安栄観光に対する輸送の安全確保命令の発出
沖縄総合事務局は令和8年10月9日、一般旅客定期航路事業者である有限会社安栄観光(沖縄県石垣市)に対し、輸送の安全確保に関する命令を発出しました。同社が石垣港~波照間航路で運航する旅客船「ぱいじま2」の機関故障事故を端緒に実施された監査において、船舶安全法に基づく臨時検査の未受検や関係機関への事故未報告など、安全管理規程の不遵守が確認されたことによる処分です。あわせて同社に対し、違反点数29点(累積違反点数29点)が付与されました。
発出された輸送の安全確保命令と違反点数の付与
| 処分・命令の種類 | 根拠条文 | 事業者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 輸送の安全確保に関する命令 | 海上運送法第19条第2項 | 船舶の臨時検査受検や安全管理体制の再構築、事故連絡体制の徹底など、命じられた是正措置を講じる義務を負う。 |
| 行政処分の違反点数付与(29点) | 旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について(海事局長通達) | 違反行為に応じて行政上の点数が記録され、今後の累積状況によっては船舶使用停止や事業停止等の加重処分につながる管理状態に置かれる。 |
機関故障事故を契機とする監査で確認された違反事実
令和8年7月15日に一般旅客定期航路事業(石垣港~波照間航路)で運航する旅客船「ぱいじま2」が黒島東方海域付近を航行中に機関故障を起こした事故を端緒に、海上運送法第25条第1項に基づく監査が実施され、以下の違反事実が確認されました。
- 船舶安全法に基づく臨時検査の未受検
- 船舶の安全性に影響を及ぼす改造等を実施したにもかかわらず、法令に定める臨時検査を受検しないまま船舶を航行の用に供していたこと。
- 安全管理規程に基づく事故報告の不履行
- 事故発生時に、海上保安部及び沖縄総合事務局に対して安全管理規程に基づく報告が行われていなかったこと。
- 安全管理規程に定める管理体制・業務手順の不遵守
- 経営トップの主体的な関与、安全統括管理者および運航管理者による法令遵守や安全最優先原則の社内徹底、配船計画策定時の安全性検討、事故処理訓練の定期実施などが適切に行われていなかったこと。
海上運送法および船舶安全法が事業者に求める安全基準
海上運送法第10条の3では、旅客定期航路事業者に対し、輸送の安全を確保するための最高規範として「安全管理規程」の策定・届出およびその遵守を義務付けています。同法第19条第2項は、輸送の安全確保に支障があると認められる場合、国土交通大臣(総合事務局長)が事業者に対して輸送安全の確保に必要な措置を命じることができると定めています。また、船舶安全法第5条第1項では、船体や機関等に安全性に影響を及ぼす改造や修理等を行った場合、国の臨時検査を受検して安全性の確認を受けることが義務付けられています。
命令事項に基づく臨時検査受検と安全管理体制の点検ポイント
| チェック項目 | 根拠条項 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 改造・修理時の臨時検査受検と安全確認 | 船舶安全法第5条第1項 | 船舶の安全性に影響を及ぼす改造等を実施した際、運航前に法定の臨時検査を受検し合格しているか検査証書等を照合する。 |
| 経営トップによる安全管理体制への主体的関与 | 安全管理規程第4条 | 経営責任者が安全最優先の原則徹底に関与し、全社的な安全マネジメント態勢を適切に運営しているか記録・実態を確認する。 |
| 安全統括管理者による法令遵守・安全最優先の徹底 | 安全管理規程第17条 | 安全統括管理者が職員および乗組員に対し、関係法令および安全管理規程の遵守を徹底させているか周知・指導記録を点検する。 |
| 運航管理者による運航管理・安全業務全般の統括 | 安全管理規程第18条 | 運航管理者が船舶の運航管理および輸送安全に関する業務全般を漏れなく統括し、規程の実施を図っているか業務実態を確認する。 |
| 配船計画作成時における安全性の事前検討 | 安全管理規程第22条 | 船舶を航行の用に供する前に、配船計画の策定段階で気象・海象や船舶状態等の安全性検討が確実に実施されているか記録を確認する。 |
| 事故発生時における速やかな関係機関連絡 | 安全管理規程第48条 | 事故発生を覚知した際、事故状況や講じた措置を海上保安官署および管轄運輸局等へ速やかに連絡・報告する手順が機能しているか点検する。 |
| 事故処理訓練の年1回以上計画および実施 | 安全管理規程第52条 | 乗組員等を対象とした実践的な事故処理訓練が、年1回以上の頻度で計画され確実に実施されているか訓練記録を確認する。 |
旅客船安全対策の強化と行政処分基準の運用動向
- 旅客船安全対策に伴う法改正の施行
- 2022年4月に発生した知床遊覧船事故を受け、「海上運送法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第24号)が2024年4月1日より順次施行され、安全管理規程の遵守義務の法制化や運航管理体制の厳格化など、旅客船事業者に対する安全統制が強化されています。
- 旅客運送船舶に対する違反点数制度の運用
- 国土交通省海事局通達「旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について」に基づき、法令や安全管理規程違反に対して違反点数を付与・累積し、改善命令や船舶使用停止、事業停止等を段階的に執行する厳格な管理が行われています。
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出典
- 発出元: 沖縄総合事務局
- 文書番号: 記載なし / 発出日: 令和8年10月9日
- 輸送の安全確保に関する命令の発出について(PDF)
- 掲載ページ
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
