コンテナターミナルゲート高度化で新たに3事業を採択
国土交通省は2026年9月29日、国際コンテナ戦略港湾の競争力強化およびコンテナ物流の円滑化に向け、コンテナターミナルにおける搬出入ゲート作業の迅速化・効率化を支援する補助事業として、新たに3事業を採択したと発表しました。公募審査を経て採択されたのは苫小牧港、東京港、横浜港のターミナル施設で、OCR(光学文字認識)カメラの導入等によるコンテナ番号読み取りや外装ダメージチェックの効率化が進められます。
コンテナ船大型化と労働力不足に伴うゲート渋滞への対応
コンテナ船の大型化により1隻あたりの積卸個数が増加し、特定の時間帯にトレーラーが集中することで発生するコンテナターミナルゲート前の待機渋滞が課題となっています。さらに港湾労働者やトラックドライバーの高齢化・労働力不足が進む中、労働環境の改善と業務の省力化が求められています。
国土交通省は令和元年度(2019年度)から「AIターミナル構想」を推進しており、国際コンテナ戦略港湾の競争力強化施策の一環として、令和6年度(2024年度)にゲート高度化に必要な施設整備への補助制度を創設しました(国土交通省港湾局資料による)。今回の採択は、令和8年1月5日から2月3日まで行われた公募に対し、学識経験者等の審査を経て決定されたものです。
苫小牧港・東京港・横浜港における採択事業の詳細
令和8年度新規採択事業として決定された3件の概要は以下の通りです。
- 苫小牧港コンテナターミナルゲート高度化事業
- 事業者:苫小牧国際コンテナターミナル株式会社
- 主な内容:OCRカメラの導入によるコンテナ番号読み取りの効率化
- 事業期間(予定):令和8年度
- 東京港Y3ターミナルゲート高度化事業
- 事業者:萬海航運股份有限公司(ワンハイラインズ)
- 主な内容:OCRカメラの導入によるコンテナ外装チェックの効率化
- 事業期間(予定):令和8年度~令和10年度
- 横浜港本牧D4ターミナルゲート高度化事業
- 事業者:萬海航運股份有限公司(ワンハイラインズ)
- 主な内容:OCRカメラの導入によるコンテナ外装チェックの効率化
- 事業期間(予定):令和8年度~令和9年度
関係する事業者・ステークホルダー
- コンテナターミナル運営事業者および船会社(施設整備の実施主体)
- 海上コンテナ輸送を担うトラック運送事業者(ドレージ事業者)および乗務員
- 国際海上コンテナ貨物を利用する荷主企業(荷主・荷受人・フォワーダー)
立場別に見る物流実務への影響
- 海上コンテナ運送事業者(ドレージ事業者)
- ターミナル入口での目視確認や手入力作業がOCRカメラにより自動化されることで、ゲート受付時間の短縮が期待されます(国土交通省資料によれば、従来の有人・目視確認では車両1台あたり最大3〜5分程度を要していました)。これにより、ゲート前渋滞に伴うトラックドライバーの拘束時間や荷待ち時間の削減につながる可能性があります。効果の発現時期は、事業完了予定に合わせ苫小牧港が令和8年度、横浜港が令和9年度、東京港が令和10年度以降に順次見込まれます。
- コンテナターミナル運営事業者・船会社
- ゲート作業の機械化・自動化により、コンテナ番号やシール番号、外装損傷の確認にかかる現場人員の業務負担が軽減され、省人化と安全性の向上が見込まれます。また、ゲート処理速度が向上することで、ピーク時間帯の受入能力拡大につながる可能性があります。
- 荷主企業(荷主・フォワーダー)
- 港湾ゲートでの滞留が緩和されることで、コンテナ引き取り・返却スケジュールの予測可能性が高まり、コンテナ返却遅延に伴うディテンション(返却延滞料)や港湾内留置に伴うデマレージ(超過保管料)の発生リスク軽減に寄与する可能性があります。
各ターミナルの事業完了スケジュール
- 令和8年度(2026年度)内:苫小牧港コンテナターミナルゲート高度化事業が完了予定。
- 令和9年度(2027年度)内:横浜港本牧D4ターミナルゲート高度化事業が完了予定。
- 令和10年度(2028年度)内:東京港Y3ターミナルゲート高度化事業が完了予定。
- 今後の制度動向:(国土交通省港湾局の公募要領によれば、本補助事業は全国13港を対象としており、次年度以降も対象港湾における追加公募や採択が進むかどうかが焦点となります。)
今後の運用・効果検証における論点
- ゲート通過後のヤード内オペレーションとの連携:ゲートの受付・点検作業が迅速化しても、ヤード内荷役(RTG等によるコンテナ移送)の処理能力が追いつかない場合、ターミナル内での滞留に転嫁される懸念があり、構内全体の処理能力とのバランスが今後の焦点になります。
- 予約システム(CONPAS等)との接続方針:国交省が進める事前予約受付システム「CONPAS」や民間動態管理プラットフォームと、今回導入されるOCR設備が現場でどのようにデータ連携されるかは、現時点で各事業の詳細仕様として公表されていません。
- 他ターミナル・他港湾への普及状況:今回は3ターミナルでの採択にとどまっており、港湾全体の渋滞緩和に向けて他の民間ターミナルオペレーターへ同様の高度化設備導入がどの程度広がるかが注目されます。
港湾DXおよびゲート混雑対策を巡る業界動向
- 国土交通省では2024年度(令和6年度)に本補助制度を創設し、第1回公募では横浜港(本牧D5)および大阪港(夢洲)、令和7年度には東京港(青海)の事業を採択しています(国土交通省報道発表より)。
- 港湾混雑対策としては、OCRカメラ等のハード整備に加え、車両の来場時間を平準化する予約システム「CONPAS」の展開や、トラック運行動態を可視化する民間物流プラットフォームの活用など、ソフト・ハード両面からのアプローチが進められています。
よくある質問
Q. 今回採択された3事業の事業者と設置場所はどこですか?
A. 苫小牧港が苫小牧国際コンテナターミナル株式会社、東京港Y3ターミナルおよび横浜港本牧D4ターミナルが萬海航運股份有限公司(ワンハイラインズ)です。
Q. どのような設備が導入されますか?
A. 苫小牧港ではOCRカメラの導入による「コンテナ番号読み取りの効率化」、東京港Y3および横浜港本牧D4ではOCRカメラの導入による「コンテナ外装チェックの効率化」が実施されます。
Q. 補助事業の実施期間はいつまでですか?
A. 発表資料に記載された予定期間によると、苫小牧港が令和8年度、横浜港本牧D4が令和8年度~令和9年度、東京港Y3が令和8年度~令和10年度となっています。
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出典
- 発表主体: 国土交通省 / 発表日: 2026-09-29
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