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Home > 輸配送・TMS> 花王ら異業種9社でCODE始動!支線配送を根本から変革する3つの影響
輸配送・TMS 2026年5月7日

花王ら異業種9社でCODE始動!支線配送を根本から変革する3つの影響

花王ら異業種9社でCODE始動!支線配送を根本から変革する3つの影響

物流業界に、日本の流通構造の根幹を揺るがすメガトン級のニュースが飛び込んできました。2024年5月7日、花王と三菱食品を幹事企業とし、食品、日用品、医薬品、出版という業界の垣根を越えた有力企業9社が参画する共同配送コンソーシアム「CODE(Cargo Owners’ Data-driven Ecosystem)」の第1回代表者会議が東京都内で開催され、本格始動しました。

これまで、工場から大型拠点への「幹線輸送」では共同化が進んでいましたが、拠点から店舗や納品先へ向かう「支線配送(中・近距離輸送)」領域は、納品条件の複雑さから手付かずの「聖域」とされてきました。しかし、物流2024年問題によるドライバー不足が限界に達する中、トップ企業たちが自ら能動的にデータを持ち寄り、AIとクラウド基盤を武器に多対多の共創へと踏み出しました。

本記事では、この歴史的な取り組みの全容を紐解き、運送・倉庫事業者への具体的な影響と、次世代の物流戦略において企業が取るべきアクションを徹底解説します。

コンソーシアム「CODE」発足の背景とスキーム詳細

今回の取り組みの最大の特徴は、同業種間での単純な相乗り(水平連携)にとどまらず、商材特性の全く異なる「異業種」が手を組み、共同化が最も困難とされてきた配送領域にデータ駆動型のアプローチで切り込んだ点にあります。

異業種9社が集結したプロジェクトの事実関係

第1回代表者会議を経て始動した本コンソーシアムには、各業界を牽引するトッププレイヤーが集結しています。プロジェクトの核心となる基本情報を以下の表に整理しました。

項目 詳細内容 解決を目指す物流課題 運営体制・備考
幹事企業 花王株式会社、三菱食品株式会社 物流2024年問題によるトラックドライバー不足 当面は幹事社がコスト負担し実務を牽引
参画企業 旭食品、あらた、トーハン、日本出版販売、PALTAC、三井物産流通グループ、メディセオ 個社単独での安定的な車両確保の限界と運賃高騰 異業種商材(食品、日用品、出版、医薬)
対象領域 支線配送(物流拠点から店舗等の近・中距離輸送) 納品先の細分化による積載率低下と長時間の荷待ち これまで共同化が最も困難とされた領域
技術基盤 外部クラウドプラットフォーム「Snowflake」の活用 機密情報の漏洩リスクとデータガバナンスの壁 将来的な法人化や会費制の導入も視野

従来困難だった「支線配送」領域への挑戦

工場から大型の物流拠点へと大量輸送する「幹線輸送」においては、ルートが固定化しやすく、混載や帰り便の活用といった共同化が比較的容易でした。一方で、地域圏内における拠点間の輸送や、小売店への納品を担う「支線配送」は、店舗ごとの細かな納品時間指定や車両サイズの制限など、複雑なローカルルールが絡み合っています。

花王の森信介執行役員CLOが「納品条件に合わせた対応をはじめとする課題があり、共同化などが進んでいない」と指摘する通り、各社の個別対応が常識でした。CODEは、あえてこの非効率の温床となっていた領域に業界横断で切り込む点で、これまでの物流協調とは一線を画しています。

Snowflakeを活用したデータガバナンスの徹底

本プロジェクトが従来の共同配送と決定的に異なるのは、物理的なトラックのシェアを先行させるのではなく、各社のビッグデータを持ち寄り「データプラットフォーム」と「コースマッチングツール」を構築する点です。

特定企業の社内環境に全企業のデータが格納されることを避けるため、外部のクラウドプラットフォームであるSnowflakeを活用しています。参加企業はデータをSnowflakeに格納し、幹事にアクセス権を付与する仕組みを採用することで、独占禁止法やコンプライアンス上の懸念を払拭しつつ、多対多のダイナミックな配車マッチングを可能にしています。

参考記事: 卸大手9社が共同配送へ!効率20%増を実現する異業種連携と3つの影響

共同配送「CODE」がサプライチェーンに与える具体的な影響

日本最大級となるこの共同配送網の構築は、参画する9社の荷主企業だけでなく、物流実務を担う運送事業者から倉庫業者まで、広範な影響を及ぼします。

運送事業者における車両稼働率の飛躍的向上と待機削減

物流業界が抱える課題の本質が担い手不足であることを踏まえ、CODEは「物流事業者・ドライバーにとっての取り組み価値の重視」をテーマに掲げています。

各社が個別に手配していた短時間稼働の運行同士をツールで組み合わせることで、トラック1台あたりの稼働率(実車率・積載率)が飛躍的に向上します。また、複数企業の配送エリアの「面と面が重なる」ことで、小売店舗の荷受けバースへの入場回数が減少し、ドライバーを疲弊させる最大の要因である荷待ち時間の大幅な削減に直結します。

倉庫・卸事業者における異業種クロスドック機能の要請

物流センターを運営する倉庫事業者や卸売業者にとっては、異業種商材を同時に取り扱うための超・高機能ハブ拠点の構築が急務となります。食品の厳格な温度帯管理、医薬品に求められる高度なトレーサビリティ、出版物の緻密な仕分けルールなど、異なる管理基準を持つ商材を一つの拠点でクロスドック(積み替え)しなければなりません。これを実現するためには、高度なWMS(倉庫管理システム)と自動化マテハン機器への積極的な投資が不可欠となります。

荷主企業におけるESG対応と物流プラットフォームの確立

荷主企業にとっては、高騰の一途をたどる運賃をシェアリングすることで、物流コストの上昇圧力を緩和できる直接的なメリットがあります。さらに、トラック台数の削減とCO2排出量の大幅な低減は、単なるコスト削減にとどまらず、Scope3対応を含む企業のESG評価向上に直結する極めて戦略的な一手となります。

参考記事: 花王・三菱食品ら9社が挑む!共同配送「CODE」が支線配送にもたらす3つの影響

LogiShiftの視点|フィジカルインターネット実現に向けた試金石

今回のニュースは、単なる物流効率化の成功事例にとどまらず、国が推進する「フィジカルインターネット(物流網の究極的な共有と標準化)」の実現に向けた、日本最大級の社会実装事例として歴史に刻まれるでしょう。ここからは専門家の視点から、本プロジェクトの真の価値と今後の予測を考察します。

重量と容積のパズルを解く「異業種混載」の真髄

三菱食品の田村幸士取締役が「これまで解決は無理だと思いこんできた課題に対する概念の枠を外し、どうすれば一緒に運ぶことができるかを考えるために集まった」と述べる通り、異業種混載には絶大なポテンシャルが秘められています。

同業種同士の共同配送は、繁忙期や需要のピークが完全に重なってしまう弱点がありました。しかし、日用品のような「かさばるが軽い(容積勝ち)」商材と、食品や書籍のような「小さくても重い(重量勝ち)」商材を同じトラックに混載することで、車両の容積制限と重量制限の双方を無駄なく限界まで使い切る理想的な運行が実現します。これこそが、異業種連携だからこそ成し得る究極の最適化モデルです。

オープンプラットフォーム化による中堅・中小企業の巻き込み

CODEは任意団体として発足しましたが、将来的には法人化や他企業の参画、会費制の導入も視野に入れています。これは、限られた大手企業だけのクローズドなネットワークを作るのではなく、社会インフラとしてのオープンプラットフォームを目指すという強い決意の表れです。

数年後には、大手企業が先行して構築したこの強固なデータ基盤と共同配送網に、中堅・中小の荷主企業が次々と相乗りしていく展開が急速に進むと予測されます。自社の荷物は自社専用のトラックで運ぶというサイロ化された古い物流モデルは、もはや維持不可能な時代へと突入しています。

参考記事: フィジカルインターネットとは?2024年問題と物流崩壊を救う革新モデルの全貌

まとめ:持続可能な物流網構築に向けて明日から意識すべきこと

花王、三菱食品をはじめとする業界トップ9社による共同配送コンソーシアム「CODE」の本格始動は、物流インフラの共有化が避けられない現実であることを業界全体に突きつけました。このニュースを受けて、物流関係者や経営層が明日から意識し実行すべきアクションは以下の3点です。

  • 自社物流のオープン化と協調領域の探索
    • 競合他社や異業種を単なるライバルではなく物流インフラをシェアするパートナーとして捉え直し、共同配送の可能性をゼロベースで検討する。
  • データ連携を前提としたシステムの標準化
    • いつ他社との共同プラットフォームに合流してもシステムの障壁とならないよう、自社の伝票フォーマット、商品マスター、パレットや外装段ボールの規格の標準化を急ぐ。
  • 納品サービスレベル(SLA)の全社的な見直し
    • 支線配送の共同化には納品先の理解が不可欠であるため、営業部門と物流部門が連携し、過度な時間指定や多頻度小口配送を見直す交渉を開始する。

物流は今や単なるコストセンターではなく、社会インフラを維持し企業の持続的な成長を担保する最大の競争領域です。異業種トッププレイヤーたちの英断をモデルケースとし、新たなサプライチェーンの構築へと歩みを進める時が来ています。


出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: 花王株式会社 ニュースリリース
出典: 三菱食品株式会社 ニュースリリース
出典: 株式会社トーハン ニュースリリース

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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