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Home > 物流用語辞典 > 倉庫・在庫管理> シュリンク包装

シュリンク包装とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:シュリンク包装とは、熱を加えると縮むプラスチックフィルムで商品を包み、温風などでピタッと密着させる梱包技術です。化粧品や書籍、食品など、複雑な形の製品でもぴったり覆うことができます。
  • 実務への関わり:商品への傷や汚れを防ぐだけでなく、未開封であることを証明して消費者に安心感を届けます。また、複数個のまとめ売りや荷崩れ防止など、物流現場での出荷効率化や商品価値の向上に大きく貢献します。
  • トレンド/将来予測:環境負荷の軽減に向けて、植物由来のバイオマス素材やリサイクルフィルムの採用が進んでいます。今後は脱プラスチックの流れに対応した持続可能なフィルム選定や省エネ型の加熱設備の導入が重要になります。

シュリンク包装(熱収縮包装)とは、加熱すると収縮する特性を持つプラスチックフィルムで製品を覆い、温風機や加熱設備で熱を加えることでフィルムを製品の形にぴったりと密着させる梱包技術です。なお、物流・資材業界において「シュリンクフィルム」と「熱収縮フィルム」は完全に同義語として扱われます。

加熱による熱収縮の原理を利用することで、角のある化粧箱から曲線を持つ瓶容器、突起のある工業部品まで、製品の立体形状に合わせて均一に固定できます。資材の嵩張り(かさばり)を抑えながら製品保持力を高める基礎技術として、食品・医薬品・化粧品・日用品から物流の集積梱包まで広く採用されています。

目次
  • シュリンク包装(熱収縮包装)の仕組みと製品価値を高める導入メリット・デメリット
  • フィルム加工の形状分類(R袋型・スリーブ型・完全密封型)と適応製品
  • 保護・防汚・バージン性向上をもたらすメリットと導入時の留意点
  • 製品特性と環境基準に応じたシュリンクフィルムの素材別物性比較
  • 主要6素材(POF・PP・PE・PVC・PET・OPS)の物理特性と推奨用途
  • 環境規制に対応するバイオマス・リサイクルフィルムの選定基準
  • 生産スケール(ロット数)で選ぶシュリンク包装機・加工設備の選定基準
  • 手動・半自動・全自動シュリンク包装機の処理能力と設備スペック比較
  • 熱風式 vs 蒸気(スチーム)式の加熱トンネル構造の違いと仕上がり品質
  • 内製化(設備導入)か外注化(物流加工委託)かを判断するコスト&運用比較
  • 初期投資額と月間加工数量から算出する「内製 vs 外注」の損益分岐点
  • 物流加工会社へシュリンク加工を委託する際の品質基準と事故防止対策
  • シュリンク包装の導入・切り替えを成功させる実務プロセスと発注チェックリスト
  • 問い合わせから試作・収縮テスト・本導入までの5ステップ
  • 資材メーカー・加工会社への見積もり依頼時に提示すべき必須チェック項目

シュリンク包装(熱収縮包装)の仕組みと製品価値を高める導入メリット・デメリット

フィルム加工の形状分類(R袋型・スリーブ型・完全密封型)と適応製品

導入を検討する際、包む対象物の形状や目的に適したフィルム形状の選択が欠かせません。フィルムの加工形態は、主に「R袋型(Rシール)」「スリーブ型」「完全密封型(L型・ピロー型等)」の3つに大別されます。自社製品の形状や出荷ラインの自動化度合いに合わせて最適な加工形態を選択することが、梱包品質の安定化につながります。

加工形状 形状の特徴 密閉度 適応製品・用途
R袋型(Rシール) 容器の天面や肩部のカーブに合わせて角を丸く溶断加工した袋状形態 高(底面または一部開口) ボトル容器、シャンプー、化粧品、ポンプ容器、キャップ付き医薬品
スリーブ型 製品の左右または上下を開口させたまま帯状に巻き付ける加工形態 中(側面のみ密閉) 缶飲料のまとめ売り、トレイ商品の集積包装、複数個のパック販売
完全密封型 製品の四方または三方を溶断・溶接し全方位を覆い隠す形態 最高(全方位密閉) 書籍・コミック、化粧箱、DVD/Blu-rayケース、カップ麺、個包装食品

形状選定の具体例として、ポンプ付き化粧水ボトル(直径約50mm、高さ180mm)のような突起のある製品を角型の袋で包むと、熱収縮時に角部分が飛び出す「ツノ(ヒゲ)」と呼ばれるシワが発生し、陳列時の美観を大きく損ねます。これに対して角を曲線状にカットしたR袋型を使用すると、ボトルの曲面に追従して美しく仕上がります。一方、缶ビール(350ml×6本)の束売り用途には、両端が開口したスリーブ型を用いることで、使用フィルム量を削減しながら集積時の結束力を確保できます。

保護・防汚・バージン性向上をもたらすメリットと導入時の留意点

シュリンク包装のメリットは、単に商品を固定して傷や汚れから守る保護機能にとどまりません。製品価値そのものを引き上げ、消費者に安心感を提供する多角的な副次効果をもたらします。

  • バージン性(未開封証明)と改ざん防止:フィルムを破らなければ開封できないため、店頭での抜き取りやいたずら、衛生面の汚染を防止できます。キャップ部や製品全体を密閉することで、消費者に未開封の新品であることを明確に証明できます。
  • 美観向上と集積効果:高い透明性と光沢を持つポリオレフィンなどのフィルムを使用することで、製品パッケージのデザインや印刷を隠さずに引き立てます。また、異形状のセット商品をひとまとめにする際も隙間なく密着し、輸送中の荷崩れを防ぎます。
  • 防塵・防湿・擦れ防止:物流倉庫での保管や輸送過程において、粉じん・ホコリの付着や手垢による汚れ、輸送箱内の摩擦による製品パッケージの印刷剥げを防止します。

一方で、実務上で導入を決定する際にはいくつかの留意点(デメリット)を検証する必要があります。最も注意すべき点は「熱に対する製品制限」です。加熱工程において、シュリンクトンネル内を通過する際に120℃〜180℃程度の熱風が短時間照射されるため、熱に弱いチョコレートやろうそく等の低融点製品、変形しやすい極薄のプラスチック容器には厳格な温度制御や適用見極めが行われます。また、開封用のミシン目(パーフォレーション)をフィルムに入れておかないと、購入者が手で剥がしにくくなり顧客体験を損ねるリスクが生じます。

さらに、自社ラインで内製化を図る場合は、シュリンク包装機や加熱用のシュリンクトンネルといった初期設備投資が必要となり、熱源稼働に伴う電気代も定常発生します。月間出荷数が1,000件に満たない初期フェーズやスポット販売の商品であれば、設備を購入するよりも専門の作業会社や3PL事業者への外注委託を活用して固定費化を避ける選択が、トータルコストおよび出来栄えの均一化において有利に働きます。

製品特性と環境基準に応じたシュリンクフィルムの素材別物性比較

主要6素材(POF・PP・PE・PVC・PET・OPS)の物理特性と推奨用途

製品の保護や改ざん防止(バージン性の証明)、美観向上を目的とするシュリンク包装では、用途に応じて適切な材質を選択することが求められます。適切なフィルムを選定しなければ、輸送中の破れや角立ち(ツノの発生)、保管時の自然収縮といったトラブルの原因となります。市場に流通している主要6素材の物理特性、コスト、推奨用途を把握し、自社の運用環境(自社設備の有無や外部委託の活用)に合わせた判断軸を持つことが選定の第一歩です。

素材(略称) 透明性・光沢 収縮率・耐寒性 機械的強度 コスト目安 推奨される主な用途
POF(ポリオレフィン) 非常に高い 高収縮(約60〜70%)/耐寒性に優れる(-50℃対応) 極めて強い(破れにくい) 中〜やや高め 食品全般(冷凍品含む)、化粧品、日用品、文具
PP(ポリプロピレン) 高い 中収縮(約40〜50%)/耐寒性を備える 中程度(引裂に弱い) 低〜中程度 CD/DVDケース、化粧箱、定期刊行物
PE(ポリエチレン) 中程度(やや白濁) 高収縮(厚手)/耐寒性に優れる 非常に強い(クッション性重視) 安価 飲料のまとめ売り(集積包装)、重量物、パレット包装
PVC(ポリ塩化ビニール) 高い 中〜高収縮/低温で割れやすい 中程度(コシが強い) 安価 資材・日用品(※環境規制により移行が進行)
PET(ポリエチレンテレフタレート) 非常に高い 極めて高い(約70%以上)/耐寒性は標準的 非常に強い(引張強度が高い) 高め ペットボトル・缶のシュリンクスリーブラベル、異形容器
OPS(延伸ポリスチレン) 非常に高い 高収縮(縦横比の制御可)/耐寒性は低い やや弱い(衝撃に弱い) 中〜高め 乳飲料容器、チルドカップ、プラスチック食品トレー

素材ごとの選定実例として、月間10,000個の冷凍食品を出荷するEC事業者の場合、マイナス20度以下の環境下で割れが発生せず、かつ無毒・無臭で衛生基準を満たすPOF(ポリオレフィン)フィルムが第一選択となります。一方で、重量5kg以上の缶飲料を集積梱包してパレット輸送する物流拠点では、透明度よりも厚み(50〜100μm程度)と突き刺し強度を備えたLDPE(低密度ポリエチレン)フィルムが製品の崩れを防ぐために選ばれます。

環境規制に対応するバイオマス・リサイクルフィルムの選定基準

欧州の包装・包装廃棄物規則(PPWR)や日本のプラスチック資源循環推進法を受け、シュリンク包装の領域でも環境負荷の低い素材への転換が進んでいます。従来広く使われていたPVC(ポリ塩化ビニール)は、焼却時に塩化水素ガスが発生するリスクやリサイクル工程での混入障害があるため、大手流通業やグローバルメーカーを中心に「脱塩ビ」の動きが主流化しつつあります。

脱塩ビの代替およびCO2排出量削減の手段として導入が進んでいるのが、以下の環境配慮型フィルムです。

  • バイオマスシュリンクフィルム: 植物由来のポリエチレン(バイオPE)等を原材料の一部(25%〜80%程度)に配合したフィルム。化石資源の使用量を削減し、育成過程でのCO2吸収効果が見込めます。日本有機資源協会が認定する「バイオマスマーク」を取得している製品を選ぶことで、環境配慮の定量的根拠をパッケージ上で提示できます。
  • 再生PETフィルム(PCR/PIR使用): 使用済みペットボトルを回収・再原料化したポストコンシューマーリサイクル(PCR)樹脂を配合したフィルム。ラベル用途において従来のバージンPETと同等の印字精度と高収縮率(70%以上)を維持しながら、新規石油由来資源の使用量を抑えます。
  • モノマテリアル(単一素材)設計フィルム: 従来は機能性を高めるために異種素材を多層化していたものを、ポリオレフィン系単一素材で構成したフィルム。使用後の分別やリサイクル処理が容易になり、循環型リサイクルのスキームに組み込みやすくなります。

環境配慮型素材を導入する際は、物理特性や加工条件の差に留意します。例えば、バイオマス原料を配合したフィルムは、従来の石油由来POFフィルムと比較して熱収縮時の適正温度領域が数℃狭くなる場合や、熱伝導率が異なる場合があります。そのため自社でシュリンクトンネルを運用している場合は、コンベアスピードやヒーター設定温度(一般的に130℃〜170℃程度)の微調整を行う実証テストが前提となります。

生産スケール(ロット数)で選ぶシュリンク包装機・加工設備の選定基準

手動・半自動・全自動シュリンク包装機の処理能力と設備スペック比較

シュリンク包装を現場へ導入する際、自社の出荷頻度や生産ロット数に対して過不足のないスペックのシュリンク包装機を選定することが、初期投資の回収効率と現場の生産性を左右します。処理能力(1分あたりの処理個数)のボトルネックを見極めずに機材を選定すると、ピーク時の出荷遅延や不要な設備コストの肥大化を招きます。

設備タイプ 処理能力(目安) 適合出荷規模(日産) 主な構造と運用特徴
手動(ヒートガン・卓上シーラー) 1〜5個/分 50個程度まで 作業者が手作業でフィルム切断・シール・熱風加熱を行う。多品種小ロットや補修作業向け。
半自動(L字型包装機) 10〜20個/分 300〜1,000個程度 製品の袋入れとL字アームの押し下げを人が行い、加熱収縮はトンネルを自動通過させる。
全自動(トンネル統合ライン) 30〜60個/分以上 1,000個以上 コンベア供給からシール・シュリンクまで全自動。インラインでの連続量産処理に対応。

日産数100個以下の新製品テストや不定期なイベント商品であれば、省スペースで導入できる手動機器が適しています。しかし、日産1,000個を超える定期出荷があるEC事業者や製造ラインでは、半自動以上のシステム構築が基準となります。日産2,000個の出荷を手動作業(1個あたり30秒)で処理した場合、1日あたり約16.6時間の作業工数が発生しますが、半自動機(1分あたり12個処理)に置き換えることで作業時間は約2.7時間に短縮され、大幅な省人化が実現します。

一方で、季節波動の大きい製品や年数回の限定キャンペーン品など、自社で機材を保有・メンテナンスする固定費リスクが高い場合は、設備投資を行わずに外部委託を活用する判断も有効です。月間出荷量が5,000個未満で稼働率が不定期な場合は、外部の物流センターへ委託することで、設備減価償却費や専任スタッフの固定費化を防ぐことができます。

熱風式 vs 蒸気(スチーム)式の加熱トンネル構造の違いと仕上がり品質

フィルムを収縮させる加熱工程では、シュリンクトンネル内部の熱源方式が仕上がり品質に直接影響します。代表的な加熱構造には「熱風循環式」と「蒸気(スチーム)式」があり、それぞれの特性に応じた使い分けが行われます。

加熱方式 熱伝達媒体 適合するフィルム素材 仕上がり品質と運用の特徴
熱風式シュリンクトンネル ヒーターで加熱した温風 ポリオレフィン(POF)、塩化ビニル(PVC)、PE 角型の化粧箱や集積包装に最適。風の当たりムラによるシワや歪みに注意が必要。
蒸気(スチーム)式トンネル 飽和水蒸気(約100℃) PET、PVC(高収縮ボトルラベル等) 熱伝導率が高く、くびれのある異形ボトルでも気泡やシワなく均一に密着する。

熱風式は、内部ヒーターで温めた空気をファンで循環させてフィルムを加熱します。比較的安価で幅広い製品に対応できるため、化粧箱の全周包装や書籍の保護、複数製品の集積包装に広く導入されています。素材としては、120〜160℃の幅広い温度域で均一に収縮するポリオレフィンフィルムと非常に相性が良く、高い透明度と強度のバランスが取れた包装を実現します。

一方、蒸気式(スチーム式)は、ボイラーで発生させた水蒸気をトンネル内に充満させて収縮させます。熱の伝わり方が穏やかで、複雑な凹凸や傾斜があるボトル容器でも仕上がりが美しく均一に密着させることができます。そのため、70%近く高収縮するPET素材等を使用した飲料ボトルや化粧品瓶の首元(キャップ部)への施工において高い密着度を発揮します。

ただし、蒸気式トンネルの運用にはボイラー設備や給排水配管の施工が必要となり、トンネル通過後の製品表面に付着した水滴を拭き取る「水滴除去ブロワー」の追加設置が必要になります。箱物製品や紙資材が含まれる場合は浸水・変形リスクがあるため、熱風式を選択するのが原則です。

内製化(設備導入)か外注化(物流加工委託)かを判断するコスト&運用比較

シュリンク加工の導入を進める際、自社で機器を購入して内製化するか、倉庫会社や発送代行会社に外注委託するかは、経営インパクトの大きい選択です。どちらが適しているかは、出荷数量の規模や季節的な変動幅、自社内に確保できる作業スペースや人材の有無によって決定します。

選択にあたっては、設備投資費用(CAPEX)と運用コスト(OPEX)、運用面の柔軟性を軸に総合的な比較を行います。

比較項目 内製化(設備導入) 外注化(物流加工委託)
初期投資(CAPEX) 要費用(卓上機・L型シーラー・シュリンクトンネル等) 原則不要(委託先の初期設定費・型代のみ)
運用コスト(OPEX) フィルム原価+電気代+人件費(固定費比率が高い) 加工単価×数量(完全に変動費化)
作業スペース・設備 機器設置場所と資材保管スペースが必要 自社スペースの確保は不要
品質・運用の柔軟性 自社で柔軟に対応可能だが熟練度によるムラのリスク 品質基準の合意が必要だが波動対応(繁忙期対応)が容易

初期投資額と月間加工数量から算出する「内製 vs 外注」の損益分岐点

内製と外注のコストを比較して損益分岐点を導き出すには、設備購入費などの初期投資(CAPEX)と、フィルム代や人件費、電気代といったランニングコスト(OPEX)の正確な試算が必要です。

内製化で必要となるシュリンク包装機の価格帯は、卓上型・手動タイプで数万〜30万円程度、半自動L型シーラーと加熱用のシュリンクトンネルの組み合わせで80万〜150万円程度、ライン組みに対応する全自動型で200万〜500万円以上が目安となります。これに加え、稼働にはシュリンクトンネルのヒーターを駆動させるための電気代(数kW規模で月数千円〜数万円)と作業員の人件費が発生します。

一方で外部へ委託する場合の単価は、商品の形状やサイズによって1個あたり15円〜50円程度が相場です。

具体的に、月間3,000件の出荷を処理する物流事業者の条件でシミュレーションを行います。

  • 外注を利用する場合:加工単価を1個20円と仮定すると、月間コストは「3,000個 × 20円 = 60,000円」(年間72万円)となります。
  • 内製化(半自動機導入)する場合:価格120万円の半自動シュリンク包装機およびシュリンクトンネルを導入し、ポリオレフィンフィルム原価(1個あたり約3円)、作業人件費(1個あたり約5円換算)、電気代(月5,000円)で運用すると、月間コストは「(8円 × 3,000個)+ 5,000円 = 29,000円」となります。

この試算では、外注から内製に切り替えることで月間31,000円(60,000円 – 29,000円)のコスト削減が可能です。初期投資額120万円を回収するのにかかる期間は「120万円 ÷ 3万1,000円 ≒ 39ヶ月(約3.2年)」と弾き出せます。出荷量が月間8,000個へ増加した場合、月間コスト差額は約9万1,000円に拡大し、投資回収期間は約13ヶ月まで短縮されます。

使用するフィルム資材の単価と、自社の想定出荷量から費用対効果を見極め、法定耐用年数(一般的に機械設備は5〜7年)以内で投資回収が可能かどうかが内製化への切り替え基準となります。

物流加工会社へシュリンク加工を委託する際の品質基準と事故防止対策

シュリンク加工を外部の物流加工会社へ委託する際は、委託先との間で明確な作業仕様書と品質基準を取り交わすことが、事故や仕上がり不良を防ぐ条件となります。

熱収縮を利用する加工手順では、温度調整や通過速度が不適切だと、角部分にヒレ状のフィルムが残る「ツノ(耳立ち)」や、加熱過多による「フィルムの穴あき・破れ」、シール位置のズレ(溶断不良)が発生します。品質基準書には、許容できるシワやピンホールのサイズ、未開封確認のための密封度の要件を数値や写真で定義して盛り込みます。

品質事故を防ぐため、以下のステップを事前に運用体制へ組み込みます。

  • 事前サンプルテストの実施:本稼働前に製品現物と使用フィルムを持ち込み、シュリンクトンネルの適正温度や風量、コンベア速度の条件出し(テスト加熱)を行います。特に化粧品やプラスチック容器、食品など熱に弱い商品は、容器の熱変形や内容液への影響がないかを重点確認します。
  • 季節変動に応じた温調管理の徹底:熱収縮フィルムは周囲の気温や湿度に影響を受けます。夏場と冬場ではシュリンクトンネル内の適正設定温度が数度単位で変化するため、委託先倉庫が温湿度管理や季節ごとの作業パラメータ調整手順(SOP)を保持しているかを確認します。
  • 受入検品と抜き取り検査フローの構築:納品時にロットごとの抜き取り検査を実施し、シワ・破れ・シール剥がれなどの不良率が設定値(例:0.1%未満)を超えた場合の再加工手順と費用負担ルールを契約段階で明記しておきます。

加工精度に関する取り決めを事前に定めておくことで、クレームや製品ロスの発生を防ぎ、安定した物流品質を継続的に維持できます。

シュリンク包装の導入・切り替えを成功させる実務プロセスと発注チェックリスト

製品の包装形態をシュリンク包装へ切り替える、あるいは新規に導入する際は、事前検証の精度が歩留まりや製品クオリティを左右します。手戻りを防ぐため、以下の5ステップに沿って検証と準備を進めます。

問い合わせから試作・収縮テスト・本導入までの5ステップ

ステップ1:問い合わせ・要件整理
自社でシュリンク包装機を導入して内製化するか、外部委託を利用するかの方針を固めたうえで、資材メーカーや物流加工会社へ問い合わせます。この段階で製品の寸法や月間想定ロット、求める見た目の美しさや保護性能などの要件を整理して提示します。

ステップ2:フィルム選定とテストカット
製品の特性(形状、材質、耐熱性)に合わせてフィルムの種類を絞り込みます。一般消費財や食品、化粧品などの包装では、透明度が高く強度に優れるポリオレフィンやPET系などの熱収縮フィルムが主流となります。製品形状に合わせて被せるフィルムのサイズや形状(平袋、L字カット、袋状など)を設計し、サンプルを作製します。

ステップ3:熱耐性・収縮テスト
サンプルフィルムを被せた製品をシュリンクトンネルに通し、熱収縮テストを行います。設定温度(130℃〜180℃程度)や通過スピード、風量に対して製品容器が変形しないか、内容物に熱の影響が出ていないかを厳密に確認します。フィルムが歪みなくフィットし、未開封証明となる密封性の確保や美観が得られているかを検証します。

ステップ4:本見積もり取得・採算性の試算
テスト結果に基づき、フィルム資材費、シュリンク包装機やトンネルの設備導入費、あるいは外注加工費の確定見積もりを取得します。例えば、月間30,000個を出荷するラインで外注加工費が1個あたり15円かかる場合と、自社に自動シュリンク機を導入して内製化した場合の設備回収期間を試算し、長期的なコスト構造を比較評価します。

ステップ5:トライアル生産・本導入
量産ラインに入る前に、100〜500個程度のトライアル生産を実施します。実稼働時のフィルム破れや角立ち、ピンホール不良の発生率(許容値0.1%以下など)を計測し、問題がなければ本運用の製造・出荷ラインへ組み込みます。

資材メーカー・加工会社への見積もり依頼時に提示すべき必須チェック項目

資材メーカーや加工会社に見積もりや試作を依頼する際、製品情報の共有が曖昧だと「サンプルが小さすぎて入らない」「熱で容器が変形した」といった手戻りが発生します。発注の手戻りを防ぎ、初回問い合わせから本見積もり取得までをスムーズに進めるための提示チェック項目は以下の通りです。

提示項目 確認内容・記載例 不備があった場合のリスク
製品の寸法・重量・形状 幅(W)×奥行(D)×高さ(H)mm、重量g、突起物や凹凸の有無 フィルムの収縮余裕率が狂い、角立ちや破れ、フィルムの余りが発生する
製品の材質と耐熱温度 容器材質(PET、PP、ガラス、紙箱等)、耐熱上限温度(例:80℃まで) シュリンクトンネルの通過熱で製品容器が変形・変質する
包装の目的・機能要件 未開封確認(バージン性)、傷・汚れ防止、集積包装、美観向上など フィルム種類の選定を誤り、防湿性や破断強度が不足する
想定ロット数と生産ペース 初回ロット数、月間想定数量(例:月10,000個)、出荷頻度 機器の処理能力選定や加工会社のライン枠確保に失敗する
希望する仕上げと作業体制 全自動包装/半自動包装、内製(機器購入)か外注か コスト削減や作業効率化のメリットを十分に享受できない

上記のチェック項目を事前に製品データシートとして整理して渡すことで、メーカー側は初回から最適な熱収縮フィルムの材質・厚み(15ミクロン〜25ミクロン等)および適合する設備を精度高く提案できます。結果として試作回数を最小限に抑え、計画通りのスケジュールでシュリンク包装の導入を実現できます。

よくある質問(FAQ)

Q. シュリンク包装とは何ですか?

A. シュリンク包装(熱収縮包装)とは、加熱すると収縮するフィルムで製品を包み、熱を加えることで製品の形状にぴったり密着させる梱包技術です。角のある箱から曲面のある瓶まで立体形状に合わせて均一に固定できます。資材のかさばりを抑えながら保持力を高められるため、食品・化粧品・工業部品など幅広い分野で採用されています。

Q. シュリンク包装を導入するメリットは何ですか?

A. 主なメリットは、汚れや傷から製品を守る保護性・防汚性の向上と、未開封であることを証明する「バージン性」の確保です。また、製品にフィルムが密着するため過剰梱包を防ぎ、保管や輸送時の嵩張りを抑えられます。さらに透明度の高いフィルムを使用することで、製品の美観や展示効果を高められる点も利点です。

Q. シュリンクフィルムと熱収縮フィルムの違いは何ですか?

A. 物流や資材業界において、シュリンクフィルムと熱収縮フィルムは完全に同義語として扱われており、機能や仕様に違いはありません。どちらも熱を加えることで収縮するプラスチックフィルム(POF、PE、PPなど)を指します。業界や事業者によって呼び方が異なる場合がありますが、同じ梱包資材を表しています。

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