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Home > 輸配送・TMS> ENEOS、全長9m対応EV充電SSを65カ所拡充|中型トラックの運行網拡大
輸配送・TMS 2026年10月2日

ENEOS、全長9m対応EV充電SSを65カ所拡充|中型トラックの運行網拡大

ENEOS、全長9m対応EV充電SSを65カ所拡充|中型トラックの運行網拡大

ENEOSは2026年9月30日、EV経路充電サービス「ENEOS Charge Plus」において、全長6.5m超から9m以下のEVトラックが利用できるサービスステーション(SS)を拡充したと発表しました。従来の全長6.5m以下対応の219カ所に加え、新たに車体サイズ7m・8m・9mに対応する計65カ所の拠点を全国ネットワーク内で整備しています。

全長9m級まで受入を拡大したSS充電網とこれまでの整備経緯

ENEOSが展開する「ENEOS Charge Plus」の急速充電器設置SSは全国約580カ所に上ります。これまでEVトラックの受け入れは主に小型車(全長6.5m以下)を対象としていましたが、架装を含む車体サイズごとに受け入れ可能な拠点を細分化し、中型トラックの立ち寄りが可能な拠点を順次公開しました。

車両サイズ別の利用可能ステーション数

今回の拡充により、全長6.5m超から9m以下の中型EVトラックが立ち寄れる拠点が合計65カ所追加されました。

対応車両サイズ(架装含む全長) 利用可能ステーション数 整備ステータス
6.5m以下 219カ所 整備・公表済み(2026年6月公表)
7m以下 27カ所 今回の拡充対象(2026年9月拡充)
8m以下 20カ所 今回の拡充対象(2026年9月拡充)
9m以下 18カ所 今回の拡充対象(2026年9月拡充)

2023年からの実証実験と商用専用ステーション整備の歩み

ENEOSは既存SSの大型車受け入れ拡大に先立ち、商用車の実運行に即した充電オペレーションの実証を進めてきました。

  • 2023年9月〜10月: ENEOS、NEC、日本通運の3社が福岡県太宰府市の「Dr.Driveセルフ水城店」にてEVトラック(三菱ふそう「eCanter」)を用いた経路充電の実証実験を実施。長距離幹線輸送における充電運用の有効性やSS内の動線条件を検証しました。
  • 2025年10月: 東京都品川区八潮の物流集積地に、商用車専用のEV充電ハブ「大井充電ステーション」を開設。急速充電器3基(6口)を配置し、全長7m対応1台分、全長9m対応5台分の計6車室を確保しました。
  • 2026年6月: 全国580カ所の急速充電設置SSのうち、219カ所で全長6.5m以下のEVトラック対応を完了・公表。
  • 2026年9月: 全長6.5m超〜9m以下の中型車対応拠点を公表し、一般SS網での受け入れを段階的に拡大。

脱炭素化目標と国内商用車の普及実態

国土交通省の統計によると、日本のCO2排出量の約19.2%を運輸部門が占め、そのうち貨物自動車からの排出が運輸部門全体の約4割(日本全体の約7〜8%)に達しています。政府は2021年6月策定の「グリーン成長戦略」において、車両総重量8トン以下の商用車新車販売に占める電動車比率を「2030年までに20〜30%」とする目標を掲げています。

さらに、2023年4月施行の「改正省エネ法」では、一定規模以上の特定輸送事業者や荷主に対し、非化石エネルギーへの転換目標や中長期計画の提出が義務付けられました。経済産業省と国土交通省も「商用車等の電動化促進事業」を通じて車両本体や充電設備の導入補助を実施しています。

しかし、経済産業省・国土交通省の集計データによると、2022年度時点の国内トラックにおけるBEV・FCV新車販売比率は0.2%にとどまります。全日本トラック協会の統計でも、2025年3月末時点の国内EVトラック・FCEVトラックの保有台数は計4,582台(全保有台数の1.06%)であり、普及に向けたインフラ面の制約解消が求められていました。

特設サイトによる進入動線と稼働状況の可視化

大型トラックの立ち寄りにおいて最大の障壁となるのが、敷地内での取り回しや旋回スペースの確保です。乗用車向けの急速充電スペースでは、後続車や給油レーンを塞いでしまうリスクや、充電ガンケーブルの長さが足りず駐車枠に収まらない事態が発生します。

ENEOSは今回の拠点拡充に合わせてEVトラック向け充電スポット検索の特設サイトを開設しました。運送事業者は、車両全長(6.5m/7m/8m/9m)による絞り込み検索に加え、各SSのレイアウト案内図、充電器のリアルタイム稼働状況、入出構ルートや駐車推奨方向を運行前に確認できます。

参考記事: EVトラック導入のメリット・デメリット|スペック比較から補助金・充電インフラまで徹底解説

物流サプライチェーン各プレイヤーへの実務的影響

中型EVトラックが公道の一般SSで給電可能になる動きは、車両を保有する運送会社だけでなく、現場ドライバーやITシステム開発企業の実務オペレーションにも直接関わります。

運送事業者:車庫設備への過度な投資を抑えた中型EV導入の検討

運送事業者がEVトラックを導入する際、自社車庫(デポ)に受電設備や高出力急速充電器を増設するための初期投資(CAPEX)や、キュービクル増設に伴う契約電力の引き上げ(基本料金増)が大きな負担となっていました。敷地面積に余裕がない都市部の営業所では、そもそも複数台の充電スペースを確保できない制約もあります。

全長7m〜9m(概ね4トン積クラスの中型車)が立ち寄れるSSが全国65カ所確保されたことで、運行途中の立ち寄り充電(経路充電)を前提とした運行設計が可能になります。全バッテリー容量を自社車庫の夜間普通充電だけで賄う必要性が薄れ、バッテリー容量を抑えた経済的な車両選定や、自社拠点の充電設備投資を段階的に進める選択肢が生まれます。

ドライバー:大型車特有の進入トラブルと充電待ちロスの回避

商用EVトラックの運行において、ドライバーの心理的負担となるのが「電欠リスク」と「充電スタンドでの立ち往生」です。大型車が乗用車向け充電スポットに進入し、駐車枠に収まらず切り返し不能に陥るトラブルや、先客の充電待ちで拘束時間が超過する懸念がありました。

特設サイト上で「自車の全長が入庫可能か」「前向き入庫・後退入庫のどちらが指定されているか」「充電器が現在稼働中か」を事前に把握できるため、現場での右往左往や無駄な待機時間が削減されます。荷待ち時間や法定休憩時間(4時間ごとに30分)と給電タイミングを一致させる運用計画が立てやすくなります。

SaaS・テクノロジーベンダー:動的配車と充電インフラデータの統合

運行管理システムや動的配車計画ツールを提供するSaaSベンダーにとっては、新たな機能拡張の契機となります。従来のルート最適化は距離や所要時間、荷物量が主たる変数でしたが、EVトラックの運用では「バッテリー残量(SoC)」「空調使用による電費変動」「充電器の空き情報」を組み合わせたルーティングが不可欠です。

ENEOS Charge Plusが提供するSSの稼働情報や車両サイズ適合データをAPI経由で配車管理システムと連携できれば、配送ルート沿いの最適なSSを自動選定し、休憩時間と連動させた充電スケジュールをドライバーの端末へリアルタイムに指示する運行管理機能の実装が進みます。

参考記事: 【海外事例】PeterbiltとKenworthの中型EV拡充に学ぶ!米国の最新動向と日本への示唆

LogiShiftの視点:基礎充電依存から「経路充電ハイブリッド」への運用設計転換

国内におけるEVトラックの導入は、ヤマト運輸や佐川急便をはじめとするラストワンマイル配送用の小型バン・2トン未満車両が中心でした。これらは走行距離が1日100km前後に限定され、自社デポでの夜間普通充電(基礎充電)のみで運用が完結していたためです。

しかし、全長7m超の中型トラック(4トン積クラス)が担う拠点間輸送や中距離集配では、1日の走行距離が200kmを超えるケースも多く、バッテリー消費に対して基礎充電のみで対応しようとすると、車両側に巨大なバッテリーを積載して積載効率を落とすか、高出力な急速充電設備を営業所ごとに新設するしかありませんでした。

今回、ENEOSが全長6.5m超〜9mに対応する拠点を計65カ所整備した事実は、商用EVの運用モデルが「デポ単独完結型」から「デポ基礎充電+沿道SS経路充電」のハイブリッド運用へと移行し始めたことを示しています。

2025年10月に開設された商用専用の「大井充電ステーション」のような物流ハブ専用拠点と、今回拡充された一般SS網が組み合わさることで、幹線道路沿いでのエネルギー補給動線が現実的なものとなります。事業者は「EVトラックは自社敷地内ですべて充電しなければならない」という固定観念を改め、高速道路IC周辺や幹線道路沿いの対応SSを組み込んだ「運行ルート単位での電費設計」へ移行すべき局面を迎えています。

参考記事: Tesla Semi実証で1マイル約95円削減!商用EV導入の勝機

まとめ:明日から自社フリートで確認すべき実務ステップ

中型EVトラックの運用現実性が高まる中、運行管理部門および調達部門が着手すべき実務項目は以下の通りです。

  1. 運行ルートと対応SSの照合

自社の中型トラック(4トン車クラス)が走行する主要ルート上に、今回拡充された全長7m・8m・9m対応のSS(計65カ所)が存在するか、特設サイトで位置関係を確認します。

  1. 法定休憩と給電タイミングの連動検証

連続運転4時間ごとの30分休憩をどの拠点周辺で取得しているかを洗い出し、その動線上で急速充電器を利用できるか運行ダイヤの適合性を検証します。

  1. 車両架装を含む全長の正確な把握

テールゲートリフターやキャブ形状、リアバンパーを含む実際の全長を車検証で再確認し、6.5m/7m/8m/9mのどの区分に該当するかフリート一覧を整理します。

出典: topics.smt.docomo.ne.jp
出典: ENEOS株式会社 ニュースリリース(2026年9月30日)
出典: ENEOS株式会社 ニュースリリース(2023年9月4日)
出典: 全日本トラック協会 環境対策関連資料

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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