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Home > サプライチェーン> 花王・三菱食品ら9社が挑む!共同配送「CODE」が支線配送にもたらす3つの影響
サプライチェーン 2026年4月21日

花王・三菱食品ら9社が挑む!共同配送「CODE」が支線配送にもたらす3つの影響

花王・三菱食品ら9社が挑む!共同配送「CODE」が支線配送にもたらす3つの影響

物流業界に、日本の流通構造の根幹を揺るがすメガトン級のニュースが飛び込んできました。2026年4月、花王と三菱食品を幹事企業とし、食品、日用品、医薬品、出版という業界の垣根を越えた卸・メーカー大手9社が参画する共同配送コンソーシアム「CODE(Cargo Owners’ Data-driven Ecosystem)」が発足します。

これまで、物流拠点から店舗へ向かう「支線配送(中近距離)」領域は、納品条件の複雑さや商材ごとの厳しい取り扱いルールから、企業間の共同配送は極めて困難とされてきました。しかし、物流2024年問題によるドライバー不足やコスト高騰が限界に達する中、ついに業界トップ企業たちが「データ基盤」を武器に多対多の共創へと踏み出しました。

本記事では、この歴史的な取り組みの全容を紐解き、運送・倉庫事業者への具体的な影響と、次世代の物流戦略において企業が取るべきアクションを徹底解説します。

「CODE」発足のニュース背景と詳細スキーム

今回の取り組みの最大の特徴は、同業種間での単純な相乗り(水平連携)にとどまらず、商材特性の全く異なる「異業種」が手を組み、ラストワンマイルに近い配送領域に切り込んだ点にあります。

コンソーシアム設立の事実関係

2026年4月の活動開始が予定されている本コンソーシアムには、各業界を牽引するトッププレイヤーが集結しています。以下の表に、プロジェクトの核心となる基本情報を整理しました。

項目 詳細内容 解決を目指す物流課題
幹事企業 花王株式会社、三菱食品株式会社 物流2024年問題による担い手不足
参画企業 旭食品、あらた、トーハン、日本出版販売、PALTAC、三井物産流通グループ、メディセオ(五十音順) 個社単独での車両確保の限界と配送コストの高騰
対象領域 「支線配送」領域(物流拠点から店舗や納品先までの近中距離配送) 納品先での待機時間発生と積載率の低下
活動方針 データドリブンな共同配送の実現、物流事業者への価値創出、データガバナンスの徹底 従来の人手や暗黙知に頼った非効率な配車作業

「幹線輸送」から「支線配送」へのパラダイムシフト

従来、工場から大型の物流拠点へと大量輸送する「幹線輸送」の領域においては、混載や帰り便の活用、あるいは中継輸送など、さまざまな共同配送の取り組みが進められてきました。長距離輸送はスケールメリットが出やすく、ルートも固定化しやすいからです。

一方で、地域圏内における物流拠点間の輸送や、拠点から小売店への納品を担う「支線配送」領域は、共同化の難易度が格段に上がります。店舗ごとの細かな納品時間指定、バックヤードの狭さによる車両サイズの制限、さらには店舗スタッフの検品体制に合わせた納品順序など、独自のローカルルールが複雑に絡み合っているためです。コンソーシアム「CODE」は、あえてこの最も難易度が高く、かつ非効率の温床となっていた領域に業界横断で切り込む点で、これまでの物流協調とは一線を画しています。

データドリブンな多対多マッチングの革新性

本プロジェクトが従来の共同配送と決定的に異なるのは、物理的なトラックのシェアリングを先行させるのではなく、各社の「配送先」や「荷物量」といったビッグデータを持ち寄り、共有基盤を構築する点です。

従来の人手や配車マンの長年の勘(暗黙知)に頼ったアナログな作業から脱却し、コンソーシアムが整備する「データ基盤」と「コースマッチングツール」を活用します。これにより、参加企業間で共同配送できる可能性が高いコースの組み合わせを、AI等のデジタル技術を用いて可視化し、ダイナミックな配車計画を組み上げます。
実際に、幹事企業である花王と三菱食品の間で行われた西東京や北海道などの一部地域の先行定期運行では、年間運行台数を約300台相当削減し、年間CO2排出量を約10トン削減するという確かな成果が実証されています。

共同配送「CODE」が業界に与える具体的な影響

日本最大級となるこの共同配送網の構築は、参画する9社の荷主企業だけでなく、物流実務を担う運送事業者から荷受けを行う小売業まで、サプライチェーン全体に広範な影響を及ぼします。

運送事業者・ドライバーにおける実車率の劇的向上

物流業界が抱える課題の本質が「担い手不足」であることを踏まえ、本コンソーシアムは実運行を担う運送事業者やドライバーにとっての価値創出を強く打ち出しています。

運送事業者にとって、この取り組みは積載率と実車率(走行距離に対する実車距離の割合)を極限まで高める強力な追い風となります。各社がバラバラに手配していた短時間稼働の運行同士をツールで組み合わせることで、トラック1台あたりの稼働率が飛躍的に向上します。また、複数社の荷物が1台に集約されることで、小売店舗の荷受けバースへの入場回数が減少し、ドライバーを疲弊させる最大の要因である「荷待ち時間」の大幅な削減に直結します。

倉庫・卸事業者におけるハブ拠点の統合と運用ハードル

物流センターを運営する倉庫事業者や卸売業者にとっては、異業種商材を同時に取り扱うための「超・高機能ハブ拠点」の構築が急務となります。

食品の厳格な温度帯管理、医薬品に求められる高度なトレーサビリティ要件、出版物の緻密な仕分けルール、そして日用品の多様な荷姿など、異なる管理基準を持つ商材を一つの拠点でクロスドック(積み替え)しなければなりません。これを実現するためには、高度なWMS(倉庫管理システム)による在庫・入出荷管理と、自動化マテハン機器への積極的な投資が不可欠となります。現場の作業員が迷わずミスなく作業できるデジタルピッキングシステム等の標準化設備の導入が、プロジェクト継続の命綱となるでしょう。

メーカー・荷主における物流コストの抑制とCO2削減

荷主企業にとっては、高騰の一途をたどる運賃をシェアリングすることで、物流コストの上昇圧力を緩和できるという直接的なメリットがあります。

さらに、2026年には改正物流効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)に基づく取り組みが本格化し、一定規模以上の荷主には中長期的な効率化計画の策定が義務付けられます。本取り組みを通じたトラック台数の削減とCO2排出量の大幅な低減は、法令順守のみならず、Scope3対応を含む企業のESG評価向上に直結する極めて戦略的な一手となります。

参考記事: 共同輸配送事業計画完全ガイド|総合効率化計画のメリットからDX戦略まで徹底解説

LogiShiftの視点|フィジカルインターネットの試金石と今後の予測

今回のニュースは、単なる物流効率化の成功事例にとどまらず、国が推進する「フィジカルインターネット(物流網の究極的な共有と標準化)」の実現に向けた、日本最大級の社会実装事例として歴史に刻まれるでしょう。ここからは、専門家の視点から本プロジェクトの真の価値と、企業が越えるべき壁を考察します。

「異業種混載」が生み出す究極の積載効率

同業種同士の共同配送は、商流や荷姿が似ているため連携しやすい反面、繁忙期や需要のピークが完全に重なってしまうという弱点がありました。しかし、異業種が手を組むことで、季節変動や需要の波を相互に補完し合い、年間を通じて物流リソースを平準化させることが可能になります。

さらに物流実務の観点で見れば、日用品のような「かさばるが軽い(容積勝ち)」商材と、食品や書籍のような「小さくても重い(重量勝ち)」商材を同じトラックに混載することで、車両の容積制限と重量制限の双方を無駄なく限界まで使い切る理想的な運行が実現します。これは異業種連携だからこそ成し得る究極の最適化です。

データ標準化とコンプライアンス(独禁法)の壁

一方で、この壮大なプロジェクトの成否を分ける最大の懸念事項が「システム上のデータ標準化」と「データガバナンス」です。

異なる9社の出荷データをシームレスに連携させるためには、各社で異なる商品コード(JANコードやGLNなど)や納品先マスターの粒度、さらにはパレットサイズの規格を統一する必要があります。加えて、運賃や原価、新製品の出荷計画といった競争法(独占禁止法)上問題となる機密情報が他社に漏れるリスクを完全に遮断しなければなりません。
実務においては、独立した第三者機関(3PL事業者やコンサルティングファーム)を介してデータをマスキングし、ブラックボックス化した上で配車計算のみを出力するような、強固な情報連携基盤の構築が必須となるでしょう。

参考記事: 卸大手9社が共同配送へ!効率20%増を実現する異業種連携と3つの影響

未来予測:中堅・中小企業も巻き込むオープンプラットフォーム化

「CODE」は、その名称に「物流業界の新たなコード(規範)になる」という決意が込められている通り、今後は幹事・参画の9社にとどまらず、コンソーシアム規模の拡大を明言しています。

数年後には、大手企業が先行して構築したこの強固なデータ基盤と共同配送網に、中堅・中小の荷主企業が次々と「相乗り」していくオープンプラットフォーム化が急速に進むと予測されます。「自社の荷物は自社専用のトラックで運ぶ」というサイロ化された古い物流モデルは、もはや維持不可能な時代へと突入しています。

まとめ:持続可能な物流網構築に向けて明日から意識すべきこと

花王、三菱食品をはじめとする業界トップ9社による共同配送コンソーシアム「CODE」の設立は、物流インフラの共有化が避けられない現実であることを業界全体に突きつけました。このニュースを受けて、物流関係者や経営層が明日から意識し、実行すべきアクションは以下の3点です。

  • 自社物流のオープン化と協調領域の探索
    • 競合他社や異業種を単なるライバルではなく「物流インフラをシェアするパートナー」として捉え直し、共同配送の可能性をゼロベースで検討する。
  • データ標準化への先行投資
    • いつ他社との共同プラットフォームに合流してもシステムの障壁とならないよう、自社の伝票フォーマット、商品マスター、パレットや外装段ボールの規格の標準化(業界標準への適合)を急ぐ。
  • 納品サービスレベル(SLA)の全社的な見直し
    • 支線配送の共同化には納品先の理解が不可欠です。営業部門と物流部門が連携し、過度な時間指定や多頻度小口配送を見直し、小売店舗へリードタイム延長や計画的発注の交渉を開始する。

物流は今やコストセンターではなく、社会インフラを維持し企業の成長を担保する最大の競争領域です。異業種トッププレイヤーたちの英断をモデルケースとし、あらゆる制約を乗り越えた新たなサプライチェーンの構築へと歩みを進める時が来ています。


出典: 株式会社トーハン ニュースリリース
出典: 花王株式会社 ニュースリリース
出典: 三菱食品株式会社 ニュースリリース

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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