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Home > 輸配送・TMS> 国土交通省、白トラ使用停止を初犯120日に倍増|荷主の委託罰則も強化
輸配送・TMS 2026年9月30日

国土交通省、白トラ使用停止を初犯120日に倍増|荷主の委託罰則も強化

国土交通省、白トラ使用停止を初犯120日に倍増|荷主の委託罰則も強化

国土交通省は2026年9月29日、無許可運送(白タク・白トラ)に対する行政処分の基準改正案に関するパブリックコメント結果を公表した。初犯の車両使用停止期間を現行の60日から120日へ倍増させる量定見直しに対し、提出された53件の意見からは運行者本人だけでなく運送を依頼する荷主や元請事業者への監視徹底を求める声が相次いだ。

53件の意見が求めた現場取り締まりと荷主責任の追及

国土交通省が公表したパブリックコメント結果では、無許可営業に対する処分の量定引き上げという基本方針に対して強い支持が寄せられた一方、制度の厳罰化にとどまらない実効性の高い運用を求める意見が集中した。

提出された53件の意見のうち、厳格な取り締まりの徹底を求める意見が13件、厳罰化そのものを求める意見が11件を占めた。とりわけ物流現場において問題視されているのが、自家用トラック(白ナンバー)を用いて違法に運送を行う「白トラ」の存在と、それを発注・利用する側の姿勢である。

寄せられた意見の内訳と国土交通省が示した方針は以下の通りである。

提起された論点 パブリックコメントに寄せられた主な意見 国土交通省の方針・対応
執行力・実効性の強化 悪質・反復・組織的な営業に対し車両使用停止を厳格適用すべき。ナンバープレート領置(没収)の徹底や警察・運輸局の連携を要望。 地方運輸局と各都道府県警察、関係機関の連携を強化。法令違反に対しては厳正に対処する。
荷主・プラットフォーム対策 運転手だけでなく違法運送を依頼する荷主、元請運送会社、仲介マッチング事業者への指導・規制が必要。 2026年10月・11月を集中監視月間とし、物流センターや卸売市場での啓発・調査を実施。疑いのある荷主に要請・勧告を行う。
背景要因へのアプローチ 白タク等の背景にある正規交通の供給不足を是正すべき。ライドシェアの利便性向上や多言語対応の推進を求める声。 いただいた意見を施策の参考としつつ、無許可運送の未然防止と適正な運送サービスの普及を進める。

車両使用制限の倍増と行政処分基準の改正内容

今回の行政処分基準改正案は、道路運送法および貨物自動車運送事業法に基づく違反行為に対する処分基準の量定を大幅に引き上げる内容となっている。

貨物分野における白トラ(貨物自動車運送事業法違反)に対しては、初犯における車両使用制限・禁止の処分日数が現行の60日から120日へと2倍に引き上げられる。再違反時には現行の120日から180日へと加重され、再々違反では最大180日の車両使用停止が科される。

旅客分野の白タク・白バス(道路運送法第78条違反)に対しても同様に、初犯処分が現行の40日から80日、再違反が80日から180日へと引き上げられる。車両使用停止期間中は自動車登録番号標(ナンバープレート)の領置が徹底され、対象車両の物理的な運行継続を遮断する措置がとられる。

改正貨物法第65条の2施行から集中監視月間に至る経緯

白トラを巡る規制環境は、単なる運送事業者の取り締まりから、委託元への責任追及へと制度的な転換が進んでいる。

  • 2025年3月: 警視庁が無許可運送業者に鋼材輸送を委託していた鋼材販売会社の社長を貨物自動車運送事業法違反(無許可営業の共謀)容疑で逮捕。荷主側の共謀容疑による摘発事例となった。
  • 2026年4月1日: 改正貨物自動車運送事業法第65条の2が施行。「何人も」無許可運送事業者に貨物運送を委託してはならない旨が明文化され、従来の共謀立証を要さず、委託行為そのものに対して100万円以下の罰金および国土交通大臣による要請・勧告・社名公表の対象となった。
  • 2026年7月30日〜8月28日: 国土交通省が無許可運送に対する行政処分基準の改正案に関する意見公募(パブリックコメント)を実施。
  • 2026年9月28日: 国土交通省が2026年10月および11月を荷主・元請事業者に対する「集中監視月間」に設定。
  • 2026年9月29日: パブリックコメント結果(53件)を公表。

2024年の白トラ摘発件数は73件と前年比4倍に急増し、2025年上半期も42件と高水準で推移した。2025年における白タク・白トラの年間検挙件数は過去最多を記録しており、取り締まりの厳格化は不可避の情勢となっていた。

参考記事: 白トラ規制とは?違法・合法の境界線と荷主責任強化に伴うコンプライアンス対策

警察・関係機関と連携するトラック・物流Gメンの監視網

2026年10月・11月の集中監視月間において実働部隊となるのが、国土交通省の「トラック・物流Gメン」である。全日本トラック協会の専任調査員を組み込み360名規模へ増員された同組織は、公正取引委員会、中小企業庁、各都道府県警察と連携体制を構築している。

監視活動では、物流センターや卸売市場、港湾エリアなどの主要物流拠点において合同パトロールが実施される。出入りする車両のナンバー区分(緑ナンバーと白ナンバー)の現認や、多重下請け構造の中で白トラが介在していないかの調査が行われ、不正利用の疑いがある荷主や元請事業者に対しては、貨物法に基づく働きかけや是正要請、勧告・社名公表に向けた調査が進められる。

参考記事: トラック・物流Gメンが2026年10・11月に集中監視、公取委・警察と連携し是正指導へ

サプライチェーン各層への具体的な影響

行政処分の厳罰化と荷主監視の強化は、発注者から実運送に至る各プレイヤーのオペレーションとガバナンス体制に直接的な見直しを求めている。

製造業者・卸売荷主:委託先監査の不備による直接的な法令違反リスク

荷主企業にとって最大の変更点は、2026年4月に施行された改正貨物法第65条の2により、白トラへの運送委託が直接的な処罰対象となった点である。

従来、荷主側は「委託先が白ナンバーだとは知らなかった」「元請運送会社が手配した下請けの運行形態までは把握していなかった」という抗弁を行う余地があった。しかし、集中監視月間における警察やトラック・物流Gメンによる調査では、発注契約書、運送引受書、受領書、車両入退出記録の突合が行われる。

自社工場や物流センターへ出入りする集配送車両の実態確認を怠り、実運送において白トラが介在していた場合、荷主自身が100万円以下の罰金を科されるだけでなく、行政からの勧告および企業名公表を受ける対象となる。物流コスト削減を名目に相場を著しく下回る運賃で無許可事業者に発注する行為は、企業の社会的信用を直撃する重大なコンプライアンスリスクに変貌している。

参考記事: トラックGメンとは?行政処分のリスクと荷主企業が講じるべき不当慣行対策

一般貨物自動車運送事業者:不公正競争の排除と下請け管理責任の加重

正規の一般貨物自動車運送事業者(緑ナンバー)にとって、白トラに対する処分の厳罰化は、不公正な価格競争の是正につながる。

白トラ事業者は、運行管理者や整備管理者の選任義務、定期点検、社会保険への適正加入、過労運転防止のための点呼記録など、正規事業者が負担している安全運行コストを免れている。これにより安価な運賃を提示して貨物を奪うダンピング行為が横行していたが、車両使用停止期間が最長180日に拡大されナンバープレート領置が徹底されることで、違法業者の市場退場が進む。

一方で、元請・利用運送事業者としての管理責任は極めて重くなる。庸車(下請け手配)を行う際、二次請け・三次請けの階層で白ナンバーの自家用車や軽貨物事業者が無許可で大型・中型貨物を請け負っていないかを精査しなければならない。下請け管理の不徹底によって白トラを利用させていた場合、元請会社も行政指導や事業改善命令の対象となる。

物流施設・倉庫事業者:入退場ゲートでの適法性確認と記録保持義務

物流センターや保管倉庫を運営する倉庫事業者・3PLは、荷主と運送会社をつなぐ物理的な接点として、ゲートキーパー機能の強化を求められている。

今回の集中監視月間では、物流センターのトラックバースや荷捌き場が主要な調査拠点となる。入退場管理システムにおいて、ドライバーの免許証確認だけでなく、車両番号、ナンバープレートの色(事業用か自家用か)、車検証情報の確認をシステム上で自動照合する仕組みが求められる。

白トラの進入を看過し、違法な積載や運送荷役を黙認していた場合、施設管理者側もトラック・物流Gメンによるヒアリングや実態調査の対象となる。バース予約システムや入退場受付システムに車両登録情報を義務付け、緑ナンバー以外の車両が有償貨物を積み込まないよう電子的に制御する運用設計が必要とされている。

参考記事: トラック・物流Gメン、6.3万社の通報を反論不可の客観的証拠で是正指導へ導く

LogiShiftの視点:需要側規制への移行が促す物流調達の適正化

今回のパブリックコメント結果と行政処分の厳罰化が示している本質は、物流コンプライアンスの主戦場が「供給者(運送会社)の単体取り締まり」から「需要側(荷主・利用運送・仲介プラットフォーム)の責任追及」へ完全にシフトした点にある。

過去最多を記録した白タク・白トラの摘発件数は、正規運賃を支払わずに済ませようとする発注者側の需要が存在する限り、供給側を取り締まるだけでは違法営業が根絶できない現実を物語っている。行政が改正貨物法第65条の2を新設し、さらに処分基準の量定を倍増させたのは、違法事業者を利用する経済的メリットを消滅させ、発注側の調達リスクを最大化させるための施策である。

とりわけ今後は、デジタルマッチングサービスや求荷求車プラットフォームの責任が問われることになる。パブリックコメントでも言及された通り、荷主と実運送を介在するプラットフォーマーが適切な適法確認(運送免許の保有確認、緑ナンバー認証)を行わずにマッチングを成立させた場合、仲介者に対する行政指導や規制強化が現実味を帯びてくる。

企業は、単に運賃の多寡だけで委託先を選定する時代が完全に終わったことを認識しなければならない。適正な許可を持たない事業者をサプライチェーン内に紛れ込ませることは、業務停止や社名公表による事業停止リスクと表裏一体である。

明日から現場で着手すべき実務アクション

法令違反のリスクを排除し、健全な輸送体制を構築するために、各企業が直ちに着手すべき具体的アクションを整理する。

  1. 自社拠点に出入りする全運送車両の「緑ナンバー」確認フローの義務化

自社の工場、物流センター、倉庫に出入りする集配送車両について、入退場記録と車番の突合を実施する。受付システムや警備室において、白ナンバー車両が製品・資材の有償運送を行っていないかを点検し、確認が取れない車両の荷役を停止する手順を現場マニュアルへ明記する。

  1. 委託先・下請け運送契約における許可証写しの全件回収と再監査

元請運送事業者および利用運送事業者に対し、一般貨物自動車運送事業の許可証写しの最新データを提出させる。再委託(多重下請け)が行われている案件については、最終的な実運送事業者が事業用自動車(緑ナンバー)で運行していることを証明する運行管理記録や引受書の提出を契約条項に盛り込む。

  1. 物流求人・マッチングプラットフォーム利用規約のコンプライアンス点検

スポット輸送や繁忙期の車両手配において外部マッチングサービスを利用している場合、登録事業者の認証プロセスを点検する。プラットフォーム側で運送事業許可および適正なナンバーの確認がシステム的に担保されているかを精査し、確認体制が不透明な仲介サービスの利用を停止する。

出典: LOGISTICS TODAY
出典: e-Govパブリック・コメント
出典: 国土交通省

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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