ロジスティード東日本は千葉県柏市の「北柏営業所」において、ラピュタロボティクスが開発する自在型自動倉庫「ラピュタASRS」の採用を決定した。既設のメザニン(中2階)を設置架台として活用し、2027年5月の稼働開始を予定している。
北柏営業所におけるラピュタASRS導入の全容と設備配置
北柏営業所では、荷動きの増加に伴い複数の建屋やエリア、さらに外部倉庫へ保管・物流機能が分散していた。この分散配置に起因する横持ち運送コストの発生や在庫管理工数の増加を解消するため、拠点内の空間効率を極限まで高めて機能を1拠点に統合する設備更新が求められていた。
今回の導入計画では、倉庫内にすでに設置されているメザニン(中2階)の上部を高密度な自動保管エリアとし、その下部を作業スペースとして維持する立体的なレイアウトを採用する。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年10月7日 |
| 稼働開始時期 | 2027年5月(予定) |
| 導入事業者 | ロジスティード東日本株式会社(ロジスティードグループ) |
| 開発元 | ラピュタロボティクス株式会社 |
| 対象拠点 | 北柏営業所(千葉県柏市) |
| 導入設備 | 自在型自動倉庫「ラピュタASRS」 |
| 設置形態 | 既設メザニン(中2階)を架台として上部に設置 |
| 解決課題 | 複数建屋・外部倉庫に分散する機能の集約、保管・作業スペースの効率化 |
従来のスタッカークレーン型や大型自動倉庫の多くは、平坦なコンクリート土間床へのアンカー固定を前提とし、建屋の梁下有効高を丸ごと占有する設計が主流であった。そのため、すでにメザニンや積層ラックが組まれている既存倉庫に導入する場合、構造物の大規模な撤去工事や、別フロアへの移設が必要となるケースが多かった。
ラピュタASRSはモジュール型のラック構造と自律走行ロボットを組み合わせた設計となっており、建屋形状や柱スパン、既存インフラの耐荷重条件に応じた柔軟な設計が可能である。北柏営業所では、メザニン上をロボットが走行する高密度保管エリアとし、メザニン下部の空間を作業員やフォークリフトが稼働するピッキング・仕分け作業エリアとして使い分けることで、限られた延床面積の立体利用を実現する。
また、北柏営業所ではアパレル製品やサイズ・形状が不揃いな異型品を多く取り扱っており、これらを同一拠点内で最適配置しながらピッキング効率を引き上げることが採用の決定打となった。
ロジスティードグループにおけるラピュタロボティクス製品の導入経緯
ロジスティードグループ各社は、これまでも庫内作業の自動化に向けてラピュタロボティクスとの協業を進めてきた。今回のASRS採用は、搬送ロボット(AMR)の活用から立体自動倉庫の導入へと自動化領域を拡張させた形となる。
| 時期 | 対象拠点 | 導入設備・取り組み内容 |
|---|---|---|
| 2月27日 | ロジスティード東日本 柏の葉営業所 | 協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR XL」を導入 |
| 2024年12月 | ロジスティード西日本 神戸営業所 | 協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」を導入・稼働開始 |
| 2026年10月 | ロジスティード東日本 北柏営業所 | 自在型自動倉庫「ラピュタASRS」の採用決定(2027年5月稼働予定) |
柏の葉営業所において既存のレイアウトを維持したままAMRを導入した実績に続き、北柏営業所では既設のメザニンという既存インフラを活かした立体保管の自動化へとステップを進めている。
参考記事: 自動倉庫の仕組みと種類を解説|導入メリットや失敗しない選定基準まで
物流サプライチェーン各層への具体的な影響
既設の建築付帯設備を活用した自動倉庫の導入は、拠点集約を進める3PL事業者、自動化機器を提供するベンダー、そして庫内の実務オペレーションを担う作業員のそれぞれに直接的な影響を与える。
倉庫事業者・3PL:外部倉庫解約と賃料・横持ちコストの圧縮
複数の建屋や外部倉庫を借り増して運用している3PL事業者にとって、拠点分散に伴う横持ちトラックの輸送費と二重三重に発生する入出荷管理コストは収益を圧迫する主要因である。しかし、保管能力を補うために新築の大型先進的物流施設へ移転すれば、坪あたりの賃料単価が上昇し採算が合わなくなるジレンマを抱えていた。
既設のメザニン上に自動倉庫を積載して保管密度を高める手法は、既存拠点の延床面積を実質的に拡張することと同義である。外部倉庫を解約して北柏営業所へ在庫と出荷機能を集約できれば、拠点間のトラック横持ち費用、外部拠点の賃料、各拠点に配置していた管理者人件費を同時に削ぎ落とせる。既存施設の設備改修を中心とした設備投資で拠点集約を完結できる選択肢が確立された。
参考記事: 日本通運がラピュタ自動倉庫を2拠点で稼働|既存WMS連携で改修費を抑制
SaaS・テクノロジーベンダー:既存建造物との親和性が選定基準へ浮上
マテハン機器やロボティクスを取り扱うベンダーに対しては、機器単体のスループット性能だけでなく、既存建屋の制約条件にいかに適合できるかが問われるようになる。
天井高、梁の位置、柱スパン、そして既設メザニンの耐荷重といった個別現場の物理的制約に対して、アンカーレス設置やモジュール単位のレイアウト変更で応えられる柔軟性が選定の前提条件となる。ハードウェアの形状変更が難しい固定式設備を提供するベンダーは、既存倉庫のリノベーション案件においてリプレイス需要を取りこぼすリスクがある。倉庫制御ソフトウェア(WCS)や倉庫実行システム(WES)においても、異型品エリアと自動倉庫エリアをシームレスに連携させる制御機能の標準化が求められる。
参考記事: 物流ロボティクス入門|AGV・AMRの違いと導入手順・費用対効果を徹底解説
倉庫内作業員:保管層と作業層の物理的分離による安全確保と歩行削減
メザニン上部を無人の自動保管エリアとし、下部を作業スペースとして明確に区分することで、現場の労働環境は大きく変化する。
従来の有人中2階では、作業員が階段や垂直搬送機を使ってフロア間を往復し、狭い通路で台車を押しながらピッキング作業を行う身体的負荷が存在した。メザニン上を自動倉庫化して荷物が手元へ自動搬送される体制へ移行すれば、作業員の上下移動や棚間歩行は完全に消失する。また、フォークリフトや自動搬送ロボットが交錯しない専用の作業スペースがメザニン下部に確保されるため、接触事故リスクが排除され、定点での仕分け・検品に集中できる作業環境が整う。
参考記事: 加藤産業がラピュタASRS導入、70%省人化と保管効率化を両立する戦略
LogiShiftの視点:新築依存から「既存ストック高度化DX」への転換点
ロジスティード東日本による北柏営業所へのラピュタASRS導入は、物流業界における自動化投資の主戦場が「新築大型メガ倉庫への最新設備導入」から「既存倉庫ストックの立体的高密度化」へ移行している実態を浮き彫りにしている。
都市近郊における物流用地の不足と建築資材・人件費の高騰により、新築物流施設の開発・賃料水準は高止まりしている。荷主企業からのコスト削減要請が強まる中、3PL各社が競争力を保つには、現在稼働している築古・中規模の自社倉庫や既存拠点の坪効率をいかに引き上げるかが成否を分ける。
北柏営業所の事例が示す本質は、メザニンという既存インフラを撤去するのではなく、そのままロボットの走行架台として転用した点にある。構造躯体に手を加えず、上部空間を高密度保管へ、下部を作業ステーションへ立体的に役割分担させる設計思想は、設備投資額を抑制しながら保管容量とスループットを同時に倍増させる現実的な解である。
今後の自動倉庫選定においては、設備の絶対的な搬送速度以上に、「自社の既存構造物を壊さずに組み込める可変性」が投資判断の重要指標となる。
参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや主要設備・失敗しない進め方を徹底解説
まとめ:明日から意識すべき3つの実践アクション
- 自社拠点内の既存メザニンや中量棚の耐荷重・梁下有効高を棚卸しし、自動保管設備を積載可能な構造的余力があるか技術要件を確認する
- 複数建屋や外部倉庫に分散配置している貨物の保管料・横持ちトラック費用を算出し、1拠点への立体集約によって削減できる固定費を試算する
- 新規の自動化機器選定において、床面アンカー固定の要否やモジュール拡張性など、既存建屋の形状変化に追従できる機種を候補に加える
出典: LOGI-BIZ online(ロジビズ・オンライン)
出典: mf-p.jp
出典: rapyuta-robotics.com(ロジスティード西日本 神戸営業所)
出典: rapyuta-robotics.com(ロジスティード東日本 北柏営業所)



