BOSSとは?
ハングリード株式会社が提供する「BOSS」は、楽天市場を運営するEC事業者を中心に、複数ECモールの受注・在庫一元管理と、出荷指示の自動化によりバックヤード業務の効率化と365日の安定したフルフィルメント運用を実現する自動出荷管理システム(SaaS)です。ネットショップ運営において多大な手間と時間を要する受注確認、在庫同期、倉庫への出荷指示といった一連のバックヤード処理を自動化し、ミスと属人化を排除することを目的としています。楽天グループとしての強みを背景に、楽天スーパーロジスティクス(RSL)との強固なシステム連携に強みを持ち、流通規模を問わず多くのEC事業者の配送品質向上を支援するプラットフォームです。
主な機能・特徴
BOSSは単なる「出荷指示システム」に留まらず、多店舗運営の自動化を促進する多様な機能を備えています。
- 複数モール・カートの受注一元管理と自動処理
楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、au PAY マーケット、Qoo10、MakeShop、Shopifyなどの複数店舗から発生した注文情報を、APIを用いて自動でBOSSに取り込みます。取り込んだデータはシステムが自動で判別し、人の手を介さずに発送ステータスへ移行させるため、事務作業時間を劇的に削減できます。 - 多店舗在庫の自動連動
複数店舗の在庫数を24時間365日いつでも自動同期します。ひとつの店舗で商品が売れると、BOSSが瞬時に他モール・他カートの在庫数を更新するため、売れ時の「売り越し(在庫切れによるキャンセル)」や「売り逃し(登録作業遅延による機会損失)」を防ぐことができます。 - 楽天スーパーロジスティクス(RSL)との完全自動出荷連携
注文の取得から、RSLへの出荷指示データの送信、出荷完了後の送り状番号の取得、各モールへの発送通知の書き戻しまで、一連の物流プロセスを自動で行います。これにより、店舗が休業している土日祝日や夜間であっても、365日いつでも遅滞のない自動出荷が実現します。 - 複数出荷拠点の管理と自動在庫引当
自社倉庫の在庫と、外部の複数倉庫(RSL、ロジモプロなど)に預けている在庫をBOSS上で切り分けて並行管理できます。注文されたSKUごとに、優先して出荷する倉庫を事前に設定しておくことで、システムが自動的に最適な倉庫へ引き当て、出荷指示を振り分けます。 - 自動「出荷分割」機能
RSL出荷対象の商品と自社出荷の商品が同時に購入された場合でも、システムが自動で受注伝票を分割します。これにより、出荷元が異なる抱き合わせ注文であっても、処理を止めることなくスムーズに出荷フローを進めることが可能になります。 - セット商品の在庫連動
「複数個セット」や「福袋」など、単品商品を組み合わせたセットページと、それぞれの単品商品の在庫を連動させます。セット商品が売れた際には、BOSSが自動的に構成品の単品在庫を逆算して減算し、他店舗へリアルタイムで反映するため、手作業での複雑な在庫再計算の必要がありません。 - CSV取込・出力の高度なカスタマイズ
自社システムや利用している基幹システムのフォーマット、あるいは他の外部倉庫システムの仕様に合わせて、CSVデータの出力項目、配列、出力数値の置換、取り込みテンプレートを自由に編集できます。システムの改修コストをかけることなく、柔軟に既存システムとデータ接続が可能です。 - 顧客管理(カスタムタグ・フォローメール)
モールやショップを跨いだリピーターの自動判定が可能です。カスタムタグ機能を活用することで、購入回数や購入商品に応じた出荷指示の振り分け(おまけやチラシの同梱指示等)を自動化できます。また、出荷完了のタイミングに合わせたアフターケアのフォローメール送信も自動で行えます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
【向いている企業・現場】
- 楽天市場をメインで展開し、RSLを導入・検討している現場
楽天スーパーロジスティクスとの強固な親和性が最大の特徴です。楽天市場内の注文であれば、何件取り込んでも従量課金コストが発生しないプランが提供されているため、楽天での販売ボリュームが大きく、RSLをフル活用している、またはする予定の店舗に極めて向いています。 - 自社出荷と外部委託出荷が混在している現場
RSL出荷だけでなく自社発送の受注処理や伝票発行も1つの管理画面で完結させたい企業に適しています。在庫を複数倉庫に分散して管理しながら、引き当て優先度ルールに従って自動で分割出荷を行いたい現場にも高い導入メリットがあります。 - セール時や繁忙期の受注処理で現場がパンクしている企業
普段は少人数の体制で、セール(楽天スーパーSALEなど)の際、一時的な注文急増により深夜まで受注確認や問い合わせ対応に追われている現場に向いています。自動で「処理してよい注文」と「要確認の注文」をシステム選別させることで、ルーティン作業からスタッフを解放できます。
【向いていない企業・現場】
- 倉庫手配からシステム連携、配送交渉までを一括で任せたい企業
BOSSは受注や在庫を一元管理する「システム」であり、アセット(倉庫や配送手段)そのものを直接提供するサービスではありません。自社で倉庫会社と直接個別契約を結びたくない場合や、保管・梱包・出荷を一括で物流プラットフォーム側にすべて丸投げしたい場合は、オープンロジのような完全アウトソーシング型プラットフォームを検討したほうがミスマッチがありません。 - 楽天市場に出店しておらず、他モールの運用に特化している企業
楽天市場以外のサイト(Yahoo!ショッピング、Amazon、Shopifyなど)のみの運用や、Amazon FBAをすべての主軸とした自動出荷環境を作りたい場合は、他社システム(シッピーノ等)や、他モールに最適化されたOMSのほうが、初期設定の手間や機能面で適している場合があります。 - 極めて直感的なUI/UXや、最小クリックでのシンプルな操作性を求める現場
設定項目が緻密で自由度が高い反面、画面の遷移数が多く、使い始めの初期マッピング作業や設定手順の理解に難しさを感じるというユーザーの声が一部寄せられています。操作が極力シンプルで、デザイン性に特化した他社製品に慣れている現場では、最初の運用ハードルを高く感じることがあります。
料金・プラン・導入方法
BOSSの基本料金プランは、多モール展開を支援する「スタンダードプラン」、楽天市場に特化した「RMS自動化プラン」および「RSLプラン」で構成されています。初期費用や解約費用はかからず、単月契約での自動更新となります。プラン変更時や新規申し込み時には30日間の無料トライアル期間が用意されています。
| プラン名 | 初期費用 | 月額利用料金(税別) | 備考(保守費用含む) |
|---|---|---|---|
| スタンダードプラン | 0円 | 基本料金 10,000円+従量課金分 | 楽天市場の注文件数は従量課金対象外(0円)。翌年度以降、年1回の保守費用15,000円が別途発生。 |
| RMS自動化プラン | 0円 | 3,000円〜10,000円(件数スライド制) | 楽天市場の注文のみ自動化。翌年度以降、年1回の保守費用5,000円〜15,000円が発生。 |
| RSLプラン | 0円 | 3,000円〜10,000円(件数スライド制) | 楽天市場の注文をRSLに自動出荷することに特化。保守費用は前年請求額の10%(下限5,000円〜上限15,000円)。 |
※スタンダードプランの従量課金は、楽天市場以外のサイトからBOSSへ取り込んだ受注件数のみをカウントします。受注件数ごとの1件あたり従量単価は、受注規模の拡大に応じて段階的に割引(1件あたり25円から5円まで)が適用されます。保守費用は試用期間を除き、利用を開始された月を起算月として、1年経過(12カ月)するごとに1年単位で請求されます。
導入の流れ・期間
BOSSの利用開始までの基本的な流れは、以下の4つのステップで構成されています。
- お申込み・アカウント発行
RMSサービススクエアまたは公式サイトからプランを選択して申し込みを行います。お申し込み後、ハングリード社より機能面・契約面の説明を兼ねた案内が行われ、BOSSのアカウントが発行されます。 - 30日間の無料トライアル
アカウント発行から30日間は無料の試用期間が付きます。トライアル期間中も機能制限はなく、本運用時と同等のすべての機能を利用可能です。設定や操作、自社の業務に適合するかの疑問点について、ハングリード社の専任のサポート担当者が付き、導入に向けたサポートを段階的に行います。 - 初期設定・ショップ連動
実際にシステムを稼働させるため、大きく分けて次の設定を行います。- 連動したいショップ情報のBOSSへの登録
- 取り込むための商品マスタ登録、およびマッピング(商品番号の紐付け)
- 自動出荷や在庫連動のための自動化タスクや各種初期設定
※スタンダードプランで楽天市場以外の新規モール(Yahoo!ショッピングやAmazonなど)を追加・API接続する際は、楽天市場のRSL事業担当者に対してRMS経由で「新規サイト区分」の発行申請を事前に行う必要があります(通常1週間程度で発行されます)。
- 本契約・自動切り替え
30日間の無料試用期間終了後は、終了日の翌日より本契約へと自動的に移行し、月額利用料が発生します。トライアル中に作成したアカウント設定や各種商品データなどは、そのまま本運用のデータとして引き継いで継続利用が可能です。
※サービス提供可能となるまでの納期は最短で「3日〜」と明示されていますが、連携させる店舗数や商品マスタの登録点数、倉庫側の受入状況、サイト区分申請期間などによって変動するため、詳細な本稼働開始までのスケジュールについては要問い合わせとなります。
連携できるシステム・機器
BOSSは、各種WMS(倉庫管理システム)やECモール・カートとの自動(API)連携に対応しています。
- 連携可能な倉庫管理システム(WMS)・出荷サービス
- 楽天スーパーロジスティクス (RSL) ※標準連携
- ロジモプロ (株式会社清長が運営するパッケージ型出荷代行サービス。出荷指示・出荷実績の自動API連携)
- ロジザードZERO (ロジザード株式会社が提供するクラウドWMS。2025年6月より主要業務データのAPI連携を開始)
- クラウドトーマス (株式会社関通が提供するクラウドWMS。WebAPI「WareHouse GateWay」を用いたシステム自動連携)
- LOGILESS (株式会社ロジレスが提供するEC自動出荷システム。2025年7月よりAPI自動連携を開始し、RSL倉庫内の在庫同期等に対応)
- BRAIN AEGIS (主要OMS連携に対応したSaaS型WMS)
- API自動連携に対応する主要モール・カート
- モール:楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、au PAY マーケット、Qoo10
- カート:MakeShop、Shopify
- ※上記以外のモール・カートについても、CSVファイルを用いて手動でデータ連携を行うことが可能です。
- 送り状発行ソフト(自社出荷用連携)
- ヤマト運輸(B2クラウド)、佐川急便(e飛伝II、e飛伝III)、日本郵便(ゆうパックプリントR、クリックポスト)への伝票出力データ連携
- 外部連携APIの提供
- 自社独自の基幹システムや、外部サービスとのデータ連動を図るための「外部連携APIオプション」を提供しています。
導入事例・実績
公式リリースや導入事例において、BOSSを導入した企業から様々な効果が報告されています。
- マグナス株式会社(健康食品・化粧品EC)
【導入前の課題】受注処理にかかる手作業が多く、バックヤードにおける受注対応業務に毎日「半日」もの時間が拘束されており、深刻なリソース不足を感じていた。
【効果】RSLとBOSSを連携したことで、半日以上かかっていた受注処理業務が導入後に「1時間」へ大幅短縮。削減できたリソースを、新商品の開発や販売戦略、ページ改善などのフロント業務にシフトさせることが可能になった。 - タクジン合同会社(釣り用品・スポーツ用品EC)
【導入前の課題】ネットショップの売上拡大に伴い、自社でのピッキングや梱包・発送業務が手一杯になり、実店舗の運営との両立が極めて困難になっていた。
【効果】出荷の委託(FBA及びRSL)を進め、BOSSで受注一元管理を構築した結果、モール全体の「自動出荷率が90%」に到達。複数店舗間での在庫同期が迅速化し、売り越しが大幅に削減されたことで、ショップレビューのカスタマー評価も「4.8」の高評価をキープできるようになった。 - 株式会社友和商会(日用品・雑貨EC)
【効果】出荷業務を完全にアウトソーシングして自動化した(自動化率100%)ことにより、バックヤード作業による店舗運営のボトルネックを解消。休眠状態であったショップ店舗を復活させ、多店舗運営を軌道に乗せたことで、売上が前年比211%に向上する大きな実績を上げた。 - 守谷織物株式会社(繊維製品製造・EC)
【効果】1日あたりの最大出荷可能数が約3倍にまで向上した。バックヤードの処理能力が劇的に高まったことで、注文増に不安を抱くことなく、主力である新商品の開発や生産活動自体に集中できるインフラが整った。
導入前に知っておきたいこと
システムをより安全かつ納得して稼働させるため、実際のユーザーや導入を経験した企業から寄せられているデメリットや注意点についても把握しておく必要があります。
- モール大型セール時のサーバーの重さ・処理速度遅延
「楽天スーパーSALE」などの主要なセールが開催されている期間中、サーバーへのアクセスが極端に集中するため、「動作が重くなる」「管理画面の推移が遅い」「PDFやCSVデータのダウンロードを待つ時間が長くなる」といった現象が報告されています。 - 管理画面(UI/UX)の操作クリック数と難易度
「どこに設定項目があるか探すのが難しい」「目的の変更画面へ到達するまでのクリック数が多く、やや使いにくさを感じる」というUI(ユーザーインターフェース)デザインに対する要望が見られます。また、初期設定時の設定・機能理解にある程度精通していないと直感的な操作が難しく、初めて一元管理を扱う事業者には「少しハードルが高く感じる」ケースもあるようです。 - 自社出荷に関する帳票出力(ピッキングリストなど)の並び順
自社出荷を同時に行う場合、BOSSから出力できるピッキングリスト(PDF形式)がSKUコードなどの特定の順にきれいにソートされないという不満の声があります。現場で順番通りに効率よくピッキングを行いたい場合は、一度CSV等でデータをエクスポートして自身で加工し直すなどの手間が生じることがあります。 - あす楽等(翌日配送)を考慮した土日設定の難しさ
楽天市場における店舗ごとの「営業日設定(土日の発送有無など)」と、BOSSの連携システムが噛み合わず、土日を発送のみの稼働としている場合などの「翌営業日あす楽指定」が、店舗が意図しない配送スケジュールで自動で取り込まれてしまうケースが指摘されています。双方のサポートでも一概に設定が難しく、調整のために設定自体を見直す必要がある場合があります。 - スタッフごとのアカウント権限設定の制限
スタッフへの管理権限を細かくカスタマイズできないため、画面内の「特定の重要な管理データ」等への閲覧・非閲覧を設定することが難しく、セキュリティ面で不満を感じている導入店舗が見受けられます。 - 新しい決済・機能リリースに対する対応スピード
提携先のカートや各モールで突発的にリリースされた新しい決済システム(各種後払いサービスなど)に対応するまでに、システムのバージョンアップまで少しタイムラグを要することが指摘されています。
類似ツールとの比較
BOSSと主要な他社ツールについて、機能や料金などの特徴を一覧で比較します。
| ツール名 | 特徴 | 料金(税別) | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| BOSS | 楽天スーパーロジスティクス (RSL) との自動出荷に特化した強み。楽天市場分の受注件数は従量課金ゼロ(無料)。 | 月額 10,000円〜 + 楽天市場以外のサイト受注件数による従量課金 | 楽天市場での出荷件数が多く、RSLを活用して多モール運用を効率化したい企業 |
| オープンロジ | 固定費ゼロ・使った分だけの従量課金。国内外の主要ECカート・モールとAPIでシームレスに自動連携。独自提携の倉庫網を活用可能。 |