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Home > 輸配送・TMS> 佐川急便、2027年1月運賃を平均13.8%値上げ|大型170は25%増
輸配送・TMS 2026年10月2日

佐川急便、2027年1月運賃を平均13.8%値上げ|大型170は25%増

佐川急便、2027年1月運賃を平均13.8%値上げ|大型170は25%増

佐川急便は2026年10月2日、2027年1月1日付で「飛脚宅配便」および「飛脚ラージサイズ宅配便」などの届出運賃・料金を改定すると発表した。関東発・関西着の170サイズ運賃が現行の3,360円から4,200円へ25.0%引き上げられるなど、中〜大型サイズを中心に平均約13.8%の値上げとなる。

2027年1月施行の運賃改定内容とサイズ別改定率の推移

佐川急便が発表した運賃改定は、2024年4月以来2年9カ月ぶりとなる届出運賃の変更である。改定対象は主力サービスの飛脚宅配便にとどまらず、航空便、信書便、設置輸送、請求書発行手数料など多岐にわたる。

サービス区分別の主な改定内容

今回の改定では、幹線輸送やラストワンマイルの車両積載スペースを圧迫する中〜大型貨物に対して、小型貨物よりも高い改定率が設定された。

対象サービス 改定内容・平均改定率 適用条件・変更点
飛脚宅配便・飛脚ラージサイズ宅配便 平均約13.8%値上げ サイズ・地帯別に改定率が変動
飛脚航空便(ラージサイズ・信書含む) 平均約2.7%値上げ サイズ・地帯に応じて改定
飛脚特定信書便 宅配便と同額へ改定 160サイズまで改定後宅配便運賃を適用
メール便・大型家具家電設置輸送 料金区分ごとに改定 各サイズ・作業内容別に新料金を設定
紙請求書発行手数料 1通あたり100円から200円へ改定 税抜価格。Web請求への移行を促進

飛脚航空便や飛脚ラージサイズ航空便、飛脚特定信書航空便の改定率は平均約2.7%の上昇にとどまる一方、陸上輸送を主体とする飛脚宅配便の大型サイズは大幅な引き上げが行われる。

関東発・関西着におけるサイズ別運賃比較

改定後の運賃体系では、荷物の外見容積(縦・横・高さの合計)が大きくなるほど値上げ幅が急激に拡大する傾斜構造が取られている。

荷物サイズ 現行運賃(円) 改定後運賃(円) 値上げ額・改定率
60サイズ 1,040 1,060 +20円(+1.9%)
100サイズ 1,630 1,650 +20円(+1.2%)
140サイズ 2,310 2,660 +350円(+15.2%)
160サイズ 2,570 2,960 +390円(+15.2%)
170サイズ 3,360 4,200 +840円(+25.0%)

60サイズと100サイズの値上げ額は20円(改定率1〜2%前後)に抑えられている。対して140サイズ以上の大型区分では15%以上の引き上げとなり、ラージサイズに分類される170サイズでは1件あたり840円(25.0%増)の上昇となる。

佐川急便における届出運賃改定の時系列

佐川急便は2023年以降、資材費や人件費の高騰、協力会社への支払い適正化を理由に段階的な運賃改定を継続している。

発表年月 施行日 平均改定率 主な改定要因・公表理由
2023年1月 2023年4月1日 平均約8% パートナー企業との取引単価改善、人件費上昇
2023年10月 2024年4月1日 平均約7% 物流の労働環境改善、車両・燃料コスト上昇
2026年10月 2027年1月1日 平均約13.8% 施設・車両・資材投資、輸送網維持と処遇改善

国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績」によると、国内の宅配便取扱個数は年間50億3,147万個に達している。トラック運送による宅配便シェアでは、ヤマト運輸(47.2%)、佐川急便(25.8%)、日本郵便(22.2%)の上位3社で95.2%を占める寡占体制が形成されている。同データにおけるメール便の取扱冊数は33億4,477万冊と前年度比で7.3%減少しており、書類や通知の電子化が進む中で、紙請求書発行手数料の100円から200円への引き上げもこのデジタル化方針に沿った措置となる。

佐川急便は今回の改定理由として、施設・車両・資材・人材確保のコスト上昇に加え、幹線輸送中継拠点などの物流ネットワークへの継続投資、下請け・パートナー企業との取引適正化、従業員の処遇改善を挙げている。

参考記事: 佐川急便は8万7000㎡の関東ハブセンター本格稼働で幹線輸送最適化を加速

荷主企業および運送事業者に生じるコスト構造の変化

運賃改定の影響は荷物の容積特性や商流の形態によって異なり、荷主と運送会社の双方に実務上の変更を強いる。

EC事業者:大型商材の送料設定と梱包容積の抑制

アパレルや日用品など60〜100サイズが中心の商材を扱うEC事業者は、1件あたり20円の運賃上昇にとどまるため、既存の送料設計で吸収可能な範囲に収まるケースが多い。一方、家具、寝具、家電、飲料ケース、スポーツ用品など140〜170サイズを出荷するEC事業者には、配送コストの急激な増加が生じる。

関東から関西へ170サイズの荷物を月間1,000件出荷している事業者の場合、月間の運賃負担額は336万円から420万円へと84万円増加する。年間に換算すると1,008万円の直接的なコスト増となる。これにより、販売価格に送料を含める「送料無料」表示の維持が困難になり、大型商品に対する個別送料の設定や、緩衝材を詰めた余剰空間を排除する段ボールサイズの適正化が直接的な対抗策となる。

製造業者・メーカー:出荷ロットの集約と請求業務の電子化

補修部品や原材料、電子機器などの小口出荷を頻繁に行う製造業者は、拠点間輸送や顧客向け納品コストの直接的な増加に直面する。特に140サイズ以上の荷物を複数個口で個別発送している場合、それらを同一パレットに集約して特積み便やチャーター便へ切り替える出荷ロットの再設計が求められる。

また、月数百件単位で紙の請求書を受領・発行している企業では、手数料引き上げが固定費を押し上げる。佐川急便の紙請求書発行手数料が1通200円(税抜)に倍増するため、紙媒体での処理を継続した場合は年間で請求書発行費用だけで数万〜数十万円単位の支出増となる。調達・経理部門におけるEDI連携やクラウド請求受領システムの導入など、事務処理のペーパーレス化が支出削減に直結する。

運送事業者:適正運賃収受の環境醸成と傭車費用の再交渉

宅配大手である佐川急便が平均13.8%の運賃引き上げを発表したことは、特別積合せ事業者や中小運送会社が荷主に対して価格転嫁を求める際の指標となる。燃料費や人件費の高騰に対して自社の運行原価を基に価格交渉を進める運送会社にとっては、大手キャリアの届出運賃改定が交渉の正当性を補強する材料となる。

一方で、佐川急便の集配・幹線輸送を請け負うパートナー企業や協力会社にとっては、今回公表された「適正な取引条件の整備」が実運送を担う現場の傭車単価や個建単価に反映されるかが焦点となる。元請けから二次請け・三次請けへの利益還元が適正に行われない場合、ドライバー不足による幹線輸送枠の確保難が継続する。

参考記事: 貨物自動車運送事業法第24条と2026年7月9日の原単価方式転換への必須対応

中・大型サイズ運賃引き上げが促す容積管理とデジタル化

佐川急便が提示した改定率は、一律の値上げではなく、トラック輸送の物理的ボトルネックに基づいた明確な価格付けである。

トラック容積あたりの積載効率悪化に対する実コスト反映

170サイズの値上げ率を25.0%と極端に高く設定した背景には、大型荷物が車両積載率に与える悪影響がある。トラックの荷台スペースは容積と重量によって上限が決まるが、Eコマースの普及に伴い、軽量でありながら容積を占有する嵩高貨物が増加している。

170サイズの荷物を1個積載するスペースには、60サイズの荷物が複数個積載できる。60サイズが20円の値上げにとどまる一方で、170サイズが840円値上げされる設定は、車両容積を大きく占有する貨物に対して、運行コストに見合った対価を負担させる「容積ベースの適正化」を意味する。荷主側が運賃上昇を避けるためには、製品自体の組み立て設計の見直しや、配送時の容積を数センチ単位で圧縮する梱包技術の導入が実質的なコスト削減手段となる。

事務手数料の引き上げによるデジタル移行への誘導

紙請求書発行手数料の倍増(100円から200円)は、運送業務周辺に付随するアナログ業務を運送会社の運用から排除するためのインセンティブ設計である。請求書の発行・郵送・回収に伴う事務作業は、人件費と郵便料金の上昇によって運送事業者の間接コストを圧迫してきた。

手数料を1通200円に設定することで、荷主に対してWeb請求書サービスへの移行を経済的に動機づけている。運賃本体だけでなく、間接作業の工数に対しても相応の対価を設定し、無償・低価格で提供されてきた付帯業務を有償化する動きが標準化している。

参考記事: 佐川急便が宅配に燃油サーチャージ検討!EC業界に起こる3つの衝撃と防衛策

2027年1月改定に向けて現場が着手すべき対応

改定が適用される2027年1月1日までに、荷主企業および物流担当者が実行すべき具体的な手順は以下の通りである。

1. 出荷データに基づくサイズ別コスト増加シミュレーションの実施

過去半年から1年分の出荷実績データを抽出し、サイズ区分(60〜170サイズ)および発送地・着地ごとの個数を集計する。現行運賃と2027年1月以降の新運賃を掛け合わせ、出荷拠点ごとの月間・年間のコスト増加額を算出する。特に140サイズ以上の比率が高い製品群を特定し、個別採算の再検証を行う。

2. 梱包資材のダウンサイジングと容積基準の再設計

140サイズから100サイズ、170サイズから160サイズへと区分を1ランク引き下げられるよう、段ボールの厚み、緩衝材の量、折りたたみ設計を見直す。外装箱の余剰空間を数センチ削減してサイズ区分を下げることで、1個あたり数百円の運賃差額を抑制する運用体制を整える。

3. 請求書受取プロセスの完全電子化とペーパーレス移行

佐川急便をはじめとする配送キャリアからの請求書発行形態を確認し、紙媒体で受領している場合はオンライン請求受領サービスへの切り替えを申請する。経理部門と連携して電子帳簿保存法に対応した電子請求データの管理フローを構築し、1通あたり200円の手数料発生を完全に排除する。

出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: 国土交通省
出典: カーゴニュース

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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