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採択・交付決定

499トン内航貨物船の省エネ・AI運航実証を採択、国交省など2026年10月に1件決定

発表主体: 国土交通省、経済産業省 発表日: 2026-10-06 最終更新: 2026年10月6日
499トン内航貨物船の省エネ・AI運航実証を採択、国交省など2026年10月に1件決定

499トン貨物船の省エネ実証1件を国交省・経産省が採択

国土交通省および経済産業省は2026年10月6日、令和8年度「運輸部門エネルギー使用合理化・非化石エネルギー転換推進事業費補助金(内航船革新的運航効率化・非化石エネルギー転換推進事業)」の公募審査結果を公表し、東広海運株式会社による499トン貨物船の実証事業1件を新規採択したと発表しました。本事業では、ハードウェア対策としての新型推進システムと、ソフトウェア対策としてのAI最適運航管理システムを組み合わせ、内航貨物船の省エネルギー化を検証します。

内航海運の脱炭素目標と補助事業の位置づけ

政府の「地球温暖化対策計画」(2021年10月閣議決定)において、内航海運分野は2030年度のCO2排出量を2013年度比で181万t-CO2(約17%)削減する目標が掲げられています。この目標達成に向け、国土交通省と経済産業省は連携し、ハード対策とソフト対策を組み合わせた船舶の省エネルギー化や、非化石エネルギー転換に向けた実証事業に対して設備費や検証費等の一部(補助率1/2以内)を補助する取り組みを進めています。

東広海運が実証する新型推進器とAI運航管理の内容

公募は2026年8月19日から9月9日にかけて実施され、外部有識者による審査委員会の審査を経て採択されました。採択された事業の内容および実証技術の概要は以下のとおりです。

  • 採択事業の概要
    • 事業者名:東広海運株式会社
    • 事業名称:499トン貨物船への新型推進システム、AIによる最適運航管理システム搭載による省エネ実証事業
  • 実証対象となる革新的省エネルギー技術
    • 舵バルブ付きリアクション舵とプロペラの一体設計推進システム(ハード対策)
      • 舵バルブとリアクション舵による推進効率向上効果を前提にプロペラを再設計することで、プロペラの翼面積縮小・軽量化を実現し、エネルギー損失を低減します。
    • JIT運航下での省エネ航行を支援するAI運航管理システム(ソフト対策)
      • 定刻通りに港に到着するような船速に調整することで、早期到着による沖待ち(錨泊待機)を回避し、燃料の余分な消費を抑える「JIT(Just In Time)運航」を実現します。
      • 船舶のハード特性、気象、海象データ等をもとに、JIT運航条件下でエネルギー消費が最小となる主機回転数および推奨進路をAIが提示します。
  • 実証成果の活用方針
    • 実証結果については、省エネ・省CO2排出技術の効果を客観的に評価・可視化する「内航船省エネルギー格付制度」の活用等を通じて周知を図り、内航海運の更なる省エネ化を促進する方針です。

実証技術の展開が関わる事業者

  • 内航海運事業者(オペレーター・船主)
    • 499トン型貨物船を中心に、燃料消費削減や運航効率化技術の導入を検討する事業者。
  • 荷主企業・利用運送事業者
    • 海運モーダルシフトを活用し、サプライチェーン(Scope3)のCO2排出量削減に取り組む荷主や物流企業。
  • 舶用工業・海事ITベンダー
    • 推進器・舵の省エネ設計を手掛けるメーカーや、運航支援AIシステムを開発・提供する海事IT事業者。

燃料消費抑制とJIT運航がもたらす物流実務への影響

  • 内航海運事業者(オペレーター・船主)
    • 推進器の効率化に加え、港湾の着岸予定時刻に合わせたAIによる船速・進路調整(JIT運航)を組み合わせることで、沖待ちに伴う無駄な燃料消費と燃料費コストの抑制につながる可能性があります。
    • 実証成果が「内航船省エネルギー格付制度」等で評価・公表されることで、環境性能の高い船舶として荷主企業へのアピール材料になることが見込まれます。
  • 荷主企業・利用運送事業者
    • サプライチェーン全体の脱炭素化が求められるなか、省エネ性能が格付等で客観的に証明された内航船の選択肢が増えることで、輸送段階における環境負荷低減の検証がしやすくなります。

今後の成果周知と格付制度活用の流れ

  • 採択された実証事業の終了時期や具体的な検証報告書の取りまとめ時期は本文に明記されていません。
  • 実証事業の終了後、得られた省エネ・省CO2削減効果のデータは「内航船省エネルギー格付制度」の活用等を通じて順次周知・公開される方針です。

削減実績の検証と港湾側連携が今後の焦点

  • 実際の航海における省エネ効果の検証値:新型推進システムとAI運航管理を組み合わせることで、気象・海象の変動がある実際の運航環境下でどの程度のCO2排出・燃料削減率が確認できるかが焦点となります。
  • 499トン船への技術普及の現実性:内航貨物船の主力である499トン型において、初期導入コストと燃料削減効果のバランスが業界内に広く受け入れられる水準になるかは現時点で示されていません。
  • 港湾側バース運用との連携:AIが提示するJIT運航(定時到着)を成立させるには、着岸バースの空き状況や荷役作業の進捗情報との連携が前提となるため、港湾側の受入運用とどのように連動するかが今後の論点となります。

小型内航船のシェアと省エネ格付制度の背景

  • 内航船における小型船のシェア:日本内航海運組合総連合会の統計によれば、2024年3月末時点の内航船総隻数(5,055隻)のうち1,000総トン未満が約87.7%を占めており、499トン貨物船をはじめとする小型船の省エネ化は業界全体の排出削減において中核的な課題となっています。
  • 内航船省エネルギー格付制度の概要:国土交通省が2020年3月より本格運用している制度で、基準値からのCO2排出削減率に応じて星1つから星5つまでの格付けを行い、船舶の環境性能を客観的に「見える化」して普及を後押ししています。

よくある質問

Q. 今回採択された補助事業の支援対象と補助率はどのような内容ですか?
A. 国土交通省および経済産業省の発表によると、ハード対策とソフト対策の組み合わせによる船舶の省エネルギー化や、非化石エネルギー使用機器の導入を行う実証事業を対象としており、事業実施に必要な設備費、設計・工費、検証等費の一部が補助率1/2以内で補助されます。

Q. 実証対象となっている「JIT運航」とは具体的にどのような運航方法ですか?
A. 発表資料によると、定刻通りに港に到着するような船速に調整することで、早期到着による港外での沖待ち(錨泊)を回避し、燃料の余分な消費を抑える運航手法です。今回の実証では、船舶のハード特性や気象・海象データ等をもとに、エネルギー消費が最小となる主機回転数や推奨進路をAIが提示します。

Q. 実証事業で得られた成果はどのように活用・公表される予定ですか?
A. 発表資料によると、実証の結果については、省エネ・省CO2排出技術の効果を客観的に「見える化」する「内航船省エネルギー格付制度」の活用等により周知が図られ、内航海運の更なる省エネ化の促進に活かされる方針です。

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出典

  • 発表主体: 国土交通省、経済産業省 / 発表日: 2026-10-06
  • 報道発表資料(PDF)
  • 掲載ページ
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