内航鋼船の最低賃金改定へ第2回専門部会を開催
国土交通省は、沿海区域を航行区域とする総トン数100トン以上の鋼船を対象とした「全国内航鋼船運航業最低賃金」の改正に向け、交通政策審議会海事分科会船員部会の第2回専門部会を2026年10月29日に開催すると発表しました。2026年9月25日に開催された第1回専門部会での議論を経て、改定額について継続審議が必要と判断されたことを受けたものです。
第1回部会で結論持ち越しとなった背景
全国内航鋼船運航業最低賃金専門部会は、最低賃金法第37条第2項に基づき設置され、公益・労働・使用者の代表各2名で構成されています。
2026年9月25日の第1回専門部会では、内航海運業界における賃金実態状況(国土交通省の公表資料によれば、船員の有効求人倍率が5.32倍に達し、船員の約5割が50歳以上という労働力不足や高齢化の実態)などを踏まえて最低賃金の改正について審議が行われましたが、労使合意に至らず継続審議の結論となっていました。
第2回専門部会の開催概要と委員構成
第2回専門部会の開催要項および構成委員は以下のとおりです。
- 開催日時・場所
- 日時:2026年10月29日(木)10:00~11:30
- 場所:国土交通省(中央合同庁舎3号館)9階海事局第5会議室
- 議事
- 全国内航鋼船運航業最低賃金の改正について
- 対象範囲
- 全国内航鋼船運航業(沿海区域を航行区域とする総トン数100トン以上の鋼船を用いて行う運航業)
- 専門部会委員等の構成(敬称略、五十音順)
- 公益委員:小西 康之(専門部会長/明治大学法学部 教授)
- 臨時委員(公益):西崎 ちひろ(東京海洋大学学術研究院海事システム工学部門 准教授)
- 臨時委員(労働者):漢那 太作(全日本海員組合 政策局総合政策部長)、竹田 圭志(全日本海員組合 国内局国内部執行部員)
- 臨時委員(使用者):阿南 幸十司(船主団体内航労務協会 専務理事 事務局長)、村田 泰(八重川海運株式会社 代表取締役)
会議資料および議事録は、後日国土交通省ホームページで公開される予定です。
対象となる事業者・関係者
- 内航海運事業者(船主・運航事業者):総トン数100トン以上の鋼船を用いて沿海区域で運航事業を行い、船員を雇用する事業者。
- 内航船員:対象船舶に乗船する船舶職員および部員。
- 荷主企業・利用運送事業者:産業基礎資材や消費財の幹線輸送において内航海運(貨物船、RORO船、専用船など)を利用する荷主や物流企業。
物流実務・労務コストへの影響
- 内航海運事業者(オペレーター・船主)
- 専門部会での審議を経て最低賃金の引き上げ額が決定された場合、船員の基本給体系や各種手当、時間外割増賃金など労務コスト全体に影響が及ぶ可能性があります。特に中小船主(オーナー)にとっては、船員確保に向けた賃金水準の改定と同時に、オペレーターへの傭船料引き上げ要請などの実務検討に関わってきます。
- 荷主企業・利用運送事業者
- トラックドライバーの時間外規制適用などを契機に海運モーダルシフトを進める荷主にとって、内航海運の運航コスト動向は運賃協議の重要指標となります。労務費改定に伴う海上輸送費用の見直し提案が行われる際の背景情報となります。
今後の審議日程と発効までの見通し
- 2026年10月28日(水)14:00:報道関係者の傍聴・カメラ撮り取材登録受付の締切。
- 2026年10月29日(木):第2回全国内航鋼船運航業最低賃金専門部会を開催(10:00~11:30)。最低賃金の改正額をめぐる再審議を実施。
- (交通政策審議会の例年の審議実績によれば)専門部会で改定額の合意が得られた場合、海事分科会船員部会から国土交通大臣への答申、公示を経て、翌年(2027年)春頃に改正最低賃金が発効する流れとなりますが、今回の改定スケジュールにおける最終答申や発効期日は公表資料上示されていません。
改定水準と運賃転嫁をめぐる今後の焦点
- 引き上げ額の労使着地点:陸上産業の最低賃金引き上げ水準や物価上昇、内航船員の人手不足状況を踏まえ、月額改定額がどの水準で折り合うかが焦点となります。
- 職位・経験別の改定幅:職員(A・B)および部員(A・B)それぞれの最低賃金水準について、一律引き上げとなるか、職階ごとに差が設けられるかは現時点で示されていません。
- 運賃・傭船料への転嫁環境:労務コストの上昇分が、船主からオペレーター、さらにオペレーターから荷主への運賃・傭船料へ円滑に転嫁できる取引環境が維持されるかが業界の関心事項となります。
現行の最低賃金水準と内航海運の実態
- 現行の全国内航鋼船運航業最低賃金(国土交通省公示資料によれば):2026年3月発効の水準は、職員Aが月額27万6,450円、職員Bが月額26万円、部員Aが21万7,850円、部員Bが20万8,550円となっています(2025年秋に一律8,500円引き上げで合意)。
- 内航海運の業界構造(国土交通省公表データによれば):内航海運は国内貨物輸送(トンキロベース)の約4割、鉄鋼・石油・セメントなどの産業基礎資材輸送の約8割を担う基幹物流です。事業者の99%以上が中小企業であり、船主の約7割が保有隻数1隻の個人・中小事業者で構成されています。
よくある質問
Q. 今回の最低賃金審議の対象となる「全国内航鋼船運航業」とはどのような範囲ですか?
A. 沿海区域を航行区域とする、総トン数100トン以上の鋼船を用いて行う運航業が対象です。国内港湾間を航行する貨物船などの船員に適用されます。
Q. なぜ第2回の専門部会が開催されることになったのですか?
A. 2026年9月25日に開催された第1回専門部会において、業界の賃金実態状況などを踏まえた審議が行われたものの、継続した審議が必要との結論に至ったため、再度審議を行うために開催されます。
Q. 現行の全国内航鋼船運航業最低賃金はいくらに設定されていますか?
A. (国土交通省の公示資料によれば)2026年3月発効の月額基準として、職員Aが27万6,450円、職員Bが26万円、部員Aが21万7,850円、部員Bが20万8,550円となっています。
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出典
- 発表主体: 海事局船員政策課 / 発表日: 2026-10-27
- 全国内航鋼船運航業の最低賃金の改正について審議を行います~交通政策審議会海事分科会船員部会第2回全国内航鋼船運航業最低賃金専門部会の開催~(PDF)
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