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Home > マテハン・ロボット> DHLサプライチェーンが柏にラピュタASRS導入|ロボ60台で保管効率を向上
マテハン・ロボット 2026年10月26日

DHLサプライチェーンが柏にラピュタASRS導入|ロボ60台で保管効率を向上

DHLサプライチェーンが柏にラピュタASRS導入|ロボ60台で保管効率を向上

DHLサプライチェーンジャパンは2026年10月8日、セレクトショップ大手ベイクルーズの物流を受託する「柏沼南ロジスティクスセンター」において、ラピュタロボティクス製の自動倉庫システム「ラピュタASRS」を本格導入しました。約60台の自動搬送ロボットが専用保管ケースを定位置の作業ステーションへ届ける体制を整え、上部空間の活用による保管効率向上と入出庫作業の省人化を図ります。

柏沼南ロジスティクスセンターにおける自動倉庫導入の全容

DHLサプライチェーンジャパンが運営する柏沼南ロジスティクスセンター(千葉県柏市)では、ベイクルーズのオムニチャネル事業拡大に伴う出荷物量の増加とSKUの多様化に対応するため、庫内保管および荷役オペレーションの刷新が図られました。今回導入された設備は、ラピュタロボティクスが開発した立体型の自動倉庫システム「ラピュタASRS」です。

導入設備の仕様とオペレーションの仕組み

本センターに配備されたラピュタASRSは、ブロック状に組み上げられた棚フレームの内部および上部をロボットが自律走行し、対象のケースを直接取り出して作業ステーションまで運ぶGoods-to-Person(GTP)方式を採用しています。

項目 詳細仕様・内容
発表主体 DHLサプライチェーンジャパン株式会社
荷主企業 株式会社ベイクルーズ
稼働拠点 柏沼南ロジスティクスセンター(千葉県柏市)
導入設備 自在型自動倉庫「ラピュタASRS」(ラピュタロボティクス製)
稼働ロボット台数 約60台
保管ケース(ビン)数 約10,800個
オペレーション方式 Goods-to-Person(定位置での入出庫・仕分け)

従来の固定式中量棚を用いた手動ピッキング運用では、作業員が伝票やハンディターミナルを携えて棚間を歩き回り、対象商品を探し出してピッキングしていました。また、一般的な中量棚の高さ制限により、倉庫有効高の上部スペースがデッドスペースになりやすいという構造的な課題も抱えていました。

ラピュタASRSの稼働により、入出庫フローは次のように変化しています。

  • 入庫工程:荷受けした商品を専用の保管ケース(ビン)に収めると、ロボットが保管ラックの上部空間へ自動で格納します。
  • 出庫工程:WMS(倉庫管理システム)からの出荷指示に基づき、約60台のロボットがラック内を走行して該当商品が収められたビンを特定し、作業ステーションまで自動搬送します。
  • 仕分け工程:作業員は定位置のステーションにとどまったまま、届いたビンから指示通りの点数を取り出し、仕分けや検品を完了させます。

この仕組みにより、作業員の庫内歩行や台車の押し引きが不要となったほか、保管スペースを垂直方向に高密度化することで、限られた床面積あたりの保管容量を大きく拡大させています。

参考記事: 自動倉庫の仕組みと種類を解説|導入メリットや失敗しない選定基準まで

10年間にわたる段階的な物流基盤強化の経緯

ベイクルーズとDHLサプライチェーンジャパンは、2016年の拠点集約以降、継続的に設備と運用の改良を重ねてきました。一過性の設備導入ではなく、業務プロセスの可視化と自動化技術の適用を順を追って進めてきた経緯があります。

年次 実施内容 目的と効果
2016年 4拠点に分散していたオペレーションを柏沼南へ集約 サプライチェーンの一元管理体制を確立
2020年 全社的な商品管理にRFIDを導入 検品スピードの向上と棚卸作業の工数削減
2024年 EC向け出荷ラインに自動梱包機を配備 BtoC出荷の梱包処理能力を向上
2026年 ラピュタASRS(ロボット約60台)が稼働 GTP化による保管効率向上と入出庫の省人化

ベイクルーズは「最小のスペースで最大の能力を発揮できる物流センター」を方針に掲げており、BtoB(店舗向け配送)とBtoC(EC通販)の物流機能を別々の拠点に切り分けるのではなく、柏沼南ロジスティクスセンターの1拠点へ統合した運用を継続しています。

今回のASRS稼働によって、新たな外部倉庫を借り増すことなく、発表時点から約5年後に見込まれる事業成長分の物量を現拠点で処理できる体制を整えました。

参考記事: アパレル物流とは?一般物流との違いや多SKU・季節変動を乗り切る実務ノウハウ

サプライチェーン関係者に生じる具体的な影響

今回のASRS導入事例は、受託側である3PL、委託側であるアパレル・EC事業者、そしてセンター内で稼働する作業現場の各層に具体的な運用の変化をもたらします。

倉庫事業者・3PL:段階投資モデルによる受託競争力の担保

3PL事業者にとって、荷主の事業フェーズに応じた自動化設備の提案力が試される局面が増えています。従来のスタッカークレーン型自動倉庫は、建屋の床面にアンカーボルトで強固に固定する必要があり、撤去やレイアウト変更が困難であるため、契約期間が数年単位の3PL事業では投資回収の不一致がリスクとなっていました。

ブロック構造を採用したラピュタASRSのようなモジュール型システムは、初期投資の段階で必要最小限の保管ユニットから立ち上げ、荷主の売上増やSKU増加に合わせてロボットやラックを増設できます。3PL側は過大な先行投資を避けつつ、荷主の取扱規模拡大に合わせたスケーラブルな受託基盤を提示できるため、契約更新時における他社へのリプレイスを防ぎ、長期的な協業関係を維持しやすくなります。

参考記事: 日本通運がラピュタ自動倉庫を2拠点で稼働|既存WMS連携で改修費を抑制

アパレル・小売事業者:拠点増設を回避した固定費の圧縮

多品種少量の商品を扱い、かつ店舗とECで在庫を共有するアパレル小売事業者にとって、物量拡大に伴う拠点の分散は在庫の偏在や拠点間移動コストの発生要因となります。BtoB用とBtoC用で倉庫を分けた場合、安全在庫が二重に計上され、在庫回転率が低下します。

ベイクルーズのように立体保管が可能なASRSを導入し、上部空間へ約1万800個のビンを高密度に格納することで、同一拠点内での保管可能SKU数を大幅に引き上げられます。拠点を増設せずに事業成長を吸収できるため、複数倉庫の賃料や横持ち運賃、各拠点への管理人員配置といった固定費の重複投資を回避し、キャッシュフローの圧迫を抑えられます。

参考記事: 3PL(サードパーティ・ロジスティクス)とは?導入メリットと失敗しない選定ポイントを解説

倉庫内作業員:長距離歩行の排除と業務の標準化

柏沼南ロジスティクスセンターの作業現場では、Goods-to-Person運用の定着により、作業員の身体的負担が直接的に軽減されます。

従来型の中量棚ピッキングでは、1日あたり1万歩から2万歩以上の歩行が発生し、重量物の入ったオリコンの運搬作業も伴っていました。ASRSの導入によって作業員は定位置のピッキングステーションで作業を完結できるため、移動にかかる疲労や高所ラックへの昇降に伴う作業リスクが低減します。

また、ビンが手元へ自動供給され、取り出すべき商品の指示がモニターやプロジェクション等で明確化されることで、商品の保管場所を記憶する熟練度に依存しない運用が可能になります。新人作業員や短期アルバイトの立ち上げ期間が短縮され、セール時や季節波動のピーク時における欠品・誤出荷率の抑制につながります。

参考記事: 加藤産業がラピュタASRS導入、70%省人化と保管効率化を両立する戦略

LogiShiftの視点:1拠点集中運用を支える「可変インフラ」への転換

DHLサプライチェーンジャパンとベイクルーズの取り組みは、物流インフラの構築思想が「拠点分散による面積拡張」から「自動化による空間・機能の高密度化」へ移行していることを示しています。

ベイクルーズが公表した通り、アパレル業界において売上規模が拡大してもBtoBとBtoCの物流拠点を切り離さず、柏沼南ロジスティクスセンター1拠点での運用を維持している体制は特徴的です。通常、EC比率が高まるにつれて単品出荷のピッキング・梱包負荷が増加し、店舗向けのケース出荷ラインと干渉するため、拠点を物理的に分立させるケースが一般的でした。

しかし、2020年のRFID導入で検品工数を削り、2024年に自動梱包ラインを敷き、2026年にASRSで立体空間のGTP運用を組み込むという段階的な手当により、単一拠点での処理密度を極限まで高めています。

この運用を可能にした要素の一つが、ラピュタASRSのようなアンカーレス・モジュール型の設備設計です。従来の固定型大型マテハンは、一度敷設すると庫内の動線が固定化され、荷主の事業モデル変化に対応できなくなる恐れがありました。ラックやロボットを後から追加・組み換えできる可変設備を選定することで、3PLと荷主は将来の需要予測が外れた際のリスクを最小化しながら、約5年先を見据えた成長余力を現拠点の中に確保しています。

参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや主要設備・失敗しない進め方を徹底解説

まとめ:明日から意識すべき3つの実践アクション

自社の物流現場において保管効率の限界やピッキング負荷の増大に直面している担当者は、以下のステップで既存運用の再評価を進めることが現実的な出発点となります。

  1. 倉庫内におけるデッドスペースの特定

天井高に対して中量棚の最上段から上部に生じている未利用空間の容積を測定し、垂直方向の立体保管へ移行した場合にどれだけの保管面積が節約できるかを試算する。

  1. ピッキング作業員の「歩行時間」と「作業時間」の分離計測

ハンディターミナルや作業動線のデータから、作業員の実労働時間のうち「商品を探して歩いている時間」が占める割合を算出し、Goods-to-Person化による工数削減余地を定量化する。

  1. 自動化設備のモジュール性と拡張性の事前確認

導入を検討する自動化機器が、床面アンカー固定を前提とした固定設備か、あるいは物量増やレイアウト変更に応じて段階増設が可能なモジュール構造かを選定基準に加える。

出典: LOGI-BIZ online(ロジビズ・オンライン)
出典: DHLサプライチェーンジャパン プレスリリース

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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