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倉庫管理・WMS 2026年8月19日

カリツーが東広島に5831㎡の物流拠点を新設、分散集約で輸送効率化へ

カリツーが東広島に5831㎡の物流拠点を新設、分散集約で輸送効率化へ

カリツー株式会社は2026年8月17日、広島県東広島市に倉庫面積5,831平方メートルの「東広島物流センター」を新設し、分散していた地域内の物流機能を集約しました。トラックドライバーの時間外労働規制や改正物流効率化法の施行により輸配送リソースの最適配置が急務となる中、地域拠点の統合による横持ち輸送の削減と実車率向上はサプライチェーン強靭化の試金石となります。

カリツー「東広島物流センター」新設と広島エリア再編の全体像

総合物流企業のカリツー株式会社(本社:愛知県安城市)は、中国エリアにおける物流オペレーションの高度化と管理コストの最適化を目的として、広島県東広島市志和町に「東広島物流センター」を開設しました。

本センターの立ち上げに伴い、これまで広島地区の複数拠点に分散していた保管・輸送・業務管理の各機能が一極に統合されます。また、既存拠点である「広島海田物流センター」を「海田センター」へと改称し、エリア内における役割分担を明確に再定義しました。

東広島物流センターの施設概要と立地優位性

新設された東広島物流センターは、倉庫面積5,831平方メートルを有し、中国エリアにおける幹線輸送と地域内配送の結節点としての機能を担います。

以下は、今回開設された新センターの主要スペックおよび施設概要です。

項目 詳細情報
施設名称 カリツー株式会社 東広島物流センター
開設日 2026年8月17日
所在地 〒739-0265 広島県東広島市志和町冠67-1
倉庫面積 5,831m²
主要機能 保管・荷役・幹線輸送中継・エリア配送・統括業務管理
関連再編 既存の広島海田物流センターを「海田センター」へ改称

山陽自動車道へのアクセス性に優れた東広島市志和町に立地することで、広島市中心部への地域配送のみならず、山陽・山陰両方面へ広がる中四国広域ネットワークへの迅速な接続が可能となります。

中国圏におけるネットワーク規模と集約の狙い

カリツーが展開する中国圏の拠点群において、倉庫面積の合計は約9,931平方メートルに達します。今回稼働した東広島物流センター(5,831平方メートル)は、同社が中国エリアで保有する倉庫キャパシティの過半を占める中核ハブとなります。

これまで広島エリアでは、需要の変動や取引先ごとの個別要請に応じて複数箇所に一時保管倉庫や営業所が分散配置されていました。しかし、拠点が細分化されている状態では、拠点間を結ぶ「横持ち輸送」が頻繁に発生し、車両手配や荷役作業の重複、間接管理コストの肥大化が課題となっていました。

東広島物流センターへの機能統合により、入出庫から在庫保管、配車計画、一般事務管理までを同一施設内で一元的に完結できる体制が整いました。

参考記事: 横持ちとは?物流・建設現場で発生するコスト増加を防ぐ削減ノウハウ


拠点集約が物流サプライチェーンに与える4つの構造的メリット

物流業界では、拠点の「分散」から「集約」へのシフトが急速に進んでいます。東広島物流センターの開設に見られる機能統合は、単なる固定費削減にとどまらず、輸送効率と労務環境を抜本的に改善する効果を持ちます。

1. 拠点間「横持ち輸送」の撲滅による輸送ロスの排除

拠点が複数に分かれている場合、本拠点から溢れた在庫を外部倉庫へ一時的に退避させ、出荷時に再び引き戻す「ピストン輸送(横持ち)」が日常的に発生します。

横持ち輸送は、荷物を目的地へ前進させる工程ではなく、同一エリア内を循環させるだけの非付加価値作業です。ドライバーの運転時間やバースでの待機時間を消費し、燃料費やCO2排出量を押し上げる直接の原因となっていました。

東広島物流センターに保管・仕分け機能を統合したことで、この不要な移動工程が物理的に消滅し、輸送リソースを本来の幹線輸送や顧客配送へと集中させることが可能になります。

2. 配送ルートの一元化と実車率・積載効率の向上

分散拠点から個別に出荷を行う体制では、それぞれの拠点から発車するトラックの積載率が低下しやすく、空車走行距離(実車率の低下)が伸びる傾向にありました。

拠点を1箇所に束ねることで、同一方向へ向かう貨物の集約(ロットの大型化)が容易になります。複数の納品先へ向けた共同混載やミルクラン(巡回集荷・配送)のルート設計が最適化され、トラック1台あたりの積載効率が大幅に向上します。

参考記事: 配送密度向上とは?積載率との違いやコスト削減を実現する手法・事例を解説

3. マテハン設備と管理人員の集中による庫内生産性向上

小規模な分散倉庫では、フォークリフトや自動化機器などの設備投資が重複し、稼働率にバラつきが生じます。また、拠点ごとに倉庫管理者や事務員を配置する必要があり、労働生産性が頭打ちになりがちです。

東広島物流センターのような中大型ハブへ機能を集約すれば、マテハン機器の集中的な稼働が可能になり、入出庫の波動に応じた人員の柔軟な再配置が実現します。管理システムの統合と合わせて、庫内作業全体の生産性が底上げされます。

4. 2026年本格施行「改正物流効率化法」への適合

2026年4月に本格施行された改正物流効率化法では、荷主および物流事業者に対して、荷待ち・荷役時間の削減(合計2時間以内ルール)や積載率の向上が強く求められています。

拠点の分散は荷待ち時間の長期化を招く主要因の1つです。受発注情報と実運送を一括制御できるハブ拠点の構築は、法規制へのコンプライアンスを担保し、荷待ち・荷役時間を最小化するための有効な解決策となります。

参考記事: 改正物流効率化法で2026年4月本格施行される2時間ルールと荷主の3大義務


業界各プレイヤーに及ぶ具体的なインパクト

カリツーによる東広島での拠点集約と機能強化は、地域内の運送事業者、トラックドライバー、そして荷主企業(製造業・流通業)のそれぞれに対して明確な変化をもたらします。

運送事業者:コスト構造の抜本改善と配車効率の最大化

運送会社にとって、集荷先や納品先が点在する状態は、配車計画の複雑化と運行コストの上昇に直結していました。

東広島物流センターへの集約により、集荷・中継ポイントが1箇所に定まるため、配車の組み合わせパターンが簡素化されます。これにより配車マンの業務負荷が軽減されると同時に、地場配送における空車回送区間が削減され、実車率が向上します。

燃料価格の高騰や人件費の上昇が続く中で、1運行あたりの収益性を高める強固な運行モデルを構築できます。

トラックドライバー:拘束時間の短縮と労働環境の適正化

ドライバーにとって、複数拠点を回って積み降ろしを行う「立ち寄り運行」や、拠点間の横持ち作業は、拘束時間を長期化させる主因でした。

積み地・降ろし地が東広島物流センターに統合されることで、複雑な運行動線が解消され、1日の運行スケジュールが計画通りに進みやすくなります。無駄な待機時間や附帯荷役が削減されるため、改善基準告示が定める拘束時間上限の遵守が容易になり、労務環境の健全化に直結します。

製造業者・荷主企業:サプライチェーンの可視化とリードタイム短縮

製造業者やメーカーにとって、物流拠点の集約は在庫管理の精度向上と出荷スピードの改善を意味します。

従来のように「A倉庫に在庫がなくB倉庫から横持ちして出荷する」といったタイムロスがなくなり、受注から出荷までのリードタイムが短縮されます。また、WMS(倉庫管理システム)上での在庫データが一元化されるため、欠品リスクや過剰在庫の滞留を防止し、サプライチェーン全体のトレーサビリティが強化されます。

参考記事: 3PL(サードパーティ・ロジスティクス)とは?導入メリットと失敗しない選定ポイントを解説


LogiShiftの視点:小規模分散から「高効率中核ハブ」への再編トレンド

カリツーの東広島物流センター開設は、日本の地域物流が「小規模分散型」から「高効率中核ハブ型」へと舵を切っている業界全体の構造変化を象徴しています。

従来、日本の物流ネットワークは「荷主の工場の近隣」や「顧客の配送先エリアごと」に小規模な倉庫を細かく配置する個別最適型が主流でした。しかし、人口減少とドライバー不足が深刻化する2020年代後半において、この分散構造は維持困難な高コストモデルへと変貌しています。

今後の地域物流網で生き残るための鍵は、以下の2点に集約されます。

第1に、地域内における「ハブ&スポーク」の再構築です。東広島のように高速道路網へのアクセスに優れた交通結節点に中核ハブを置き、そこから各配送先(スポーク)へ高密度に荷物を運ぶ構造へ転換することで、輸送効率を極限まで引き上げることが可能になります。

第2に、ハードウェア(施設規模)とソフトウェア(デジタル管理)の一体化です。単に倉庫を大きくするだけでなく、受発注、配車、庫内動線をデジタルで一気通貫に制御できなければ、集約によるスケールメリットは発揮できません。カリツーのように管理業務までを含めて1箇所に統合するアプローチは、今後の拠点再編における標準形と言えます。

参考記事: 物流ハブの仕組みとは?ハブ&スポーク方式のメリットと拠点設計のポイントを解説


まとめ:明日から自社の物流ネットワークで見直すべき3つの実務

東広島物流センターの稼働事例は、すべての荷主企業や物流事業者に対して、自社の拠点ネットワークのあり方を再点検する契機を与えています。明日から実践すべきアクションは以下の3点です。

  1. 自社サプライチェーンにおける「横持ち輸送」の実態把握とコスト算出
    自社の工場、外部倉庫、配送デポの間で発生しているピストン輸送の頻度、走行距離、待機時間、およびそれに伴う委託費用を洗い出します。
    無駄な移動コストを数値化し、集約による投資対効果を定量的に評価してください。

  2. 配送先エリアを基準とした「ハブ拠点」の立地適正評価
    既存の倉庫立地が過去の商流の都合で決まっていないかを検証します。
    高速道路インターチェンジへのアクセス性や、主要な納品先への配送密度を高められる結節点に拠点が配置されているかを再検討してください。

  3. 管理業務と配車機能の一元化によるオペレーション標準化
    拠点ごとに属人化している配車計画や在庫管理プロセスを棚卸しし、共通システムへの統合を推進します。
    物理的な集約に先行して管理機能の統合を進めることで、拠点再編時のオペレーション混乱を防止できます。

物流リソースの希少性が一段と高まるこれからの時代において、拠点の適正配置と機能集約は、サプライチェーンの持続可能性を決定づける最重要戦略となります。


出典: LNEWS
出典: カリツー株式会社 公式ニュースリリース
出典: カリツー株式会社 倉庫情報
出典: LOGI-TODAY

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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