ロジスティードは日立ソリューションズグループと連携し、海外22カ国・約40拠点の基幹システム(ERP)を「Microsoft Dynamics 365」へ刷新しました。過去のM&Aに伴い分散していた拠点ごとのデータモデルを共通化し、各社の月次決算集計にかかる作業時間を従来の月約8時間から10分未満へと大幅に圧縮しています。
22カ国約40拠点を結ぶ基幹システム統合と決算8時間から10分への短縮
ロジスティードソリューションズの統括のもと、株式会社日立ソリューションズおよびHitachi Solutions Asia Pacific Pte. Ltd.がメインパートナーとなり、2年半の開発期間を経てアジアおよび欧米拠点の基幹システム刷新が完了しました。
ロジスティードは世界30の国と地域に1,000を超える拠点を展開していますが、過去のM&Aによって傘下に加わった海外現地法人では、拠点ごとに異なるレガシーERPが乱立していました。システムのブラックボックス化や保守コストの高騰に加え、業務プロセスの属人化やデータコード体系の不統一がグループ全体の経営状況をリアルタイムに把握する上での障壁となっていました。
今回の刷新プロジェクトにおける体制と主な実績は以下の通りです。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 発表企業・推進体制 | ロジスティード、ロジスティードソリューションズ、日立ソリューションズグループ |
| 導入システム | Microsoft Dynamics 365 |
| 対象範囲 | アジア・欧州・北米など22カ国・約40拠点 |
| 開発期間 | 約2年半 |
| 導入手法 | 日米欧亜を跨ぐDevOps体制、Git Flowを活用したバージョン管理、各国税法対応テンプレート |
| 定量的成果 | 各社の月次決算集計業務時間を月約8時間から10分未満へ短縮 |
| 業務・データ統合 | 請求・経費精算・購買プロセスの標準化、マスターデータ管理(MDM)の共通化 |
短期間での大規模ロールアウトを実現した背景には、各国特有の商習慣や税制・法規制に対応する共通テンプレートの活用と、日本と海外拠点を跨ぐDevOps手法の適用があります。分散型バージョン管理手法である「Git Flow」を導入し、複数リージョンのサーバー群に対するリリースマネジメントとソースコード管理を厳格に統制したことで、スケジュール遅延を起こさずに約40拠点への展開を完遂させました。
マスターデータ管理(MDM)の統一と共通データモデルの整備により、海外現地法人の小規模拠点も含めて承認フローや購買プロセスが本社基準に統一され、内部統制の基盤が確立されました。
参考記事: ロジスティード4月の機構改革|グローバルフォワーディング新設とDX統合の狙い
グローバル展開を進める物流関連企業への波及効果
基幹システムの刷新とマスターデータの統合は、3PL事業者自身だけでなく、システムベンダーや荷主である製造業各社に対しても直接的な影響を与えます。
倉庫事業者・3PL:M&A後のシステム統合(PMI)モデルの確立
海外展開や規模拡大を急ぐ物流事業者にとって、買収先企業のシステム統合(PMI)は最大の難所です。買収先ごとに異なるWMSやERPが放置されると、グループ間でのクロスセルやリソースの融通が阻害され、余計な保守費用が発生し続けます。
ロジスティードが示した「共通テンプレート+クラウドERP」による約40拠点の同時期刷新モデルは、買収先拠点のガバナンスを迅速に本社主導へ移行させる実効策となります。決算集計作業を10分未満に短縮した実績は、現地法人の管理工数を直接削減するだけでなく、グループ全体の採算性管理の精度向上につながります。
SaaS・テクノロジーベンダー:多拠点展開を支えるテンプレート需要の増加
物流企業の海外展開に伴い、現地の税制や法規制に即応できるクラウド型ERPソリューションの需要が急増しています。今回の事例では、日立ソリューションズが培ってきた「Microsoft Dynamics 365」の導入ノウハウと、各国の法律・税制要件をあらかじめ組み込んだテンプレートが工期短縮に寄与しました。
単一のソフトウェアライセンスを提供するだけでなく、Git Flowなどを活用したリリース管理や複数国にまたがる開発体制をワンストップで支援できるITベンダーへの引き合いが強まることになります。
製造業者・メーカー:サプライチェーン全体のコストとリードタイムの可視化
荷主であるグローバル製造業にとって、委託先3PLのデータ基盤が統一される利点は極めて大きいです。拠点ごとにシステムが分断されていた環境では、国際輸送から現地保管、末端配送に至るコストや在庫データの集約にタイムラグが生じていました。
ロジスティードの海外データ基盤が単一モデルに統一されたことで、荷主側は国を跨いだ物流費の発生状況やリードタイムの変動をより迅速に把握できるようになります。これにより、荷主企業のSCM部門は精緻なデータに基づいた在庫配置や輸送ルートの見直しを実行可能になります。
参考記事: ロジスティード、27年度再上場へ営業利益率6.1%達成|海外M&A加速
LogiShiftの視点|「LOGISTEED2030」に向けたデータガバナンスの確立
ロジスティードが掲げる中長期経営ビジョン「LOGISTEED2030」では、2030年度の連結売上収益1兆5,000億円、海外売上比率50%以上の達成が明記されています。2027年度の再上場を目指す過程で、同社はアルプス物流の連結子会社化や豪トールグループ事業会社への出資検討など、海外リソースの拡充を矢継ぎ早に進めています。
これまでの物流業界における成長戦略は、倉庫面積の拡大やトラック保有台数の積み上げといった物理的アセットの買収が主流でした。しかし、アセットを増やしてもシステムが分断されたままでは、間接部門の人件費が膨張し、スケールメリットが相殺されます。
今回のERP刷新は、物流企業の競争軸が「物理的拠点の保有数」から「グローバル共通データ基盤による統合統制力」へシフトしたことを示しています。各拠点の決算業務を8時間から10分未満へ縮小させたインフラがあって初めて、経営層が海外数千拠点の採算状況を俯瞰する「経営コックピット」が機能します。データモデルの共通化を完了させたロジスティードは、買収した海外資産から早期にキャッシュフローを回収する体制を整えたといえます。
まとめ|明日から意識すべきこと
基幹システム刷新の成果を踏まえ、物流企業や荷主企業の担当者が直ちに着手すべき実務対応は以下の通りです。
- 自社システムのコード体系とマスターデータ(MDM)の棚卸し
国内外の拠点で品目コードや取引先コードが独自運用されていないかを点検し、データ統合を阻む要因を特定する。
- クラウドERP共通テンプレートの適用余地の検証
海外拠点や子会社の基幹業務に対し、ゼロからのスクラッチ開発ではなく、各国法規制に対応済みの標準テンプレートを活用した刷新手順を検討する。
- 決算・間接業務における工数ボトルネックの数値化
月次決算や購買承認に要している時間を拠点ごとに計測し、データ連携による自動化で削減可能な工数を試算する。
出典: PR TIMES
出典: LOGI-TODAY
出典: ロジスティード株式会社



