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Home > 物流用語辞典 > 法規制・標準化> 特定荷主

特定荷主とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:特定荷主とは、改正流通業務総合効率化法(物効法)や省エネ法において、年間で一定規模以上の貨物を輸送する大規模な荷主企業として指定され、法定義務を負う事業者のことです。物効法では年間輸送量「9万トン以上」の発荷主・着荷主、省エネ法では「3,000万トンキロ以上」を動かす荷主が対象となります。
  • 実務への関わり:特定荷主に該当すると、役員クラスの「物流統括管理者(CLO)」の選任や、中長期計画・定期報告の作成と提出が義務付けられます。義務違反時には最大100万円の罰金が科されるため、物流担当者は自社の取扱重量を正確に算出し、速やかに体制を整える必要があります。
  • トレンド/将来予測:2025年度から2026年度の本格施行により、国内で約3,200社が特定荷主となる見込みです。今後は規制対応のみならず、バース管理システムやパレット化などの物流DXを推進し、国の補助金や優遇税制を活用しながら持続可能な物流体制を構築してESG評価を高めることが企業の重要戦略となります。

年間9万トン以上の貨物を動かす発荷主・着荷主、および年間3,000万トンキロ以上の貨物輸送を行う荷主企業。これらが、2025年度から2026年度にかけて順次本格施行される改正流通業務総合効率化法(改正物効法)および省エネ法において法定義務を負う「特定荷主」の境界線です。対象企業には物流統括管理者(CLO)の選任や定期報告が義務付けられ、違反時には最大100万円の罰金が科されるなど、コンプライアンスの要求水準は格段に高まっています。自社がどの基準に該当するのかを正確に判断するために、まずは両法の基準の違いを以下の比較表で整理します。

目次
  • 【2025-2026年施行】特定荷主の定義と判断基準:物効法「9万トン」と省エネ法「3000万トンキロ」の違い
  • 改正流通業務総合効率化法(物効法)における「年間9万トン基準」と対象企業数
  • 省エネ法における「3000万トンキロ基準」の算定方法と提出先
  • 一次情報から紐解く「発荷主」と「着荷主(準荷主)」の判断フロー
  • 法改正で特定荷主(特定事業者)に課される3大義務と違反時の罰則
  • 役員クラスの任命が必要となる「物流統括管理者(CLO)」の選任要件
  • 毎年提出が必要となる「中長期計画」と「定期報告」の作成実務
  • 勧告・命令から「100万円以下の罰金」に至る罰則・ペナルティ要件
  • 物流効率化に向けた中長期計画に盛り込むべき具体的KPIと実務対策
  • 改善目標として設定すべき2つの必須指標と目標値
  • 待機時間を解消する「バース管理システム」と「一貫パレチゼーション」の導入手法
  • 制度対応だけではない!特定荷主が享受できるメリットと国の支援策
  • 設備投資に対する税制優遇(特例措置)と物流DX関連補助金の活用チャンス
  • ESG投資へのアピールと持続可能なパートナーシップ構築による競争優位性
  • 本格施行に向けて荷主企業が今すぐ取り組むべき4ステップ準備リスト
  • 【Step 1〜2】年間取扱重量の正確な算出とCLO選任に向けた社内体制づくり
  • 【Step 3〜4】物流運行データの現状把握(可視化)とパートナー運送会社との共同対策

【2025-2026年施行】特定荷主の定義と判断基準:物効法「9万トン」と省エネ法「3000万トンキロ」の違い

比較項目 改正流通業務総合効率化法(物効法) 省エネ法
規制上の呼称 特定荷主 特定荷主(または貨物輸送事業者等の特定事業者)
判定の基準値 年間輸送貨物量 9万トン 以上 年間輸送量 3,000万トンキロ 以上
算定に用いる指標 貨物の総重量(トン数)のみ 貨物の重量(トン) × 輸送距離(キロメートル)
対象となる荷主の範囲 発荷主に加え、実質的な決定権を持つ「着荷主(準荷主)」も含める 主に運送契約を結ぶ「発荷主」が対象(一部例外あり)

改正流通業務総合効率化法(物効法)における「年間9万トン基準」と対象企業数

年間で取り扱う貨物の総重量が「9万トン」以上である場合、改正物流効率化法(改正物効法)における特定荷主に該当します。省エネ法のように「距離(キロメートル)」を掛け合わせる必要はなく、自社が関与した輸送貨物の単純な「重量ベース」で判定を行います。

国土交通省などの試算によると、この「年間9万トン」の基準に該当する対象企業数は、日本国内で約3,200社と見込まれています。内訳は、メーカーや卸売業者などの「発荷主」が約3,000社、小売業者をはじめとする「着荷主(準荷主)」が約200社です。この上位約3,200社だけで、日本の企業間物流における全貨物量の約5割(半分程度)を占めており、国はこの規模の荷主に対して強力な指導・監督を行うことで、物流全体の適正化を図る狙いがあります。

例えば、1回あたり15トンの大型トラックで、年間6,000回(1日あたり約20回)以上の出荷・受入を行っている事業所・企業の場合、年間の取扱量は9万トンに達し、特定荷主として指定される可能性が極めて高くなります。

省エネ法における「3000万トンキロ基準」の算定方法と提出先

一方、省エネ法における特定荷主の判定基準は、年間の貨物輸送量が「3,000万トンキロ」以上です。こちらは「トンキロ」という単位を用いるため、重量だけでなく「輸送距離」が判定に直接影響します。算定方法は以下の計算式に基づきます。

輸送トンキロ数 = 輸送貨物の重量(トン) × 輸送距離(キロメートル)

実務における具体的な判定例は以下の通りです。

  • 1回あたり10トンの貨物を、片道300キロメートル離れた顧客へ配送する場合: 10トン × 300km = 3,000トンキロ
  • 上記の配送を年間で10,000回行う場合: 3,000トンキロ × 10,000回 = 3,000万トンキロ(特定荷主の基準に到達)

このように、重量が軽くても長距離輸送が多い企業や、逆に近隣への配送であっても極めて重量のある製品を大量に運ぶ企業は、3,000万トンキロの基準を超えやすくなります。省エネ法上の特定荷主に該当するかどうかの届出、および指定後の定期報告書等の提出先は、各事業を所管する国の地方支分部局(地方運輸局や経済産業局など)となります。

一次情報から紐解く「発荷主」と「着荷主(準荷主)」の判断フロー

改正物効法がこれまでの物流関連法案と大きく異なる点は、自社が荷物を送る側の「発荷主」だけでなく、荷物を受け取る側の「着荷主(準荷主)」であっても特定荷主として義務の対象になり得る点です。国土交通省の公式ガイドラインに沿った具体的な判断フローは、以下のステップで実施します。

まず、自社が「発荷主」であるか「着荷主」であるかを整理します。

  • 発荷主: 貨物の所有者であり、運送事業者に対して直接、貨物の運送を依頼(契約)する事業者です。自社の工場や倉庫から製品を出荷し、配送を手配する製造業者や卸売業者が該当します。
  • 着荷主(準荷主): 運送契約の当事者(運賃を支払う者)が発荷主であっても、到着時間や荷下ろしの条件、納品頻度の決定など、物流プロセスに対して実質的な決定権や指示権限を持つ事業者を指します。

次に、着荷主側における「準荷主」としての該当性を、実務判断フローに当てはめて判定します。

  1. 自社が商品を受け取る(着荷)側であり、自ら運送契約を結んでいないかを確認します。
  2. 契約を結んでいない場合でも、納品先である自社が「特定の時間枠での配送」「バラ積み・バラ下ろしの指定」「附帯作業(棚入れ等)の要求」など、配送条件を実質的に指定しているかを確認します。
  3. これらの決定権を有している場合、その輸送に関わる貨物の重量は、自社の「着荷主(準荷主)」としての年間輸送量に算入されます。
  4. 発荷主として運ばせた重量と、着荷主(準荷主)として物流条件を指定して運ばせた重量の合計が、年間「9万トン」を超えている場合、特定荷主として指定されます。

自社がどちらの立場、あるいは両方の立場でどの程度の重量・トンキロを動かしているかを正確に仕分けることが、法適合への第一歩となります。

法改正で特定荷主(特定事業者)に課される3大義務と違反時の罰則

改正流通業務総合効率化法(物流効率化法)および省エネ法に基づく規制により、「特定荷主」または「特定事業者」に指定された荷主企業には、これまでの自主的な改善努力から一歩踏み込んだ、法的拘束力を持つ3大義務が課されます。指定された企業はただちに組織改革と実務プロセスの見直しを行う必要があります。

役員クラスの任命が必要となる「物流統括管理者(CLO)」の選任要件

組織的な対応を最も強く求められるのが「物流統括管理者(CLO: Chief Logistics Officer)」の選任義務です。CLOは単なる現場の物流部門長ではなく、意思決定権を持つ役員クラス(常務取締役や、CFO・CSOなどの経営層)からの任命が法的に想定されています。

荷待ち時間の削減や積載率向上といった改善アクションは、物流部門単体の努力だけでは解決しません。例えば、配送効率を高めるために「発注ロットの変更」や「納品時間の緩和」を行う場合、営業・調達・製造といった各部門間の利害調整に加え、取引先(着荷主)との商慣行の見直しが必要です。また、倉庫管理システム(WMS)の新規導入や共同配送アライアンスの締結には、迅速な投資判断が伴います。このため、全部門を統括し、全社的なリソース配分を主導できる役員クラス(常務取締役やCFO、CSOなど)のCLO選任が法的に規定されています。

実務におけるCLO選任と社内体制の構築手順は、以下の通りです。

  • 取締役会での承認と権限規定の改定:CLOの責任範囲(全社物流統括、中長期計画の承認、行政への報告義務など)を明文化し、職務権限規定に盛り込みます。
  • 部門間連携窓口の設置:法務部門によるコンプライアンス管理体制のもと、物流部門・営業部門・調達部門の責任者が集まる定期的な「物流効率化推進会議」などを設置し、情報がCLOへ一元的に集約される仕組みを構築します。

毎年提出が必要となる「中長期計画」と「定期報告」の作成実務

特定荷主に指定された企業は、毎年「中長期計画」および「定期報告」の作成・提出が義務付けられます。これは、自社の物流改善の進捗を可視化し、国が定める基準に沿って着実に業務効率化を実行しているかを示す重要な公的文書です。

定期報告では、前年度の年間貨物輸送量に基づき、自社(発荷主・着荷主)のエネルギー消費原単位や、トラックの平均荷待ち時間・荷役時間の状況、積載率の実績などを報告します。この報告を行うためには、3PL事業者や委託先の実運送会社と連携し、運行記録計(デジタルタコグラフ)や倉庫への入退館管理システムからデータを抽出し、月次で集計・蓄積するデータ収集フローの確立が必要です。

一方、中長期計画においては、今後3〜5年間に取り組む具体的な数値目標と達成ロードマップを作成します。省エネ法で定められた「年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減」に加え、改正物流効率化法で求められる「荷待ち・荷役時間の合計を2時間以内(将来的には1時間以内)に短縮する」ための計画を明記します。具体的には、パレット化の推進(一貫パレチゼーション)、予約受付システムの導入、共同配送網への移行スケジュールなどの具体的な対策を盛り込む必要があります。

勧告・命令から「100万円以下の罰金」に至る罰則・ペナルティ要件

特定荷主に課される義務を怠り、取り組みが著しく不十分と判断された場合、行政処分は以下の4段階で進行します。勧告に従わない場合の企業名公表は、ESG評価の下落や取引先からの契約解除といった大きなレピュテーションリスクを伴います。また、改善命令への違反や定期報告における虚偽記載には、直接的な罰則が適用されます。

段階 行政の措置内容 企業に生じる主なリスク 法的な罰則
1段階 指導・助言および立入検査 業務実態の調査。改善に向けた行政指導の受入れ。 なし
2段階 是正勧告および公表 企業名・違反事実の一般公表。社会的信用、ブランド価値の失墜。 なし
3段階 改善命令 法的な改善履行義務。速やかな業務改善計画の実行。 命令違反時に罰則適用
4段階 罰金の科刑 法人の罰則(100万円以下の罰金)。コンプライアンス違反企業として確定。 100万円以下の罰金

このように、特定荷主の義務違反に対するペナルティは非常に実効性が高く設定されています。経営陣(CLO)が主導して実運送会社や3PL事業者とのデータ連携を早期に整え、法的に有効な中長期計画を策定・実践することが、罰則リスクを確実に回避する唯一のアプローチです。

物流効率化に向けた中長期計画に盛り込むべき具体的KPIと実務対策

改善目標として設定すべき2つの必須指標と目標値

中長期計画を策定するにあたり、荷主企業が必ず盛り込むべき定量指標が「荷待ち・荷役時間」と「積載率」です。

  • 荷待ち・荷役時間: トラック1台あたりの待機(荷待ち)時間と、積み込み・荷降ろし(荷役)時間の合計を、原則として「2時間以内」に収めるスケジュールを設定します。例えば、現状で平均3時間を超えている拠点に対して、3年以内に2時間以下、5年以内に1.5時間以下へ削減する段階的な目標値を設定します。
  • 積載率の向上: 共同配送の導入や発注ロットの適正化により、輸送効率を高めます。運行ルートごとの実車率を算出し、現状の平均積載率が45%の路線において、他社貨物との共同混載などを通じて5年後までに60%へ向上させる具体的な目標ロードマップを組み込みます。

待機時間を解消する「バース管理システム」と「一貫パレチゼーション」の導入手法

計画を机上の空論に終わらせないために、実務に直結する以下の2大施策を計画書に明記し、実行に移します。

  • トラック予約受付システム(バース管理システム)の導入: 運送会社が事前に到着時間をWEB上で予約できるシステムを構築します。これにより車両の到着時間が分散され、特定の時間帯に発生していた待機時間を劇的に解消できます。導入拠点の待機時間を平均30分以下に抑えることを実務目標とします。
  • 一貫パレチゼーションの推進: 手積み・手降ろしによる肉体的負担と時間ロスを排除するため、工場から納品先まで貨物をパレットに載せたまま輸送する体制へ移行します。標準規格である「T11型パレット(1,100mm×1,100mm)」の採用率をKPIに据え、取引先(着荷主)との間でパレットの回収・循環運用ルールを合意・実施します。

制度対応だけではない!特定荷主が享受できるメリットと国の支援策

改正流通業務総合効率化法や省エネ法の要件を満たし、特定荷主に指定されることは、単に違反時の罰則を避けるための「守りの法令遵守」だけに留まりません。物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の提出といった義務に対応するプロセスを機に、国の強力な資金・税制支援を活用し、自社の物流基盤を強化する「攻めの投資」へと転換させることが可能です。

設備投資に対する税制優遇(特例措置)と物流DX関連補助金の活用チャンス

改正流通業務総合効率化法に基づく「総合効率化計画」の認定を受けることで、低炭素化や省力化に資する最先端設備への投資に対して、以下のような税制上の特例措置や補助金が適用されます。

支援制度名 主な対象設備・事業 具体的なメリット 活用時の推進役
流通業務総合効率化法に基づく税制特例 自動倉庫、無人搬送車(AGV)、モーダルシフト用コンテナなど 固定資産税の課税標準額を最大2分の1に軽減、または所得税・法人税の特別償却適用 物流統括管理者(CLO)および財務部門
物流効率化に向けた先進実証事業(補助金) 荷役作業の自動化システム導入、輸送ルート最適化システムの構築など 導入・実証にかかる経費の一部(補助率最大2分の1など)を国が直接補助 物流統括管理者(CLO)および物流企画部門

例えば、自社で出荷する貨物量が年間10万トン(9万トン基準を上回る特定荷主)の製造業において、従来の手作業によるピッキングをAGVや自動倉庫に置き換える場合、この税制特例を活用することで数千万円規模の投資に対する初期コスト回収期間を1〜2年短縮することが可能になります。CLO(物流統括管理者)が主導し、中長期計画の中にこうした設備投資計画を組み込むことで、コンプライアンス対応と社内コスト削減を同時に実現できます。

ESG投資へのアピールと持続可能なパートナーシップ構築による競争優位性

特定荷主としての適切な対応は、投資家や取引先に対する信頼性の向上に直結します。近年のESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大に伴い、サプライチェーン全体の脱炭素化状況は企業の市場価値を左右する要素となっています。

省エネ法における3000万トンキロ以上の特定荷主に義務付けられるエネルギー使用状況の定期報告や、改正流通業務総合効率化法に基づく中長期計画の策定・実行プロセスは、そのままESGレポートにおける「環境(E)」および「ガバナンス(G)」の具体的な実績として開示可能です。これにより、ESG評価に準拠した投資ファンドからの投資獲得や、銀行からのサステナビリティ・リンク・ローンにおける金利優遇措置の引き出しにつながります。

また、物流効率化の実践は、深刻化するトラックドライバー不足の中での「選ばれる荷主」への道でもあります。発荷主・着荷主・準荷主が一体となり、荷待ち時間の短縮や積載率の向上に努めることは、運送パートナー(3PL事業者や運送会社)との持続可能な協力関係を築く鍵です。実際に、現場でのトラックの待機時間を平均1時間削減できた荷主は、運送会社からの車両確保優先度が向上し、繁忙期における配車難による販売機会損失を防止できています。制度対応を契機とした物流プロセスの標準化は、単なる法執行への対応を超え、他社に対する強固な競争優位性を生み出す要因となります。

本格施行に向けて荷主企業が今すぐ取り組むべき4ステップ準備リスト

改正流通業務総合効率化法(物流効率化法)および改正省エネ法の本格施行に向け、国から指定を受ける「特定荷主」に該当する企業には、中長期計画の作成や定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任などの法定義務が課せられます。施行時点で自社が特定荷主(特定事業者)に該当するか否かを正しく見極め、万が一の罰則を回避するためには、準備期間である今から段階的な実務を進める必要があります。

【Step 1〜2】年間取扱重量の正確な算出とCLO選任に向けた社内体制づくり

まずは、自社がどの基準に該当するかを判断するため、年間の物流データを正確に集計・換算する必要があります。荷主企業が重量を算出する際、出荷伝票などに重量データが記載されていない場合は、体積(容積)からの重量換算を行います。一般的に3PL事業者や路線便等で用いられる容積換算基準である「1立方メートル(m3)=280kg」の比重を適用して算出します。例えば、標準的な1100型パレット(1.1m×1.1m×高さ1.5m:容積約1.8m3)で荷役を行っている場合、パレット1枚あたりの積載実重量が不明な場合は「約500kg」として換算します。

ステップ 実務内容 確認対象・基準 成果物
Step 1: 取扱重量の算出 全社物流データの集計・重量換算(m3×280kg比重など) 9万トン基準(物効法)、3000万トンキロ(省エネ法) 年間取扱重量集計表
Step 2: 体制構築とCLO選定 役員クラスの物流統括管理者(CLO)候補の選任 改正物効法に基づく特定荷主の選任義務 CLO設置および社内物流改革組織の規程

自社が特定荷主に該当する、または該当する可能性が高い場合、速やかに社内横断プロジェクトを立ち上げます。改正流通業務総合効率化法で義務化される物流統括管理者(CLO)は、現場の物流担当者ではなく、意思決定権を持つ役員クラス(取締役または執行役員)から選任することが求められます。物流の効率化は、物流部門単独では達成できず、販売部門のリードタイム設定や、購買部門の仕入れ頻度の見直しなど、全部署を巻き込んだ調整が必要になるためです。経営企画、法務、購買、販売、情報システム部門のキーパーソンを集め、CLOを筆頭とする社内体制を整備します。

【Step 3〜4】物流運行データの現状把握(可視化)とパートナー運送会社との共同対策

体制構築の次は、現在の運行データの可視化に着手します。国に提出する中長期計画の策定や定期報告の義務を果たすためには、自社都合の運行状況だけでなく、実際の現場における運行実態を客観的に数値化しなければなりません。具体的には、自社倉庫や委託先3PL拠点を対象に、トラックの「平均荷待ち時間・荷役時間」および「実車率・積載率」を測定します。

例えば、月間1,000台のトラックを手配している製造業の場合、主要な配送ルートや納品先(着荷主)におけるトラックの待機時間を、運行管理システムや配送ルート上のデジタコデータから集計します。どの拠点で2時間以上の待機(いわゆる荷待ち)が発生しているか、どの積載便の積載率が低迷しているかといった実態を数値で可視化します。この現状把握が不十分なまま形だけの中長期計画を策定した場合、国が求める改善目標を達成できず、最悪の場合は勧告や公表、さらには最大100万円の罰金といった罰則の適用対象となるリスクが生じます。

ステップ 実務内容 把握する主な指標 成果物
Step 3: 運行データの可視化 主要拠点・ルートごとの稼働データの抽出・整理 荷待ち時間(2時間ルール)、平均積載率 物流現状分析ダッシュボード
Step 4: パートナー協議 委託先3PL、運送会社との目標共有と改善交渉 荷役分離、パレット化、リードタイム緩和 共同対策合意書・中長期計画ドラフト

最後のステップは、委託先である3PL事業者や直接契約を結んでいる運送会社との具体的な改善協議です。特定荷主としての義務を果たすための施策、例えば「荷待ち時間・荷役時間を2時間以内に収める」「積載率を向上させる」といった目標は、荷主企業単独のアクションだけでは達成できません。配送を実質的に担う運送会社との共同対策が不可欠です。

具体的な協議にあたっては、自社が法改正による特定荷主の指定を受ける見込みであることと、その義務内容を運送パートナーに共有します。その上で、「特定の納品先においてパレット化を推進し、手積み・手降ろしを廃止して荷役時間を1回あたり60分短縮する」「発注から納品までのリードタイムを翌日午前中から翌々日着へと緩和し、運送会社が共同配送を組みやすくする」などの共同施策を取り決めます。これらを「中長期計画」に落とし込み、定期的な進捗確認を行うサイクルを構築することで、本格施行に向けた盤石なコンプライアンス体制を整えることができます。

よくある質問(FAQ)

Q. 特定荷主とはどのような企業が対象になりますか?

A. 改正物効法における「年間9万トン以上の貨物を動かす発荷主・着荷主」、または省エネ法における「年間3,000万トンキロ以上の貨物輸送を行う荷主企業」が対象です。これらに該当する企業は、2025年度から2026年度にかけて順次本格施行される法改正に伴い、法定義務を負う特定荷主として指定されます。

Q. 特定荷主に指定された場合、どのような義務や罰則がありますか?

A. 役員クラスの「物流統括管理者(CLO)」の選任や、毎年の「中長期計画」「定期報告」の提出が義務付けられます。さらに、物流効率化に向けたKPIの設定や実務対策が求められ、これらの義務や国の命令に違反した場合には、最大100万円の罰金が科されるなどのペナルティが科される可能性があります。

Q. 特定荷主の判定基準における「物効法」と「省エネ法」の違いは何ですか?

A. 物効法は「貨物の絶対重量(年間9万トン以上)」を基準とし、発荷主に加えて着荷主(準荷主)も規制対象に含まれます。一方、省エネ法は輸送量に輸送距離を掛け合わせた「トンキロ(年間3,000万トンキロ以上)」を算定基準とする点に違いがあります。自社がどちらの定義に該当するか、個別の確認が必要です。

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