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Home > 倉庫管理・WMS> 国土交通省が倉庫特定技能の評価試験を受付開始|出張方式先行で現場受入が本格化
倉庫管理・WMS 2026年10月26日

国土交通省が倉庫特定技能の評価試験を受付開始|出張方式先行で現場受入が本格化

国土交通省が倉庫特定技能の評価試験を受付開始|出張方式先行で現場受入が本格化

国土交通省は2026年10月26日、在留資格「特定技能1号」の対象分野である「物流倉庫分野」について、一般財団法人日本海事協会を通じて技能評価試験の申請受付を開始した。会場を事業者が手配する出張方式(ペーパーテスト)の受付を先行させ、テストセンターで実施するCBT方式は配信システムの準備が整い次第順次開始する。

物流倉庫分野における特定技能1号評価試験の制度概要と実施要領

2026年1月23日に「物流倉庫分野」が特定技能制度の対象として閣議決定されて以降、現場での受入れに必要な評価試験の体制構築が進められていた。今回の申請受付開始により、倉庫現場で即戦力となる外国人材の適格性を判定する公的枠組みが実稼働した。

試験方式の区分と実施フロー

評価試験の実施機関は一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が担う。試験方式には「出張方式」と「CBT(Computer Based Testing)方式」の2種類が設定されている。

試験方式 実施形態 受付開始時期 主な運用要件
出張方式 申請法人が指定する会場でペーパーテストを実施 2026年10月26日 国内は30枠以上、海外は原則50枠以上の集団申請で日程調整
CBT方式 各地のテストセンターのコンピュータ端末で実施 2026年12月(予定) 配信会社のシステム準備完了後に順次稼働、個人単位での受験に対応

出張方式は、まとまった人数を一度に受験させたい企業や送り出し機関を想定した仕組みである。日本国内では1回あたり30枠以上、海外会場では原則50枠以上の受験枠が必要とされ、1回の試験時間は80分、1日に最大3回まで実施できる。受験料は国内が6,500円(税抜・出張旅費等別途)、海外が45米ドル(出張旅費等別途)に設定されている。

受験対象国は日本のほか、インドネシア、フィリピン、タイ、ウズベキスタンなど計17か国が指定されている。受験資格は満17歳以上(インドネシア国内での受験は満18歳以上)かつ日本国籍を有しない者である。先行する出張方式では、日程や会場の手配について申請法人と日本海事協会との事前調整が必要となる。

制度創設の時系列と受入れスケジュールの全体像

物流倉庫分野における特定技能制度の導入は、自動車運送業分野の追加から約2年を経て実現した。受入れ枠の設計や法制度の改定は以下のスケジュールで進行している。

年月 行政手続き・制度上の節目 倉庫現場・受入れ事業者の動き
2024年3月29日 自動車運送業分野が特定技能の対象分野へ追加(閣議決定) ドライバー職を対象とした外国人受入れが先行開始
2026年1月23日 物流倉庫分野の追加が閣議決定(受入見込枠の設定) 倉庫作業員を対象とした受入れ要件の検討開始
2026年6月26日 国土交通省告示第787号・第788号公布(上乗せ基準) WMS導入や直接雇用、協議会加入の義務化が確定
2026年10月26日 特定技能1号評価試験(出張方式)の申請受付開始 法人による集団受験申請と現地選考の本格化
2026年12月(予定) CBT方式による評価試験の配信開始予定 個人受験ルートの開通による求職者の拡大
2027年4月(予定) 育成就労制度の施行・特定技能と連動した本格配属 構内オペレーションへの外国人材の配置本格化

国土交通省の試算によると、2028年度末には物流倉庫分野で約5万5,100人の人手不足が見込まれている。政府はこの不足分に対し、倉庫管理システム(WMS)の利活用等による生産性向上で2万300人分、女性や高齢者などの国内人材確保で1万6,500人分を補い、それでも不足する1万8,300人分を外国人材の受入れによって埋める計画を策定した。

受入れ見込数(上限)の内訳は、特定技能1号が2026年度から2028年度までの3年間で1万1,400人、2027年4月に開始される育成就労制度が2年間で6,900人である。特定技能制度では分野ごとの受入れ上限が厳格に管理されており、過去に外食産業分野で上限に達して新規受付が停止したのと同様、物流倉庫分野においても1万1,400人の枠に到達した時点で認定証明書の交付が停止される。

受入れ企業に課される3つの必須条件

特定技能1号の外国人材を受け入れる事業者には、国土交通省の告示基準に基づき、一般的な在留諸要件に加えて以下の3つの条件充足が義務付けられている。

  1. 事業者の該当性: 倉庫業法に基づく登録を受けた倉庫業者、登録倉庫業者から委託を受けて営業倉庫内で構内作業を行う事業者、または有償で倉庫作業料金を収受している貨物自動車運送事業者であること。
  2. WMS(倉庫管理システム)の実稼働: 紙伝票や表計算ソフトのみの運用を排し、入庫・在庫・出庫の3機能を備えた情報システムを現場で日常的に運用していること。自動搬送ロボット(AGV/AMR)や自動ソーター等との連携運用状況についても、分野別協議会への定期報告義務が課される。
  3. 直接雇用契約と協議会への参加: 派遣形態での受入れは認められず、企業と外国人材との直接雇用(フルタイム)に限られる。さらに、国土交通省が設置する「物流倉庫分野特定技能協議会」へ加入し、必要な調査や指導に応じること。

参考記事: 国土交通省、外国人1.8万人枠にWMS義務化!倉庫DXが雇用の前提条件に

サプライチェーン各プレイヤーに生じる実務上の影響

評価試験の申請受付が始まったことで、倉庫事業者から荷主企業、現場の作業員に至るまで、実務オペレーションの見直しが求められる。

倉庫事業者・3PL:先行枠の確保競争と出張試験の活用

倉庫事業者や3PL企業にとって、出張試験の受付開始は計画的な人材確保を着手する合図となる。上限1万1,400人の受入れ枠は、全国の営業倉庫数や慢性的な求人難に照らし合わせると決して潤沢ではない。ハローワークにおける倉庫作業員の求人倍率(求人数/応募人数)は2.54倍に達しており、作業員1人あたりの所管面積も直近5年間で633平方メートルから674平方メートルへと約6%拡大している。

自社施設や提携する海外の送り出し機関の拠点を会場として指定できる出張方式を活用すれば、自社の採用内定者をまとめて受験させ、合格後に速やかに就労ビザの申請へ移行できる。大手物流企業の中には、制度運用を見据えてすでに現地選考を完了させている事例もある。

一方で、WMSを実稼働させていない事業者は特定技能の受入れ対象から外れるため、システム投資が遅れている中小倉庫事業者は、国内パート・アルバイトの採用難と特定技能の活用不可という二重の制約に直面する。

参考記事: セイノースタッフサービスが倉庫特定技能で17人内定|免許不要枠を早期確保

現場作業員と管理者:標準作業手順書の整備と多言語対応

現場の作業員にとっては、特定技能外国人の配置によって1人あたりの作業負荷が分散される効果が期待される。特に、多品種小ロットのピッキングや流通加工、荷下ろしといった自動化機器による代替が難しい工程において、安定した稼働人員が確保される。

ただし、円滑な現場運用の前提となるのは、標準作業手順書(SOP)の整備とルールの明確化である。特定技能1号の合格要件には日本語能力水準(A2相当/日本語能力試験N4等)が含まれるが、複雑な業務指示や日本語の専門用語を正確に理解させるには、文字だけに頼らないピクトグラムの活用やハンディターミナルの画面多言語化が不可欠となる。あうんの呼吸や口頭伝承に依存していた現場管理手法は通用しなくなる。

参考記事: 特定技能採用に53.9%が前向き!G.A.グループ調査が示す現場の必須対応

行政・制度運用:自動車運送業分野の課題を踏まえた受入れ加速

国土交通省および出入国在留管理庁にとって、物流倉庫分野の試験開始は、物流危機打開に向けた外国人労働力活用施策の実効性を問う契機となる。

先行した自動車運送業分野では、外国運転免許から日本の第1種運転免許への切替審査厳格化(知識確認の文章問題50問化、合格率42.8%への急落)がボトルネックとなり、2026年7月末時点での在留者が703人(充足率3.2%)にとどまっている。これに対し、物流倉庫分野は公的な運転免許の取得が不要であり、入出庫検品、ピッキング、格納、流通加工といった構内作業が主業務となるため、資格取得手続きに伴う停滞が生じにくい。行政側も出張方式を先行させて年内の申請を促し、2027年春に向けた現場配属のスピードを加速させる方針をとっている。

参考記事: [GLORY OF BRIDGEが倉庫特化の特定技能紹介|1.14万人枠に直結](https://logishift.net/2026/10/26/post-9929/)

LogiShiftの視点:WMS必須化と出張試験先行が引き起こす選別の加速

物流倉庫分野における特定技能評価試験の開始は、倉庫オペレーションを「人海戦術」から「デジタル基盤を前提とした組織運用」へと強制的に移行させる契機となる。

出張方式が先行して開始された点は、企業の採用行動に直結する。出張方式は国内30枠以上、海外50枠以上という一定規模の受験者をまとめる必要があるため、海外の送出し機関や登録支援機関と提携し、まとまった枠を抑えられる大手3PLや先行企業が1万1,400人の受入れ枠を早期に消費していく可能性が高い。CBT方式が2026年12月に稼働するまでの間、個別採用を中心とする事業者は出遅れるリスクを抱える。

さらに決定的なのは、国土交通省告示が定めたWMSの利活用義務である。国が「WMS等による生産性向上で2万300人分を解消する」ことを前提としている以上、紙のピッキングリストやExcelでの在庫管理を続けている現場には特定技能の雇用許可が下りない。外国人材の受入れ要件を満たすためにクラウド型WMSを導入し、ハンディターミナルや音声ピッキングを整備した企業だけが労働力を補充できる構造が完成した。

結果として、今後は「デジタル化を完了して外国人材を直接雇用し、スループットを維持する倉庫」と、「システム化の遅れによって外国人材を採用できず、国内パートの採用難でキャパシティ割れを起こす倉庫」の間で、荷主からの受託能力に明確な格差が生じる。特定技能評価試験の開始は、単なるビザの手続き開始ではなく、倉庫事業者の存続条件を分ける分岐点となる。

まとめ:明日から自社で取り組むべき準備

特定技能1号評価試験の申請受付が始まったことを受け、倉庫事業者が講ずべき具体的な確認事項は以下の通りである。

  1. 自社WMSの機能要件確認

入庫・在庫・出庫の3機能を備えたシステムが構内で稼働しているかを棚卸しし、特定技能の受入れ要件を満たしているか確認する。

  1. 受験ルートと提携先の選定

出張方式による集団受験を活用するか、12月予定のCBT方式を待つかを判断し、実績のある登録支援機関や現地送出し機関との調整を開始する。

  1. 構内作業の標準化と多言語化

日本語N4水準の人材が安全かつ正確に作業できるよう、ピッキング手順の平準化やロケーション表示のピクトグラム化を進める。


出典: 国土交通省
出典: 一般財団法人日本海事協会
出典: LNEWS
出典: LOGISTICS TODAY

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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