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Home > サプライチェーン> ロジスティード、27年度再上場へ営業利益率6.1%達成|海外M&A加速
サプライチェーン 2026年9月30日

ロジスティード、27年度再上場へ営業利益率6.1%達成|海外M&A加速

ロジスティード、27年度再上場へ営業利益率6.1%達成|海外M&A加速

ロジスティードの中谷康夫会長兼社長CEOは2026年9月29日の事業説明会で、筆頭株主である投資ファンドのKKRと連携した2027年度の再上場について、堅調な業績を背景に実現への自信を表明した。同社は2030年度の連結収益1.5兆円達成を長期目標に掲げており、再上場を事業拡大の通過点と位置づけて海外フォワーダーのM&Aを加速させる計画だ。

2027年度再上場に向けた事業戦略と進捗状況

ロジスティードは2023年に米投資ファンドKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)の傘下に入り、東京証券取引所での上場を廃止した。非公開化以降、同社は短期的な四半期決算の開示負担から離れ、抜本的な事業ポートフォリオの再編と大型投資を進めてきた。2026年9月29日に都内で開かれた事業説明会において、中谷康夫会長兼社長CEOは「条件をおそらく満たせる。チャレンジできる状況に近づいている。(業績の)トラックレコードから行けば27年度に再上場の取り組みを開始してもいいのではないか」と述べ、2027年度の再上場手続き開始へ向けた進捗が計画線にあることを公表した。

同社が策定している中長期経営ビジョン「LOGISTEED2030」では、2030年度に連結収益(売上高に相当)1.5兆円を計上することを掲げている。2026年3月期の通期実績において、同社は連結売上高9,931億円(前期比9.0%増)、調整後営業利益605億円(同24.8%増)、営業利益率6.1%を達成した。国内物流企業が平均して2〜3%台の営業利益率にとどまるなか、グローバルフォワーダーと競合するための基準とされる6%ラインをクリアした実績が、再上場に向けた判断材料となっている。

非公開化から現在に至るまでのグループ再編と主要な事業展開の推移は以下の通りである。

年月 主な出来事・施策 事業上の位置づけと具体的な内容
2023年3月 KKRによるTOB完了・上場廃止 日立物流からロジスティードへ商号変更。構造改革を開始。
2023年10月 日本郵便との資本業務提携締結 日本郵便が株式19.9%を取得。ラストワンマイルと3PLの協創開始。
2024年4月 カンパニー制の導入 国内事業と海外事業を2大カンパニーに分離し迅速化。
2024年10月 アルプス物流を連結子会社化 電子・半導体分野のサプライチェーン基盤を統合。
2025年9月 中期経営計画「LOGISTEED2027」公表 営業利益率6%超の維持と2027年度再上場の方針を明文化。
2026年4月 持株会社体制へ移行 グループ経営戦略と各事業執行を分離し、機動的M&A体制を整備。
2026年5月 豪トール子会社への出資検討合意 日本郵便傘下の国際物流・アジア3PL事業への出資検討を開始。
2026年9月 事業説明会を開催 2027年度再上場手続き開始と海外M&A加速方針を表明。

参考記事: ロジスティードホールディングスが利益率6.1%到達で進める再上場への必須対応

海外M&Aの加速と豪トール子会社への出資検討

中谷CEOは説明会の中で、再上場後の成長戦略として「自ら業界再編のプレーヤーになっていきたい」と言及した。今後のM&A対象については国内市場ではなく海外企業を主軸とする意向を示し、「よりグローバルベースで、海外のリソースはもう少し厚くしていくのがわれわれの戦略。ここ数年で一番補強したいところだ」と述べた。

その具体策として進行しているのが、日本郵便が保有するオーストラリアの物流大手トールホールディングス傘下の事業会社への出資検討である。日本郵便とロジスティードは2026年5月8日、トールグループの国際物流事業(フォワーディングおよびアジアの一部コントラクトロジスティクス事業)を担う子会社へのロジスティード出資に関する基本合意書を締結した。説明会において中谷CEOは「出資は有効だと思っているし、検討に値する。あまり時間はかけたくない」と語り、日常業務での共創成果を検証しながら早期の機関決定を目指す姿勢を示した。

海外事業を担当するロジスティードインターナショナルカンパニーのクリストファー・ローガン社長によると、2025年度における同社の航空貨物取扱量は前年比17%増、海上貨物は10%増を記録した。同社は現在、欧米地域での陸上輸送網を強化するとともに、日系メーカーに依存しない現地ローカル企業(非日系荷主)の開拓を拡大している。

参考記事: ロジスティード4月の機構改革|グローバルフォワーディング新設とDX統合の狙い

アルプス物流のPMI進展と「水戸ロジセンター」による拠点集約

国内事業を担当する西川和宏副社長は、主軸である3PL事業が2025年度および2026年度第1四半期(4〜6月期)ともに増収増益を維持していることを説明した。収益改善を牽引している要素の一つが、2024年に買収したアルプス物流とのPMI(買収後の経営統合作業)である。両社間で幹線輸送および配送車両の相互相乗りを進めたほか、重複していた倉庫スペースの統合を実施し、積載率の向上と固定費の圧縮を図っている。

東日本エリアにおける具体的な施策として、業務執行役員国内事業統括本部担当本部長の寺井義彦氏(ロジスティード東日本社長)は、茨城県ひたちなか市に建設する大型拠点「水戸ロジセンター」の計画を公表した。

項目 水戸ロジセンターの計画概要
所在地 茨城県ひたちなか市
延床面積 3万6,726坪(約12万1,400平方メートル)
集約対象 周辺に分散する外部倉庫22拠点
稼働開始時期 2028年4月(予定)
主要導入設備 パレット自動倉庫、無人搬送フォークリフト(AGF)
運用機能 近隣生産工場向けの「門前倉庫」、部材供給・製品保管

水戸ロジセンターでは、これまで周辺地域に点在していた22の外部倉庫を集約することで、横持ち輸送にかかる車両手配費用と二酸化炭素排出量を削減する。同時にパレット自動倉庫や無人搬送車を導入し、製造ラインに直結する部品供給オペレーションの大幅な効率化・自動化を進める。

参考記事: アルプス物流「rBox」導入|5週間で稼働する極小部品管理の革新

日立グループとの「フィジカルAI」実装と工程50%省人化の実績

ハードウェアとソフトウェアの融合に関して、業務執行社員エンジニアリングイノベーション本部長CTOの櫻田崇治氏は、消費財メーカー向け物流センターでの自動化実績を報告した。同センターではマテハン設備を制御するソフトウェアを自社開発・最適化し、ピッキング・梱包・検品の各工程において作業人員の50%省人化を達成した。

同社は現在、旧親会社である日立製作所グループと連携し、「フィジカルAI」を用いた次世代倉庫ソリューションの開発を進めている。フィジカルAIとは、施設内のカメラやセンサーから取得した実空間のデータをAIがリアルタイムに解析し、AGV(無人搬送車)、AMR(自律走行搬送ロボット)、無人フォークリフトなどの実機を状況変化に合わせて自律制御する技術である。従来の固定的な制御プログラムでは対応が難しかった荷姿のばらつきや物量波動に対し、機器群が協調して動作することで、設備稼働率を維持する体制を構築している。

参考記事: プロロジス、最大1000億円で賃貸自動倉庫|初期投資ゼロで設備共有

サプライチェーン各プレイヤーに生じる実務上の影響

倉庫事業者・3PL:メガセンター集約と協調領域の線引き

ロジスティードが進める20拠点超の外部倉庫集約や、アルプス物流との車両・拠点統廃合は、地域の中小倉庫事業者にとって保管案件の流出に直結する。特に大手工場の周辺で賃貸借契約を結び、汎用的な保管スペースを提供してきた事業者では、メガ3PLによる集約センターの稼働に伴い、転貸や保管業務の受託残高が減少するリスクがある。

単なる「坪貸し」モデルを継続する倉庫事業者は、差別化の余地を失うことになる。これに対抗するため、地域事業者は危険物倉庫、定温・冷凍設備、保税対応といった特殊保管機能に特化するか、あるいは大手3PLが展開する共同配送網の末端配送を請け負う実運送パートナーとしての提携を模索する必要がある。自社単独での投資回収が困難な自動化設備については、業界共通のシェア型プラットフォームへの接続を検討する判断が求められる。

製造業者・メーカー:門前倉庫集約とリードタイムの圧縮

メーカーの物流購買部門やサプライチェーン管理責任者にとって、水戸ロジセンターのような高度自動化メガハブの登場は、拠点再編の直接的な選択肢となる。部品調達から製品出荷までの在庫拠点を工場近隣のメガセンター1カ所に集約できれば、複数倉庫に分散保管されていた部材の管理コストと、工場間の横持ち輸送費を削減できる。

さらに、フィジカルAIや自動倉庫を活用したセンターでは、入出庫データの更新が分単位で行われるため、製造ラインへの「ジャストインタイム供給」の精度が向上する。改正物流効率化法によって特定荷主に対する積載率向上や荷待ち時間削減が求められる中、自動化ハブと直結した輸配送網を利用することは、中長期計画に明記すべき運行効率化目標の達成に寄与する。

SaaS・テクノロジーベンダー:フィジカルAIと設備統合制御への要求

マテハン機器や物流ソフトウェアを開発・提供するベンダーにとっては、受注獲得の要件が変化している。従来のWMS(倉庫管理システム)や単体AGVの納入といった「点」のソリューションではなく、異種複数の搬送機やソーターをリアルタイムに群制御する「フィジカルAI連携」への対応が必須となりつつある。

ロジスティードがエンジニアリングイノベーション本部を設置してハードとソフトの自社開発を進めているように、メガ3PLは既存マテハンの稼働データを吸い上げ、独自の制御レイヤーで全体最適化を図る傾向を強めている。外部ベンダーが自社製品を売り込むためには、上位システムや他社製ロボットと遅延なく通信できるオープンAPIの整備と、標準化されたデータ連携インターフェースの提示が前提条件となる。

LogiShiftの視点:PEファンド主導の事業再編と国内拠点の統廃合

ロジスティードの動向は、プライベートエクイティ(PE)ファンド主導による事業再編が、物流業界の構造転換を推し進めている実態を示している。従来の日本型物流企業では、顧客ごとの個別仕様に合わせた専属倉庫の建設や、既存拠点網への配慮から、不採算拠点の統廃合や大胆なM&Aの実行速度が鈍化しがちであった。しかしKKR傘下での非公開化を経たロジスティードは、アルプス物流の買収、日本郵便からの出資受け入れ、さらには外部22拠点を1カ所に統合する水戸ロジセンターの新設など、資本効率を重視したスクラップ・アンド・ビルドを短期間で実行している。

注目すべきは、中谷CEOが「2027年度の再上場はゴールではなく通過点」と明言している点である。国内の物流市場は人口減少に伴う貨物量の頭打ちが構造的に避けられない。同社が目指す連結収益1.5兆円の達成には、売上高の約46%を占める国際物流の比率をさらに引き上げ、海外での収益基盤を確立することが不可欠である。上場によって調達する資金の使途は、国内施設の維持ではなく、海外フォワーダーの大型買収に充当される公算が高い。

国内においては、アルプス物流の持つ精密電子部品ネットワークや日本郵便の地域配送網を組み合わせ、特定業種ごとのオープンプラットフォーム化を進める一方で、海外事業では買収したフォワーダーを通じて非日系荷主の荷動きを取り込む。この「国内での徹底したアセット集約と自動化による高収益化」と「海外でのM&Aによる事業規模拡大」の二段構えは、再上場後の同社がグローバル大手(DHLやDSV等)に対抗するための財務的裏付けとなっている。

参考記事: ロジスティードが10月1日付で共配PJ新設、3領域を軸に荷主の協調へ

まとめ:明日から意識すべき3つの実務アクション

ロジスティードによる2027年度再上場の計画と、それに連動した拠点統合・自動化投資の進展に対し、サプライチェーンの各実務担当者が着手すべき具体的なアクションは以下の3点である。

  1. 自社拠点網の統廃合コストとメガハブ委託の費用対効果を試算する

工場周辺に点在する分散倉庫の賃料・横持ち運賃と、メガセンターへ一括集約した場合の固定費削減効果を比較検証する。特に2028年稼働予定の水戸ロジセンターのような自動化拠点が自社のサプライチェーン圏内にある場合、早期のスペース確保や協業打診に向けた所要床面積の精査を進める。

  1. 物流システムにおけるロボット群制御インターフェースの適合性を点検する

倉庫内で運用しているWMSや搬送システムが、外部のフィジカルAIや動的制御ソフトウェアとAPI連携可能であるか仕様を確認する。単一機器の導入で終わらせず、自動倉庫・AGF・ソーターを統合管理できるアーキテクチャへの改修計画を策定する。

  1. 委託先3PL企業の財務資本基盤と再編動向を評価指標に組み入れる

改正物流効率化法への対応や荷役作業の自動化には、数十億円規模の継続的な設備投資が伴う。委託先物流企業が自律的な投資余力やアライアンス網を有しているかを評価し、単価の比較だけでなく、長期的にオペレーションを維持できるパートナーであるかを取引基準に見直す。


出典: LOGI-BIZ online
出典: LOGISTICS TODAY
出典: 運輸新聞
出典: Lnews

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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