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輸配送・TMS 2026年11月5日

日本郵便とセイノーグループの幹線共配1万便突破|年550t削減見込む

日本郵便とセイノーグループの幹線共配1万便突破|年550t削減見込む

日本郵便グループ3社とセイノーグループ2社は、2024年5月の基本合意に基づく幹線輸送の共同化実績が延べ1万49便に達したと公表した。2026年9月までの運用を通じて、西濃運輸の試算で年間550tのCO2削減と数億円規模のコスト削減効果を見込んでいる。

幹線運行1万便超と地方拠点統合にみる協業進捗の全貌

日本郵便、日本郵便輸送、JPロジスティクスの日本郵便グループ3社と、セイノーホールディングス、西濃運輸のセイノーグループ2社は、2026年11月5日に実務の進捗状況を説明した。両陣営は2024年5月に長距離輸送の共同運行を柱とする基本合意書を締結して以来、幹線輸送の積載率向上と運行集約を進めてきた。

協業体制における運行実績と定量的効果

2024年5月から2026年9月までの運行実績は、幹線輸送の共同運行で1万49便、エリア内の共同集荷・配達で1万6322便を記録した。西濃運輸の試算によると、これらの集約運行によって年間550tのCO2排出量削減と数億円規模のコスト削減効果が見込まれている。

連携領域 実施内容 実績数値・規模 創出効果
幹線共同輸送 東京〜大阪等の長距離便における荷物混載 延べ1万49便(2024年5月〜2026年9月) 年間550tのCO2削減、数億円のコスト削減
エリア内共同集配 同一エリア内における集荷・配達業務の共同化 延べ1万6322便(2024年5月〜2026年9月) 集配車両の削減、積載率の向上
自動運転共同運行 T2の自動運転トラックを活用した往復混載運行 関東〜関西間(2025年7月商用運行開始) 高速道路巡航区間における省人化の検証
地方拠点共有化 JPロジ日向支店を九州西濃延岡営業所内へ移転 2026年3月16日実施、配達業務も共同化 施設維持費の圧縮、老朽化対応
外国人材の採用育成 セイノースタッフサービスを通じた採用・教育支援 2027年春採用、教育後乗務開始計画(各社数人規模) 運転免許切替と乗務員確保スキーム構築

両グループは基本合意に先立ち、2024年2月から4月にかけて共同運行のトライアルを実施していた。隣接するターミナルを活用した荷物の積み合わせ、自社内で積載調整を行っていた荷物の相互融通、物量が落ち込む土日の積載集約などを検証した。対象路線は東京〜大阪・滋賀、東京〜名古屋、神奈川〜栃木、埼玉〜福島・宮城、大阪〜徳島から着手し、青森方面などの長距離ルートへ順次拡大した経緯がある。

日本郵便の古閑圭一執行役員は、郵便物の送達時間を含めたリードタイムなどの運行条件に問題のない区間を対象に、今後も幹線輸送の共同運行を拡大していく方針を示している。西濃運輸の髙橋智社長が指摘するように、BtoCに強みを持つ日本郵便とBtoB特積に強みを持つセイノーグループが運行枠を共有することで、荷物特性に応じた積載率の平準化が進んでいる。

自動運転トラックによる往復混載運用の継続

先端技術の導入面では、自動運転スタートアップの株式会社T2が開発した自動運転トラックを活用した共同運行が実商流で継続されている。T2は2025年7月1日に関東〜関西間におけるレベル2自動運転トラックの商用運行を開始し、日本郵便と西濃運輸を含む5社が初期ユーザーとして参画した。

この商用運行において両グループは、往路では西濃運輸とJPロジスティクスの荷物を混載し、復路では西濃運輸と日本郵便の荷物を混載して運行を維持している。高速道路区間を自動運行システムが担い、一般道区間や荷役作業を両社が分担する運用モデルを確立したことで、次世代モビリティを用いた共同運行の実効性を高めている。

参考記事: 日本郵便の1100km自動運転実証、スワップボディで長距離輸送の省人化に直結

宮崎県延岡市における拠点同居と地方再編

インフラの共有化では、地方部における施設の統廃合が進んでいる。2026年3月16日、JPロジスティクス日向支店が九州西濃運輸の延岡営業所(宮崎県延岡市)の敷地内へ移転し、JPロジスティクス延岡支店として営業を開始した。

この移転に伴い、同一拠点からの配達業務も共同化された。西濃運輸の上條秀一執行役員は、地方部を中心に拠点の集約能力、発着貨物量、建物の老朽化度合いや建て替え計画を総合的に判断しながら、拠点共有化を加速させる姿勢を示した。物量が減少する過疎地域において個別にターミナルを維持する負荷を回避し、既存拠点の稼働率を高める施策である。

参考記事: [セイノーHDと福山通運が合弁会社設立|山陰で実現した究極の競合協調とは](https://logishift.net/2026/03/19/post-2511/)

外国人ドライバーの育成支援と採用・乗務開始計画

ドライバー不足への直接的な対抗策として、人材採用・育成の領域でもアライアンスが機能し始めている。セイノーグループは先行してグループ会社のセイノースタッフサービスなどを通じた外国人材の採用と教育訓練を行っており、この育成ノウハウを日本郵便グループへ展開する。

政府は2024年3月29日に在留資格「特定技能」の対象分野へ「自動車運送業」を追加することを閣議決定した。特定技能1号評価試験(トラック)の合格者数は2026年4月時点で380名に達するなど、制度面の受け入れ体制が整いつつある。

説明会において日本郵便の行木司常務執行役員は、セイノーグループの支援を受けながら2027年春にも外国人ドライバーを採用し、日本の運転免許への切り替えや安全教育を経て、グループ各社で数人規模の実務乗務を開始する計画を明らかにした。

参考記事: 外国人ドライバー100人の現実と物流の5年後|人手不足解決への導入戦略

サプライチェーン各層に生じる具体的な波及効果

大手物流グループによる幹線・拠点・人材の共有化は、運送市場、システム開発、現場オペレーションの各領域に波及している。

運送事業者:競合関係を超えたアセット共有と積載効率の底上げ

これまで運送事業者は、自社の保有車両数や路線ターミナル数を競い合い、顧客網の囲い込みを図ってきた。しかし、長距離路線の実車率低下と運行コストの上昇が固定費を押し上げている。

日本郵便とセイノーグループが延べ1万便を超える幹線共同化で数億円規模のコスト削減を見込んでいる試算は、特別積合せ事業者や中堅運送会社における協調領域の線引きを変化させる。幹線輸送や過疎地の配送網といったインフラ維持コストを他社と按分し、営業提案や付加価値サービスで競うアセットライト型の運行体制への切り替えが現実的な選択肢となる。

SaaS・テクノロジーベンダー:自動運転・複数社混載を支える運行管理の高度化

T2の自動運転トラック運用に代表される複数社混載の共同運行は、輸配送管理システム(TMS)や動態管理システムの仕様に刷新を求めている。1台の車両に異なる荷主・運行主体の荷物が混載される環境下では、リアルタイムな積載率の可視化や、容積・重量に応じた運賃の按分計算機能が不可欠となる。

さらに、有人トラックと自動運転トラックが結節拠点で貨物をリレーする運行ダイヤの作成には、高精度な到着予測アルゴリズムと荷役作業の進捗管理が連動しなければならない。異業種・競合間のデータ連携を前提としたオープンな物流プラットフォームを提供するSaaSベンダーにとって、実装需要の拡大につながる。

参考記事: 福山通運とT2の自動運転、510km中継輸送で24時間往復を検証

ドライバー:外国人材の育成スキーム共有による採用基盤の整備

総合物流施策大綱によると、トラック運送業の有効求人倍率は全産業平均より約2倍高く、若年層の就業者比率は10.1%にとどまる。特定技能制度の拡大に伴い外国人材の受け入れが進む中、言語や商習慣の違い、免許制度への適応が現場受け入れの障壁となってきた。

セイノースタッフサービスが蓄積した教育カリキュラムや免許切り替え手順を日本郵便グループが活用する動きは、単独では研修コストを負担しにくい中小運送事業者にとっても外国人材雇用の標準モデルとなる。安全教育マニュアルの多言語化や運行指示の平準化が進むことで、多国籍なドライバーが稼働できる労務環境の整備が促される。

LogiShiftの視点

個別企業が車両やターミナルを独占的に抱え込む自前主義は、長距離幹線と地方末端配送の双方で維持コストの限界を迎えた。国土交通省などの試算では、対策を講じない場合に2030年のトラック輸送能力が34.1%不足すると示されており、アセットとオペレーションを業界全体で共有する構造への移行が進んでいる。

今回の協業進捗で注目すべき点は、業務提携が単なる「荷物の融通」にとどまらず、T2自動運転トラックの商用混載、宮崎県延岡市での営業所同居、セイノースタッフサービスを通じた外国人材育成支援という、ハードとソフトの両面に及んでいる点である。2026年4月に施行された改正物流効率化法により、荷主・物流事業者双方に積載率向上と運行効率化の法的責任が課された。今後は単一の企業努力ではなく、競合の物理インフラを相互利用する前提で輸送計画を設計しなければ、採算ラインを維持できない。

日本郵便グループとセイノーグループが示した延べ1万49便の共同運行の実績や年間550tのCO2削減見込みは、大手同士の協調が成立することを示した。地方拠点の維持やドライバー確保に直面する事業者は、自前でのインフラ維持に見切りをつけ、同業他社との施設共有や共同運行枠の確保へ経営リソースを再配分する判断が必要となる。


出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: impress.co.jp
出典: seino.co.jp
出典: t2.auto
出典: japanpost.jp
出典: sompo-japan.co.jp
出典: jta.or.jp

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編集責任者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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