2026年9月8日、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会や一般社団法人日本能率協会などが主催する「国際物流総合展2026」が東京ビッグサイトで開幕した。過去最多となる565社・団体の出展者が集い、9月11日までの4日間にわたり最新の搬送機器や自動化システムを公開する。
過去最大規模で開幕した国際物流総合展2026の全容と出展動向
「国際物流総合展2026」は、「知恵と技術で、物流の未来を切り拓く。」をテーマに掲げ、ハードウェアからソフトウェア、物流サービスに至る最新のソリューションが一堂に会する場としてスタートした。
会場内では、深刻化する労働力不足や2026年4月に全面施行された改正物流効率化法への対応、さらに2030年に向けて懸念される輸送能力の低下を見据えた実践的な機器群が並んでいる。
開催概要と出展規模
本展は、東京ビッグサイトの東展示棟(1~3、7・8ホール)および西展示棟(1~4ホール)を使用して開催されている。出展規模は3,424ブースに達し、予定来場者数は会期4日間で延べ8万5,000人を見込むなど、過去最大の開催規模となった。
| 項目 | 詳細情報 |
|---|---|
| 会期 | 2026年9月8日(火)〜9月11日(金) |
| 会場 | 東京ビッグサイト(東京都江東区有明) |
| 主催 | 公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会、一般社団法人日本能率協会 ほか |
| テーマ | 知恵と技術で、物流の未来を切り拓く。 |
| 出展規模 | 565社・団体(3,424ブース) |
| 来場見込み | 85,000人(4日間合計) |
開幕に至る経緯と主要出展各社の発表時系列
2026年夏の開催発表から開幕当日に至るまで、出展企業各社からは現場の即戦力となる自動化機器や新サービスに関するリリースが相次いだ。以下の表は、本展開幕に向けた主要な動きを時系列で整理したものである。
| 日付 | 発表主体 | 主な発表内容と展示計画 |
|---|---|---|
| 2026年7月30日 | 主催者(JILS・JMA等) | 開催概要を発表。自動化・省人化を主軸とした構成を提示。 |
| 2026年8月24日 | XYZ Robotics | デバンニングロボット「RockyOne」を含むシリーズ3機種の実演展示を公表。 |
| 2026年8月26日 | 三機工業 | 据付工事最短1日、最小約30m²から導入可能な「棚レス自動倉庫システム」を発表。 |
| 2026年8月27日 | 主催者(JILS・JMA等) | 最終出展規模(565社・団体/3,424ブース)を正式発表。 |
| 2026年8月27日 | ROMS | 最小1台・1連からスモールスタート可能な次世代ケース自動倉庫「NINBUS」を発表。 |
| 2026年9月1日 | 霞ヶ関キャピタル | 5,254パレット収容の危険物自動倉庫「LOGI FLAG CHEMICAL TECH 綾瀬Ⅰ」着工を発表。 |
| 2026年9月3日 | Gaussy | マイナス25℃対応のDELIECN製パレットシャトルなど新機種追加を公表。 |
| 2026年9月4日 | Cuebus | リニア駆動で最大200kg搬送可能な多階層立体自動倉庫「CUEBUS Pallet 200kg」を発表。 |
| 2026年9月8日 | 主催者・出展各社 | 「国際物流総合展2026」開幕。各ブースで実機デモンストレーションを開始。 |
現場課題を直撃する自動化・省人化ソリューションの潮流
会場内で提示されたソリューション群を精査すると、従来の「大型・高額・画一的」なマテハン機器から、「柔軟・即効性・過酷環境対応」を重視したシステムへと開発の力点がシフトしていることが明確に読み取れる。
End-to-Endの業務フロー全体最適化
ラピュタロボティクスは、「物流倉庫のEnd-to-Endソリューション」を掲げた展示を実施した。自動フォークリフトによる自動倉庫へのパレット入庫から始まり、ロボットアームを用いた自動補充、ピースピッキング、さらには協働型搬送ロボット(AMR)と自動倉庫を連動させたリレーピッキングまで、倉庫内の入出荷フローを途切れることなく実演した。
単一の作業工程を自動化するだけでは前後のボトルネックが解消されないという課題に対し、ハードウェアと制御ソフトウェアを高度に統合し、庫内全体の同期を図るアプローチが具体化されている。
参考記事: ピッキングロボットの仕組みと主要タイプ解説|荷姿別の選び方から導入手順まで
スモールスタートと既存倉庫への適合性
設備投資のリスクを抑え、既存の倉庫建屋をそのまま生かすソリューションとして注目を集めたのが、ROMSと三機工業の提案である。
ROMSが発表した次世代ケース自動倉庫「NINBUS(ニンバス)」は、3次元走行ボット1台、棚1連という最小単位から段階的に導入できる点が特徴だ。ボット自らが垂直昇降してケースを取り出し、地上走行に移行してステーションまで直接搬送するため、専用の昇降機やコンベアを大規模に敷設する必要がない。天井高が制限される施設や変形フロア、狭小スペースへの設置に適している。
一方、三機工業が開発した「棚レス自動倉庫システム」は、保管ケースを最大7段(0〜6段)積み重ね、ケース間の隙間を無人搬送車(AGV)が走行する仕組みを採用している。固定式のラックやスタッカークレーン用のレール工事が不要であり、目的のケースをAGVが下部から引き抜く「だるま落とし」方式で荷役を行う。設置工事は最短1日で完了し、最小約30m²の区画から稼働できるため、賃貸倉庫の契約期間やレイアウト変更にも柔軟に対応できる。
参考記事: マテハンの基本と活用法|現場の自動化・省人化を推進する機能と導入手順
過酷環境と重筋作業の機械化
温度帯管理が厳しい現場や、作業負荷の極めて高い工程の無人化に向けた展示も存在感を示した。
Gaussyは、シェアリング型物流ロボットサービス「Roboware」の新ラインアップとして、中国DELIECN製の薄型パレットシャトルを公開した。保管効率を高める薄型構造に加え、マイナス25℃の低温環境下でも安定稼働する耐寒性能を備えており、人手作業が敬遠されがちな冷凍倉庫の保管密度向上を後押しする。
Cuebusが発表した「CUEBUS Pallet 200kg」は、多階層構造の立体自動倉庫システムである。搬送台車自体にモーターやバッテリーを搭載せず、床面モジュール(タイル)側のリニア駆動によって最大200kgの荷物を推進させる。充電停止時間が生じず、電気系統のトラブルが懸念される冷凍温度帯でも安定した高スループットを維持できる構造となっている。
荷役作業の最難関とされる海上コンテナからの荷降ろし(デバンニング)領域では、XYZ Roboticsの「RockyOne」が実演稼働を行った。自走式車体と多関節ロボットアーム、高精度な画像認識AIを組み合わせ、コンテナ内の段ボール配置や荷崩れ状態をリアルタイムに判別しながら無人で荷降ろしを実行する。既に大手家具小売業などの物流センターで本格運用が始まっており、炎天下や厳寒期におけるドライバー・庫内作業員の重労働解消に直結する技術として関心を集めている。
参考記事: 物流ロボティクス入門|AGV・AMRの違いと導入手順・費用対効果を徹底解説
特殊スペック賃貸施設と危険物自動倉庫
マテハン機器単体にとどまらず、施設インフラそのものの自動化・高機能化を推進する動きも活発化している。霞ヶ関キャピタルは、神奈川県綾瀬市で着工した「LOGI FLAG CHEMICAL TECH 綾瀬Ⅰ」(2027年8月竣工予定)の計画を提示した。
同施設は、合計5,254パレットを収容する危険物自動倉庫2棟、平屋倉庫2棟、事務設備棟1棟で構成される大型物流拠点である。リチウムイオン電池の普及や、スプレー缶・アルコール含有製品の適正保管に対する法令遵守意識の高まりにより、危険物倉庫の供給不足が恒常化している。同社は自動倉庫スペックをあらかじめ組み込んだ賃貸施設を供給することで、荷主企業のコンプライアンス維持と在庫集約を支援する狙いを示している。
参考記事: 自動倉庫の仕組みと種類を解説|導入メリットや失敗しない選定基準まで
物流サプライチェーン各層に波及する自動化トレンドの影響
国際物流総合展2026で示された技術トレンドは、倉庫事業者や3PLだけでなく、物流施設を開発するデベロッパー、製品を出荷するメーカーに至るまで、サプライチェーンに関係する各プレイヤーの事業戦略に直接的な影響を与える。
倉庫事業者・3PLへの影響
倉庫事業者や3PL企業にとっては、設備投資に伴う財務リスクの性質が大きく変化する。
従来の自動倉庫や高速ソーターの導入には数億円から数十億円規模の初期投資が必要であり、荷主との契約期間が短い場合、投資回収が困難になるリスクが常に付きまとっていた。しかし、三機工業の「棚レス自動倉庫システム」(最短1日設置・30m²〜)やROMSの「NINBUS」(ボット1台・棚1連〜)のように、極小単位から稼働でき、移設や増減が容易なモジュール型機器が普及したことで、中小規模の倉庫や築年数の経過した低天井倉庫でも自動化に踏み切ることが可能となった。
荷主からの突発的な物量増減や契約変更に対しても、設備を段階的に拡張あるいは縮小できる柔軟性が生まれる。これにより、従来は人海戦術に頼らざるを得なかった中小事業者であっても、作業平準化と固定費抑制を両立させた運営体制を構築しやすくなる。
参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや失敗しない進め方を徹底解説
物流施設デベロッパーへの影響
大型物流施設の開発を手がける不動産デベロッパーにとっては、汎用的な「標準仕様の箱」を提供するだけのビジネスモデルが転換を迫られている。
マルチテナント型物流施設は全国で供給が進んだ結果、立地や賃料だけでなく、受変電設備の容量や床荷重、自動化機器の導入親和性が成約率を左右する要因となっている。今回の霞ヶ関キャピタルによる「LOGI FLAG CHEMICAL TECH 綾瀬Ⅰ」の取り組みのように、許認可取得のハードルが高い危険物対応や、マイナス25℃対応の冷凍設備、高密度自動倉庫システムを最初から組み込んだ「業種・用途特化型施設」の企画が競争優位を生む構造が強まっている。
汎用スペックの倉庫にテナント自らが後付けでマテハンを導入する場合、消防協議や電気容量不足が障壁となるケースが少なくない。デベロッパー側がハードウェアおよびインフラ仕様を設計段階から織り込むことで、入居企業の初期立ち上げ期間を短縮する付加価値提案が求められている。
製造業者・荷主メーカーへの影響
製品を供給する荷主メーカーにとっては、出荷拠点の集約と法令対応を同時に進めるための選択肢が拡大する。
2026年4月に改正物流効率化法が全面施行され、年間取扱貨物重量が9万トン以上の荷主企業には物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の提出が義務付けられた。荷待ち・荷役時間の削減に向けた具体的な数値目標の設定が求められる中、コンテナ荷降ろしを無人化するXYZ Roboticsの「RockyOne」のようなソリューションは、トラック待機時間の抜本的短縮につながる設備投資として位置付けられる。
また、EC市場の拡大に伴う日用品や化粧品、リチウムイオン電池内蔵機器の取り扱い増加に対し、消防法の規制基準を満たす危険物保管拠点の確保はサプライチェーン遮断を防ぐ最重要項目となっている。専用スペックの自動倉庫を活用して保管能力を高めることで、複数拠点に分散していた危険物在庫を集約し、輸送距離の短縮と積載率の向上を図ることが現実的な戦略となってきている。
参考記事: 2030年の最大25%輸送力不足回避へ国土交通省などの政策加速による必須対応
LogiShiftの視点:モジュール型自動化と法規制連動が促す現場変革
「国際物流総合展2026」の展示内容から読み取れる構造的な変化は、自動化の「民主化」と「分化」の加速である。
かつて物流自動化設備は、長期の固定荷主と潤沢な資本力を持つメガプレイヤーだけが導入できる特権的インフラであった。しかし、本展で脚光を浴びた製品群は、最小単位での導入(スモールスタート)、既存建屋への適応、移設可能な可変性を共通項として備えている。ハードウェアを資産として抱え込まず、需要の波に合わせて柔軟に組み替えるモジュール型の運用が現実味を帯びている。
同時に、自動化の対象領域は汎用的なドライパレット搬送から、冷凍・危険物・デバンニングといった「人が作業するには環境が厳しすぎる領域」へと明確に分化している。2030年に予測される輸送力不足を乗り切るためには、倉庫単体での省人化にとどまらず、入出庫口における荷役時間の圧縮と車両回転率の向上が欠かせない。
今後は、単一ベンダーの設備で庫内を固めるのではなく、入庫からピッキング、出庫まで複数メーカーのロボットをWES(倉庫実行システム)上で連動させる「異種ロボットの統合制御力」が物流現場の競争力を決定づけることになる。法規制の要請と労働力制約を前提に据え、可変性の高い機器をいかに業務プロセス全体に組み込めるかが、企業間のオペレーション格差を分ける基準となる。
参考記事: 物流倉庫ロボ・オペ展12日開幕|品川にテック39社、2026年の勝機
まとめ:自動化設備の選定と導入に向けて明日から取り組むべき実務アクション
展示会で示された多彩なテクノロジーを自社の戦力に変えるため、物流責任者および経営層が着手すべき実務手順を以下に整理する。
- 自社拠点におけるボトルネック工程の工数と過酷度の数値化
自社倉庫の全業務プロセスを洗い出し、作業員の身体的負荷が高い工程(デバンニング、重量物搬送、冷凍庫内作業など)と、トラック待機時間を発生させている荷役工程を特定する。投下人時と待機時間をデータで把握することが、適切な機器選定の第一歩となる。
- モジュール型・スモールスタート機器を前提とした投資回収シミュレーションの作成
全館一括の全面自動化を検討する前に、30m²や1連といった最小単位から導入可能な機器を対象に含め、ROI(投資対効果)を試算する。契約期間の変動や物量の波動に耐えうる拡張性があるかを評価軸に加え、段階的な設備投資計画を策定する。
- 改正物流効率化法の基準に沿った入出庫スピード向上計画の策定
2026年4月に全面施行された法制度を踏まえ、CLOを中心に荷待ち・荷役時間の削減目標を明確化する。自動フォークリフトやパレットシャトル、デバンニングロボットの導入が、車両の滞留抑制にどれほど寄与するかを関係部署と共有し、具体的な調達スケジュールの検討に入る。
出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: PR TIMES(一般社団法人日本能率協会)
出典: 三機工業株式会社 ニュースリリース
出典: 霞ヶ関キャピタル株式会社 プレスリリース
出典: XYZ Robotics Inc. ニュース



