安田産業汽船に対する輸送の安全確保命令の発出
国土交通省九州運輸局は令和8年9月18日、安田産業汽船株式会社(長崎県長崎市)に対し、海上運送法に基づき「輸送の安全確保に関する命令書」を発出しました。同社が運航する「エアポートライナー15」が令和8年3月12日に主機の不具合で航行不能となった事故を受け、同年6月17日に立入検査を実施したところ、運航中止基準の不遵守などの安全管理規程違反が確認されたことによる行政処分です。あわせて同社に対し、違反点数26点(累積違反点数26点)が付与されました。
発出された安全確保命令と違反点数の付与
| 処分・命令の種類 | 根拠条文 | 事業者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 輸送の安全確保に関する命令 | 海上運送法第19条第2項 | 安全管理規程に基づく運航中止基準の遵守や管理体制の再構築など、命じられた是正措置を講じて指定期日までに文書報告を行う義務を負う。 |
| 行政処分の違反点数付与(26点) | 旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について(海事局長通達) | 違反行為に応じて行政上の点数が記録され、今後の累積状況によっては使用停止や事業停止等の加重処分につながる管理状態に置かれる。 |
立入検査で確認された運航中止基準不遵守等の違反事項
令和8年3月12日に発生した「エアポートライナー15」の主機不具合による航行不能事故を受け、令和8年6月17日に実施された海上運送法に基づく立入検査において、以下の安全管理規程違反が確認されました。
- 運航中止基準の不遵守
- 基準に達した、または達するおそれがある状況において、運航中止の措置が適切に行われていなかったこと。
- 運航管理者代行への引継ぎ不備
- 安全統括管理者兼運航管理者が連絡不能その他の理由により職務を執ることができない場合にあらかじめ行うべき代行への引継ぎを、適切に実施していなかったこと。
海上運送法が規定する安全管理体制と是正命令の基準
海上運送法第10条の3では、旅客定期航路事業者に対し、輸送の安全を確保するための最高規範として「安全管理規程」の策定・届出およびその遵守を義務付けています。同法第19条第2項は、輸送の安全確保に支障があると認められる場合、国土交通大臣(地方運輸局長)が事業者に対して業務方法の改善や輸送安全の確保に必要な措置を命じることができると定めています。また、同法第25条第1項に基づく立入検査を通じて安全管理体制の機能不全や規程違反が確認された場合、安全確保命令や通達に基づく違反点数の付与が行われます。
命令事項に基づく安全管理規程・運航体制の点検ポイント
| チェック項目 | 根拠条項 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 経営トップによる安全管理体制への主体的関与 | 安全管理規程第4条 | 経営責任者が安全最優先原則の社内浸透に向けて直接関与し、管理体制を運営しているか記録・実態を確認する。 |
| 運航管理者代行への事前職務引継ぎ体制 | 安全管理規程第15条 | 運航管理者が連絡不能等で職務を行えない場合に備え、あらかじめ代行者へ確実に職務を引き継ぐ手順が機能しているか点検する。 |
| 安全最優先原則および規程遵守の周知徹底 | 安全管理規程第17条 | 運航中止基準の厳守や教育訓練の実施状況を含め、現場への安全方針の浸透状況を点検する。 |
| 運航管理・輸送安全確保業務全般の統括 | 安全管理規程第18条 | 安全統括管理者兼運航管理者が、船舶の運航および安全確保に関する業務を漏れなく統括・遂行しているか確認する。 |
| 運航中止基準の遵守と確実な中止措置 | 安全管理規程第25条・第26条、運航基準第2条 | 気象・海象や主機等の不具合が基準に抵触、または達するおそれがある際に、確実に運航中止措置が行われているか運航記録を照合する。 |
| 事故発生時の関係行政機関への報告・助言要請体制 | 安全管理規程第50条、事故処理基準第4条・第7条 | 事故発生時に管轄運輸局および海上保安部へ概要や処理状況を速やかに報告し、助言を求める手順が整備されているか点検する。 |
| 理解しやすい具体的な安全教育の定期実施 | 安全管理規程第52条 | 安全管理規程や関係法令(船員法、海上衝突予防法等)に関する具体的かつ理解しやすい教育が定期的に実施されているか教育記録を確認する。 |
| 事故処理訓練の年1回以上実施 | 安全管理規程第54条 | 事故発生時の緊急対応手順に関する実践的な訓練が、年1回以上の頻度で確実に実施されているか実施履歴を確認する。 |
令和8年10月16日を期限とする是正措置報告
九州運輸局は安田産業汽船株式会社に対し、令和8年10月16日までに命じられた是正措置の実施状況を文書により報告するよう求めています。
旅客船安全対策の法改正と行政処分基準の運用動向
- 旅客船安全対策に伴う法改正の施行
- 2022年4月に発生した知床遊覧船事故を受け、「海上運送法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第24号)が2024年4月1日より順次施行され、船舶使用停止処分の創設など旅客船事業者に対する安全統制が強化されています。
- 旅客運送船舶に対する違反点数制度の運用
- 国土交通省海事局通達「旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について」に基づき、法令や安全管理規程違反に対して違反点数を付与・累積し、改善命令や事業停止等を段階的に執行する厳格な管理が行われています。
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出典
- 発出元: 国土交通省九州運輸局
- 文書番号: 記載なし / 発出日: 令和8年9月18日
- 報道発表資料【PDF:212KB】(PDF)
- 掲載ページ
- 報道発表
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
