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Home > 物流用語辞典 > 貿易・国際物流> RCEP(アールセップ)

RCEP(アールセップ)とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:RCEP(アールセップ)とは、日本、中国、韓国、ASEAN加盟国など15カ国が参加する大型の経済連携協定です。参加国間での貿易において関税が削減・撤廃されるほか、共通の貿易ルールを設けることでスムーズな取引を実現します。
  • 実務への関わり:輸出入を行う物流・貿易現場において、関税コストを削減して商品の価格競争力を高めることができます。関税率の調査、原産地証明書の取得、自己証明制度の運用手続きなどを正しく行うことで、調達体制やサプライチェーン全体を最適化できます。
  • トレンド/将来予測:日本にとって最大の貿易相手国である中国や韓国と初めて結んだ協定として注目されています。段階的な関税撤廃が進むにつれ、アジア圏内での調達・製造ルートの再編や貿易の活性化がさらに進むと予測されます。

RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、世界の総人口・名目GDP・貿易総額のそれぞれ約3割を占めるメガ経済圏を形成する広域的な経済連携協定です。加盟15カ国間における関税削減・撤廃にとどまらず、統一された原産地規則の導入や電子商取引ルールの整備など、広範な貿易円滑化の枠組みを提供しています。本稿では、RCEPの基本構造から、TPP11や既存EPAとの比較による効果的な使い分け、品目別関税率や譲許表の調査手順、原産地証明書・自己証明制度の運用実務、そしてSCM体制への落とし込みまで、物流・貿易実務に必要なポイントを体系的に解説します。

目次
  • RCEP(地域的な包括的経済連携)の概要と加盟15カ国の経済的規模
  • RCEPの基本定義とFTA/EPA(経済連携協定)の概念
  • 加盟15カ国一覧と世界経済におけるインパクト
  • RCEP・TPP11・既存EPAの比較:自社にとって最適な協定の選び方
  • 協定ごとの関税撤廃率と「累積規定」の使い勝手の違い
  • コストを最少化する「協定選択」判断フロー
  • 自社商品のRCEP関税率と撤廃スケジュールの調べ方【実務手順】
  • HSコードの特定と譲許表(関税率表)の正しい読み方
  • 自社製品の関税率を調べるための推奨Webツールと実践手順
  • RCEPにおける原産地証明書の取得手順と「自己証明制度」の活用実務
  • 第三者証明と「自己証明制度(原産地申告書)」の運用手順
  • 原産地根拠書類の作成・保管における実務上の注意点と否認リスク対策
  • RCEP適用を実務に落とし込むための運用チェックリストとSCM最適化手順
  • 輸出入実務をスムーズに進める原産地判定・証明チェックシート
  • 調達コスト削減とリードタイム短縮に向けたSCM・物流部門の連携設計

RCEP(地域的な包括的経済連携)の概要と加盟15カ国の経済的規模

RCEPの基本定義とFTA/EPA(経済連携協定)の概念

RCEP(地域的な包括的経済連携協定:Regional Comprehensive Economic Partnership)は、東アジア・東南アジア・オセアニア地域の15カ国が参加する広域的な経済連携協定です。2020年11月に署名され、2022年1月1日に発効しました。

国際貿易における経済協定は、取り扱う対象や範囲によって主に二つに分類されます。

  • FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定):主に特定の国・地域間で発生する物品関税の撤廃・削減やサービス貿易の制限緩和に特化した協定。
  • EPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定):FTAの範囲(関税削減)に加え、投資ルールの整備、知的財産の保護、電子商取引(デジタル貿易)の円滑化、通関手続きの簡素化など、経済活動全般の連携強化を目指す包括的な協定。

RCEPは単なる関税交渉(FTA)にとどまらず、知的財産や電子商取引に関する共通ルールを定めた包括的なEPAです。貿易実務担当者が関税削減のメリットを享受するには、まず自社製品の品目分類番号であるHSコードを正確に特定し、協定文書の「譲許表(関税率の削減・撤廃スケジュールを示した表)」で年次ごとの税率変化を確認する手順が必要となります。

加盟15カ国一覧と世界経済におけるインパクト

RCEPの加盟国は、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と、非ASEAN 5カ国の計15カ国で構成されています。日本にとっては、最大の貿易相手国である中国、および主要貿易相手国である韓国と締結した初めての経済連携協定となる点が実務上の大きな特徴です。

地域・区分 加盟国(全15カ国) 日本の貿易における位置づけ 主な特徴・実務上の着眼点
非ASEAN(5カ国) 日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド 最大の貿易相手国(中国)および上位貿易相手国(韓国)を含む 日中韓をつなぐ初の協定枠組みであり、工業品・化学品等の貿易コスト削減に寄与
ASEAN(10カ国) ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム 日本企業の製造・物流拠点が多く集積する重要地域 既存の日ASEAN EPAや二国間EPAと併用可能であり、調達ルートに応じた協定選択が可能

公的機関(経済産業省・JETRO等)のデータによると、RCEP全体で総人口約22.7億人、名目GDP約26兆ドル、貿易総額で世界全体の約3割をカバーしています。日本の貿易総額の約5割を占めるこのメガ経済圏では、サプライチェーン構築において実効性の高いルールが組み込まれています。例えば、複数国を経由して加工・製造を行う際に原産地資格を獲得しやすくする「累積規定」の適用により、アジア域内で完結する生産ネットワークの関税コスト最適化が可能です。

実務面では、従来の第三者証明機関(日本商工会議所等)による原産地証明書の発給に加え、一定の要件を満たした輸出者や生産者自身が証明文言を作成する「自己証明制度」の採用が進められています。実際の輸出入にあたっては、日本税関やJETRO等のデータベースを活用してMFN税率(通常税率)と特恵税率を比較し、適切な手続きを進めることがコスト削減への最短ルートとなります。

RCEP・TPP11・既存EPAの比較:自社にとって最適な協定の選び方

日本の貿易構造において多国間協定と二国間協定の重層化が進む中、現場の通関・貿易担当者が直面するのは「複数存在する協定の中から、自社の輸出入品目において最もコストを削減できる枠組みをいかに選ぶか」という課題です。協定ごとの関税撤廃率やルール構造の違いを正しく把握していなければ、本来受けられるはずの関税削減効果を逃すばかりか、複雑な原産地証明手続きによる運用負荷の増大を招きます。

協定ごとの関税撤廃率と「累積規定」の使い勝手の違い

実務上の関税削減に直結する協定間の比較軸は「関税撤廃率」と「累積規定(域内で加工・調達された部材を自国原産品とみなす範囲)」の2点に集約されます。

関税撤廃率を比較すると、TPP11(CPTPP)は工業品・農産品を合わせた全体で約95%〜99%という高い自由化水準を誇ります。一方、RCEPは品目数ベースの関税撤廃率が全体で約91%(対中国86%、対韓国83%)とTPP11よりやや控えめですが、日本にとって最大の貿易相手国である中国、および韓国との間で締結された初めてのEPAである点が実務上の決定的な強みです。

また、部品を複数国から調達して製造する製造業・物流事業者にとって実効性を左右するのが累積規定の柔軟性です。従来の二国間EPA(例:日タイEPA)では、タイで組み立てる製品に中国製部品を組み込んだ場合、中国製部品は「非原産材料」として扱われ、原産地基準(付加価値基準など)をクリアできないケースがありました。しかし、RCEPを活用すれば、締約国で原産地資格を満たした部材・材料を自国の原産材料として合算(累積)できるため、日中韓・ASEANにまたがるサプライチェーンを維持したまま特恵関税の適用を受けることが可能になります。

協定名 対象国・範囲 関税撤廃率(対日本) 原産地証明と累積の特徴
RCEP 加盟15カ国 約86%〜100%(中国86%、韓国83%) 東アジア・ASEANの広域累積が利用可能。第三者証明と自己証明(認定輸出者等)を併用。
TPP11(CPTPP) 太平洋沿岸11カ国 約95%〜99% 高水準な自由化率。広域累積が利用可能で、完全自己証明制度を採用。
日ASEAN(AJCEP) 日本+ASEAN10カ国 約90%〜93%(国別) 日本とASEAN域内の累積が可能。主に第三者証明制度を利用。
二国間EPA 特定相手国1カ国(日タイ等) 協定・品目により異なる 2国間のみの累積に限られ、第3国からの部品調達が多いと原産性を満たしにくい。

コストを最少化する「協定選択」判断フロー

利用可能な複数の協定の中から最も利益率を高める協定を選択するため、以下の3ステップに沿った検証を行います。

ステップ1:HSコードの特定と譲許表の照合
対象物品のHSコード(6桁および各国の統計細分コード)を正確に特定します。財務省税関の「実行関税率表」や経済産業省・JETROのEPAデータベースを活用し、該当コードの「MFN税率(通常関税)」「RCEP税率」「TPP11税率」「二国間EPA税率」を一覧化します。相手国の税率は、各協定の譲許表から当該年度の数値を読み取ります。一部の品目では「MFN税率 < 既存EPA税率 < RCEP税率」となる逆転現象や、MFN関税がすでに無税(0%)となっているケースがあるため、最新の年次譲許税率の確認を徹底します。

ステップ2:品目別原産地規則(PSR)の充足可能性の検証
税率が最も低い協定を第一候補とし、その協定における「品目別原産地規則(PSR)」を満たせるか判定します。関税分類変更基準(CTC)や付加価値基準(RVC)を算定する際、中国や韓国からの調達部品が含まれる構造であれば、両国を含むRCEPのルールを適用することで初めて原産性を証明できる場合があります。関税率が僅かに高くても、証明基準を確実にクリアできる協定を選択するのが実務上合理的です。

ステップ3:証明書発行・管理の運用コスト計算
適用可能な協定が複数残った場合、原産地証明手続きに伴う運用コストを比較します。月間50件以上のスポット出荷が発生する工場の場合、第三者機関へ支払う証明書発行手数料や申請審査のリードタイム(2〜3営業日)が積み重なります。こうしたケースでは、完全自己証明制度が使えるTPP11や、認定輸出者資格を活用したRCEPを選択することで、発給費用を削減し出荷リードタイムを短縮できます。

自社商品のRCEP関税率と撤廃スケジュールの調べ方【実務手順】

自社のサプライチェーンにおいて適用候補となる協定を選定した後は、具体的な関税率と撤廃スケジュールの調査へ進みます。RCEP協定を利用して税制上の優遇措置を受けるためには、対象品目の関税削減・撤廃条件を正しく把握し、将来的なコスト削減効果を数値で試算する作業が求められます。

HSコードの特定と譲許表(関税率表)の正しい読み方

関税率調べる最初のステップは、自社製品のHSコード(Harmonized System Code:品目分類番号)の特定です。HSコードは世界共通の6桁数字に、各国の関税細分(日本は10桁、中国は8桁または13桁など)を加えたコードで構成されます。複合素材からなる製品や精密機械部品などは、構成成分や主機能によって番号が変動するため、判断が難しい場合は事前に輸入国税関の「事前教示制度」を利用して正式な税番回答を文書で取得します。

HSコード(上6桁)確定後、協定附属書の「譲許表」で削減スケジュールを解読します。譲許表には、基準税率(ベースレート)と発効年(Year 1)からの年次税率推移が記載されています。RCEP加盟国間では、全加盟国に同じ税率を適用する「共通譲許」の国と、中国や韓国のように相手国ごとに異なる関税率を設定する「国別譲許」の国が存在するため、取引相手国ごとの専用スケジュールを確認します。

削減パターン 譲許表上の表記例 削減・撤廃の内容 実務上の影響と対応
即時撤廃 Free / 0.0% 協定発効の初年度(Year 1)から関税率が0%となる 適用初日から最大の関税削減メリットを享受可能
段階削減 10年均等削減 / 20年均等削減等 基準税率から毎年一定割合で引き下げ、最終年で0%となる 年次ごとの関税コスト変化を予算計画に反映する
除外品目 U(Unbound) / Exclusion RCEP協定による関税削減・撤廃の対象外(現行税率維持) 他協定(TPP11や二国間EPA)の利用検討に切り替える

段階削減品目の場合、毎年1月1日や4月1日など協定で定められたタイミングで税率が改定されます。出荷・輸入申告時点の適用年次(Year X)をカレンダーと照合して確定させる作業を標準プロセスとして組み込むことで、試算誤差を防止できます。

自社製品の関税率を調べるための推奨Webツールと実践手順

効率的に関税率を試算できるよう、日本の税関や日本貿易振興機構(JETRO)が提供する公的データベースを活用します。

Webツール名 提供機関 主な対応機能・調査対象 実務での推奨活用シーン
実行関税率表(Webタリフ) 財務省税関 日本への輸入時におけるMFN税率・各EPA特恵税率の一覧確認 輸入貨物の現行適用税率を協定間で比較する際
World Tariff(ワールド・タリフ) JETRO(FedEx提供) 世界175カ国以上の輸出先国関税率(MFN・EPA)の検索 日本から海外(RCEP加盟国等)へ輸出する際の税率確認
EPA相手国側譲許表データベース 税関・経済産業省 RCEP加盟国別の将来にわたる関税削減ステージング表 中長期的な関税コスト推移を年次で試算する際

実際の調査は以下の3ステップで進めます。

  • ステップ1:HSコードの確認とMFN税率の抽出
    品目分類番号(6桁)を検索ツールに入力し、協定を適用しない通常税率であるMFN(最恵国待遇)税率を取得して基準費用を算出します。
  • ステップ2:RCEP特恵税率と他協定税率の比較
    同一の取引相手国に対して複数のEPAが重複する場合、ツール上で現行の特恵税率を比較します。例えば、ベトナム向け輸出でRCEP税率が3%、CPTPP税率が0%であれば、コスト優位性のあるCPTPPの適用を優先します。
  • ステップ3:譲許表による撤廃スケジュールの確定
    「RCEP相手国側譲許表」を開き、該当HSコードの年次推移(Year 1〜Year 20等)を追います。自動車用合成ゴムパーツのように毎年0.5%ずつ引き下げられる品目については、削減推移を損益計画に反映させます。

RCEPにおける原産地証明書の取得手順と「自己証明制度」の活用実務

第三者証明と「自己証明制度(原産地申告書)」の運用手順

RCEPで特恵税率の適用を受けるには、対象品目が協定の定める原産地規則を満たしている証明が必要です。RCEPの特徴的な点として、第三者証明制度だけでなく、発給機関を介さない自己証明制度を含む複数の証明方式が規定されている点が挙げられます。

証明制度の区分 作成・申告の主体 適用対象(利用範囲) 実務上の主な特徴
第三者証明制度 指定発給機関(日本商工会議所) すべてのRCEP加盟国 公的機関の審査が入るため信頼性が高いが、発給手数料や審査日数が生じる。
認定輸出者制度 当局の認定を受けた輸出者 すべてのRCEP加盟国 認定後は都度の発給申請が不要となり、自社で原産地申告書を作成可能。
輸入者自己申告制度 輸入者自ら すべてのRCEP加盟国(日本輸入時等) 輸出者や公的機関に依存せず、輸入者が自らの責任と根拠資料で申告可能。
輸出者・生産者自己申告制度 輸出者または生産者 一部の締約国(豪州・NZ等から段階適用) 輸出者・生産者が直接原産性を申告。相手国の受入状況の確認が必要。

特恵税率を適用して通関を行う際の手順は以下の通りです。

  • ステップ1:HSコードの確定と協定税率の調査
    対象貨物のHSコードを特定し、譲許表でMFN税率とRCEP税率の差額(関税削減メリット)を確認します。
  • ステップ2:原産地規則および累積規定の判定
    品目別原産地規則(PSR)に基づき、関税分類変更基準(CTC)や付加価値基準(RVC)を満たしているか判定します。単独工程で基準を満たせない場合、他加盟国から調達した原産材料を自国材料とみなす累積規定を活用します。
  • ステップ3:証明方式の選択と書類の取得・作成
    自社の体制に合わせて方式を選択します。第三者証明では日本商工会議所へ第一種特定原産地証明書の発給申請を行い、輸入者自己申告では自社で「原産品申告書」および「原産品申告明細書」を作成します。
  • ステップ4:税関への提出と輸入申告
    通関時に輸入申告書とともに原産地証明書または原産品申告書を税関へ提出します。

原産地根拠書類の作成・保管における実務上の注意点と否認リスク対策

RCEP運用におけるリスクは、輸入許可後に行われる税関の事後確認(検認)で特恵税率の適用を否認されるケースです。申告書が存在していても、原産性を客観的に証明する根拠書類が不十分な場合、追徴課税や過少申告加算税の対象となります。

税関査察時に提出を求められる主な根拠書類は以下の通りです。

  • 対比表(関税分類変更基準を適用する場合):使用した非原産材料のHSコードと完成品のHSコードを一覧化し、必要な桁数(2桁・4桁・6桁等)の変更が行われていることを示します。
  • 計算ワークシート(付加価値基準を適用する場合):RVC計算式に基づき、FOB価格、非原産材料価格(VNM)、原産材料費、製造経費などを会計数値に基づいて算出・記載します。
  • 総部品表(BOM)・製造工程表:全部品の調達先・型番および実質的な変更を与える製造工程の流れを追跡可能にします。
  • サプライヤー証明書:仕入部品に累積規定を適用する場合、一次サプライヤーから「サプライヤー証明書」と原産性裏付け資料を取得します。

書類の保存期間については、RCEP協定上の規定(最低3年)に対し、日本の関税法では輸入関連書類の保存期間が7年間と定められています。したがって、実務上は「輸入許可の翌日から7年間」を基準とし、関係書類を一括保管するルールを運用します。

設計変更や部材調達先の変更が発生した際、BOMと対比表が自動更新される社内ワークフローを構築することが、否認リスクの防止につながります。

RCEP適用を実務に落とし込むための運用チェックリストとSCM最適化手順

RCEPの関税削減効果を最大化するには、「調査」「判定」「証明取得」「通関・保管」のプロセスを標準化し、抜け漏れなく実行する運用体制の構築が不可欠です。

輸出入実務をスムーズに進める原産地判定・証明チェックシート

実務担当者が現場で活用できるフェーズごとの確認項目を以下のように整理できます。

実務フェーズ チェック項目 確認内容・必要書類 実務上のポイント
1. 調査・税率比較 HSコードと関税率の照合 HSコード(6桁以上)、実行関税率表、相手国譲許表 MFN税率・既存EPA税率とRCEP税率を比較し最安値を選択。
2. 原産地判定 原産地規則(PSR)の充足確認 BOM(部品構成表)、製造工程表、サプライヤー原産地誓約書 累積規定を活用し、RCEP加盟国からの調達部材を原産材料として合算。
3. 証明書手配 証明手段の確定と発給・作成 第一種特定原産地証明書、または原産品申告書(自己証明) 出荷リードタイムに合わせて商工会議所発給か自己証明かを判断。
4. 通関・保管 積送基準の確認と根拠資料の保管 通関書類一式、B/L、第三国保税倉庫の保管証明、原産性根拠資料 事後査察に備え、原産地判定根拠データを7年間保存。

調達コスト削減とリードタイム短縮に向けたSCM・物流部門の連携設計

関税削減を利益に直結させるには、貿易部門だけでなく、購買・SCM・物流部門が連動したプロセス設計が必要です。

1. 累積規定を活用した域内調達ネットワークの再構築
非協定国から調達していた電子部品や金属原材料をRCEP加盟国のサプライヤーへ切り替えることで、関税削減効果を高められます。例えば、非加盟国調達で関税率5%が課されていた部材を域内調達へ変更し、累積規定を適用して原産地資格を満たせば、輸入関税を段階的に0%まで引き下げることが可能です。

2. 自己証明制度の導入による手続リードタイムの短縮
第三者証明制度における発給申請の手間や審査待ち時間を削減するため、定期的な出荷ラインでは「自己証明制度(または認定輸出者制度)」へ移行します。発行待ちによるタイムラグを無くすことで、工場出荷から輸入国通関までのリードタイムを最大2〜3日短縮できます。

3. 通関業者・3PLとの情報共有体制の確立
経由国での積み替え時における積送基準(直接運送要件)の不備を防ぐため、第三国を経由する際は保税状態を証明する書類(ノン・マニピュレーション証明書や貫通B/L等)を揃えます。3PL事業者と事前に連携し、船積み手配の段階からRCEP適用貨物であることを指示する標準作業手順(SOP)を共有しておくことで、通関遅延や追徴税リスクを回避できます。

4. 購買データと原産地情報のシステム連動
基幹システム(ERP)上で製品のBOM(部品構成表)と各パーツのHSコード・原産国・単価情報を紐付けて管理します。調達先や購入価格が変更された際、原産地規則の条件を維持できているかを自動判定できる環境を整えることで、不適格申告を未然に防止できます。

よくある質問(FAQ)

Q. RCEP(アールセップ)とは何ですか?

A. RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、日本・中国・韓国やASEAN諸国など15カ国が参加する広域的な経済連携協定です。世界の人口・名目GDP・貿易総額のそれぞれ約3割を占めるメガ経済圏を形成しています。加盟国間における関税の削減・撤廃に加え、統一された原産地規則や電子商取引ルールの整備など、広範な貿易円滑化の枠組みを提供しています。

Q. RCEPを物流・貿易実務で活用するメリットは何ですか?

A. 主なメリットは、加盟国間での関税削減・撤廃による貿易コストの削減です。また、15カ国共通の原産地規則や「累積規定」が適用されるため、複数の加盟国にまたがるサプライチェーンでの原産地証明が容易になります。さらに「自己証明制度(原産地申告書)」の活用により、発給手続きの迅速化や業務効率化が図れる点も大きな利点です。

Q. RCEPとTPP11や既存EPAの違いは何ですか?

A. 主な違いは「参加国」と「関税撤廃率・規則の厳格さ」です。RCEPは日本・中国・韓国が初めて共に参加した枠組みで、アジア圏の貿易に強みを持ちます。一方、TPP11は関税撤廃率がより高いため、実務では対象国や品目ごとの関税率、原産地規則(累積規定の使い勝手など)を比較して、コストを最小化できる最適な協定を選択することが重要です。

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