ラベルプリンターの選び方と物流規格|PD・SCMラベルからWMS連携まで徹底解説とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:ラベルプリンターとは、配送用の荷札や商品ラベル、現品票を印刷するための専用機器です。バーコードなどを鮮明に印刷し、データと物流現物を一致させる役割を持ちます。
  • 実務への関わり:PDラベルやSCMラベルなどの規格に合わせて印刷し、検品や出荷をスムーズにします。現場の保管環境や印刷枚数に合わせ、最適な印字方式(感熱・熱転写)や機器を選ぶことで、誤出荷の防止や作業効率の大幅な向上に直結します。
  • トレンド/将来予測:物流の人手不足に対応するため、ラベル印刷と貼り付けを自動で行う自動貼付機(オートラベラー)の導入が進んでいます。WMS(倉庫管理システム)とリアルタイムに連携した、印刷・貼り付けプロセスの自動化・省人化が今後の現場の標準となります。

国内の主要物流ネットワークにおいて、毎日数千万枚規模でスキャンされ、出荷・検品・配送のライフサイクルを支える物流ラベル。これらは単なる荷札ではなく、WMS(倉庫管理システム)や配送キャリアのシステム、さらには納品先のシステムと現物をリアルタイムに紐づける「物理的インターフェース」として機能します。自社に最適なラベルプリンター 選び方を決定するためには、まず実務で使用する各ラベルの業界標準規格や、それぞれの運用プロセスで求められる耐久性を仕様レベルで掌握することが最初のステップです。

目次

物流ラベルの種類と標準規格――PDラベル・SCMラベル・現品票の基礎知識

物流現場における物流ラベル 種類の正確な理解は、配送のリードタイム短縮や誤出荷防止を実現する重要な要素です。自社に最適な機器選定を進めるため、まずは実務に直結する各標準規格のサイズや特徴を解説します。

業界標準「PDラベル(A/B/C/D/W)」と「SCMラベル」の規格・用途の違い

国内の物流・流通プロセスにおいて最も広く標準化されている規格が「PDラベル」と「SCMラベル」です。これらはJIS規格(JIS X 0515等)や流通BMSに基づいて厳密に定められており、荷主、3PL、配送業者、納品先(スーパーや量販店等)の各拠点で同一のバーコードをスキャンできるよう共通化されています。これにより、荷受け時の検品時間を手作業と比較して10分の1程度に削減可能です。

主要な「PDラベル 規格」とSCMラベルのサイズ・用途は以下の表に集約されます。

ラベル種別・規格 標準サイズ(幅×高さ) 主な用途・特徴 求められる耐久性と印字方式の基本
PDラベル A体 85mm × 50mm 小型ケースや折りたたみコンテナ(オリコン)用のコンパクトな規格。 輸送期間(数日から1週間程度)のみの可読性。主に「感熱方式」が採用されます。
PDラベル B体 92mm × 60mm 中型ケースや、配送業者指定の宅配便送り状兼用ラベルに多い規格。 輸送中の擦れや引っ掻きに耐えうる最低限の耐久性。主に「感熱方式」が使われます。
PDラベル C体 115mm × 80mm 最も普及している業界標準サイズ。流通BMS対応のバーコードを複数段に分けて印字可能。 スキャナーでの高精度な読み取りが必要。大量発行が求められるため、一般的には「感熱方式」です。
PDラベル W(ワイド) 115mm × 160mm C体の2倍サイズ。配送用の情報とSCMラベルとしての機能を1枚に統合する際に使用。 広い印字面積と可読性が必要。配送距離や荷役回数に応じて「感熱」または「熱転写」を選択します。
SCMラベル 納品先指定(C体相当が主流) 納品先でのケース検品。事前出荷情報(ASNデータ)と紐づいたGS1-128等のバーコードを印刷。 スキャンエラーがペナルティに直結するため、搬送中の傷や倉庫保管中の退色を防ぐ「熱転写方式」でのSCMラベル 発行が推奨される場合もあります。

これらのラベルを正しく運用する上で、インクリボンを使用しない「感熱方式」と、リボンからインクを焼き付ける「熱転写方式」の印字特性を把握しておくことが極めて重要です。コストや保管期間に直結するこの印字方式の違いについては、次章で詳しく比較検証します。

倉庫内工程(送り状・棚・検品・現品票)で求められるラベルの役割と必要情報

物流センターの内部では、入荷から保管、出荷に至るまでの各工程において、それぞれの役割に応じた物流ラベルが使い分けられています。各プロセスの特性に合致する仕様選定を行う必要があります。

  • ロケーションラベル(棚ラベル)

    倉庫内の保管ラックやピッキング棚の住所を示すラベルです。人間が視認するための棚番コードと、ハンディターミナルで読み取る1次元・2次元バーコードを印刷します。一度貼り付けると数年にわたり同じ場所で使用され、フォークリフトの接触やピッキング時の摩擦、紫外線に曝されるため、塩ビなどの「合成樹脂フィルム材」と「熱転写方式」の組み合わせが必須です。

  • 現品票(製造業・部品物流向け)

    製造業の組み立て工場や3PL拠点で使われる部品管理用ラベルです。JAMA/JAPIA規格に準拠し、品番、ロット番号、複数のQRコードが印字されます。部品の切り粉、油分、水分、振動に耐えうる耐久性が要求されるため、合成紙とリボンを用いた「熱転写方式」での発行がデファクトスタンダードとなっています。

  • 送り状ラベル(配送用ラベル)

    配送キャリア(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便など)が指定する、お届け先情報や仕分け用バーコードを印刷するラベルです。配送完了までの数日間だけ鮮明に読み取れればよいため、使い捨てを前提としたコスト効率の高い「感熱方式」が一般的です。

  • 検品ラベル・仮ラベル

    入荷時の一時保管や仕分け工程のバッファとして貼付される一時的なラベルです。数時間から数日以内に剥がして廃棄されるため、コストが最優先され、台紙からきれいに剥がせる「再剥離(弱粘着)」タイプの感熱ラベルが多用されます。

このように、現場ごとの「保管期間」「搬送環境」「求められるバーコードの精度」によって最適な仕様は異なります。自社が取り扱う物流ラベルの全容を整理し、それぞれの必要スペックを見極めることが、エラーのないラベルプリンター導入に向けた前提条件となります。

感熱 vs 熱転写――物流フローと保管環境から逆算する「印字方式」の選択基準

物流現場におけるラベルプリンター 選び方の最大の分岐点となるのが、「感熱方式(ダイレクトサーマル方式)」と「熱転写方式(サーマルリボン方式)」の選択です。自社の物流フローと保管環境に適したスペックを見極めるため、それぞれの特性と実務におけるコスト構造を整理します。

感熱方式と熱転写方式のメリット・デメリットおよびコスト構造比較

ランニングコストを計算する際、消耗品の購入費だけでなく「メンテナンスコスト」と「作業人件費」を含めたトータルコスト(TCO)の観点が必要です。両方式の主な違いと実務への影響は以下の通りです。

比較項目 感熱方式 熱転写方式
印字の仕組み 熱に反応する感熱発色剤が塗布された専用紙を、サーマルヘッドで直接加熱して発色させる。 サーマルヘッドの熱でインクリボン(インク)を溶かし、ラベル用紙の表面に転写する。
主な物流ラベル 種類 宅配便送り状、仕分けラベル、出荷指示ラベル、一時的なSCMラベル PDラベル、現品票、資産管理ラベル、屋外・パレット梱包用ラベル
消耗品の構成 感熱紙(ラベルロール)のみ ラベル用紙 + インクリボン
サーマルヘッドの寿命目安 走行距離:約50km〜100km(紙との直接摩擦、紙粉の付着により摩耗が早い) 走行距離:約150km〜200km(リボンが緩衝材となり、摩耗を軽減するため長寿命)
初期導入コスト 比較的安価(プリンターの内部構造がシンプルなため) 中〜高(インクリボンの巻き取り機構などが必要なため)
ランニングコスト ラベル自体の単価はやや高め。インクリボン費用は発生しない。 リボン費用が上乗せされるが、ラベル用紙自体の単価は抑えられる。

例えば、月間10万枚のSCMラベル 発行を行う中規模EC倉庫の場合、感熱方式であればインクリボンの交換作業(1回あたり約3分、1本のロールで約3,000枚処理と仮定して月約33回交換)が発生しないため、月間約1.6時間の現場作業時間を削減できます。しかし、感熱紙は表面の摩擦が大きく、微細なチリ(紙粉)が発生しやすいため、サーマルヘッドの清掃頻度が高くなり、摩耗によるヘッド交換(部品代:約2万円〜4万円/回)の頻度は熱転写方式の約2倍に達します。

これに対し、熱転写方式はインクリボンのベースフィルムがサーマルヘッドと直接触れ合うため、ヘッド表面の摩耗が劇的に抑えられます。インクリボンの消耗品費用が発生するものの、プリンター自体の寿命延伸や、ヘッド交換に伴うライン停止リスクを低減できるため、長期的な運用においてトータルコストを低く抑えられるケースも少なくありません。

現場の保管環境(温度・湿度・耐光性)と保存期間から導く最適な印字方式

適切な印字方式の決定は、出力された物流ラベルが「どのようなルートを辿り、どの程度の期間、どのような環境下に置かれるか」という実務シナリオから逆算します。

アパレルや日用品を扱い、入荷から出荷までのリードタイムが3日以内の常温倉庫であれば、直射日光や高湿度にさらされない標準的な環境下となるため、感熱方式が最も合理的です。

しかし、以下のような実務環境下では熱転写方式の選択が必要です。

  • 冷凍・冷蔵倉庫(温度帯:マイナス20度〜5度)での長期保管:
    結露による水濡れや高湿度環境下では感熱紙に水分が浸透し、インクがにじるほか、紙自体がふやけて剥がれ落ちるリスクが高まります。熱転写方式を用いて、合成樹脂(PPやPETなど)のフィルムラベルと耐水性に優れたレジン(樹脂)系のインクリボンを組み合わせて印刷することで、マイナス20度以下の結露環境下でも、バーコードの読み取り精度を完全に維持できます。
  • 長距離配送や混載便による「摩擦リスク」:
    トラックでの長距離移動中に荷物同士が激しく擦れ合う状況下では、感熱ラベルは摩擦熱によって全体が黒ずみ、バーコードが認識不能になります。輸送中の擦れによる納品トラブルを防ぐため、耐摩耗性に優れた熱転写方式(特にセミレジン系リボンの使用)を選択します。
  • 製造業の部品管理や屋外保管(期間:数ヶ月〜数年):
    出荷前の完成品を屋外や半屋外の仮置きエリアに数ヶ月間保管する場合、直射日光(紫外線)や夏の高気温によって、感熱ラベルは数週間で退色、または全面黒化して判読不能になります。耐光性・耐熱性に優れた熱転写方式で印字されたラベルでなければ、数年間にわたる在庫管理やトレーサビリティの確保は困難です。

発行規模と設置スペースで選ぶ「ラベルプリンターの形状・スペック分類」

自社の出荷規模や設置環境に合わないスペックの機器を選定すると、「印刷速度が遅く梱包ラインの手前でボトルネックが発生する」「ヘッドの磨耗や給紙ジャムによるライン停止が頻発する」といった実務上のトラブルに直結します。現場の生産性を担保するための指標を整理します。

1日の発行枚数に応じた3クラス(デスクトップ・ミッドレンジ・インダストリアル)の選定目安

ラベルプリンターの筐体設計および耐久性は、想定される1日あたりの印刷枚数と稼働時間に基づいて3つのクラスに分類されます。

クラス 1日の推奨発行枚数 主な設置場所と特徴 最適な印刷方式と用途
デスクトップ型 500枚未満 梱包台、事務所のデスク上。軽量かつ省スペース設計。 感熱方式(リボン不要)。ECの宅配便送り状、短期間保管用の仕分けラベルなど。
ミッドレンジ型 500枚以上〜3,000枚未満 中規模倉庫の出荷検品エリア、梱包ラインの脇。樹脂または軽金属フレーム。 熱転写方式および感熱方式。PDラベル 規格に準拠した荷札や、中長期保管用の棚表示ラベル。
インダストリアル型 3,000枚以上(24時間稼働対応) 大規模物流センター、24時間稼働の製造業出荷部門。堅牢なメタルシャーシ。 熱転写方式メイン。高速かつ連続したSCMラベル 発行、部品現品票、高密度バーコード印刷。

デスクトップ型は、コンパクトで設置場所を選ばない反面、長時間の連続印刷を行うとヘッドが過熱し、一時停止や印刷かすれの原因になります。1日あたり1,000件以上の出荷を処理する現場にデスクトップ型を導入すると、ピーク時間帯に印刷速度が低下し、梱包作業に遅れが生じます。

一方、ミッドレンジ型やインダストリアル型は、インクリボンに熱をかけてラベルにインクを転写する「熱転写方式」に対応した頑丈な機構を備えています。耐久性の高いメタルフレームが採用されており、振動や粉塵の多い過酷な倉庫内でも安定した動作を維持します。特に流通BtoBビジネスで求められる、パレットや通い箱に貼付するPDラベルやSCMラベルの発行では、擦れや熱による退色を防ぐ必要があるため、ミッドレンジ型以上のスペックが必要です。

現場の作業動線を効率化する「剥離発行」「オートカッター」「ポータブル」の活用シナリオ

ラベルプリンター自体の印刷スペックが高くても、発行後の「台紙を剥がす」「ハサミで切る」「プリンターまでラベルを取りに往復する」といった付帯作業が、作業者の時間的ロスを生み出しています。設置環境と作業動線に合わせたオプション機能の活用手順は以下の通りです。

  • 「剥離(ハクリ)発行」による梱包作業の効率化

    ラベルが印刷されると同時に、自動的に台紙から浮き上がった状態で排出される機能です。アパレルEC倉庫の梱包ラインにおいて、検品済みの商品を梱包箱に入れると同時に配送用感熱ラベルを1枚発行するシナリオを想定します。作業者が爪を立てて台紙からラベルを剥がす手作業の時間が不要になり、ラベルを手に取ってそのまま箱に貼るだけのワンアクションで完了します。1個あたり3秒の削減であっても、1日3,000個を出荷する現場であれば、1日あたり約2.5時間の作業時間カットに直結します。

  • 「オートカッター」によるバッチ発行時の仕分け効率化

    ロール紙やファンフォールド紙を、指定の枚数ごとに自動的にカットして排出する機能です。複数個口の荷物を1つの宛先に発送する際、5枚綴りのPDラベルを自動で1冊(5枚連結)にカットして排出します。作業者が手でちぎる手間を省くだけでなく、破れによるバーコードの読み取り不良を防止します。切り取り線がない非コート紙を使用する場合や、異なるサイズのラベルを同一レーンで連続発行する際にも切り離しのミスを防ぎます。

  • 「ポータブル(モバイル/ウェアラブル)」による動線ロスの削減

    腰ベルトへの装着や、ピッキングカートに搭載して持ち運ぶ超軽量プリンターです。入荷検収時に、入荷エリアと事務所のPC・卓上プリンターを何往復もしてラベルを取りに行く動線ロスを解消します。入荷したその場で中身を確認し、バーコードをスキャンしてSCMラベルの発行と貼り付けを即座に行うことで、ラベルの持ち歩き中の紛失や別商品への貼り間違いといったヒューマンエラーを排除します。

WMS(倉庫管理システム)連携と現場の省人化・自動化を実現するシステム選定

既存WMS・ERPとスムーズに通信・出力連携するためのインターフェースと制御言語

倉庫管理システム(WMS)やERPといった基幹システムとラベルプリンターを連携させる際、情報システム担当者が最も注視すべきは「通信インターフェース」と「プリンター制御言語(コマンド)」の適合性です。出力指示から印刷開始までのタイムラグや、文字化け、レイアウト崩れといったトラブルは、出荷ラインの停止に直結します。

接続方式ごとの特性と、物流現場における具体的な適用シーンは以下の通りです。

接続方式 伝送の安定性 推奨される現場の運用シーン システム上の主な考慮点
有線LAN 極めて高い 自動貼付機(オートラベラー)連動、固定梱包台 固定IPアドレスの割り当て、配線ダクトの確保
Wi-Fi 高い(遮蔽物に注意) ピッキングカート移動型、レイアウト変更が多い現場 アクセスポイントの配置、セキュリティ規格(WPA3等)
Bluetooth 中(近距離限定) フォークリフト乗車中のハンディ端末からの出力 ペアリングの安定性、複数台同時接続時の干渉防止
USB 極めて高い 1台のPCに1台のプリンターを直結する単一の梱包台 接続距離制限(5m以内)、PC側のドライバー管理

多くのWMSやERPは、サトーの「SBPL」やゼブラの「ZPL」といった特定の制御言語で記述されたデータを、ドライバーを介さずに直接プリンターに送信する設定(RAWデータ送信)を採用しています。既存のシステム構成を変更せず、プリンターの経年劣化によるリプレイスや増設を行う場合、新設する機器がこれらのコマンドを正しくエミュレート(解釈・実行)できるかが極めて重要になります。既存インフラや開発済みの帳票定義データをそのまま引き継げるかどうかは、システム担当者における最優先のチェック項目となります。

「物流2026年問題」に対応する自動貼付機(オートラベラー)連携とエラー防止策

荷役作業や出荷梱包における労働時間の上限規制強化に伴い、物流センターでは出荷に関わる工数の削減が求められています。その中でも、印刷されたラベルを人が手作業で1枚ずつ剥がし、段ボールやプラスチックケースに貼り付ける「手貼り作業」は、貼り位置のズレや貼り間違いによるリードタイムの遅延、そして大きな労働負荷を生む原因となっています。

この課題を解決するため、月間3万件以上の出荷を処理する中大規模のEC・3PL倉庫では、WMSと連動した自動貼付機(オートラベラー)の導入が進んでいます。オートラベラーは、コンベア上を流れる梱包済みの資材をセンサーが検知した瞬間に、内蔵されたプリンターエンジンがリアルタイムで印刷を行い、エアー吸引やシリンダーアームを用いて直接パッケージにラベルを自動貼付するシステムです。

この自動貼付システムを構築する際には、PDラベルの各規格に対応した感熱ロール紙やファンフォールド紙を詰まりなく給紙し、正確なピッチで印字する制御技術が必要です。また、短期間で荷受人に届く配送ラベルと、長期保管や厳しい温度変化(冷凍・冷蔵倉庫など)に耐える必要がある管理ラベルでは、感熱方式と熱転写方式のどちらを採用すべきかを考慮しなければなりません。WMSからのデータ受信から、検品処理と連動して高速にSCMラベルの発行を行い、自動で貼り付ける一連のスキームにより、従来3名で行っていた梱包・検品・貼付工程を1名に省人化することが可能になります。

さらに、貼付作業の自動化に加えて「ピッキング・仕分け作業時の人為的エラー(誤出荷)」を防ぐDXアプローチとして、カラーラベルの活用が実効性を上げています。例えば、オンデマンド・カラーラベルプリンターを導入し、配送エリアや荷主、配送温度帯(冷凍・冷蔵・常温)ごとに、ラベルの一部にカラーの帯やアイコンを印刷する手法です。白黒の文字情報のみのラベルと比較して、仕分け作業員が「色」によって一目で直感的に荷物を判別できるようになり、目視検品の精度が向上します。これにより、配送ルートの混載ミスや誤配送といった物流品質の低下を未然に防ぎます。

失敗しない物流ラベルプリンター導入検討プロセスと選定チェックリスト

物流現場で用いられる物流ラベルには、輸送用のPDラベルからSCMラベル、現品票にいたるまで多岐にわたるため、自社の運用に合致した選定方法の確立が必要です。ここでは、社内稟議や選定会議でそのまま活用できるTCO(総所有コスト)の算出指標と、現場の稼働を止めないための保守体制の確認手順を規定します。

本体価格だけでは見えない「TCO(総所有コスト)」を算出する3つの評価指標

物流ラベルプリンターの導入費用を算出する際、本体の購入価格は全体コストの一部にすぎません。5年間の減価償却期間を見据えたTCOを算出しなければ、導入後に予算超過を引き起こす原因になります。具体的には、以下の3つの評価指標を基にコスト構造を明確化します。

  • 1. イニシャルコスト(システム連携・開発費とオプション構成)
    本体価格に加え、既存のWMSやERPとの接続用インターフェース(LAN、USB、Bluetoothなど)の対応状況を確認します。WMS側での専用ドライバーの開発や、既存レイアウトの調整にかかるシステム開発費用を事前に開発予算へ計上します。また、現場での連続発行に必要なオートカッターやリワインダー、剥離ユニットなどのオプション費用も初期投資に含めて評価します。
  • 2. ランニングコスト(印字方式による資材費用の差)
    感熱方式は専用の感熱紙のみを使用するためインクリボンが不要ですが、用紙自体の単価が高く設定されています。一方、熱転写方式は普通紙ラベルが使用できるため用紙単価は低いものの、インクリボンが別途必要です。例えば、月間60,000枚(1日2,000枚稼働)の出荷ラベルを発行する3PL企業の場合、用紙単価のわずか0.5円の差が年間36万円のランニングコストの差となって現れます。印字の耐久性とコストのバランスから、最適な方式を決定します。
  • 3. 消耗部品の寿命と交換コスト
    ラベルプリンターの心臓部であるサーマルヘッドは消耗品です。一般的なヘッド寿命は、感熱方式で走行距離約50km、熱転写方式で約100kmが目安となります。長尺のPDラベルやSCMラベルを大量発行する場合、どの頻度でヘッド交換(部品代および作業費)が発生するかをシミュレーションします。
コスト項目 確認・算出のポイント 見落としがちな隠れたコスト
初期費用(イニシャル) ・プリンター本体価格
・カッター、剥離仕様等のオプション代
・WMS連携時の個別ドライバー開発費
・設置設定、ネットワーク構築時の現地作業費
・現場スタッフへの操作教育に要する人件費
運用費用(ランニング) ・ラベル用紙(感熱紙 vs 普通紙)
・インクリボン(熱転写方式のみ)
・サイズ変更やレイアウト変更に伴うラベル廃棄ロス
・印字かすれによる再発行ラベルの資材ロス
保守・部品(メンテナンス) ・サーマルヘッド交換費用(部品代)
・プラテンローラーの交換周期
・保証期間外のセンドバック修理に伴う代替機レンタル費用
・印字不良による出荷遅延の損害賠償リスク

物流ラインを止めないためのメーカー保守体制とメンテナンス性の確認手順

万が一のトラブルが発生した際、稼働停止時間(ダウンタイム)を最小限に抑えるためには、メーカーや代理店のサポート体制と、現場スタッフが自ら対応できるメンテナンス性の高さを事前に検証しておく必要があります。機種選定の最終段階では、以下の手順で保守要件を確認します。

  • ステップ1:保守契約メニューの網羅性と対応時間の確認
    メーカーが提供する保守メニューが「オンサイト保守(技術員が現場に訪問して修理)」であるか、「センドバック保守(故障機を発送し、修理後に返送)」であるかを確認します。24時間365日稼働する物流センターの場合、土日祝日の対応や、夜間の緊急受付に対応しているサービスプランが存在するかどうかが選定における重要指標です。オンサイト保守の場合、現場到着までの目標時間(SLA)が何時間以内に設定されているかを仕様書で確認します。
  • ステップ2:代替機(バックアップ体制)の確保プロセスの策定
    センドバック保守を選択する場合は、自社で予備機(コールドスタンバイ)をあらかじめ1台以上購入して現場に配備しておくか、メーカーから24時間以内に代替デモ機が発送されるサービスに加入できるかを確認します。既存のWMSからプリンターへの接続設定が、現場のPC操作だけで迅速に変更できる仕様(IPアドレスの変更やUSBのプラグアンドプレイなど)になっていることも重要な確認要素です。
  • ステップ3:日常メンテナンスの容易性の実機検証
    ラベルの貼り付きや、インクリボンの巻きつきなどの軽微なトラブルは、現場の作業スタッフの手でその場で解決できなければなりません。サーマルヘッドやプラテンローラーが工具なしで取り外し・清掃できるか、センサー部分の清掃がしやすい設計になっているかを、デモ機を実際に借りて検証します。日常的な清掃のしやすさが製品寿命に直結します。

以上のTCOシミュレーションと保守体制の検証を行うことで、稼働安定性と経済性を両立したラベルプリンターを特定できます。現在使用している物流ラベルの月間発行枚数とサイズを洗い出した上で、デモ機を用いた印字テストと現場の操作性検証を行うことが、稟議における最も実証的な導入根拠となります。

よくある質問(FAQ)

Q. 物流で使われる「PDラベル」と「SCMラベル」の違いは何ですか?

A. PDラベルは主に配送先の仕分けや輸送用として使われる、物流会社共通の標準的な梱包ラベルです。一方、SCMラベル(検品・納品ラベル)は出荷する梱包物と中身のデータを事前出荷情報(ASN)と紐づけ、検品作業を効率化するために貼られる小売・卸売業向けのラベルです。

Q. ラベルプリンターの「感熱方式」と「熱転写方式」の違いは何ですか?

A. 感熱方式は専用紙に熱を加えて直接発色させるため、リボン不要で低コストですが、熱や光に弱く長期保存には不向きです。熱転写方式はインクリボンを熱でラベルに転写するため、摩耗や光に強く、長期間の保管や過酷な倉庫環境、長距離の輸送に適しています。

Q. 物流用ラベルプリンターの選び方のポイントは何ですか?

A. 主な選定基準は「1日の発行枚数」「現場の保管環境」「システム連携」の3点です。発行規模(デスクトップ型かインダストリアル型か)に加え、結露や直射日光などの環境に適した印字方式を選び、既存のWMS(倉庫管理システム)とスムーズに通信できる機種を選定します。