物流業界において「人手不足」は長らく現場の悩みとされてきましたが、2024年問題や法規制の強化を経て、今や企業の存続を左右する最重要の経営課題へと変貌しています。求人を出しても応募が来ず、既存のベテラン層の高齢化が進む中、従来通りの採用手法や人海戦術は限界を迎えています。
こうした切迫した状況の中、LNEWS(メディアビズ主催)は5月13日、オンラインセミナー「即戦力を確保し、現場を回す。─物流人材不足の具体策」を開催します。本セミナーでは、DYDとHacobuの2社が登壇し、「外国人材の活用」と「テクノロジーによる人材変革」という2つのアプローチから、組織そのものを変革するための処方箋を提示します。本記事では、このセミナーの全貌と、業界各プレイヤーに求められる次世代の採用・育成戦略について徹底解説します。
物流人材不足の構造的課題に切り込むセミナーの全貌
物流現場の生命線である「人」の確保が困難を極める今、単なる欠員補充ではなく、多様な人材が活躍できる仕組みづくりが急務となっています。まずは、本セミナーの開催概要と各社のセッション内容を整理します。
「即戦力を確保し、現場を回す」セミナー開催概要
本セミナーはオンライン形式で実施され、物流企業の経営層や現場責任者に向けて、最新の動向と具体的なマネジメント手法が短時間で提供される構成となっています。
| 項目 | 詳細内容 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 開催日時 | 5月13日(水)13:30~14:10予定 | オンライン配信・要事前申込 |
| 参加費 | 無料 | 前日に視聴URL等を案内 |
| 登壇企業① | DYD(13:30~13:50) | テーマは「物流DX(ダイバーシティ・トランスフォーメーション)」 |
| 登壇企業② | Hacobu(13:50~14:10) | テーマは「物流人材の採用格差とその処方箋」 |
DYDが提唱する「物流DX」という新概念
前半のセッションでは、DYDの執行役員である結城聡氏が登壇します。結城氏は、人口激減という「静かな有事」に対抗するための新戦略として「物流DX(ダイバーシティ・トランスフォーメーション)」を提唱します。
2027年に予定されている特定技能(外国人材)の受け入れ拡大を見据え、今必要なのは単純な労働力の穴埋めではなく、国籍を問わず誰もが成果を出せる「多国籍チーム」への組織進化です。講演では、属人的なスキルに依存しない業務の標準化や、研修の言語化を通じたマネジメントの高度化について、規模を問わない企業の導入事例を交えて解説されます。
参考記事: 特定技能「物流倉庫」追加決定|航空グラハン含む新制度の影響と対策
Hacobuが解き明かす採用格差と人材育成の方程式
後半のセッションでは、物流SaaSを展開するHacobuの執行役員本部長である横井直樹氏が登壇します。テクノロジー企業である同社が、なぜ新たに人材紹介事業「Hacobu Career」を立ち上げたのか、その真の狙いが語られます。
横井氏は、ドライバー不足やCLO(物流統括管理者)の義務化、DX人材の不在といった課題が、もはや現場レベルではなく「経営判断を左右する構造課題」であると強調します。「完璧な人材を待つ」という従来の発想を転換し、AIを活用した人材育成の新しい方程式を提示することで、「変わる企業」に人が集まる条件を紐解きます。
参考記事: CLOが担う「物流の経営課題化」と組織改革のステップ【2026年04月版】
業界各プレイヤーに与えるパラダイムシフトと影響
本セミナーで提示される「ダイバーシティ」と「テクノロジー」の2軸は、運送事業者や荷主企業といったサプライチェーンの全プレイヤーに対し、従来の人材戦略の抜本的な見直しを迫るものです。
運送事業者における採用戦略のアップデート
労働時間の短縮が進む中で、残業代に依存してきた給与モデルは限界を迎えています。労働環境の改善が遅れた企業からは人材が流出し、採用格差は広がる一方です。運送事業者は、未経験者や外国人材といった多様な人材が早期に活躍できるよう、標準化された教育システムを導入しなければなりません。歩合や残業代に依存しない透明性の高い評価制度への移行が、今後の生存戦略の鍵となります。
参考記事: 外国人ドライバー100人の現実と物流の5年後|人手不足解決への導入戦略
荷主企業における受入体制の再設計とCLOの役割
荷主企業にとっても、委託先の物流事業者が人材不足に陥れば、自社の製品を届ける手段が断たれるという致命的なリスクを抱えています。2026年に本格施行される改正物流効率化法により、一定規模の荷主にはCLOの設置が義務付けられます。
CLOは、単なるコスト削減の責任者ではなく、サプライチェーン全体を持続可能にするための最高責任者です。運送会社に無理な待機を強いることなく、システム投資や環境整備を通じて「選ばれる物流拠点」を構築する経営判断が強く求められます。
LogiShiftの視点|選ばれる企業になるための2つの新常識
「変わる企業には着実に人が集まり始めている」というHacobu横井氏の指摘は、現在の物流業界における最大の真理です。企業が「選ばれる側」に回るために取り組むべき新常識を独自の視点で考察します。
業務の言語化と標準化が最強の投資である
DYDが提唱するダイバーシティ・トランスフォーメーションの本質は、外国人材を受け入れる過程で「組織の仕組み自体を強靭化する」ことにあります。
日本の物流現場は長らく、「あうんの呼吸」や「見て覚える」といった職人芸に依存してきました。しかし、多国籍化が進む現場では、属人的なオペレーションは致命的なミスを生みます。動画マニュアルや翻訳ツールを活用し、業務手順を明確に言語化することは、結果的に日本人スタッフの負担軽減や定着率の向上にも直結します。多様性を受け入れるための標準化こそが、企業価値を高める最強の投資となるのです。
客観的データによる評価・育成プロセスの確立
もう一つの新常識は、テクノロジーを用いた評価と育成の透明化です。従来の物流現場では、スキル評価が現場リーダーの主観に依存しがちであり、「頑張っても正当に評価されない」という不満が離職を招いていました。
WMS(倉庫管理システム)や動態管理システムのデータ、そしてAIを活用することで、作業効率や安全運転の遵守状況を客観的な数値として可視化できます。「市場で完璧な人材を探す」のではなく、未経験者を採用し、データに基づく公平な評価と育成プログラムによって「自社で完璧な人材に育て上げる」システムを持つ企業だけが、今後の人材獲得競争を勝ち抜くことができます。
参考記事: 物流DXでコスト20%減!CLO時代を生き抜く現場改善の3ステップ
まとめ|明日から取り組むべき人材戦略のステップ
5月13日に開催されるLNEWS主催のセミナーは、人材不足に悩む経営層や物流責任者にとって、表面的な採用テクニックではなく、組織の在り方そのものを問い直す貴重な機会となります。
本記事の解説を踏まえ、経営層・現場リーダーが明日から直ちに着手すべきアクションは以下の3点です。
- 現場業務の徹底的な棚卸しと標準化
「特定の個人にしかできない業務」を洗い出し、マニュアル化やシステムの導入によって属人性を排除する。 - 外国人材受け入れに向けた環境整備
2027年の特定技能拡大を見据え、言葉の壁を乗り越えるための多言語対応ツールや、メンタルケアを含むサポート体制の構築を始める。 - CLOを中心とした経営直轄の育成プロジェクト立ち上げ
人材確保を現場任せにせず、AIや客観的データを活用した透明性の高い評価制度と育成プログラムを経営主導で導入する。
人口減少という「静かな有事」はすでに進行しています。危機を成長の糧に変え、変化を恐れずに次世代の物流ネットワークを構築する企業だけが、これからの厳しい時代を生き抜くことができるでしょう。
出典: LNEWS
出典: 株式会社Hacobu


