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Home > 事例・インタビュー> 日本トランスシティが発注1か月でAutoFork導入、垂直搬送の効率化に直結
事例・インタビュー 2026年7月28日

日本トランスシティが発注1か月でAutoFork導入、垂直搬送の効率化に直結

日本トランスシティが発注1か月でAutoFork導入、垂直搬送の効率化に直結

ハクオウロボティクスは2026年7月28日、日本トランスシティの物流拠点において自動フォークリフト「AutoFork」の稼働を開始し、垂直搬送機へのパレット投入工程の自動化を実現したと発表しました。発注から約1か月という短期間で立ち上げに成功した本プロジェクトは、専任オペレーターの待機時間削減と人手不足対策を両立する自動化アプローチとなります。

ニュースの背景・詳細

日本の物流現場において、2024年問題以降の労働力不足は一段と深刻化しています。特に総合物流企業や3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者の保管・輸配送拠点で課題となっているのが、特定の作業工程に固定で人を配置しなければならない「工程間のボトルネック」です。

大手総合物流事業者である日本トランスシティ株式会社(以下、日本トランスシティ)の輸出・国内在庫機能を担う物流拠点においても、垂直搬送機を用いた階層間搬送におけるオペレーターの専任配置と、設備稼働に伴う「待機時間」の発生が大きな課題となっていました。

従来の課題と「垂直搬送工程」に潜むボトルネック

対象となった物流拠点の国内在庫エリアでは、1階の在庫仮置き場から2階の保管エリアへ製品パレットを移送するため、垂直搬送機が稼働しています。

従来は、有人フォークリフトのオペレーターが垂直搬送機のコンベア稼働状況を都度目視で確認しながら、製品パレットを慎重に投入していました。この運用には以下のような課題が存在していました。

  • 専任作業者の張り付き: 垂直搬送機のコンベアへ正確にパレットを積載するため、専用のフォークリフトオペレーターを常時配置する必要があった。
  • 設備待ちによるロス時間: 垂直搬送機が別の荷物を搬送中である場合、オペレーターはコンベア前で稼働が完了するのを待機しなければならず、作業効率の低下を招いていた。
  • 身体的負荷と精神的ストレス: 狭いコンベア投入口への精密なパレット荷役に加え、設備稼働状態への細かな注意払いが必要であり、オペレーターの負荷が大きかった。

参考記事: 垂直搬送機とは?物流倉庫の自動化を支える基礎知識と導入メリット

発注からわずか約1か月で稼働開始を実現した背景

本プロジェクトの最大の特筆点は、自動化システムの「立ち上げスピード」です。通常、自動フォークリフト(AGF)や自動搬送機(AGV)を導入する際は、現場調査からシステム設計、敷設工事、既存システム(WMS/WCS)との調整を含めて半年から1年以上を要することが一般的です。

しかし、ハクオウロボティクス株式会社(以下、ハクオウロボティクス)が開発した自動フォークリフト「AutoFork」は、発注から約1か月という短期間での運用開始を達成しました。この超短期間立ち上げを可能にした技術的・構造的背景には、以下の要素があります。

大規模な施設改修を不要とする「反射ポール」自己位置認識技術

AutoForkは、建屋内や柱に設置した反射ポールをセンサで認識して自身の位置を把握する自己位置認識技術(SLAM等と組み合わされた誘導方式)を採用しています。床面への誘導テープ貼りや、磁気テープ埋め込みといった大規模な施設改修工事が一切不要なため、既存レイアウトのまま即座に導入環境を整備することが可能です。

最大荷重570kg・免許不要区分の小型ウォーキー型ベース車体

AutoForkのStandardモデルは、三菱ロジスネクスト製のウォーキー型フォークリフト(コーターリフト)をベース車体に採用しています。最大荷重は570kg(1トン未満)に設計されており、日本の労働安全衛生法上、フォークリフト運転技能講習(いわゆるフォークリフト免許)を必要としない区分に属します。機体が小型で取り回しが容易であり、作業者の近くでも安全に運用できるフレキシビリティを備えています。

既存設備との連動を可能にする「爪先センサー」と制御ロジック

垂直搬送機との物理的・システム的連携において、AutoForkは機体の爪先(フォーク先端)に配備されたセンサーを活用しています。コンベア上に先行する荷物があるかどうかの「在荷状態」をセンサーで直接検知し、在荷がある場合は自動で待機モードへと移行します。コンベアが空き次第、パレットを取得して投入作業を再開するため、垂直搬送機側の複雑な制御システム改修を行うことなく、安全かつスムーズな機器連携を実現しました。

動作を記憶・再現する「プレイバック機能」と画像認識

搭載されたカメラシステムにより、複数列に配置された不整列なパレットをまとめて一括認識し、正確な取得作業を行います。また、手動走行や荷役動作を記憶させて自動再現する「プレイバック機能」を備えており、教示(ティーチング)にかかる時間を最小限に抑えています。

参考記事: AGF(無人フォークリフト)の導入方法|AGVとの違いやメリット、失敗しない5つのステップを解説

ロジスネクストジャパン経由による初の導入案件

本件は、ハクオウロボティクスと三菱ロジスネクストグループの強力な販売・供給提携に基づく初の結実事例でもあります。両社の協業スキームおよび本プロジェクトの全貌を、以下のプロファイルに整理します。

日本トランスシティ「AutoFork」導入プロジェクトの概要

項目 詳細内容 特記事項・補足
発表日 2026年7月28日 ハクオウロボティクス公式リリース
導入企業 日本トランスシティ株式会社 輸出および国内在庫機能を担う物流拠点
開発企業 株式会社ハクオウロボティクス 代表取締役:鈴木智広
販売協業 ロジスネクストジャパン株式会社 三菱ロジスネクストグループ経由の初納入
導入機器 自動フォークリフト「AutoFork」(Standardモデル 1台) 三菱ロジスネクスト製ウォーキー型ベース(最大荷重570kg)
対象工程 1階在庫仮置き場〜垂直搬送機へのパレット投入 複数列パレットの認識、取得、投入、待機制御
導入リードタイム 発注から約1か月で稼働開始 床面工事・大規模改修なしの超短納期立ち上げ
処理規模 日次100〜150パレット 定常的な搬送業務の省人化・安定運用
オペレーターの変化 直接荷役から「仮置き」と「AutoForkへの指示」へ変更 専任張り付き・設備待ち時間の解消・軽減

両社は2024年12月に車体供給等に関する合意を締結し、2025年8月には「AutoFork」の国内販売協業に向けた業務提携を発表しました。2025年9月より全国の三菱ロジスネクスト販売網を通じて「AutoFork」の本格販売が開始されており、今回の日本トランスシティでの稼働開始は、「ロジスネクストジャパン株式会社」を経由した初の記念すべき導入実績となります。

参考記事: 搬送システムとは?種類や選定基準、物流自動化・DXを成功させる導入プロセスを徹底解説


業界への具体的な影響

日本トランスシティによる「AutoFork」の超短納期導入事例は、人手不足に悩む物流業界の多様なプレイヤーに対して、実効性の高いソリューションの選択肢を明確に提示しています。

1. 倉庫事業者・3PL:特定工程を狙い撃ちした「低コスト・早期回収型」自動化の実現

物流倉庫や3PL企業にとって、従来の自動化投資(自動倉庫の建設や大規模なAGV/AGFシステムの導入)は、「数億円の投資」と「数年単位の導入期間」を要するリスクの高い決断でした。荷主との契約期間が3〜5年程度に設定されることが多い3PL事業において、長期間の回収サイクルを前提とした大規模投資は、契約非更新時のリスクが大きすぎるという致命的な問題がありました。

今回の事例は、垂直搬送機への投入という「最も人手と待機時間が無駄になっていた特定の点(ピンポイント)」にターゲットを絞り、発注から約1か月で日次100〜150パレットの搬送を自動化させた点が画期的です。

投資額を抑えて早期の投資回収を図る「スモールスタート&クイックウィン(即効性のある成功)」モデルは、3PL事業者にとって荷主変更リスクを低減し、現場の採算性を改善する現実的な解となります。

2. SaaS・テクノロジーベンダー・マテハンメーカー:既存設備をそのまま活かす「センサー協調制御」の提示

テクノロジーベンダーや既存のマテハン機器(垂直搬送機、コンベア、エレベーター等)メーカーにとって、本件は「既存設備の大規模なシステム改修を行わずに連携する」ための優れたリファレンス(参照モデル)となります。

これまでのマテハン連携では、WCS(倉庫制御システム)やPLC(プログラマブルロジックコントローラ)同士を信号通信(信号線配線や上位通信プロトコル構築)で接続するのが一般的であり、これ自体がコスト高と工期長期化の要因でした。

しかし、AutoForkは「爪先センサーによる在荷検知」という物理的・センシングによるアプローチで、相手側設備の信号改修を行わずに安全な自動稼働・待機制御を成立させました。「既存設備に手を出さず、後付けのハードウェア制御でシームレスに調和する」このアプローチは、今後の物流ロボティクスにおけるデファクトスタンダードとなる可能性を秘めています。

参考記事: 物流ロボティクスとは?2024年・2026年問題に立ち向かう省人化・自動化の基礎知識と導入ステップ

3. 現場オペレーター・作業環境:「直接搬送」から「指示・監視業務」への役割転換

現場で働く作業者にとっても、本導入は大きな環境改善をもたらします。オペレーターの仕事は「垂直搬送機の前で待機し、狭い投入口に集中してパレットを押し込む作業」から、「パレットをAutoForkの仮置きエリアに置き、端末から指示を出す業務」へと変化しました。

これにより、以下のメリットが現場にもたらされます。

  • 身体的・精神的負担の劇的軽減: 待機時間のイライラや、コンベア投入時の精密荷役ストレスから解放される。
  • 人車分離による安全性向上: 有人フォークリフトが垂直搬送機の至近距離まで進出する必要がなくなり、作業員や他車両との接触リスクが低減する。
  • 高付加価値作業へのシフト: 浮いた作業時間を、検品・検収や他の高難度な荷役作業へと割り振ることが可能になる。

LogiShiftの視点(独自考察)

物流専門メディア「LogiShift」の視点から本ニュースを捉え直すと、日本国内の物流 DX(デジタルトランスフォーメーション)が新たなフェーズに突入したことが浮き彫りになります。

「重厚長大な数億円投資」から「工程特化・後付け型」への不可逆な構造変化

かつて物流の自動化といえば、巨大な建屋全体に立体自動倉庫(クレーン式)を組み込み、マテハン設備を網の目のように配置する「重厚長大投資」が王道でした。しかし、そうした「固定化された自動化」は、EC市場の急拡大や取り扱い商材の頻繁な変化、さらには建築資材・人件費の高騰によって、極めてリスクの高い戦略となっています。

日本トランスシティの事例が証明したのは、既存の倉庫レイアウトや既存の垂直搬送機を「何一つ壊さず、改修もせず」、必要とする工程だけに「AutoFork」というモジュールを後付け(アドオン)するスマートな自動化スタイルです。

都市型物流施設における保管効率最大化とAGF導入の成功例として、豊田自動織機と杉孝の事例(自動倉庫とAGFの連携による保管面積66%削減)が挙げられますが、本件の日本トランスシティの事例は「既存拠点の特定工程を、1か月・低コストで局所自動化する」という、より即効性の高いアプローチを示しています。

「点」の自動化から「線」への拡張戦略(プレイバック機能の活用)

ハクオウロボティクスと日本トランスシティは、今回の垂直搬送機投入工程の自動化(=「点」の自動化)にとどまらず、今後はAutoForkの「プレイバック機能」を活用した横搬送の自動化(=「線」の自動化)へ領域を順次拡大する計画を掲げています。

プレイバック機能により、作業者が一度手動で走行・荷役したルートを記憶・再現できるため、倉庫内のレイアウト変更や搬送ルートの追加・修正にも柔軟に対応できます。

一度に全体の自動化を目指して挫折するのではなく、まずは最も投資対効果の高い「垂直搬送機の投入工程(日次100〜150パレット)」を確実に自動化し、現場の信頼を得た上で運用エリアを「点から線へ」と広げていく手法は、失敗しない物流DXの模範的なロードマップと言えます。


まとめ|明日から意識すべきアクション

日本トランスシティとハクオウロボティクスが実現した「発注1か月での垂直搬送工程自動化」は、人手不足とコスト増に直面する全ての物流事業者にとって、今すぐ参考にすべき現場改革のヒントを示しています。

経営層や現場のリーダーが明日から自社の現場で意識・実践すべきアクションは以下の3点です。

  1. 現場内に潜む「設備待ちの待機時間」と「専任張り付き工程」を洗い出す
  2. 垂直搬送機、エレベーター、荷降ろしバースなど、人が「設備が空くのを待っている無駄な時間」が発生している工程を数値化・特定する。
  3. 大規模改修を伴わない「後付け型(アドオン型)マテハン・ロボット」を優先検討する
  4. 床面工事不要の自己位置認識技術や、爪先センサーによる機器間連携など、既存レイアウト・既存設備を改修せずに導入できるローコード/ノーコード型の自動化機器を比較検討する。
  5. 「点」からの小規模導入(スモールスタート)で即座に実績を作り、段階的に「線」へと拡張する
  6. 最初から現場全体の完全自動化を目指さず、日次100パレット規模の単一工程から稼働を開始し、確実に投資回収と作業負荷軽減の実績(クイックウィン)を作った上で、横搬送や別エリアへと適用範囲を広げる。

「予算がない」「導入に時間がかかる」「既存倉庫だから自動化できない」という従来の言い訳は、もはや通用しない時代になりつつあります。自社現場のボトルネック工程を的確に見抜き、柔軟なテクノロジーをいち早く実装する柔軟さこそが、これからの物流企業に求められる最大の競争力です。


出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: PR TIMES

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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