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Home > 輸配送・TMS> 国土交通省、2030年輸送力34%不足回避へ11型パレット標準化と共配推進
輸配送・TMS 2026年9月29日

国土交通省、2030年輸送力34%不足回避へ11型パレット標準化と共配推進

国土交通省、2030年輸送力34%不足回避へ11型パレット標準化と共配推進

国土交通省物流・自動車局の正岡孝物流政策課長は2026年9月28日の専門紙記者会見で、荷主や物流事業者が連携する「共創」を軸とした物流効率化策を推進する方針を表明しました。物流対策を講じない場合に試算されている2030年の輸送能力34%不足を回避するため、同年3月に閣議決定された総合物流施策大綱と全面施行された改正物流効率化法を連動させ、個社単独の取り組みを超えた業界横断の共同輸配送や標準化を加速させます。

2026年9月会見における「共創」推進の政策的射程と重点領域

2026年7月31日付で国土交通省物流・自動車局の物流政策課長に着任した正岡孝氏は、同年9月28日に開催された専門紙記者との合同取材において、今後の物流行政における重点方針を説明しました。正岡課長は、2026年4月に全面施行された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(改正物流効率化法)」の実効性確保と、2026年3月31日に閣議決定された「総合物流施策大綱(2026〜2030年度)」の実行計画を着実に進める姿勢を明確にしました。

会見の主眼は、深刻化するトラックドライバー不足と2030年に予測される輸送力の逼迫に対し、単独企業の効率化努力のみに依存する構造を改め、発荷主・着荷主・元請事業者・実運送事業者・ITプラットフォーマーが一体となって機能する「共創」体制へ舵を切る点にあります。政府が掲げる施策パッケージの集中改革期間(2026〜2030年度)において、行政による規制的措置と財政支援の両輪を回しながら、商慣行の是正と積載効率の向上を同時並行で図る構えです。

輸送力不足回避に向けた政策展開の経緯とタイムライン

政府が物流構造改革を段階的に進めてきた背景には、何ら対策を行わなかった場合に輸送能力が2024年に14%、2030年には34%不足するという内閣官房・国土交通省等の試算が存在します。2024年4月の時間外労働規制適用を皮切りに、法改正と政策枠組みの更新が計画的に実施されてきました。

年月 政策・制度上のマイルストーン 実務・現場への主な適用内容
2023年6月 物流革新に向けた政策パッケージ策定 荷待ち時間削減や商慣行是正の数値目標設定
2024年4月 トラックドライバー時間外労働上限規制(年960時間) 拘束時間短縮に伴う長距離運行の見直し
2025年4月 改正物流効率化法の努力義務化施行 全荷主・物流事業者に対する効率化配慮義務
2026年3月 総合物流施策大綱(2026〜2030年度)閣議決定 集中改革期間の設定とDX・新モーダルシフト推進
2026年4月 改正物流効率化法の全面施行 特定荷主へのCLO選任および中長期計画義務化
2026年7月 国土交通省幹部人事発令 正岡孝氏が物流・自動車局物流政策課長に着任
2026年9月 正岡物流政策課長 就任記者会見 「共創」を基軸とした大綱施策の推進方針を公表

会見で示された物流改革の4大実行分野

正岡課長が会見で言及した施策の骨子は、総合物流施策大綱に規定された重点項目をサプライチェーン横断で具現化することにあります。具体的には以下の4領域が提示されました。

  1. 荷待ち・荷役時間の削減と労働環境改善
    特定荷主に対して課された中長期計画に基づき、トラック1運行あたりの荷待ち・荷役時間を2時間以内、将来的には1時間以内へ短縮する基準の遵守を徹底させます。あわせて適正運賃・料金収受に向けた標準運賃の浸透や多重下請け構造の是正を図ります。
  2. 積載効率の向上と共同輸配送の定着
    国内における営業用トラックの平均積載率が約38%にとどまっている実態を改めるため、異業種間や競合他社間での荷物の混載、復路における帰り荷の動的マッチングを促進します。
  3. 物流標準化とデジタル基盤の社会実装
    11型パレット(1,100mm×1,100mm)をはじめとするマテハン資材の共通化と、内閣府SIPの研究成果である「物流情報標準ガイドライン」に準拠したデータ連携基盤の普及を進めます。
  4. 新モーダルシフトと中継輸送の拡充
    鉄道貨物や内航海運、航空輸送の貨物スペースを活用したモーダルシフトに加え、全長25mのダブル連結トラックの運行路線拡大や、高速道路IC周辺などを活用した中継拠点の整備に対する税制・金融支援を推進します。

参考記事: 国土交通省など3省の最大25%輸送力不足対策|荷主企業の構造改革が必須対応に

サプライチェーン各層に生じる具体的な実務影響

国土交通省が「共創」を前面に押し出した改革方針を示したことは、サプライチェーンを構成する行政、荷主企業、運送事業者の実務運用に明確な役割変更を求めます。

行政・規制当局:個別指導から業界横断プラットフォーム支援への転換

国土交通省をはじめとする関係省庁の役割は、従来の個社ごとの法令遵守状況を監視・指導する枠組みから、企業間の協調を成り立たせる制度インフラの提供へと広がっています。改正物流効率化法に基づく特定荷主の定期報告管理を厳格に行う一方で、「中小物流事業者の労働生産性向上事業費補助金」のように、荷主2社以上を含む協議会を対象とした上限4,000万円の補助制度などを通じ、競合関係にある企業同士の連携を財政面から後押ししています。

また、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法との関係整理についても、公正取引委員会との緊密な連携により、共同輸配送やデータ共有が不当な取引制限とみなされないためのガイドライン整備が進められています。個別最適に陥っていた事業者間の利害調整を行政が制度的に支援する運用が定着しつつあります。

発荷主・着荷主:自社専用仕様の見直しと物流統括管理者(CLO)の機能

年間3,000万トンキロ以上の輸送を委託する特定荷主にとって、正岡課長が掲げる「共創」は、経営レベルでの商慣習是正に直結します。役員級の役職者として選任が義務付けられた物流統括管理者(CLO)は、自社内の調達・製造・営業部門が設定してきた過度な納品リードタイム指定や、自社専用フォーマットの伝票・パレット仕様を改める実務権限を行使することが求められます。

着荷主側においても、複数ベンダーからの個別納品によってトラックが滞留する状況を解消するため、納品時間枠の分散や荷受け窓口の一本化など、荷受けプロセスの協調領域化が不可欠となります。PALTACとあらたの日用品卸2強による共同配送網拡大のように、商流では競合しつつも物流インフラを共有する動きに参画しなければ、将来的な輸送力の確保そのものが困難になる局面を迎えています。

運送事業者・実運送各社:単独運行の限界とアライアンス型配車への移行

実運送を担う中小トラック事業者においては、自社保有の車両と自社雇用ドライバーだけで荷主の波動に対応する自前主義の運用が限界に達しています。年間960時間の時間外労働上限規制が厳格に適用される中、長距離運行を1人のドライバーで完結させる従来の運行計画は成立しなくなっています。

今後は、同業他社との中継輸送ネットワークの構築や、地域ごとの共同配送プラットフォームへの参画が運行管理の前提となります。荷主から受託した貨物情報を標準データ化してプラットフォーム上で共有し、帰り荷の確保や混載便の組成を能動的に行う配車能力が、運送事業者の収益性を決定づける構造へと移行しています。

サプライチェーンの階層 従来の個別最適オペレーション 「共創」方針下で求められる運用転換
行政・規制当局 法令違反の個別監視・事後的是正措置 複数社連携協議会への財政支援と協調領域の指針提示
特定荷主(発・着荷主) 自社都合の納品時間指定・独自資材の利用 CLO主導による標準パレット採用と納品条件の共有化
元請物流企業 個別荷主ごとの専用便運行と車両囲い込み 競合荷主の荷物を集約する混載・共配スキームの設計
実運送事業者 自社単独での長距離運行・帰り荷空車回送 中継輸送への参画と求荷求車プラットフォームの活用

参考記事: 国交省の上限4000万円補助金、荷主2社連携で共同輸配送を加速へ

LogiShiftの視点|「個別最適」の限界とデータ連携基盤を前提とした共同化の分岐点

正岡課長が強調した「共創」という方針は、理念的なスローガンではなく、営業用トラックの積載率38%という非効率を構造的に解消するための不可避な施策設計です。

これまで共同輸配送の取り組みが一部の先進事例にとどまっていた最大の要因は、企業ごとに商品マスタ、納品伝票、伝票電子化の仕様が分断されていたことにあります。物理的なトラックのスペースが空いていても、システム上の荷姿コードや受発注データが一致しなければ、混載作業や中継拠点での積み替えに余計な検品コストと荷役時間が発生していました。花王や三菱食品など大手9社が参画する支線配送コンソーシアム「CODE」がクラウド基盤上でデータを統一したように、物理的な共同運行の前段階として「データの標準化」を完備することが共創の絶対条件となります。

さらに、2026年4月の改正物流効率化法全面施行によって特定荷主へのCLO選任が義務化されたことで、物流効率化の責任は現場から経営トップへと移行しました。単に自社の運賃コストを抑制しようとする荷主企業は、運送事業者から運行を敬遠される傾向が強まっています。物流情報標準ガイドラインver3.00に準拠したオープンプラットフォームへの接続を受け入れ、自社の輸送需要データを外部と共有できる企業だけが、2030年に予測される輸送力不足を乗り切るネットワークを維持できます。物流インフラを「自社の囲い込み資産」から「業界共有のパブリックユーティリティ」へと再定義できるかどうかが、各企業の事業継続力を決定づけます。

参考記事: 花王株式会社など9社が配送効率20%向上へ、データ標準化が必須対応に

明日から現場と経営層が着手すべき実務対応

国土交通省が示した政策方針に即し、企業が輸送能力を安定確保するために着手すべき実務対応を提示します。

  1. 自社出荷データの標準ガイドライン適合状況を総点検する

自社が発行している出荷案内(ASN)データや受領データ、品目コードが、内閣府・国土交通省の「物流情報標準ガイドライン」の最新仕様に整合しているかを確認します。独自コード体系や紙伝票への依存が残っている場合は、API連携やクラウド接続が可能なデータ形式への改修計画を策定し、外部システムとの相互接続性を担保します。

  1. 納品先との協調による「荷待ち・荷役2時間ルール」の工程監査を実施する

主要な配送ルートおよび納品拠点ごとに、ドライバーの待機時間と荷役作業時間を運行記録計(デジタコ)やバース予約システムのログから正確に抽出します。合計拘束時間が2時間を超えている納品先については、CLO主導で着荷主との協議の場を設け、パレット納品の全面導入や入出荷時間枠の分散など具体的な短縮措置を文書で取り交わします。

  1. 同業・異業種との共同輸配送コンソーシアムの組成を検討する

自社単独での運行便のうち、積載率が50%を下回っている路線や片道運行となっている長距離ルートを特定します。近隣の工場・倉庫に拠点を置く他社荷主や物流事業者に対し、補助金制度の活用も視野に入れた帰り便の融通や混載運行の共同実証を打診し、協調領域としての運行シェアリング体制を構築します。

参考記事: 共同配送とは?仕組みと混載便との違い・導入メリットをわかりやすく解説

出典: Daily Cargo電子版
出典: 内閣官房 物流革新に向けた政策パッケージ
出典: 国土交通省 総合物流施策大綱の閣議決定について

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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