「令和7年外国人雇用実態調査」の結果概要
厚生労働省は2026年8月31日、「令和7年外国人雇用実態調査」の結果を公表しました。雇用保険被保険者5人以上の事業所における外国人労働者数は約204万人(前年約182万人)となり、一般労働者の月間きまって支給する現金給与額は平均292.4千円(前年比6.4%増)となりました。運輸業・郵便業分野においても約6.1万人の外国人労働者が就労しており、職種別の賃金水準や雇用管理上の課題が示されています。
調査の目的と実施体制
本調査は、外国人労働者を雇用する事業所における雇用形態、賃金等の雇用管理状況や、外国人労働者本人の入職経路・就労実態等を産業別・在留資格別に把握し、外国人雇用対策立案の基礎資料とすることを目的に、令和5年から実施されている統計調査です。
調査は雇用保険被保険者5人以上かつ外国人労働者を1人以上雇用する事業所(抽出9,016事業所、有効回答3,919事業所)および当該事業所に雇用される外国人常用労働者(抽出45,198人、有効回答14,248人)を対象に、令和7年9月30日現在の状況について実施されました。
外国人労働者の雇用状況と賃金・課題の実態
公表された調査結果の主な内容は以下のとおりです。
- 外国人労働者の雇用状況(事業所調査)
- 外国人労働者数は約204万人。在留資格別では「専門的・技術的分野」が42.1%(約86万人)、「身分に基づくもの」が24.0%(約49万人)、「技能実習」が21.7%(約44万人)。
- 産業別では「製造業」約61万人(30.1%)が最も多く、「運輸業,郵便業」は約6.2万人(61,606人、全体の3.0%)。
- 運輸業,郵便業の内訳は、「身分に基づくもの」が20,965人(34.0%)、「専門的・技術的分野」が16,966人(うち技術・人文知識・国際業務が10,131人、特定技能が4,929人)、「技能実習」が13,418人などとなっています。
- 労働時間と賃金(一般労働者)
- 全体の月間きまって支給する現金給与額は292.4千円(所定内実労働時間158.7時間、超過実労働時間17.6時間)。
- 職業別では、「輸送・機械運転従事者」が345.9千円(所定内給与額294.4千円、年間賞与等154.4千円、所定内180.7時間、超過23.0時間)、「運搬・清掃・包装等従事者」が243.5千円(所定内給与額212.0千円、年間賞与等92.1千円、所定内159.1時間、超過18.6時間)となっています。
- 雇用理由と雇用管理の課題
- 雇用理由は「労働力不足の解消・緩和のため」が68.2%で最多、次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が56.2%。
- 雇用の課題は「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%で最も多く、「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が24.8%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が22.4%となっています。
- 運輸業,郵便業における雇用の課題としては、「日本語能力等のためコミュニケーションが取りにくい」(46.0%)、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」(31.1%)、「ニーズにあう人材からの応募がない」(20.3%)などが挙げられています。
- 入職経路と就労状況(労働者調査)
- 日本国内に居住していた労働者の入職経路は「知人、友人」が37.8%、「求人広告」が19.1%、「民間紹介会社」が10.6%。
- 就労上のトラブルの有無は「なし」が88.5%、「あり」が10.0%。トラブルの内容では「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」(22.2%)、「相談先がわからなかった」(15.8%)などが挙がっています。
- 転職等の希望では「今の会社の仕事を続けたい」が81.2%を占めました。
関係する事業者
- トラック運送事業者
- 倉庫・物流拠点運営事業者
- 物流分野で外国人労働者を雇用している、または受け入れを検討している事業者
物流実務への示唆と処遇・採用動向
- トラック運送事業者
- 輸送・機械運転職種における外国人労働者の月間給与水準(平均345.9千円)や超過実労働時間(平均23.0時間)などの統計データが示され、自社の賃金設定や労働時間管理の比較材料として参照できます。また、国内入職者の4割以上が知人・友人の紹介を経由している実態や、現場における日本語コミュニケーションの課題(46.0%)が把握できます。
- 倉庫・物流拠点運営事業者
- 構内作業を含む運搬・清掃・包装等従事者の月間給与水準(平均243.5千円)や、文化・習慣の違いによるトラブル防止に向けた受け入れ環境の整備状況を把握する参考となります。
関連制度の今後のスケジュール
- 本調査結果の公表資料内に今後の直接的な工程表は含まれていません。
- 関連する制度動向として、技能実習制度を発展的に解消する「育成就労制度」を創設する改正法は、公布から3年以内(2027年まで)に施行される予定です(出入国在留管理庁等の公表資料による)。
- 自動車運送業分野を含む特定技能制度の受入れ方針については、2024年度から2028年度までの5年間を対象期間として運用が進められています(出入国在留管理庁の別途公表資料による)。
今後の雇用管理における注目点
- 現場でのコミュニケーション・作業指示の伝達方法
- 雇用の最大の課題として「日本語能力によるコミュニケーションの難しさ」が挙げられており、業務指示の明確化や多言語マニュアルの活用などが円滑な雇用の論点となります。
- 採用経路の透明性と受入れ事務の効率化
- 労働者側で紹介会社の費用負担に関する困りごとが挙がる一方、事業所側でも在留資格申請等の事務負担が課題として示されており、適正な紹介経路の選定や申請実務の円滑化が今後の焦点となります。
特定技能制度の対象分野追加などの関連動向
- 自動車運送業分野における特定技能制度の追加
- 政府は2024年3月29日の閣議決定において、特定技能1号の対象分野に「自動車運送業」(トラック運転者、バス運転者、タクシー運転者)を追加し、5年間で最大2万4,500人の受入れ見込数を設定しています。
- 外国人雇用状況届出制度
- 労働施策総合推進法に基づき、事業主には外国人労働者の雇入れおよび離職時にハローワークへ届け出ることが義務付けられています。
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出典
- 発表主体: 厚生労働省 / 発表日: 2026-08-31
- 「令和7年外国人雇用実態調査」の結果を公表します[511KB](PDF)
- 調査結果の概況(別添)[1.6MB](PDF)
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