運送状とは?商法上の役割から印紙税・電子化(DX)まで実務ポイントを徹底解説とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:運送状(物品運送状)とは、荷物を送る人と運ぶ人の間で運送契約が成立した事実や、貨物を引き受けたことを証明する法的な証書です。一般的な宅配便の配送ラベル(送り状)とは異なり、法律上の強い証拠力を持つ重要な書類です。
  • 実務への関わり:物流や経理・法務の実務において、税法上の運送費支払いの証明(7年間保管)や、商法上のトラブルに備えた契約の証拠(10年間保管)として厳格な管理が求められます。また、紙の運送状における印紙税(第14号文書)の課税判定や、送り状・納品書・貨物受取証との違いを正しく理解することが、実務トラブルを防ぐ鍵となります。
  • トレンド/将来予測:物流の「2026年問題」や業務効率化(DX)の推進に伴い、従来の紙の運送状から「電子運送状」へのペーパーレス移行が急速に進んでいます。倉庫管理システム(WMS)やハンディターミナルと連携させることで、出荷検品や送り状発行を自動化し、現場の負担軽減とコンプライアンス強化を同時に実現する動きが活発化しています。

商法第570条に規定される「物品運送状」は、単なる配送指示書ではなく、荷送人と運送人の間で運送契約が成立した事実、および貨物を引き受けたことを証明する法的証書です。本記事では、運送状、送り状、納品書、貨物受取証の法的な違いから、印紙税の課税判定、国際物流における実務、さらには電子化による業務効率化(DX)の手順まで、実務担当者が押さえるべきポイントを網羅的に解説します。

運送状の定義と法的役割(商法・税法上の位置づけ)

商法第570条に基づく運送契約の証拠と保管期間(7年・10年)の法的根拠

物流実務において日々扱われる「運送状」は、商法第570条に規定された「物品運送状」という法的証書です。商法第570条第1項では「荷送人は、運送人の請求により、物品運送状を交付しなければならない」と定められており、これは荷送人と運送人の間で運送契約が合意に達したこと、および特定の貨物を運送人が引き受けたことを証明する強力な証拠力を持ちます。

ここで、実務担当者が混同しやすい「送り状の違い」について整理します。一般的な宅配便の発送時に用いられる「送り状(配送ラベル)」は、簡易的な荷札や荷受の識別票としての機能が主です。これに対し、法的な意味における「運送状」は、運賃、運送経路、免責事項などの契約条件が明記された「運送契約の成立を立証する証拠書面」であり、受領時に運送人から交付される「貨物受取証」としての役割も内包しています。

運送状は、商法および税法において以下の通り厳格な保管期間が定められています。例えば、月間10,000件の貨物出荷を外部委託する製造業の荷主企業の場合、不測の運送事故や運賃請求のトラブル、あるいは将来の税務調査に備え、以下の法的根拠に則った管理体制を構築する必要があります。

適用法令 保管対象書類の範囲 求められる保管期間 法的根拠と実務上の解釈
商法(第19条第2項) 営業上の帳簿およびその事業に関する重要な書類 10年間 運送契約に関する争いや未払運賃請求等の訴訟に備え、商法の規定に基づき10年間の保管が推奨されます。
法人税法(施行規則第59条) 取引に関して作成または受領した注文書、契約書、領収書、運送状などの国税関係書類 7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間 税務上の損金算入根拠として、運送費の支払いを証明するために7年間の保管義務があります。青色申告で欠損金がある場合は10年間に延長されます。

実務上は、より長期の義務を課す「商法の10年間」を基準として社内規程を整備することが、リスク管理の観点から確実な対応となります。

国税庁見解に基づく「印紙税(第14号文書)」の課税判定と実務上の注意点

紙の運送状に「印紙税」が課税されるか否かの判断は、経理や法務の重要な実務ポイントです。印紙税法上、運送状は原則として「第14号文書(運送に関する契約書)」に該当します。しかし、すべての運送状に収入印紙の貼付が必要となるわけではありません。国税庁の見解に基づき、課税・非課税の境界線を明確に区別する必要があります。

基本契約(基本運送契約書等)をあらかじめ締結している場合、日々の個別配送ごとに発行される運送状が「単なる物品の受取事実を証明するだけのもの(貨物受取証)」であれば、原則として非課税となります。一方、運送状自体に運送条件や運賃額が新たに記載され、かつ双方の合意を示す署名捺印がある場合は、個別契約書とみなされ、1通につき200円の印紙税が発生します。

また、国際物流で利用される「航空運送状 (AWB)」については、印紙税法上の「第14号文書」からは除外される扱いとなります。さらに、PDFなどの電子データにより交付される「電子運送状」であれば、印紙税法の課税対象である「書面の作成」に該当しないため、完全に非課税となります。月間5,000件の幹線輸送を行う3PL企業であれば、電子運送状への切り替えだけで、年間120万円規模の印紙税コストを削減することが可能です。

紙の運送状における印紙税(第14号文書)と領収書(第17号文書:売上代金の受取書)の課税判定ステップは以下の通りです。

  • ステップ1:運送契約の成立を証明する内容か?
    • NO(単なる運送物品の明細、または貨物の受領確認のみ) → 非課税
    • YES(運送条件や運賃の合意が明記されている) → ステップ2へ
  • ステップ2:その運送状に「運賃の受領(領収)」の事実が記載されているか?
    • NO(運賃は後日請求、または記載なし) → 「第14号文書」に該当(一律200円課税)
    • YES(その場で運賃を受け取り、領収スタンプ等が押されている) → ステップ3へ
  • ステップ3:領収した金額が5万円以上か?
    • NO(5万円未満の領収記載) → 「第14号文書」として扱い、200円課税
    • YES(5万円以上の領収記載) → 契約書(第14号)と領収書(第17号)の双方の性質を持つ「所属決定ルール(印紙税法第4条第3項)」に基づき、主要な目的である「第14号文書」として扱い、200円課税(領収金額に応じた段階的な課税ではなく、一律200円となります)

運送状が持つ法的・税務的な性質を正しく理解し、自社で発行・受領している書面の記載内容を個別確認することが、印紙税の過怠税リスクを防ぐための実務手順となります。

運送状・送り状・納品書・貨物受取証の違いと実務上の区別

国内の物流実務において、貨物の移動に伴い複数の書類が行き交います。特に「運送状」「送り状」「納品書」「貨物受取証」の4つは日常的に使用されますが、それぞれの性質や役割を混同すると、税務調査での指摘や未着トラブル発生時の責任追及において支障をきたします。

運送状と送り状の違いについて、この2つに決定的な機能差はありません。宅配便の配送伝票として用いられる「送り状」は、商法第570条に規定される「運送状」の実務上の名称であり、本質的な法的効力は同じです。国際物流における航空運送状 (AWB)が航空貨物の運送契約と受領を証明するのと同様に、国内の商取引においてもこれらの書類は運送契約の成立や物品の引き渡しを証明する重要な証跡となります。国内実務を円滑に進めるためには、納品書や貨物受取証を含めたそれぞれの機能差を正しく把握しなければなりません。

一目でわかる「4つの出荷関連書類」機能比較マトリックス

発行主体、発行目的、発行タイミング、および法的効力・税務上の扱いの観点から比較したマトリックスは以下の通りです。

書類名 主な発行主体 発行目的 発行タイミング 法的効力・主な役割・印紙税の有無
運送状 荷送人(荷主) 運送人に対する運送の委託内容(品名、個数、配送先等)の明確化 貨物の引き渡し時(出荷時) 商法上の証拠証書。原則として非課税ですが、契約の成立を証明する性質が強い文言が含まれる場合は印紙税(第1号の3文書など)の対象となる可能性があります。
送り状 荷送人(または運送会社が提供するシステム) 宅配便や路線便における個口ごとの配送指示および配送ルートの追跡 貨物の梱包・出荷時 実務上は「運送状」と同等。個口ごとに貼付され、運送契約および貨物の受取を証します。印紙税は原則不要です。
納品書 荷送人(売主・出荷元) 荷受人(買主)に対する取引内容(品名、数量、単価等)の明示 売買契約に基づく貨物の発送時 売買契約の履行を証明する商取引上の書類。印紙税は非課税です。
貨物受取証 運送会社(または荷受人) 運送会社が貨物を引き受けたこと、または荷受人が貨物を受け取ったことの証明 貨物の引き渡し・受領時 受領の事実を証明する証跡(受領書)。単なる物品の受取書(貨物受取証)は金銭の受領書ではないため印紙税は不要ですが、債務の消滅を証明する文言が入り金銭授受の性質を帯びる場合は課税対象になり得ます。

実務上の重要な注意点として、これらの書類のペーパーレス化が挙げられます。インターネットを介してやり取りされる電子運送状を導入した場合、電子契約と同様に印紙税の課税対象外となるため、コスト削減の観点からPDFやWebシステムによる電子化に切り替える企業が増加しています。

現場で発生しやすい「送り状と貨物受取証」の誤用・トラブル防止策

月間5,000件以上の大口貨物や混載便を出荷するメーカーの物流現場において、発生しやすいのが「送り状」と「貨物受取証」の誤用や紛失に伴うトラブルです。特に、配送ドライバーが納品先で受領印をもらう際、どの書類にどのような形式で受領証明を残すかが曖昧な場合、荷受人からの「商品が届いていない」「数量が不足している」という問い合わせに対して、配送完了を証明できなくなります。

配送トラブルの約15%を占める「未着主張」や「数量相違クレーム」を防ぐためには、以下の手順による運用ルール化が有効です。

  • 受領印・サインの回収対象書類を「貨物受取証」に一本化する
    送り状の控えにサインをもらうだけでなく、荷受人が検収を行った証明として、固有の伝票番号が記載された貨物受取証、あるいは納品書兼受領書に対して「日付」「フルネームの署名または受領印」を明確に受領する運用を配送指示書に明記します。
  • 配送ステータスと受領画像のデジタル管理(電子運送状の活用)
    配送ドライバーが所持する専用端末やスマートフォンで受領サインを電子的に取得し、その場でクラウド上に電子運送状としてアップロードする仕組みを構築します。これにより、紙の書類紛失リスクを防ぎ、事務所の配車担当者がリアルタイムで配送完了の証跡を確認・ダウンロードできる体制を作ります。
  • 未着問い合わせに対する「即時開示」プロセスの確立
    荷主企業から納品確認の依頼が入った際、従来のように「運送会社の支店に電話をして紙の受領書をFAXで取り寄せる」という手順を踏むと、対応までに平均3〜4時間を要します。あらかじめ貨物受取証の受領印画像をスキャンし、システム上で荷主が直接閲覧できるようにすることで、確認作業時間を5分以内に短縮し、クレームの長期化を防ぎます。

国際物流における運送状(AWB/船荷証券)の専門実務

航空運送状(AWB)と船荷証券(B/L)の決定的違いと実務フロー

航空輸送で使用される航空運送状 (AWB)と、海上輸送で使用される船荷証券(B/L)は、どちらも国際物流を支える代表的な輸送書類ですが、その法的性質は根本的に異なります。国内物流における送り状の違いや役割の差を理解している実務者であっても、国際間取引においては有価証券としての流通性の有無を明確に区別しなければ、貨物の引き渡し遅延や決済上の致命的なトラブルを引き起こす原因になります。

両者の最も決定的な違いは、書類そのものが貨物を代表する「有価証券」であるかどうかです。船荷証券(B/L)は有価証券であり、裏書譲渡によって貨物の所有権を第三者に移転させることができます。一方、航空運送状 (AWB)は非流通性の貨物受取証であり、運送契約の証拠書類としての機能にとどまります。この違いを表にまとめると以下のようになります。

比較項目 航空運送状 (AWB) 船荷証券 (B/L)
流通性(有価証券性) なし(非流通性書類) あり(流通性有価証券)
主な役割 運送契約の証拠、貨物の受領書 運送契約の証拠、貨物の受領書、引渡請求権(所有権)
貨物の引渡要件 記名された荷受人(Consignee)への引き渡し(書類原本は不要) B/L原本(Original)の呈示、またはサレンダー(元地回収)手続き
電子化の対応 e-AWB(電子運送状)によるペーパーレス化がグローバルで標準化 電子B/Lの導入が進むが、業界規格や準拠法の整備が発展途上

実務上の税務処理における相違点として、印紙税の扱いが挙げられます。日本国内で発行される一部の貨物受取証は、印紙税法上の課税対象(第17号文書など)となる場合がありますが、国際輸送を目的とした航空運送状 (AWB)や、国外で作成されるB/Lについては、日本の印紙税法上の課税対象外となります。税務コンプライアンスの観点から、これらを混同して不要な収入印紙を貼付しないよう注意が必要です。

実際の引き渡しフローにおいても、この性質の違いが大きく影響します。航空輸送はスピードが命であるため、貨物が到着した時点で、荷受人はAWBの原本が手元になくとも、航空会社から送付されるアライバルノーティス(貨物到着案内)と自己の身元証明書(または輸入許可書など)を提示することで貨物を引き取ることができます。対して、海上輸送では船会社にB/Lのオリジナルを提出しない限り、貨物は絶対に引き渡されません。船の到着よりも書類の郵送が遅れる「船荷証券の危機」を回避するため、実務上は船会社にB/Lを戻す「サレンダー(元地回収)」や、流通性を排除した「ウェイビル(海上運送状)」が多用されます。

国際条約(ワルソー・モントリオール条約)および運送約款が定める責任制限

国際物流において、貨物の破損や紛失、あるいは運送遅延が発生した場合の運送人の賠償責任は、各航空会社が独自に定める運送約款だけでなく、国際条約による一律のルールで律せられています。これにより、荷主と運送人間の個別の交渉力に関わらず、責任の限度額が明確に定められています。

航空運送状 (AWB)の裏面に記載されている「約款(Conditions of Contract)」は、主に以下の2つの国際条約に基づいています。

  • モントリオール条約(1999年採択):現代の国際航空物流における主流の条約です。貨物の滅失、損傷、または遅延における運送人の責任限度額は、1キログラムあたり「22SDR(特別引出権)」と定められています(5年ごとに見直され、直近の改定値が適用されます)。1SDRが約200円前後で推移している場合、1キログラムあたり約4,400円が賠償の上限となります。
  • ワルソー条約(1929年制定):モントリオール条約を批准していない国・地域との輸送に適用される古い条約です。賠償限度額は原則として1キログラムあたり「17SDR」(または250フランス金フラン)となります。

IATA(国際航空運送協会)が主導するe-AWB(電子運送状)を導入している場合であっても、この国際条約に基づく責任制限は紙の航空運送状と同様に適用されます。ここで注意すべきは、高額な貨物を輸送する際の実務上のリスクヘッジです。

例えば、1箱あたり重量10kg、製品価値300万円の精密半導体測定装置を航空輸送し、輸送中に全損事故が発生したと仮定します。この場合、モントリオール条約に基づく運送人の賠償限度額は、10kg×22SDR(約44,000円)となり、実際の貨物価値のわずか1.5%程度しか補償されません。このリスクを回避するために、実務担当者は以下のいずれかの実務手続きを選択する必要があります。

一つは、航空運送状 (AWB)の「申告額(Declared Value for Carriage)」欄に貨物の実際の価値を申告し、航空会社に対して「従価料金(Valuation Charge)」と呼ばれる追加運賃を支払う方法です。これにより、万が一の事故の際、制限額を超えて実損額までの補償を受けることが可能になります。もう一つの実用的なアプローチは、別途「外航貨物海上保険(航空輸送特約付き)」に加入することです。保険会社に適切な条件で付保する方が、航空会社の従価料金よりもコストパフォーマンスが高くなるケースが多いため、多くの貿易実務では後者が標準的なリスク管理手法として採用されています。

出荷業務を効率化する送り状発行システムとDX手順

WMS・ハンディターミナルを活用した「送り状発行・出荷検品」の自動化フロー

月間5,000件の出荷を処理する3PL事業者の倉庫において、送り状の手動発行や目視検品は作業ミスの温床となります。これを防ぎ、業務効率化と出荷精度の向上を両立させるための、WMS(倉庫管理システム)とハンディターミナルを連携させた標準的な自動化フローは以下の通りです。

ステップ プロセス名称 具体的な処理内容とシステム連携
1 出荷指示データの自動取込 ERPや基幹システムから出力された出荷指示データが、APIまたはCSV連携によりWMSへリアルタイムで取り込まれます。
2 ピッキングとハンディ検品 WMSからハンディターミナルにピッキング指示が送信されます。作業者は商品のJANコードまたはQRコードをスキャンし、出荷指示データと1対1で合致しているかを自動検証します。
3 送り状自動発行と突合 検品が完了した瞬間、WMSから送り状発行システムへデータが送信され、配送キャリア別の送り状と梱包明細が自動で印刷されます。システム上で一元管理されたバーコードを照合することで、貼り間違いを防止します。
4 出荷案内(ASN)の自動送信 送り状に記載された問い合わせ番号(追跡番号)がWMSにフィードバックされ、出荷実績データが確定します。と同時に、荷主およびエンドユーザーに対して、追跡URLを含んだ出荷案内(ASN)がシステムから自動送信されます。

この一連のフローを構築することにより、出荷1件あたりにかかっていた事務作業時間を約1分30秒削減することが可能になります。目視によるチェックを排除し、バーコードによる物理的な制御を行うことが、誤出荷率を0.01%以下に抑えるための確実なアプローチです。

2026年問題に対応する「電子運送状」移行の3ステップと現場の定着化

運送事業者の運行管理や労働時間の規制がさらに強化される「2026年問題」を見据え、物流現場ではトラックの待機時間削減とペーパーレス化が急務となっています。紙の受領書や運送状のやり取りは、ドライバーの待機時間を長期化させるだけでなく、帰社後の受領書回収・ファイリング作業といったバックオフィス業務の負担を増加させます。これらの課題を解決する手段が、デジタル上で受領確認を完結させる「電子運送状」への移行です。

1日あたり30台以上のトラックが発着する物流拠点において、電子運送状を円滑に導入し、現場へ定着させるための3ステップは以下の通りです。

  • ステップ1:関係者間の合意形成と法的要件の確認
    電子運送状を導入するには、荷主、元請運送会社、実運送会社、および配送先(着荷主)との合意が必須です。書面による事前合意を取り交わし、電子帳簿保存法に対応したデータ保存形式や、印紙税非課税の対象となる電子受領のスキームを法務・税務担当者と確認します。
  • ステップ2:端末の選定とクラウドシステムの導入
    配送ドライバーが現場で操作しやすいスマートデバイスを選定します。タッチサイン機能や、GPSによる位置情報と連動したステータス更新機能(到着・荷卸し開始・完了)を備えたクラウド型の電子受領システムを採用し、WMSとAPI連携させます。
  • ステップ3:直感的なマニュアル作成と段階的な並行運用
    現場への定着を阻む要因は、主に現場作業者の「ITツールの操作エラー」や不慣れによる反発です。ドライバー向けに、スマートフォンのカメラで配送ラベルのバーコードをスキャンし、画面上にサインをもらうだけの「3タップ以内」で完結する直感的なマニュアルを作成します。最初の1ヶ月間は、一部の主要ルートに限定して紙と電子を並行運用し、現場の習熟度を確認した上で段階的に全ルートへ拡大します。

電子運送状への移行により、受領書の回収・確認作業にかかる時間がリアルタイム化され、従来は配送から数日かかっていた運賃請求手続きが即日可能になります。また、紙の受領書の紛失リスクがゼロになり、配送証明の問い合わせに対してもシステム上から数秒で回答できる体制が整うため、カスタマーサポートの業務効率化にも直結します。

運送状の管理・運用における実務アクションチェックリスト

運送状の適切な管理は、税務リスクの回避やコンプライアンスの遵守において重要です。法務・経理・物流の各部門が実務で直面する課題を整理し、明日からすぐに使える具体的なセルフチェックリストを作成しました。自社の現在の運用状況と照らし合わせ、不備がないか確認してください。

法務・経理・物流部門が連携すべき「運送状コンプライアンス」チェック項目

運送状は単なる荷物の目印ではなく、税務や法的な証憑書類としての側面を持ちます。例えば、月間5,000件の出荷を行うメーカーにおいて、運送状(または荷主が作成する送り状)と、実質的に「貨物受取証」や運送契約書としての性質を持つ書類の区別が曖昧な場合、予期せぬ印紙税の課税リスクや、税務調査時の指摘リスクが生じます。以下のチェックリストを用いて、部門間の連携体制と実務フローを確認してください。

確認対象部門 チェック項目 実務上の判断基準と具体的アクション
法務・経理 印紙税の課税対象文書として正しく仕分けされているか 運送状に「運送契約の成立」を示す文言や「貨物受取証」としての受取文言が含まれる場合、印紙税法上の「運送に関する契約書(第1号の4文書)」に該当し、200円の印紙貼付が必要になります。一般的な宅配便の送り状との違い(単なる配送指示書か、契約合意書か)を法務・経理部門で確認し、課税対象となる運送状のテンプレートを特定・リスト化してください。
物流・倉庫 保管期間(税法上の7年間・会社法上の10年間)を遵守するルールがあるか 運送状は国税関係書類に該当するため、法人税法に基づき7年間の保存義務があります。また、運送契約に起因する紛争リスクに備え、社内規定で10年保存をルール化することが推奨されます。外部倉庫に委託している場合も、委託先での破棄プロセスに荷主が合意するフローを整備してください。
貿易・物流 国際輸送における航空運送状 (AWB) の受領と照合プロセスが確立しているか 航空貨物輸送で使用する航空運送状 (AWB) は、航空会社が発行する非流通性の運送状であり、受託書の役割を果たします。荷主が作成する「シッピングインストラクション(船積指示書)」とAWBの内容(重量、個数、運賃区分)が一致しているかを、通関手続き前にダブルチェックする体制を構築してください。
物流・配車 下請法や貨物自動車運送事業法に基づく「書面交付」の要件を満たしているか 実運送事業者に対して運賃や付帯業務(荷役作業など)の条件を明記した書面を交付しているか確認してください。運送状の余白や裏面約款に必要な事項を記載するか、別途、運送引受書を電磁的方法で交付する運用が必要です。

ペーパーレス化(電子化)をスムーズに進めるための要件定義チェック

運送状のペーパーレス化は、印刷コストや保管スペースの削減だけでなく、配送ステータスのリアルタイム可視化につながります。ただし、書面から電子運送状へ移行する際には、電子帳簿保存法の要件を完全にクリアしなければなりません。月間1万件の配送を複数の協力会社へ委託する3PL事業者の場合、各社のシステム仕様が異なるため、以下の要件定義に沿って電子化プロセスを設計する必要があります。

  • 電子帳簿保存法(電子取引データ保存)のシステム要件を満たしているか
    • 電子運送状をデータで授受する場合、送信・受信側の双方で「真実性の確保(タイムスタンプ付与または改ざん防止規定の策定)」と「可視性の確保(取引年月日、取引金額、取引先による検索機能)」がシステム上で実装されている必要があります。
    • PDFなどのイメージデータで保管する場合、解像度(200dpi以上)およびカラー24ビット以上(赤・緑・青の階調)で読み取られているか、運用ルールをマニュアル化してください。
  • 送り状の違いを意識したマスタデータ設計ができているか
    • 配送伝票である「送り状」と、運送引受および受領を証明する「運送状」は、システム上で保持すべきデータ属性が異なります。電子システム移行時に、受領印に代わる電子署名や「受領ステータス」のログが法的な「貨物受取証」の代用として税務調査等で提示できる仕様になっているかを、法務部門を交えて確認してください。
  • 輸送パートナー(委託先運送会社)とのEDI・API連携体制
    • 委託先が使用する端末や配車システムと、自社の出荷指示システム(WMSなど)の間で、電子運送状データの送受信規格が統一されているかを確認します。業界標準である物流XMLフォーマットや、主要運送会社のAPI仕様書を取り寄せ、システム間連携の可否と開発コストを算定してください。
  • 通信障害時および非対応荷主へのバックアップ運用の整備
    • ドライバーの端末の通信障害や、電子対応が不可能な一部の荷主・納品先に対して、代替手段(紙の運送状の発行手順)をドライバー用マニュアルに明記し、配車デスクと現場での混乱を防ぐ二重の運用フローを用意してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 「運送状」と「送り状」の違いは何ですか?

A. 運送状は商法第570条に基づく法的証書であり、運送契約の成立や貨物を引き受けた事実を証明する効力を持ちます。一方、送り状は主に配送先や荷受人を指示するための実務的な配送指示書です。実務上は同義として扱われることも多いですが、運送状には明確な契約証明能力(証書性)がある点で異なります。

Q. 運送状は印紙税の課税対象になりますか?

A. 運送状の記載内容が、国税庁の定める「第14号文書(運送に関する契約書)」の要件を満たす場合は、印紙税の課税対象となり収入印紙の貼付が必要です。ただし、単なる貨物の受取証書(引き受けの証明のみ)にとどまる場合や、電子データでやり取りする「電子運送状」の場合は課税対象外となります。

Q. 航空運送状(AWB)と船荷証券(B/L)の最大の違いは何ですか?

A. 最大の違いは、書類自体が「有価証券(流通性)」であるか否かです。航空運送状(AWB)は非流通性の単なる「運送契約・受領書」であり、裏書譲渡による転売はできません。対して、船荷証券(B/L)は貨物の引き渡し請求権を表す「有価証券」であり、裏書譲渡による権利移転が可能です。