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Home > 物流用語辞典 > 倉庫・在庫管理> ハンガー輸送

ハンガー輸送とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:ハンガー輸送とは、アパレル製品を段ボールに梱包せず、ハンガーに吊るした状態で専用の車両やコンテナで運ぶ物流手法です。衣類にシワがつかないため、ブランド価値を保ったままスピーディーに配送できます。
  • 実務への関わり:店舗に届いてからアイロン掛けをしたり、ハンガーに掛け直したりする手間が不要になり、店頭への品出し業務を大幅に効率化できます。ただし、畳み梱包に比べてトラック1台あたりの積載効率が下がるため、配送コストが上がる点には注意が必要です。
  • トレンド/将来予測:物流業界の人手不足や規制強化(2024年・2026年問題)が進む中、ドライバーの作業負担や待機時間を減らす受入体制づくりが急務となっています。今後は、海外工場から日本の店舗まで一貫して吊るしたまま運ぶ国際直送スキームの導入など、さらなる効率化の動きが進んでいきます。

アパレル製品の配送における店舗での開梱やアイロン掛け(プレス)作業は、販売現場の人手不足を悪化させ、運営コストを押し上げる要因です。この非効率を解消し、製品価値を維持したままスピーディーに売り場へ届ける手法として「ハンガー輸送」が広く定着しています。

本記事では、ハンガー輸送の基本定義から、国内外の輸送・車両スペック、コストシミュレーション、さらには物流規制強化(いわゆる2024年・2026年問題)に対応するための受入体制まで、アパレル物流を最適化するための実践的な知識を解説します。

目次
  • アパレル物流の標準「ハンガー輸送」の基本定義とメリット・デメリット
  • シワ防止と梱包資材の削減による「流通加工・店舗品出し」の効率化
  • 積載効率の低下と運賃コスト変動からみる導入のデメリット
  • 衣類の脱落を防ぐ「ノンスリップ加工・特殊フック」などハンガー選定のポイント
  • 【国内輸送】ハンガー車・専用ハンガーBOXの規格と対応会社の選定基準
  • 2t・4t・10tハンガー車の積載スペックとパワーゲート仕様
  • 小口配送に対応する専用ハンガーBOXのサイズ制限と料金目安
  • プレス・検品など「流通加工」をワンストップで委託できる運送会社の選定軸
  • 【グローバル輸送】海上ハンガーコンテナ(GOH)の構造と海外直送スキーム
  • ハンガーコンテナ(GOH)の内部構造と20ft・40ftコンテナの積載量
  • 海外縫製工場から店舗まで「一貫ハンガー」で繋ぐ国際直送スキーム
  • 【物流規制対応】自社に最適なハンガー輸送を導入・運用するための実務チェックリスト
  • 商品特性と出荷ボリュームから選ぶ「輸送手法判別マトリクス」
  • ドライバーの荷待ち・荷役時間を削減する「倉庫・店舗側の受入体制」チェックリスト

アパレル物流の標準「ハンガー輸送」の基本定義とメリット・デメリット

ハンガー輸送とは、アパレル製品を折りたたんで段ボール箱に梱包するのではなく、ハンガーに吊るした状態のまま専用車両やコンテナに収納して輸送する物流手法です。工場から店舗の売り場、あるいはEC発送拠点まで、衣類のシワや型崩れを防ぎ、ブランド価値を損なわずに届けるための最適な選択肢となっています。

シワ防止と梱包資材の削減による「流通加工・店舗品出し」の効率化

ハンガー輸送を採用する最大の利点は、製品の折りジワ発生を極限まで抑えられる点にあります。従来の畳み梱包では、自重による圧力や輸送時の振動によって、特にスーツやドレス、コートなどの重衣料、あるいはシルクやレーヨンといったデリケートな素材に深いシワが発生していました。これらを店頭に並べるためには、バックヤードでの「アイロン掛け(プレス)」が必須となり、1着あたり数十円から数百円の流通加工費が発生します。ハンガー輸送の導入により、このプレス工程をほぼゼロにすることが可能です。

また、資材コストと廃棄手間の削減効果も無視できません。畳み梱包で必要だった個別ポリ袋(PP袋)、緩衝材、段ボールなどの包装資材が不要になるため、購入費用と廃棄コストを同時に抑制できます。店舗到着後の開梱から陳列までの作業フローを比較すると、業務負荷に明確な差が現れます。

  • 従来の畳み梱包:段ボールの開梱 > 緩衝材の分別 > 個別袋からの取り出し > ハンガーへの掛け替え > プレス加工(作業時間:約5〜8分/箱)
  • ハンガー輸送:車両またはハンガーラックから直接店頭什器へ移し替え(作業時間:1分未満/ラック)

このように店舗スタッフの作業負担が劇的に軽減されることで、本来注力すべき接客や販売業務に人員を集中させることができます。

積載効率の低下と運賃コスト変動からみる導入のデメリット

一方で、ハンガー輸送には「積載効率の低下」に伴う配送費用の高騰というデメリットがあります。隙間なく段ボールを積み上げられる畳み梱包に対し、ハンガー輸送(専用車両やコンテナの使用)では衣類同士のこすれや潰れを防ぐために一定の間隔(ピッチ)を空けて吊るす必要があるためです。

具体的に、2tトラック1台あたりの積載可能数量(アウター類)を比較すると、畳み梱包であれば約3,000着積載できるのに対し、ハンガー輸送では約1,200〜1,500着まで減少します。これにより、製品1着あたりにかかる配送単価は上昇します。そのため、全体の採算性を判断する際は、配送費の増加と、資材費や店舗側の人件費削減分のバランスをトータルでシミュレーションする必要があります。

コスト項目(1,000着あたり) 畳み梱包(段ボール輸送) ハンガー輸送
配送運賃(車両チャーター等) 相対的に安い(積載効率:高) 相対的に高い(積載効率:低)
資材費(段ボール・袋・テープ) 約30,000円(約70箱分) 0円(専用什器の循環利用)
店舗到着後のプレス外注・作業人件費 約150,000円(150円×1,000着想定) ほぼ0円(即時に店舗品出し可能)

配送単価の上昇幅よりも、資材費やプレス人件費の削減効果が上回るケースが多いため、部分的な運賃比較ではなく、アパレル物流全体の「トータルコスト」での評価が欠かせません。

衣類の脱落を防ぐ「ノンスリップ加工・特殊フック」などハンガー選定のポイント

ハンガー輸送を安定して行うためには、車両側の設備だけでなく、衣類を直接支える「ハンガー自体のスペック」が鍵を握ります。輸送時の揺れやカーブ、急ブレーキの衝撃によって衣類がハンガーから脱落した場合、荷台の床に触れて汚損・破損し、商品価値を失ってしまうためです。

実務においては、主に以下の3つの仕様を満たすハンガーを選定します。

  • ノンスリップ加工:ハンガーの肩部分にシリコンコーティングや起毛素材(フロッキー加工)を施し、ポリエステルやシルクなど滑りやすい生地のズレや脱落を防ぎます。
  • 特殊形状フック:車両のハンガーバーに引っ掛けるフック部分を、単純な「C型」ではなく、バーを包み込む「クローズド型」や、抜け落ち防止用の返し付き構造にします。これにより、悪路走行時の上下の衝撃による浮き上がりを防ぎます。
  • サイズと耐荷重の最適化:ジャケット用には肩先に厚み(3cm〜5cm)がある樹脂製、軽量なシャツ用には薄型で省スペースなスチール製を使用するなど、衣類の特性に合わせた資材ルールを構築し、積載効率と品質維持を両立させます。

適切なハンガー資材をあらかじめ用意しておくことは、輸送品質の担保だけでなく、荷下ろし現場での掛け替え作業の手間(二度手間)を防ぐための基本要件です。

【国内輸送】ハンガー車・専用ハンガーBOXの規格と対応会社の選定基準

2t・4t・10tハンガー車の積載スペックとパワーゲート仕様

国内の陸上輸送で活躍する「ハンガー車」は、車両サイズによって積載可能着数や最適な用途が大きく異なります。店舗へのルート配送やセンター間輸送など、目的に応じた選定が輸送コストを左右します。

以下は、アパレル輸送で一般的に使用される2t・4t・10tハンガー車の代表的なスペック一覧です。なお、積載着数はジャケット(厚み約3cm〜5cm)を基準とした目安であり、実際の荷姿によって変動します。

車両サイズ 荷台内寸(代表値:長さ×幅×高さ) ハンガーバー本数(標準) 積載着数目安(ジャケット) パワーゲート(PG)仕様と実務上の役割
2tトラック 約3.1m × 1.6m × 2.0m 10本〜15本(1段) 約800着〜1,200着 手積み・手降ろしが主流。高さ制限や駐車スペースに制約がある都市部の路面店や商業施設への納品に適しています。
4tトラック 約6.2m × 2.2m × 2.4m 20本〜30本(1段〜2段) 約2,500着〜4,000着 格納式パワーゲート搭載車が主流。キャスター付きのハンガーラック(Zラック等)をそのまま昇降させ、スピーディに積み降ろしを行います。
10tトラック 約9.6m × 2.4m × 2.5m 40本〜60本(2段・可動式) 約8,000着〜12,000着 プラットフォームを完備した大型物流センター間、または港湾エリアからの横持ちに使用。パワーゲート非搭載車はセンターのドックレベラー等と併用します。

実務上の重要な注意点は、車両の「天井高」と「バーの可動性」です。コートやロングドレスなどの長丈衣料を運ぶ際、固定式のバーでは裾が床に擦れて汚れてしまうため、十分な天井高があり、バーの高さを任意に変えられる可動式ラックを装備した車両の手配が必須です。

また、店舗への納品時にハンガーラック(台車)ごとの引き渡しを想定している場合は、パワーゲートの有無が作業時間を大きく左右します。ゲートがない車両ではドライバーが車内で1着ずつ手渡しすることになり、待機時間の増加に直結するため、事前に納品先の受入設備と車両スペックをすり合わせておく必要があります。

小口配送に対応する専用ハンガーBOXのサイズ制限と料金目安

1回あたりの出荷量がトラック1台に満たない小口配送や、EC店舗へのスポット発送においてチャーター車を手配すると割高になります。この場合に有効なのが、大手路線便やボックスチャーターが提供する「小口配送用ハンガーBOX」です。

以下は、実務で広く利用されているハンガーBOXおよびボックスチャーターの代表的なサイズと料金の目安です。

サービス・什器タイプ 外寸サイズ(幅×奥行×高さ) 耐荷重 / 推奨積載着数 配送エリア・運賃の目安(片道)
大手路線便ハンガーBOX
(プラダン・強化ダンボール仕様)
約53cm × 87cm × 112cm 約15kg(スーツ・ジャケット約15〜20着) 関東〜関西:
約5,000円〜7,000円 / 1個あたり
JITBOXチャーター便
(ハンガーバー装着仕様)
104cm × 104cm × 170cm 約100kg(スーツ・ジャケット約80〜100着) 東京〜大阪:
約23,000円〜28,000円 / 1ボックスあたり

路線便のハンガーBOXは、折りたたみ式のプラスチックダンボール(プラダン)製などが主流で、回収して繰り返し使用できるため、包装資材の廃棄を削減したい事業者に適しています。ただし、BOX自体の高さに限界があるため、着丈が110cmを超えるロングコートやワンピースを吊るすと底面に接触し、シワが発生する原因になります。導入前に、商材の着丈スペックを確認することが重要です。

中規模の小口配送には、JITBOXチャーター便のようにカゴ車内にハンガーバーを設置した什器が最適です。ボックス単位の料金設定(スペースチャーター)であるため、積載限界まで効率よく吊るすことで、1着あたりの配送単価を低く抑えることができます。

プレス・検品など「流通加工」をワンストップで委託できる運送会社の選定軸

アパレル物流において、配送コストのみを基準に運送会社を決めるのは避けるべきです。配送された衣類が店舗に届いた後、スタッフがバックヤードでプレスや検品、値札付け(タグ貼り)を行う工数は、店舗運営の大きな負担となるためです。配送と同時に、プレス、検品、補修などの流通加工を一括委託できるアパレル特化型の物流会社を選定することが、リードタイムの短縮とトータルコスト削減に直結します。

最適なパートナーを選定する際は、以下の3つの評価軸で検証を行います。

  • 1. 流通加工設備の「仕様」と「処理キャパシティ」

    自社が扱う商材に適した加工設備があるかを確認します。例えば、カジュアルウェアやTシャツであれば、大量の衣類にスチームの熱風を当てて一気にシワを伸ばす「トンネルフィニッシャー」を保有している会社が適しています。1時間あたり数千着の処理が可能で、加工単価を抑えられます。一方で、仕立ての良さが求められる高級テーラードジャケットやコートの場合は、「人体プレス機」や熟練スタッフによるハンドアイロンの仕上げラインを持つ会社でなければ、品質を維持できません。

  • 2. 検品・検針・補修体制の「資格・実績」

    百貨店や大手チェーンに納品する場合、X線検針機による針・異物混入検査や、組成表示ラベルの貼り替え対応などの厳しい納品基準が課されます。物流会社が「JIS認定の検針基準」をクリアする設備を持ち、ボタン付けやほつれ縫いを現場で即座に処理できる「補修技能者」が常駐しているかを事前に確認します。これにより、不良品発生時に工場へ逆送する往復運賃やタイムロスを防ぐことができます。

  • 3. 横持ち運賃を排除する「一挙動(ワンステップ)動線」

    加工を行うセンターと配送を行うデポが地理的に離れていると、プレス加工後に再びトラックに載せて運ぶ「横持ち運賃」が発生し、その間の揺れでシワが戻るリスクも高まります。同一拠点内にプレス・検品ラインと全国配送網(ハンガー車・路線便のデポ)がシームレスに結合している会社を選ぶことで、余分な中継コストを排除できます。月間5,000件以上の出荷を処理するアパレルブランドにおいて、プレスと配送の一元化により、納品リードタイムを最短で丸1日短縮し、総物流コストを約15%削減した事例もあります。

【グローバル輸送】海上ハンガーコンテナ(GOH)の構造と海外直送スキーム

ハンガーコンテナ(GOH)の内部構造と20ft・40ftコンテナの積載量

海外から衣類を輸入するアパレル物流において、シワ防止と梱包資材の削減を両立させるために欠かせないのが「GOH(Garments on Hanger)コンテナ」と呼ばれる海上ハンガーコンテナです。一般的なドライコンテナとは異なり、コンテナの天井部や側壁のラッシングリングを利用して、衣類をハンガーに掛けたまま吊るして固定できる構造になっています。

GOHの内部構造は、主に「バー式」と「ストリング(ロープ)式」の2種類に分かれます。バー式は、コンテナ上部にスチール製のハンガーバー(横梁)を格子状に渡し、そこに直接衣類を掛けます。重いスーツやコートなど、型崩れを防ぎたい重衣料に適しています。衣類の長さに合わせて、1段のみ吊るす「シングルバー」と、上下2段にバーを設置する「ダブルバー」を使い分けます。一方、ストリング式は、天井から吊り下げた複数のロープ(紐)に設けられた結び目やリングにハンガーを掛けていく方式です。Tシャツやブラウスなどの軽量な衣類を、空間の隅々まで高密度に積み込む用途に適しています。

以下は、20フィートおよび40フィートのハンガーコンテナにおける、構造別の一般的な積載スペックと特徴をまとめたものです。

コンテナサイズ 内部構造タイプ バー・ロープ本数の目安 想定積載着数(ジャケット等の中厚衣料) 適したアパレル製品の種類
20フィート バー式(シングル) 約20〜22本 約3,000〜4,500着 ロングコート、ドレス、スーツ(長丈)
20フィート バー式(ダブル) 約40〜44本 約6,000〜8,000着 ジャケット、ブルゾン、スカート(短丈)
40フィート バー式(ダブル) 約80〜88本 約12,000〜16,000着 スーツ、ジャケット、セットアップ
40フィート ストリング式 ストリング約100〜120本 約20,000〜25,000着 Tシャツ、シャツ、ブラウス(軽衣料)

輸送する衣類の形状や生地の厚みに応じて最適な仕様を選択することで、コンテナ1本あたりの積載効率を最大化できます。ダンボールに梱包して輸送する場合と比較して、不要な包装資材を削減できるため、梱包容積が抑えられ、積載効率が15〜20%向上するケースもあります。

海外縫製工場から店舗まで「一貫ハンガー」で繋ぐ国際直送スキーム

中国やベトナムなどの海外縫製工場から、日本の店舗やEC倉庫へ衣類を届ける際、途中で一切箱詰めを行わず、ハンガー状態のまま輸送する「一貫ハンガー直送スキーム」の構築は、リードタイム短縮と店舗側の品出し業務の大幅な省力化を実現します。この一貫スキームは、具体的に以下のステップで実行されます。

  • 1. 縫製工場での仕上げと事前検品・タグ付け: 海外の縫製工場で縫製・プレスが完了した衣類は、出荷前に日本国内向けのプライスタグの取り付け、および検品・検針を完了させます。この段階で国内店舗の規格に合わせたハンガーに掛け、個別の防塵カバー(ポリ袋)を被せます。
  • 2. 工場から港へのハンガー陸送とGOHへのバンニング: 縫製工場から輸出港のコンテナヤードまでは、現地のハンガー仕様トラックを使用し、シワを防いだまま陸送します。港の保税倉庫、または工場に直接引き回したハンガーコンテナ(GOH)に対し、製品を1着ずつスピーディーに手作業で吊り掛け(バンニング)していきます。輸送中の荷崩れを防ぐため、一定数ごとにバーへ固定用バンドやストッパーを装着します。
  • 3. 海上輸送中の品質管理(結露・カビ対策): 海上輸送は高湿度帯を通過することが多く、コンテナ内部の急激な温度・湿度変化によって天面から結露(コンテナレイン)が発生し、衣類にカビやシミが発生するリスクが伴います。この対策として、コンテナ内壁へ遮熱・防湿シートを敷き詰めるほか、塩化カルシウム製などの強力なコンテナ用乾燥剤(1コンテナあたり10kg〜15kg目安)を複数箇所に設置します。
  • 4. 日本港での迅速な通関とドレージ輸送: 日本の港に到着後、GOHはコンテナを開封することなく、そのままドレージ(トレーラー輸送)で通関手続きに入ります。税関検査に指定された場合でも、大型X線検査装置等を利用することで、コンテナ内部を解梱することなくスピーディーに検査を完了させ、汚損リスクを防止します。
  • 5. 国内デバンニングと国内ハンガー車への載せ替え: 港湾近くの保税倉庫、またはアパレル企業のメイン流通センター(TC/DC)において、GOHから製品をデバンニングします。ハンガーに掛かった状態のまま、国内の配送用ハンガー車へ直接スライド移送し、店舗やEC倉庫へとシワのない状態のまま即日納品します。

この国際直送スキームを確立することで、国内到着後の倉庫における「ダンボールの開梱」「ハンガーへの掛け替え」「折りシワを伸ばすためのプレス」といった、多大な人件費と時間を要する付帯作業が完全に不要になります。月間2万着を輸入するアパレルブランドの試算では、一貫ハンガー直送への切り替えにより、国内DCでの作業工数を約40%削減し、縫製工場出荷から店舗陳列までのリードタイムを最大3日間短縮することに成功しています。

【物流規制対応】自社に最適なハンガー輸送を導入・運用するための実務チェックリスト

ドライバーの労働時間規制強化に伴い、物流現場における荷待ち時間や荷役時間の削減は急務となっています。特に、たたんでダンボールに梱包し、納品先で開封・プレスを行う従来のアパレル物流プロセスは、作業の手間だけでなく車両の滞留時間を長引かせる要因です。これに対してハンガー輸送は、バラ積み・バラ降ろし作業を不要にし、荷役時間を大幅に短縮します。4トントラック1台分の衣類を手卸しする場合、ダンボール梱包では約2〜3時間かかる荷役作業が、ハンガー車を使用することで30分〜1時間に短縮され、ドライバーの拘束時間を約60%削減できた実例もあります。生産性向上とリードタイム短縮を両立させるため、自社に最適な手法の選定と現場の受入態勢を整備する必要があります。

商品特性と出荷ボリュームから選ぶ「輸送手法判別マトリクス」

アパレル物流において、ハンガー輸送の導入効果を最大化するためには、自社の商品特性や出荷ボリューム、配送エリアに応じて最適な輸送モードを選択する必要があります。自社が「ハンガー車(チャーター)」「ハンガーBOX(路線便)」「国際ハンガーコンテナ」のどれを採用すべきかを判断するための判別マトリクスを以下に示します。

輸送手法 主な対象商品 適正出荷ボリューム 配送エリア・形態 導入メリットと実務上の留意点
ハンガー車(チャーター) 単価が高く型崩れを防ぎたいコート、スーツ、ドレスなど 1運行あたり数百着〜数千着(車両満載時) 国内主要都市間の拠点間輸送、または百貨店・店舗への共同配送 車両自体にハンガーバーが設置されており、車両規格(2t、4t、10t等)に合わせて大量一括輸送が可能。ダンボールなどの資材削減に大きく貢献します。
ハンガーBOX(路線便) ジャケット、セットアップ、中単価カジュアルアパレルなど 数着〜数十着単位の中小口出荷 全国の個別店舗配送、EC拠点へのスポット配送 専用のハンガー付き個箱(通い箱)を使用するため、一般の路線便混載ネットワークを利用可能。チャーターするほどの量がない場合に適しています。
国際ハンガーコンテナ 海外工場(ASEAN、中国など)から直輸入するスーツやアウター類 40フィートコンテナ単位の大ロット輸入 海外製造拠点から国内の中央倉庫・DCまでの一貫輸送 海外でハンガーコンテナに積み込めば、国内倉庫到着後にそのまま検品・品出し可能。コンテナ内でのシワを防ぎ、国内港でのデバニング作業時間を約50%削減します。

手法の選定にあたっては、1回の配送における「着数」と「ハンガー1本当たりの平均重量」を算出し、車両制限やBOXの耐荷重をオーバーしないよう計画します。例えば、冬物の厚手コートは1着あたり約1.5kg〜2.0kgに達するため、ハンガーバー1メートルあたりの制限荷重(一般的に約50kg)を考慮して積載計画を組む必要があります。

ドライバーの荷待ち・荷役時間を削減する「倉庫・店舗側の受入体制」チェックリスト

ハンガー輸送は車両の荷役時間を短縮する有効な手段ですが、倉庫や店舗などの荷受側の受け入れ態勢が整っていなければ、現場で荷下ろしが滞り、かえってドライバーの待機時間を増加させる要因になります。法規制に対応した効率的な現場運用を確立するために、以下の実務チェックリストを用いて自社の設備と運用フローを評価・改善してください。

確認項目(カテゴリ) チェック内容と実務上の判断基準 具体的な改善アクションと効果
1. 荷受場の高さと接車スペース 大型のハンガー車(車高3.5m〜3.8m程度)が干渉せずに接車できる有効高が確保されているか。 建屋の軒先や配管の干渉を事前に測定。接車不可の場合は、低床車両の手配やハンガーBOXを用いた路線便輸送へ切り替えます。
2. ハンガーラックの移動導線 トラック荷台から倉庫内(または店舗バックヤード)まで、段差なくハンガーラックを転がして移動できるスロープやエレベーターがあるか。 数センチの段差でもラック転倒による製品汚損や作業遅延に繋がります。段差解消プレートを設置し、幅1.2m以上の通路幅を確保します。
3. 一時保管・仕分けエリアの容量 トラックから降ろしたハンガースタンド(Zラック等)を、一時的に留め置くための「ステージングエリア」が確保されているか。 入出荷エリアに20平方メートル以上のフリースペースを常時確保。仕分け作業と荷下ろし作業を分離させ、ドライバーの待機時間を15分以内に抑えます。
4. DX・システム連携(バース管理) 車両の到着予定時間と荷受枠を事前に予約・管理する「バース予約システム」を導入しているか。 到着時間を30分単位で指定。ハンガー車の到着に合わせて荷受人員を配置し、ドライバーが到着後ただちに荷役を開始できる体制を整えます。
5. 什器の互換性と回収運用 輸送に使用するハンガーやラック(Zラック等)が、自社倉庫・店舗の什器仕様と互換性があるか。また、空き什器の回収フローが確立されているか。 店舗での開梱後に、ハンガーやラックを効率的に折りたたんで次回配送便で回収する「静脈物流」をシステム化。保管スペースの圧迫を防ぎます。

これらの項目を整備することにより、ドライバーが到着してから出発するまでの総時間を30分以内に収めることが可能となり、運送会社からの車両引き受け拒否リスクを低減するとともに、アパレル物流全体の生産性向上と梱包資材の削減に直結させることができます。

よくある質問(FAQ)

Q. ハンガー輸送とは何ですか?どのようなメリットがありますか?

A. ハンガー輸送とは、衣類をハンガーに掛けた状態で配送する物流手法です。折りたたまずに運ぶため、シワの発生を防ぎ、店舗でのアイロン掛けや梱包資材を大幅に削減できます。これにより、入荷後すぐに店頭へ陳列できるため、販売現場の人手不足解消や運営コスト削減、品出しの早期化に貢献します。

Q. ハンガー輸送のデメリットや導入時の注意点は何ですか?

A. 主なデメリットは、段ボール梱包に比べて積載効率が低下し、配送コストが割高になりやすい点です。また、輸送中の振動により衣類がハンガーから脱落するリスクもあります。導入時は、ノンスリップ加工などの特殊ハンガーの選定や、自社の出荷量に適した車両(2t〜10t)や専用BOXの選択が重要です。

Q. 海上ハンガーコンテナ(GOH)とは何ですか?

A. 海上ハンガーコンテナ(GOH)とは、内部にハンガーバーが設置された、衣類専用の特殊海上コンテナのことです。海外の縫製工場から国内店舗まで、衣類をハンガーに掛けたまま一貫して輸送できます。これにより、海外からの輸入であっても、現地でのプレス状態を維持したままスピーディーに売り場へ届けることが可能です。

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