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海運先進18カ国と米当局が2026年9月に政策対話、航行安全や脱炭素化を議論

発表主体: 国土交通省海事局 発表日: 2026-10-02 最終更新: 2026年10月2日
海運先進18カ国と米当局が2026年9月に政策対話、航行安全や脱炭素化を議論

海運先進18カ国と米国海事当局が協議、議論の要点は?

国土交通省海事局は、2026年9月21日から23日にかけて米国ワシントンDCで開催された「海運先進国当局間会議(CSG)」、国際海運会議所(ICS)との会合、および米国海運関係当局との政策対話(US-CSG会議)の結果を公表しました。

会合にはCSGメンバー18カ国、欧州委員会、ICS、米国海事関係当局が参加し、地政学的リスクに伴う国際海運の強靱性確保、重要海上交通路における航行の自由と安全、米国の海事政策動向、旗国責任とシャドーフリート(制裁回避船)への対応、国際海事機関(IMO)における脱炭素化ルール策定などについて意見交換が行われました。

国際航路の混乱と海運先進国会議(CSG)の位置づけ

海運先進国当局間会議(CSG)は、国際海運市場への自由なアクセスと自由で公正な競争条件の確保を目的に、1962年に欧州主要海運国を中心に発足した政策協調の枠組みです(日本は1963年に参加)。毎年1回の会合に加え、米国当局とは2年に1度の政策対話(US-CSG会議)を行っています。

近年、紅海やホルムズ海峡をはじめとする国際航路上の地政学的緊張や通商制限、保護主義的措置がグローバルサプライチェーンに大きな影響を及ぼしています。これらを背景に、信頼できるパートナー国間のネットワーク強化や世界共通ルールの維持を目的として今次会合が開催されました。

CSGおよび米国・民間との政策対話における主な合意内容

会合における主要な議論項目と結果の概要は以下の通りです。

  • 国際海運の現状と海上輸送の強靱性
    • 紅海やホルムズ海峡等の混乱、通商措置や産業政策が国際物流網に与える影響を共有。
    • 日本側より、自国単独での囲い込みではなく、航路・保有船舶・燃料供給・人材の多様化と関係国との相互補完体制が重要である旨を発言。
    • 船舶の所有・管理、船種、船員、造船、港湾、保険を含めた総合的な海事能力を平時から官民で連携・準備する重要性を議論。
  • 市場アクセスおよび米国海事政策
    • 各国における貨物留保やカボタージュ規制等の課題について情報共有。
    • 現在停止中となっている米国通商法301条に基づく入港料措置などの米国政策動向について、透明性と予見可能性の確保を求めつつ、今後も動向を注視する方針を確認。
  • 重要海上交通路における航行の自由と安全
    • 国連海洋法条約(UNCLOS)や国際海事機関(IMO)を中心とする国際的枠組みを補完し、利用国間の情報共有、沿岸国協力、船員の安全確保を進める重要性を確認。
    • 船舶の不当な通航制限や通航そのものへの課金に対する懸念をICSが表明。
  • 旗国責任とシャドーフリートへの対応
    • 虚偽の船舶登録、AIS(自動識別装置)の不正操作、無保険・不十分な保険による航行安全・環境リスクを議論。
    • 制裁回避だけでなく事故時の賠償責任や環境保護の観点から、IMOを通じた枠組みや関係国間の情報共有で連携することを確認。
  • 海運の脱炭素化と次世代船舶技術
    • IMOで検討されている温室効果ガス(GHG)削減対策に関し、投資の予見可能性を確保しながら世界共通の制度とするための方策を議論。
    • 米国連邦海事局(MARAD)より原子力を含む推進エネルギー構想やAI活用、造船所・船員教育等の構想が紹介された。

議論の影響が及ぶ主な業界関係者

  • 外航海運事業者・船主
  • 国際複合一貫輸送を手がけるフォワーダー
  • 海上輸送に依存する荷主企業(輸出入企業・製造業・商社)
  • 船舶管理・海上保険・造船関連事業者

国際物流実務における意味と確認すべき動向

  • 外航海運・海上物流事業者
    • 紅海や中東周辺などの要衝における航行安全確保や情報共有の枠組みが維持される一方、シャドーフリートや制裁対象ネットワークを排除するための国際的な監視・情報共有が強化される流れにあります。船舶管理、船籍登録、保険加入状況などの透明性確認やコンプライアンス管理の実務に関わる可能性があります。
  • 輸出入荷主企業
    • 国際航路の迂回や安全確保に関わるコスト、米国の通商法301条措置の運用動向など、海上運賃や輸送日数に影響を与えうる政策リスクについて、国際的な協調方針や予見可能性の確保に向けた対話が継続されています。

今後の政策協調とスケジュール

  • US-CSG政策対話の次回開催: 米国海事関係当局との政策対話は2年に1度行われており、定例の枠組みに沿えば次回は2028年の開催が見込まれます。
  • 米国通商法301条措置の動向注視: 現在停止中となっている入港料措置を含め、関係国および海運業界が連携して米国側の政策動向を引き続き注視する方針です。
  • IMOにおけるGHG削減対策の制度化: IMOで検討が進められている新たな温室効果ガス削減対策について、世界共通ルールとしての合意形成に向けた議論が継続されます。

今後の注視が必要な実務上の論点

  • 米国通商法301条に基づく入港料措置の行方: 発表時点では停止中とされていますが、米国政府による措置の再開や新たな要件導入があるかどうかが今後の焦点となります。
  • シャドーフリートへの具体的規制・執行手続き: 情報共有や連携方針は確認されたものの、寄港国検査(PSC)や旗国による具体的な法執行基準・情報共有プロトコルの詳細については現時点で示されていません。
  • 次世代推進エネルギー基準と荷主理解: 原子力を含む将来の代替エネルギーや次世代船舶の実用化に向け、寄港国の受入基準や安全規制の国際調和がどの段階で進むかが注視されます。

海上要衝のリスクとシャドーフリートを巡る背景動向

  • 国際海運における地政学的要衝の混乱: 2026年に入り、ホルムズ海峡や紅海周辺における商船への安全上の脅威や航路迂回が続いており、喜望峰ルートへの迂回に伴う輸送日数増や運賃サーチャージの発生が国際物流の大きな課題となっています。
  • シャドーフリートの実態: 経済制裁の回避を目的に、AIS(自動識別装置)の停止や不透明な所有形態、十分なP&I保険(船主責任相互保険)への未加入状態で航行する老朽船団が世界で数百隻規模に上ると推計されており、事故発生時の汚染補償機能不全などが国際的な問題となっています。

よくある質問

Q. 海運先進国当局間会議(CSG)にはどの国が参加していますか?
A. 議長・事務局を務めるデンマークのほか、日本、韓国、シンガポール、英国、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、カナダ、フィンランド、ギリシャ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデンの18カ国がメンバーです。今次会合には欧州委員会、国際海運会議所(ICS)、および米国の当局(連邦海事局、連邦海事委員会、国務省)も参加しました。

Q. 会合で議論された「シャドーフリート」とはどのような問題ですか?
A. 虚偽の船舶登録、AIS(自動識別装置)情報の不適切な停止・操作、不十分な保険などを伴う船舶群を指します。経済制裁の回避にとどまらず、航行安全や海洋環境の汚染リスク、海難事故発生時の所有者責任や損害補償が機能しない点などが国際的な課題として挙げられています。

Q. 米国通商法301条に関する海事措置はどうなっていますか?
A. 発表資料によると、米国通商法301条に基づく入港料措置は現在停止中となっています。日本からは新たな措置を導入する際に国際海運や輸出入への影響を考慮し透明性と予見可能性を確保する重要性を伝えており、今後も動向を注視することとされています。

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出典

  • 発表主体: 国土交通省海事局 / 発表日: 2026-10-02
  • 報道発表資料(PDF)
  • 掲載ページ
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