アンダーパスにおける発令基準の数値設定: どのレベルの気象警報や1時間あたり何ミリの雨量予測で規制が開始されるかについて、各地方整備局からの続報公表が焦点となります。
- 規制実施時の周知方法と現地誘導体制: 遠隔カメラや遮断機などのハード整備状況、ならびに現地でのバリケード設置や道路情報板による広報がどのタイミングで行われるかは、各管理事務所の運用体制によって異なります。
全国のアンダーパス冠水対策の全体像
- 全国のアンダーパスの状況(国土交通省の道路局公表資料によれば): 全国の国および自治体が管理するアンダーパス等は約3,800箇所存在しており、直轄国道における緊急点検対象(冠水のおそれがある箇所)は102箇所とされています。今回の22箇所の直轄国道での運用モデルが、将来的に自治体管理道路へ波及するかどうかも注目されます。
よくある質問
Q. 「予防的な事前通行規制」とはどのような規制ですか?
A. 道路が実際に冠水してから通行止めにする従来の対応とは異なり、今後の大雨発生時における冠水事故を防止するため、冠水前の段階で防災気象情報や時間雨量を踏まえて事前に通行規制を実施する運用です。
Q. 今回拡大された対象箇所にはどのような道路が含まれますか?
A. 先行実施されていた国道16号村田町アンダーパスなどの7箇所に加え、愛知・三重の国道1号・23号、大阪の国道43号西成アンダーパス、千葉の国道357号千葉市役所前アンダーパスなど、幹線道路を含む15箇所が新たに追加され、計22箇所となりました。
Q. どのような雨量や気象条件になったら通行規制が始まりますか?
A. 規制基準については、防災気象情報や時間雨量を踏まえて設定することとされており、詳細な数値基準などは追って各地方整備局から記者発表される予定です。
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出典
- 発表主体: 道路局 国道・技術課 / 発表日: 2026-09-16
- 報道発表資料(PDF)
- 掲載ページ
