株式会社Hacobuは2026年3月31日、大阪市中央卸売市場 本場の大果大阪青果株式会社の荷受エリアにおいて、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」が導入されたことを発表しました。西日本の青果物流通の中核拠点である同市場において、開設者の大阪市や荷降ろしを担う株式会社上組らと連携し、日々の入荷波動に伴う車両集中と長時間の荷待ち解消に向けたデータ蓄積を開始します。
大阪本場の青果荷受エリアにおけるMOVO Berth導入の経緯
生鮮野菜や果実を取り扱う卸売市場は、産地と大都市の消費地をつなぐ重要拠点ですが、天候や生育状況によって日ごとの入荷数量が激しく上下します。大阪市中央卸売市場 本場(大阪本場)では、入荷ピーク時に限られた荷さばきスペースへ車両が集中し、待機車両の列が周辺道路や場内に発生する状況が続いていました。
国土交通省の「トラック輸送の実態調査」によると、農水産品を輸送するトラックドライバーは1日の拘束時間が13時間を超える割合が39.2%、16時間超が15.7%に達しています。さらに荷待ち・荷役時間は平均3時間41分に及び、他品目と比較しても待機時間の長さが際立っていました。
こうした荷待ちの解消に向け、大果大阪青果の荷受エリアでは2025年5月に予約マニュアルの案内を開始し、段階的にシステムの適用範囲を拡大してきました。
| 時期 | 実施内容 |
|---|---|
| 2025年5月 | 大果大阪青果と上組陸運が配送事業者向け予約マニュアルを策定・案内 |
| 2025年6月 | 大阪本場内の大果大阪青果「果実部」において先行してMOVO Berthの運用を開始 |
| 2025年11月 | 同市場内の大果大阪青果「野菜部」へMOVO Berthの運用対象を拡大 |
| 2026年3月 | 株式会社Hacobuが大阪本場へのシステム導入を公式発表 |
本取り組みは単一の民間企業によるシステム導入ではなく、市場の開設者である大阪市、卸売会社の大果大阪青果、荷降ろし統括を担う株式会社上組、輸送実務を担当する上組陸運株式会社、そしてシステムを提供する株式会社Hacobuの5者が連携する体制で進められています。
各主体の役割分担は以下の通りです。
| 参画組織 | 本取り組みにおける役割 |
|---|---|
| 大阪市 | 開設者として市場機能の維持・持続可能な運営の統括 |
| 大果大阪青果株式会社 | 荷受エリアの提供および産地からの集荷・仲卸への卸売業務 |
| 株式会社上組 | 大果大阪青果からの受託に基づく市場内荷降ろし業務の統括 |
| 上組陸運株式会社 | 上組のグループ物流事業者として市場内の実運送業務を担当 |
| 株式会社Hacobu | MOVO Berthの提供および荷役データの分析・改善支援 |
参考記事: MOVO Berthとは?トラックの荷待ち削減とバース予約を効率化する機能や料金、導入時の注意点を解説
蓄積データに基づく荷さばきスペースの動的再配分
MOVO Berthの導入により、これまで紙の伝票や現場の目視確認に依存していたトラックの来場予約・受付手続きがデジタル化されました。これにより、市場へ入場するトラックの来場台数、到着時刻、荷待ち時間、荷降ろし作業時間などの実績値が分単位で自動的にログとして記録されます。
青果物流通では、品目ごとに搬入される曜日や時間帯が偏る傾向があります。例えば、月曜日の早朝には葉物野菜の搬入が集中するといったサイクルが存在します。
蓄積されたデータを分析することで、どの時間帯にどの品目がどれだけ搬入されるかを可視化できるようになります。大果大阪青果の現場では、混雑が予測される時間帯において、該当品目の荷さばきスペースをトラックバースの至近に広く確保するなど、データに基づいたレイアウト調整を段階的に実行する計画です。
参考記事: キリン湘南工場も導入、2026年4月の荷待ち義務化を越えるバース管理
流通関係各層に生じる具体的な変化
公設卸売市場の荷受エリアにおけるバース予約システムの稼働は、青果サプライチェーンに関わる複数のプレイヤーに直接的な影響を及ぼします。
卸売業者・荷受代行業者への影響
大果大阪青果をはじめとする卸売業者や荷降ろしを請け負う上組にとって、最大の利点は現場管理がベテラン担当者の勘や経験則から客観データへと移行することです。事前にトラックの到着スケジュールと搬入品目が共有されるため、リフトオペレーターや荷役作業員の手配を時間帯別に適正化できます。
荷さばきスペースの固定的な割り振りをやめ、曜日や時間帯ごとの入荷実績に合わせてスペースを柔軟に切り替える運用が可能になり、限られた市場面積あたりの処理能力が引き上げられます。
運送事業者・トラックドライバーへの影響
産地から農産物を長距離輸送してきた運送事業者およびドライバーにとっては、到着順の順番待ちに伴う拘束時間の短縮に直結します。
事前予約によって接車可能時間が可視化され、場外や市場周辺での滞留が抑制されます。手書き台帳への記入や対面での受付窓口の混雑が解消され、入構から荷降ろし完了までの見通しが立つことで、ドライバーの労務管理や次の運行計画の狂いを最小限に抑えることが可能です。
開設者(自治体)への影響
市場を開設・管理する大阪市などの行政組織にとって、市場機能の維持と周辺環境への負荷低減は直結する施策です。待機トラックが市場外の一般道へ溢れ出る現象は、近隣住民からの苦情や交通渋滞の原因となっていました。
場内の車両流動と滞在時間をデジタルデータとして把握できる体制が整備されることで、都市インフラとしての市場の稼働実態を行政側が正確にモニタリングし、将来の施設計画や交通誘導の根拠として活用できます。
参考記事: 2028年度に1万1500拠点へ、矢野経済研究所が示すバース予約システム導入加速
LogiShiftの視点
全国の物流拠点でバース予約システムの導入が進む中、中央卸売市場のような生鮮拠点は、天候要因による極端な入荷波動を理由にデジタル化の難易度が高いとされてきました。大果大阪青果におけるMOVO Berthの運用は、そうした制約を持つ拠点であっても、事前予約と実績ログの蓄積が実行可能であることを示しています。
重要なのは、システムの導入それ自体ではなく、取得したデータを敷地レイアウトや作業動線の改定にどこまで連動させられるかという点です。大果大阪青果と上組が目指す「月曜早朝の葉物野菜向けに近接スペースを広げる」といった動的なレイアウト変更は、固定的な場所貸しにとどまっていた市場の空間管理を、スループット重視のデータ駆動型運用へと進化させる試みです。
卸売市場の荷受業務は、荷主である農協・出荷団体、卸売会社、運送会社、荷役会社が複雑に交差する多重構造を持っています。大阪本場のように開設者である自治体が関与し、港湾運送の大手上組グループと一体となって予約プラットフォームを共通基盤化したことは、他地域の公設市場が荷待ち対策を進める上での具体的な運用モデルとなります。
参考記事: 荷主必読!大同特殊鋼の全21拠点MOVO導入と荷待ち半減に学ぶ物流DX
明日から意識すべきこと
生鮮市場をはじめとする荷役現場の改善に向けて、担当者が着手すべき実務項目は以下の通りです。
- 入荷波動の大きい品目の特定
荷待ちが慢性化している曜日や時間帯を抽出し、どの品目の搬入が集中しているかを伝票データから整理します。
- 予約受付運用の段階的テスト
全品目・全車両を一斉に予約対象とするのではなく、大果大阪青果の事例のように果実部から野菜部へと対象範囲を順次広げる導入手順を設計します。
- 荷さばきスペースの動的割り当てルールの策定
曜日や時間帯ごとの集中品目に応じて、接車バース近隣のスペースを柔軟に切り替える運用基準を関係者間で取り決めます。
出典: 物流の課題を解決するDXパートナー|株式会社Hacobu
出典: LOGISTICS TODAY
出典: 株式会社Hacobu プレスリリース
出典: 大果大阪青果株式会社
出典: 上組陸運株式会社
出典: 農林水産省



