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処分動向

東海汽船に船舶使用停止命令、酒気帯び当直や検査不実記録などで

発出日: 2026-10-02 最終更新: 2026年10月2日
東海汽船に船舶使用停止命令、酒気帯び当直や検査不実記録などで

東海汽船に対する船舶使用停止命令の発出

関東運輸局は令和8年10月2日、東海汽船株式会社に対し、海上運送法第17条に基づき一般旅客定期航路事業の用に供する船舶の使用停止命令を発出しました。令和8年1月以降に実施された海上運送法第25条第1項に基づく検査において、安全管理規程の不遵守など複数の法令違反が確認されたことによる処分です。本来は違反点数累計に基づく事業停止基準に該当する事案でしたが、生活交通確保等の観点から事業者が提出した改善計画の実効性が認められ、一部船舶の使用停止命令へ変更されました。

発出された船舶使用停止命令と違反点数の付与

処分・命令の種類 根拠条文 事業者にとっての意味
一般旅客定期航路事業の用に供する船舶の使用停止命令(橘丸:令和8年10月9日〜10月28日の20日間) 海上運送法第17条 指定期間中、東京~八丈島航路および東京~大島~神津島航路において当該船舶を営業運航に供することが禁じられる状態。
一般旅客定期航路事業の用に供する船舶の使用停止命令(セブンアイランド結、セブンアイランド友:令和8年10月9日〜10月28日の20日間) 海上運送法第17条 指定期間中、東京~大島~神津島航路および熱海~大島航路において両船舶を営業運航に供することが禁じられる状態。
違反点数の付与(東京~八丈島:92点、東京~大島~神津島:96点、熱海~大島:38点) 旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について(海事局長通達) 航路単位で行政上の違反点数が記録され、累積状況により更なる加重処分や管理強化の対象となる状態。

検査で確認された飲酒当直や不実記載等の安全管理規程違反

関東運輸局の検査により、以下の安全管理規程違反および海上運送法第50条第6号違反が確認されました。

  • 経営トップの主体的関与の不備(規程第4条)
    • 社長自ら大型船内における元日飲酒の慣行を認知していながら適切な措置をとらず、安全マネジメント態勢を適切に運営していなかった。
  • 安全統括管理者の職務・権限不履行(規程第17条)
    • 全社的にアルコール検査体制が形骸化しており、検知器使用方法等の教育も実施していなかった。
  • 運航管理者の職務・権限不履行(規程第18条)
    • 舷門未閉鎖状態での発航および船内巡視時の舷門未確認が常態化しており、作業基準等の教育も実施していなかった。
  • 船長による運航管理者への情報不伝達(規程第31条)
    • 令和7年12月24日、さるびあ丸船長が式根島出港時の舷門閉鎖不能の事態を次の目的地到着まで報告しなかった。
  • 旅客乗船から離岸に至る作業手順不備(規程第35条、作業基準第8条・第9条)
    • 大型貨客船において、舷門未閉鎖の状態での発航が常態化していた。
  • 船内巡視手順の形骸化(規程第36条、作業基準第10条)
    • 大型貨客船の船内巡視に際し、舷門の閉鎖確認を怠ることが常態化していた。
  • アルコール検査体制の形骸化(規程第38条)
    • ジェットフォイルにおける替え玉受検の発生、大型貨客船の出入港配置での未検査常態化、航海当直中の抜け出し飲酒後の未検査当直が確認された。
  • 酒気帯び業務の禁止違反(規程第38条)
    • 令和8年1月1日、さるびあ丸・橘丸両船の船長を含む乗組員が旅客運送中に船舶ぐるみで飲酒し、検査を行わず当直に就任。呼気1リットル中0.15mgを大幅に超える状態で当直に就いた者が複数人確認された。
  • アルコール検査結果の不実記録(規程第38条・第55条)
    • 飲酒習慣がないと自主申告した乗組員を中心に、未検査にもかかわらずゼロと記載することが常態化していたほか、替え玉受検時にも虚偽記載がなされた。
  • 発航前検査の不適切実施(規程第40条)
    • 大型貨客船において、タラップが架かったまま検査を終え、舷門未閉鎖で出航することが常態化していた。
  • 発航前検査記録の不実記載(規程第40条・第55条)
    • タラップが架かり舷門未閉鎖であることを認識しながら、記録簿の「乗降用設備」欄に「○」と記載することが常態化していた。
  • 事故等の連絡体制不備(規程第48条、事故処理基準第4条)
    • さるびあ丸が舷門を開放したまま運航した計2回のインシデントを運輸局に報告していなかった。
  • 安全教育の未実施(規程第50条)
    • アルコール検知器使用法や検査体制の実効化教育、舷門手動閉鎖に必要な非常用ポンプ作動方法等の教育を実施していなかった。

海上運送法第17条および行政処分基準が定める処分枠組み

海上運送法第10条の3では、旅客定期航路事業者に対し、輸送の安全を確保するための最高規範として「安全管理規程」の策定・届出およびその遵守を義務付けています。同法第17条は、事業者が法令や安全管理規程等の処分に違反した際、国土交通大臣(地方運輸局長)が船舶や輸送施設の使用停止、事業の停止、または許可の取消しを命じることができると定めています。また、通達「旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について」により、累積違反点数16点以上で事業停止処分の対象となる一方、生活交通確保に著しい障害が生じる場合に実効的な改善計画が提出された際は船舶使用停止等に代えることができる運用が規定されています。

命令事項に基づく安全管理規程・検査体制の点検ポイント

チェック項目 根拠条項 確認の方法
経営トップによる安全管理体制への主体的関与 安全管理規程第4条 経営責任者が安全最優先原則の徹底に関与し、現場の不適切な慣行を放置せず管理体制を運営しているか記録・実態を確認する。
安全最優先原則および規程遵守の周知徹底 安全管理規程第17条 安全統括管理者がアルコール検査体制の実効性確保や教育訓練の実施状況を含め、現場への安全方針の浸透状況を点検する。
運航管理・輸送安全確保業務全般の統括 安全管理規程第18条 運航管理者が作業基準の遵守状況や舷門閉鎖確認等の安全確保業務全般を統括・指導しているか確認する。
事故・インシデント発生時の報告連絡体制 安全管理規程第31条、第48条、事故処理基準第4条 運航上の異常や基準不遵守の事態が発生した際、運航管理者および管轄運輸局へ速やかに情報伝達・報告がなされているか手順を点検する。
旅客乗降時および離岸時の作業基準遵守 安全管理規程第35条・第36条、作業基準第8条〜第10条 舷門閉鎖の確認手順や船内巡視における閉鎖確認が形骸化せず、手順どおり実施されているか現場記録と照合する。
アルコール検査の確実な実施と不正防止 安全管理規程第38条 出入港時や当直前の検査が全員確実に実施されているか、替え玉受検や未検査での当直就任がないか運用実態を点検する。
検査結果・点検記録の正確な記録管理 安全管理規程第40条、第55条第2項 アルコール検査や発航前検査(タラップ・舷門確認等)において、未実施や不備を隠した虚偽記載(不実記載)がないか記録簿を照合する。
実効的な安全教育・訓練の定期実施 安全管理規程第50条 検知器の取扱方法、舷門非常用ポンプの作動手順、作業基準の内容に関する具体的な安全教育が実施されているか教育記録を確認する。

旅客船安全対策の法改正と行政処分の運用動向

  • 旅客船安全対策に伴う法改正と処分基準の厳格化
    • 2022年4月に発生した知床遊覧船事故を受け、「海上運送法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第24号)が2024年4月1日より順次施行され、船舶使用停止処分の創設など安全統制が強化されています。
  • 海事局長通達に基づく違反点数制度の運用
    • 国土交通省の「旅客運送船舶運航事業者に対する行政処分等の基準について」に基づき、重大な違反や社会的影響のある事案、隠滅行為に対しては基準の2倍の点数が付与されるなど、厳格な行政処分基準が運用されています。
  • 運航労務監理官による監査・監督体制の拡充
    • 地方運輸局に配置されている運航労務監理官による船舶運航事業者への運航管理監査体制が強化されており、安全管理規程の遵守状況やアルコール検査体制に対する継続的な指導・処分が行われています。

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出典

  • 発出元: 関東運輸局
  • 文書番号: 記載なし / 発出日: 令和8年10月2日
  • 船舶運航事業者に対する船舶の使用停止命令について~海上運送法第17条に基づく行政処分~(PDF)
  • 掲載ページ
  • 報道発表

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

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